「本書の目的は、発展著しい情報通信産業を経済学から解き明かしていこうというものである」(はじめに)とある通りだが、残念ながら、目的は未達成に終わったという読後感を持った。
第1章からは3章では其々コンテンツ、ネットワーク、プラットフォームという情報通信の3つのレイヤーを取り上げて経済学の観点から解説し、4章は規制の経済学、終章は政策提言という構成だが、新書という制約からか、どの章も狭く浅くという感じで、消化不良の不満足感が残る。この産業のダイナミックさは、各レイヤーが入り混じってビジネス領域、プレイヤー、技術が常に変化するところにあると思う。この本のアプローチだと、経済学で見るとこの産業のこの部分は、こう分析できますと言っているだけで、産業全体のダイナミックさが描かれていない。今、学者さんに求められるのは、こうした産業のダイナミクスを解き明かすことであって、経済学で説明できるところを絞りこむことではないと思う。分解して分析するというよりも、要素を統合させて全体像を解き明かすことの方が大事だと思う。(まあ、とっても難しいことだとは思うのだが・・・)
内容もさることながら、これは私の感情的なところだが、筆者の上から目線は気になった。筆者は、プロの経済学者として相当の自負心を持っているようだが、読んでいて「学者さんはそんなに偉いんですかねえ~」と感じるほど、節々でプライドが覗く。「平明な言葉で啓蒙書」(p237)を読んでいるような私は、もっと畏まって、ご説を拝聴しなくてはいけないのかもしれない。
第1章からは3章では其々コンテンツ、ネットワーク、プラットフォームという情報通信の3つのレイヤーを取り上げて経済学の観点から解説し、4章は規制の経済学、終章は政策提言という構成だが、新書という制約からか、どの章も狭く浅くという感じで、消化不良の不満足感が残る。この産業のダイナミックさは、各レイヤーが入り混じってビジネス領域、プレイヤー、技術が常に変化するところにあると思う。この本のアプローチだと、経済学で見るとこの産業のこの部分は、こう分析できますと言っているだけで、産業全体のダイナミックさが描かれていない。今、学者さんに求められるのは、こうした産業のダイナミクスを解き明かすことであって、経済学で説明できるところを絞りこむことではないと思う。分解して分析するというよりも、要素を統合させて全体像を解き明かすことの方が大事だと思う。(まあ、とっても難しいことだとは思うのだが・・・)
内容もさることながら、これは私の感情的なところだが、筆者の上から目線は気になった。筆者は、プロの経済学者として相当の自負心を持っているようだが、読んでいて「学者さんはそんなに偉いんですかねえ~」と感じるほど、節々でプライドが覗く。「平明な言葉で啓蒙書」(p237)を読んでいるような私は、もっと畏まって、ご説を拝聴しなくてはいけないのかもしれない。