その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

真夏になったサウス・ダウンズ・ウエイを歩く (その1)

2012-05-30 22:39:43 | 旅行 海外
 先週末は、きっと今年一番の天気の良い週末になるに違いないと思わせる快晴の天気でした。つい10日ほどまでコートを着ていてもおかしくない気候だったのが、街じゅうタンクトップの女性であふれる日に変ってしまいました。こんな日に家に居てはもったいないので、土曜日、3週連続となるカントリー・ウォーキングに出かけました。

 今回は、東サセックス州のGlyndeからSeafordまでの全長23キロのコースです。このコースは、私が持っているガイドブック"Country Walks"のコースの中で最長、難易度も10段階の9と言うかなり困難が予想されたコースでした。コースは確かに楽ではありませんでしたが、大部分がサウス・ダウンズ・ウエイというナショナルトレイルの一部なので迷いませんし、今まで歩いたウォーキングコースの中でも最も素晴らしいものだと断言できます。丘陵の上からの素晴らしい眺望、いかにもイギリスというヴィレッジ、田園風景、海岸沿いの白壁の絶景、常に変化があり、飽きることの全くないコースです。

【Glyndeにて下車】
 ロンドン・ヴィクトリア駅からイーストボーン行きの中距離列車に乗って、1時間。Lewesという駅(ここは一昨年、グラインドボーンのオペラを見に行った場所)で各駅列車に乗り換え、次の駅Glyndeという駅で降ります。

 駅を降りて5分も歩くと、これから登るサウスダウンズ(ダウンズは丘の意味で、サウス・ダウンズは西のウィンチェスターから、東のイーストボーン辺りまでの丘陵地帯のこと)が見えて来ます。牧草地には馬が居て、とってものんびりした気分。






【Church of St Peterに立ち寄る】
 丘を登る前に、最初のヴィレッジwest Firleを通過します。セント・ピーター教会は村の鎮守様としての教会のようです。イギリスのどの村にもあるような教会ですが、この教会のステンドガラスは見事でした。

 

 

【South downsに登る】
 さあ、いよいよ丘登りです。えっちら、よっちらと登っていきますが、たかが標高215メートルですが、山岳民族の日本人には全然大したことありません。


 登るに従って、雄大な風景が背中に広がっていきます。
 

 やっと登り切りました。南側に英国海峡を臨む絶景が現れます。
 

 丘の背に沿って、東に向かって絶景の中を進みます。
 

 ウォーキングの他にもサイクリストも多く見かけます


 最高位の高度215メートル地点


 草、羊、海。
 

 4kmほど丘の背を歩いて、下りはじめます。
 

(つづく)
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Ninagawa Company/ Cymbeline (蜷川幸雄演出/ シンベリン(シェイクスピア))@バービカンシアター

2012-05-30 01:23:50 | ミュージカル、演劇
 蜷川幸雄さん演出のシェイクスピア劇『シンベリン』のロンドン公演初日を観てきました。非常に充実した、グイグイ引き込まれる舞台で、あっという間の3時間半でした。以下、手短に感想を。

 最も印象に残ったのは、俳優陣の熱演です。中でも、MVPはやはり大竹しのぶさんでしょう。この方、もう50歳台半ばのはずなのですが、とてもそうは見えないです。王女イモージェンを、小気味良いセリフ回し、テンポよい動作で、美貌、知性、品格を備える王女を見事に演じていました。(くどいですが)50歳台の人が若い女性を演じる違和感が全くと言っていいほど無く、観ていて華があるというか、非常に惹きつけられます。特に、後半の変装した男性役などははまり役で、男性と女性の声の使い分けなど、コミカルかつ素晴らしかった。

 また、ポステュマスを演じ、大竹さんとペアを組んだ阿部寛さんも存在感溢れる演技だったです。ホント、格好いいですね、この人。でも、この公演を盛り上げたのは、この2人を支える脇役陣です。特に、シンベリン役の吉田鋼太郎さん、クロートンの勝村政信さん、ベレーリアスの佐川哲郎さん、ピザーニオ大石継太さんが印象的でした。いずれも骨太の演技で、とっても安定した舞台になっていたと思います。

 実は、舞台が始まった冒頭は、非常に早い台詞回しが落ち着かなくて、舞台全体が地に足がついていないような印象を受けたのですが、舞台設定がイタリアに移ったあたりぐらいから落ち着いてきました。それからは、ぐーっと舞台に引き付ける磁力を持った舞台でした。

 演出も好みでした。平安絵巻の屏風のような立てを置いたり、どこかの惑星を模したような背景カーテンも、時に日本的な雰囲気を加えたり、観る者の意識を地球レベルまで引き上げて観させるような意図が感じられます。ただ、これが理解できないと本演出がわかったことにはならないのでしょうが、幾つかの場面で東日本大地震を一つのメタファーで使っているところがあります。例えば、戦シーンでは、津波とおもわれる波の音や赤ん坊が泣き叫ぶ声などが効果音として使われたり、ラストシーンでは、舞台上の木が、津波を生き残った「希望の杉」を模したもになったりするのですが、正直この劇の文脈と東日本大震災との関連性や意味合いは私には良くわかりませんでした。

 あと、これはこのお芝居に限ったことではないのですが、やはりシェイクスピア劇の日本語公演というのは、難しいなあと思いました。私は、日本語によるシェイクスピア劇の公演は初めてで、シンベリンも英語でも日本語でも読んだことはないですが、日本語で100%内容が分かるというメリットは素晴らしい一方で、やはりシェイクスピアの英語の音や韻を通じたリズム感は失われてしまいます。時折、台詞回しがつらそうに見えるは、言葉の問題としかいいようがないかと思います。ストーリーはシェイクスピアだが果たして、これはシェイクピア劇と言えるのか?というのは、ちょっと考えてしまいます。

 ただ、全体を通じて印象的で、良い公演です。ロンドンに来て以来、シェイクスピア劇は10本近く見ているのですが、この蜷川版も十分トップクラスで通用すると思います。英人にはどう写ったでしょうか?明日以降の新聞レヴューが楽しみです。

 蛇足ですが、大竹しのぶさんや阿部寛さんが出演するということもあってか、会場は半分近くが日本人と思しき人でした。

(舞台開始前。何故か、楽屋を模した舞台で、俳優さん達がウロウロしている)


(カーテンコール)





Cymbeline
Ninagawa Company
29 May 2012 - 2 June 2012 / 19:15
Barbican Theatre

In Japanese with English surtitles

Directed by Yukio Ninagawa
Cast includes Hiroshi Abe and Shinobu Otake

Presented by the Barbican in association with Thelma Holt, Saitama Arts Foundation and HoriPro Inc

ANA (All Nippon Airlines) Ninagawa Company's offical airline




コメント (2)
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