「ラ・ボエーム」が大好きである。「あの、甘ったるい青春讃歌ね」と言われようとも、好きなものは好きである。「椿姫」と、ヒロインが恋人と居る中で他界するというラストシーンでは似ているが、「椿姫」には何ら感情移入しないが、「ラ・ボエーム」には涙が出る。
「ラ・ボエーム」は、ロイヤルオペラハウスのドル箱なので、これまでも何度もやっていたのだけど、何故か見る機会に恵まれなくて、今回やっと見ることができた。
今回、最も印象的だったのは、セミヨン・ビシュコフの創る音楽。ビシュコフのことは、ロンドンに来て初めて知ったのだけど、こちらでは彼の指揮は何回も聴くことができた。いつも重厚で情熱的な音楽を聴かせてくれる。この日も、下手するとお涙頂戴の感傷音楽になるところを、優美さとドラマティックでうねりのあるスケールの大きなさが並存する素晴らしい音楽を聴かせてくれた。オーケストラにも拍手!
歌手陣は総じて男性陣の方が目立った。とりわけ、ルドルフ役のジョセフ・カレヤのテノールが声の伸びやかさ、優雅さ、声量の大きさで際立っていた。女性陣は悪いとは思わなかったが、もうひとつ印象が弱かった。ミミのカルメン・ジャンナッタージョは可憐な雰囲気がミミにぴったり。でも、歌唱に特徴が無く、主役としてパンチ不足は否めなかった。あと、私的に一番気になる役所であるムゼッタは代役でマドレーヌ・ピラードが演じた。派手な顔立ちで舞台映えし当たり役だったと思った一方で、歌唱も演技もムゼッタらしいはつらつさに欠け、ちょっぴり不満。
プロダクションは私がオペラDVDを初めて買った1982年のロイヤルオペラのラボエームのDVDとまだ同じ。でも、薄暗いパリのアパートの屋根裏部屋の雰囲気や、明るくにぎやかな酒場、粉雪が舞う美しいパリの邸宅前といった舞台は、古典はいつでも普遍というばかりに、美しく、抒情的だった。
好きなオペラをこうやって聴ければ、もうそれだけで満足。とって幸せな気持ちで、劇場を後に出来た。
(Joseph Calleja)
(女性陣は左がMadeleine Pierard、右がCarmen Giannattasio)
(指揮のSemyon Bychkovも入って)
La bohème
Saturday 12 May 2012, 7.30pm
Main Stage
Credits
Director: John Copley
Designs: Julia Trevelyan Oman
Lighting: design John Charlton
Performers
Conductor: Semyon Bychkov
Mimì: Carmen Giannattasio
Rodolfo: Joseph Calleja
Musetta: Madeleine Pierard
Marcello: Fabio Capitanucci
Colline: Yuri Vorobiev
Schaunard: Thomas Oliemans
Benoît: Jeremy White
Alcindoro: Donald Maxwell
Parpignol: Luke Price
Chorus Royal Opera Chorus
Orchestra Orchestra of the Royal Opera House
「ラ・ボエーム」は、ロイヤルオペラハウスのドル箱なので、これまでも何度もやっていたのだけど、何故か見る機会に恵まれなくて、今回やっと見ることができた。
今回、最も印象的だったのは、セミヨン・ビシュコフの創る音楽。ビシュコフのことは、ロンドンに来て初めて知ったのだけど、こちらでは彼の指揮は何回も聴くことができた。いつも重厚で情熱的な音楽を聴かせてくれる。この日も、下手するとお涙頂戴の感傷音楽になるところを、優美さとドラマティックでうねりのあるスケールの大きなさが並存する素晴らしい音楽を聴かせてくれた。オーケストラにも拍手!
歌手陣は総じて男性陣の方が目立った。とりわけ、ルドルフ役のジョセフ・カレヤのテノールが声の伸びやかさ、優雅さ、声量の大きさで際立っていた。女性陣は悪いとは思わなかったが、もうひとつ印象が弱かった。ミミのカルメン・ジャンナッタージョは可憐な雰囲気がミミにぴったり。でも、歌唱に特徴が無く、主役としてパンチ不足は否めなかった。あと、私的に一番気になる役所であるムゼッタは代役でマドレーヌ・ピラードが演じた。派手な顔立ちで舞台映えし当たり役だったと思った一方で、歌唱も演技もムゼッタらしいはつらつさに欠け、ちょっぴり不満。
プロダクションは私がオペラDVDを初めて買った1982年のロイヤルオペラのラボエームのDVDとまだ同じ。でも、薄暗いパリのアパートの屋根裏部屋の雰囲気や、明るくにぎやかな酒場、粉雪が舞う美しいパリの邸宅前といった舞台は、古典はいつでも普遍というばかりに、美しく、抒情的だった。
好きなオペラをこうやって聴ければ、もうそれだけで満足。とって幸せな気持ちで、劇場を後に出来た。
(Joseph Calleja)
(女性陣は左がMadeleine Pierard、右がCarmen Giannattasio)
(指揮のSemyon Bychkovも入って)
La bohème
Saturday 12 May 2012, 7.30pm
Main Stage
Credits
Director: John Copley
Designs: Julia Trevelyan Oman
Lighting: design John Charlton
Performers
Conductor: Semyon Bychkov
Mimì: Carmen Giannattasio
Rodolfo: Joseph Calleja
Musetta: Madeleine Pierard
Marcello: Fabio Capitanucci
Colline: Yuri Vorobiev
Schaunard: Thomas Oliemans
Benoît: Jeremy White
Alcindoro: Donald Maxwell
Parpignol: Luke Price
Chorus Royal Opera Chorus
Orchestra Orchestra of the Royal Opera House