ストラヴィンスキー・フェスティバルと銘打ったロンドン交響楽団のシリーズ企画。なんと1週間の間にストラヴィンスキーのコンサートが何と一気に5つも行われます(うち3つはバービカン、1つはトラファルガー広場での野外コンサート、1つはセントルーク)。これまでストラヴィンスキーといえば、私は「春の祭典」「火の鳥」の組曲番、それにオペラの「Rakers’Progress」ぐらいしか聴いたことがないので、3つのコンサートに足を運びました。
ストラヴィンスキーは「カメレオンとあだ名をつけられるほど創作の分野は多岐にわた」り、「作風を次々に変え続けた」(Wiki)と言われていますが、今回の演奏会を通じて、その作風の大きな違いを身をもって感じることができました。
3つのコンサートで聴いた曲を年代順に並び替えるとこんな感じになります。
1910 The Firebird – complete ballet (火の鳥)
1913 The Rite of Spring (春の祭典)
1916 Renard (狐)
1918 The Soldier's Tale(兵士の物語)
1927 Oedipus Rex (エディプス王)
1931 Violin Concerto in D major (ヴァイオリン協奏曲)
1944-48 Mass (ミサ曲)
いわゆる「火の鳥」「春の祭典」は馴染んだ曲で、これぞストラヴィンスキーというべき、変幻自在なリズムや民族調のメロディが織り込まれたりします。一方で、一般に新古典主義期といわれる時期の作品である「エディプス王」や「ミサ曲」に至っては、同じ人が作曲したとは思えないような、正統(?)なクラシック音楽でした。第2次大戦後は更に「セリー主義(十二音技法)時代」と言われるように更に作風が変わるようですが、今回はそこまでは至らず)
演奏としては、初日の「火の鳥」が緊張感、迫力ともに圧倒的だったと思います。前列3番目に座っていたので、全身で音を浴びまくって、しびれました。日曜日に聴いた"Renard"と"The Soldier's Tale"は其々15名、7名の奏者で、LSO室内アンサンブルによる演奏でした。LSOのトップ演奏家による室内楽で、相互の楽器の個性のぶつかり合いが刺激的で楽しめました。
ソリストが入る「狐」や「エディプス王」ではマリンスキー劇場から歌手陣が遠征してました。「エディプス王」のタイトルロールを歌ったSergei Semishkur が、綺麗な伸びのあるテノールで印象的でした。
あと、「兵士の物語」と「エディプス王」でナレーションを勤めたサイモン・キャロウの語りも抑揚が効いた落語のようなリズムで、音楽との相性も全く違和感ないどころかむしろドラマティックに盛り上げて、舞台を楽しませてくれました。
逆に、席が3階席にランクダウンしたせいか、「春の祭典」は期待して出かけた割には、満足感はいまいち。各楽器の有機的なコンビネーションやシナジーが感じられなかった気がします。(でもTimesのレビューでは4つ★でかなり褒めてましたので、私の聴く力不足だったのでしょう)
1週間でこんなにストラヴィンスキーばかりを集中して聞く機会というのは、日本ではなかなか難しいと思うのですが、この1週間で、この作曲家がぐっと身近に感じることができるようになりました。
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
Stravinsky Festival
11 May 2012 / 19:30
Barbican Hall
Stravinsky Mass
Stravinsky Violin Concerto in D major
Stravinsky The Firebird – complete ballet
Valery Gergiev conductor
Leonidas Kavakos violin
Maud Millar soprano
Chloë Treharne mezzo soprano
Alessandro Fisher tenor
Matthew Sandy tenor
Oskar Palmbald bass
London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra
(ヴァイオリン協奏曲のヴァイオリンソロLeonidas Kavakos)
13 May 2012 / 19:30
Barbican Hall
Stravinsky Renard
Stravinsky The Soldier’s Tale
Valery Gergiev conductor
Alexander Timchanko tenor
Dmitry Voropaev tenor
Ilya Bannik bass
Andrey Serov bass
Simon Callow narrator
LSO Chamber Ensemble
(「狐」の歌手陣とLSO室内楽アンサンブル)
15 May 2012 / 19:30
Barbican Hall
Stravinsky The Rite of Spring
Stravinsky Oedipus Rex
Valery Gergiev conductor
Zlata Bulycheva Jocasta
Sergei Semishkur Oedipus
Ilya Bannik Creon
Alexei Tanovitsky Tiresias
Alexander Timchenko Shepherd
Simon Callow narrator
Gentlemen of the London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra
(「エディプス王」の歌手陣)
(オーケストラの全容)
※付録 土曜日のトラファルガー広場公演の開始20分前
ストラヴィンスキーは「カメレオンとあだ名をつけられるほど創作の分野は多岐にわた」り、「作風を次々に変え続けた」(Wiki)と言われていますが、今回の演奏会を通じて、その作風の大きな違いを身をもって感じることができました。
3つのコンサートで聴いた曲を年代順に並び替えるとこんな感じになります。
1910 The Firebird – complete ballet (火の鳥)
1913 The Rite of Spring (春の祭典)
1916 Renard (狐)
1918 The Soldier's Tale(兵士の物語)
1927 Oedipus Rex (エディプス王)
1931 Violin Concerto in D major (ヴァイオリン協奏曲)
1944-48 Mass (ミサ曲)
いわゆる「火の鳥」「春の祭典」は馴染んだ曲で、これぞストラヴィンスキーというべき、変幻自在なリズムや民族調のメロディが織り込まれたりします。一方で、一般に新古典主義期といわれる時期の作品である「エディプス王」や「ミサ曲」に至っては、同じ人が作曲したとは思えないような、正統(?)なクラシック音楽でした。第2次大戦後は更に「セリー主義(十二音技法)時代」と言われるように更に作風が変わるようですが、今回はそこまでは至らず)
演奏としては、初日の「火の鳥」が緊張感、迫力ともに圧倒的だったと思います。前列3番目に座っていたので、全身で音を浴びまくって、しびれました。日曜日に聴いた"Renard"と"The Soldier's Tale"は其々15名、7名の奏者で、LSO室内アンサンブルによる演奏でした。LSOのトップ演奏家による室内楽で、相互の楽器の個性のぶつかり合いが刺激的で楽しめました。
ソリストが入る「狐」や「エディプス王」ではマリンスキー劇場から歌手陣が遠征してました。「エディプス王」のタイトルロールを歌ったSergei Semishkur が、綺麗な伸びのあるテノールで印象的でした。
あと、「兵士の物語」と「エディプス王」でナレーションを勤めたサイモン・キャロウの語りも抑揚が効いた落語のようなリズムで、音楽との相性も全く違和感ないどころかむしろドラマティックに盛り上げて、舞台を楽しませてくれました。
逆に、席が3階席にランクダウンしたせいか、「春の祭典」は期待して出かけた割には、満足感はいまいち。各楽器の有機的なコンビネーションやシナジーが感じられなかった気がします。(でもTimesのレビューでは4つ★でかなり褒めてましたので、私の聴く力不足だったのでしょう)
1週間でこんなにストラヴィンスキーばかりを集中して聞く機会というのは、日本ではなかなか難しいと思うのですが、この1週間で、この作曲家がぐっと身近に感じることができるようになりました。
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
Stravinsky Festival
11 May 2012 / 19:30
Barbican Hall
Stravinsky Mass
Stravinsky Violin Concerto in D major
Stravinsky The Firebird – complete ballet
Valery Gergiev conductor
Leonidas Kavakos violin
Maud Millar soprano
Chloë Treharne mezzo soprano
Alessandro Fisher tenor
Matthew Sandy tenor
Oskar Palmbald bass
London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra
(ヴァイオリン協奏曲のヴァイオリンソロLeonidas Kavakos)
13 May 2012 / 19:30
Barbican Hall
Stravinsky Renard
Stravinsky The Soldier’s Tale
Valery Gergiev conductor
Alexander Timchanko tenor
Dmitry Voropaev tenor
Ilya Bannik bass
Andrey Serov bass
Simon Callow narrator
LSO Chamber Ensemble
(「狐」の歌手陣とLSO室内楽アンサンブル)
15 May 2012 / 19:30
Barbican Hall
Stravinsky The Rite of Spring
Stravinsky Oedipus Rex
Valery Gergiev conductor
Zlata Bulycheva Jocasta
Sergei Semishkur Oedipus
Ilya Bannik Creon
Alexei Tanovitsky Tiresias
Alexander Timchenko Shepherd
Simon Callow narrator
Gentlemen of the London Symphony Chorus
London Symphony Orchestra
(「エディプス王」の歌手陣)
(オーケストラの全容)
※付録 土曜日のトラファルガー広場公演の開始20分前