その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ノース・ヨークシャの旅 (その4: ノース・ヨークシャ・ムーアズ・レイルウェイに乗る)

2012-05-14 23:28:07 | 旅行 海外
 2日目のハイライトは、ノース・ヨークシャ・ムーアズ鉄道(North Yorkshire Moors Railway)に乗ってのノース・ヨークシャ・ムーアズ国立公園の縦断である。この鉄道は、ウィトッピーからピカリング(Pickering)までの24マイル(38キロ)を、蒸気機関車で走らせている(ウィトッピーからはハイシーズンに一日2便、それ以外はグロスモント(GROSMONT)~ピカリング)。昨年夏のスコットランドのハイランド地方に続いての蒸気機関車体験だ。

(機関車入線)
 

 機関車はもちろん本物で、8両の客車を率いる。今回は座席にはつかず、デッキから窓を開けて、ムーアの風景や谷あいを進む機関車を楽しんだ。窓から頭を出すと、前方から石炭の燃え粕の粒が飛んでくるので、あまり長く頭を出したままにはできないが、機関車が山を上っていく様子を見ていると、雲に同化するかのように舞い上がっていく白い蒸気、汽笛の「ポッポー」という音、機関車が客車をゴシゴシと引っ張る音はなんとも感動的ですらある。「がんばれ、がんばれ」と声をかけたくなるぐらいだ。機関車トーマスのように、機関車が擬人化されるのは、人がそこに生命の躍動を感じるからに違いない。

(段段とムーアの丘陵を登っていきます)
 



 メカニックが目で見みてわかり、インプット(石炭、火、水)とアウトプット(動力)が明確にわかるテクノロジーは何とも分かりやすくて、安心させてくれる。何でも半導体のチップのなかで処理が行われて、インプットとアウトプットの間がブラックボックスになってしまうハイテクにはないウキウキ感がある。

(不思議な生命感を感じます)


(子供が窓から顔出して、こんにちは)


 途中、中間のGOATHLAND駅で途中下車し、周囲を散策してみる。この駅は、イギリスのテレビドラマやハリーポッターの映画のロケにも使われたそうである。駅裏にある丘を少し登って、ムーアに出てみる。何もない一面の荒野が広がっている。夏になるとここに紫色のヒースの花が咲くと言うから、そうなればさぞ美しいだろう。

(駅裏の丘を登ります)


(丘からの風景。前と後ろ)
 

(次になる機関車が来ました。遠くに聞える汽笛で、近づいてきたことを知るのもワクワク感があります)


 一つだけ期待と違っていたのは、鉄道は、ムーアの中を縦断していくイメージとは若干異なり、谷沿いを進むため、パノラマの景色を楽しむというかんじでは無かった。遠くに尾根沿いの道を進むバスが見えたりしたので、もしムーアの景色を楽しむのであれば、このムーアをネットワークしている路線バスがあるので、バスの方が良いかもしれないと思う。

 それでも、渓流を横に、新緑が萌え始め、自然にあふれる北ヨーク地方を進む機関車に乗るのは何とも気持ちがリフレッシュする。 途中駅での停車時間や私の下車時間を除くと、乗車時間は約1時間半。十分、楽しむことができた。



(終着駅では機関車の古雑誌が売っていました)


 終点の村、ピカリングで昼食を取ったあとは、バスに乗り再びスカボロウへ。スカボロウはウイットビーとどうよう北海に面した町だが、ウイットビーよりはかなり大きいようだ。1時間半ほど列車まで時間があったので少し散策してみる。日曜日の夕方と言うこともあって、店も大方閉店していたのでシティセンタは随分寂しかったが、海岸のほうに出てみると綺麗な海岸線と港が見下ろせ、その先に城がそびえるというなかなかの景観だった。

(ピカリング→スカボロウのバスの車窓から)
 

(スカボロウの海岸線)
 

 午後5時51分発の列車に乗り、再びヨークで乗り換え、7:05発でロンドンへの帰路につく。7時半だというのにまだ陽が随分高い。いつのまにこんなに陽が長くなったのだろうと、思いながらビールを飲んでいると、いつの間にか寝てしまっていた。


 2日間の短い週末旅行だが、また一つ記憶に残る旅ができた。

(おわり)


【関連リンク】

ウィットピー 観光: こちら →

ウィットピー・アビー: こちら →

 キャプテンクック・メモリアル・ミュージアム: こちら →

 ノース・ヨークシャ・ムーアズ・レイルウエイ: こちら → 
コメント
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