輪廻転生

　Man is mortal.
　人は死ぬべき運命にある。
　当然、かつ普遍的なテーマだが、日常生活で死を意識することはほとんどない。

　子供の頃、その本質は知らずとも、死は幽霊や怪物と同じように、単純に怖かった。
　成長するにつれ、巷の訃報を聞いたり、身近な人間の死を経験すると、死について少なからず意識するようになる。

　しかし、それでもまだ自身の問題としては遠い将来のこととして深く考えることはなかった。
　大病でもしない限り、人間誰しも死を自身のこととして考えることはないだろう。
　前期高齢者のこの歳になり、平均寿命まで12、3年、突然死や癌などのリスクが高まった今でも、自身の死は現実感に乏しい。

　自分が死んだ後も、この世界は存在するのだろうか、自分が見ている世界は自身の意識が作り出した幻影ではないのだろうか。
　そんな考えが浮かぶが、死後のことなど、科学万能の現在でも誰にも分らない。

　だとすれば、自分なりに想像するしかない。
　私の想像では死後の世界は存在する。
　所謂、パラレルワールド説だ。

　肉体が滅びても、意識は存在し、また別の世界の肉体に宿るはずだ。
　輪廻転生というやつだ。

　それを信じて、気楽に生きていくしかない。
　

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