Responseの記事より。
事故やトラブルが相次いだJR北海道の再建などを提言する第三者機関「JR北海道再生推進会議」はこのほど、「JR北海道再生のための提言書」を取りまとめ、JR北海道に提出した。
ローカル線の廃止など「聖域のない検討」を求めている。
この提言書では、「安全を最優先とする経営幹部の意識改革」「安全に対する意識について」「安全に対する対策について」「持続的な経営改革について」と題した4項目で提言を行っている。
このうち「持続的な経営改革について」では、「限られた経営資源をまず安全に集中させ」るべきとし、「利用者の多い路線で輸送サービスレベルの向上を図りつつ、一方で列車の減速や減便を行うといった対応、(大量輸送という)鉄道特性を発揮できない線区の廃止を含めた見直し」を行うことを求めた。
その一方、提言書は「安易な路線の休廃止は進めるべきではない」とし、代替輸送の確保などの配慮も求めた。
JR北海道はこの提言を受け、まず留萌本線の留萌~増毛間を廃止する方向で検討を開始した模様だ。
こうした動きについて北海道の高橋はるみ知事は6月29日、北海道議会で「安易に唐突な廃止はするべきできはない」と答弁している。
■全体の75%は国鉄再建法の存廃基準値下回る
国鉄の経営悪化を受けて1980年に制定された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)は、1日1km平均の通過人員(旅客輸送密度)が4000人未満の路線を「特定地方交通線」と位置づけ、鉄道を廃止してバスに転換するか、第三セクターなど国鉄以外の事業者に引き継がせるものとしていた。
JR北海道が公表している区間別輸送密度(2014年度)によると、同社営業距離の75%にあたる区間が4000人を下回っており、同社の経営を圧迫する要因の一つになっている。
とくに少ない500人未満の区間は、札沼線の北海道医療大学~新十津川間(旅客輸送密度81人)、石勝線夕張支線の新夕張~夕張間(同117人)、留萌本線の深川~増毛間(同142人)、根室本線の滝川~新得間(同277人)と釧路~根室間(同436人)、日高本線の苫小牧~様似間(同298人)、宗谷本線の名寄~稚内間(同405人)、釧網本線東釧路~網走間(同466人)で、全体の36%を占めている。
これらの路線の多くは、国鉄再建法の制定当時から4000人を下回っていたが、同法ではラッシュ時の輸送量が多い路線や、並行道路が未整備の路線、並行道路が積雪で長期間不通になる路線など、バスへの転換が困難な場合は廃止対象から除外すると定めていた。
このため、4000人未満の路線の一部は除外規定を適用する形で存続し、1987年の国鉄分割民営化でも、そのままJR北海道に引き継がれた。
しかし、除外規定によって存続した路線の大半は、沿線の過疎化や道路整備などにより、利用者の減少に歯止めがかかっていない。
留萌本線の場合、1977~1979年度の輸送密度が1618人だったのに対し、2014年度は10分の1以下の142人まで落ち込んでいる。佐藤正樹(キハユニ工房)<了>
この内容を踏まえ、これらの路線には、そう遠くない時期に廃線される可能性が生じてきた。
過疎などの理由で乗客が少なく、採算性も見込めないのだから、廃線(の判断)もやむを得ないと思う。
ただし、代替の方法(バス転換など)を、地域住民や自治体を交えて話し合う必要がある。
少なくても一方的に見捨てるようなことがあってはならない。
加えて、何らかの方法に移行しても、採算性の確保のために、それぞれにおいて何ができるのかを真摯に考え、推進していくことも求められる。
数年前、札幌市内でも、郊外のバス路線の廃止問題があったが、本質的にはほとんど同じである。
やはり、収益性(採算性)なくしては継続していくことはできない。
JR北海道も民間企業(公益企業)なのだから、赤字を延々と垂れ流すことは厳しい。
誰かに責任を転嫁するのではなく、みんなでどうするのかを建設的に話し合い、妥協点を見出すべきだと考える。
鉄道路線を含めて、公共交通は文字通り「公共財」なのだから…。
事故やトラブルが相次いだJR北海道の再建などを提言する第三者機関「JR北海道再生推進会議」はこのほど、「JR北海道再生のための提言書」を取りまとめ、JR北海道に提出した。
ローカル線の廃止など「聖域のない検討」を求めている。
この提言書では、「安全を最優先とする経営幹部の意識改革」「安全に対する意識について」「安全に対する対策について」「持続的な経営改革について」と題した4項目で提言を行っている。
このうち「持続的な経営改革について」では、「限られた経営資源をまず安全に集中させ」るべきとし、「利用者の多い路線で輸送サービスレベルの向上を図りつつ、一方で列車の減速や減便を行うといった対応、(大量輸送という)鉄道特性を発揮できない線区の廃止を含めた見直し」を行うことを求めた。
その一方、提言書は「安易な路線の休廃止は進めるべきではない」とし、代替輸送の確保などの配慮も求めた。
JR北海道はこの提言を受け、まず留萌本線の留萌~増毛間を廃止する方向で検討を開始した模様だ。
こうした動きについて北海道の高橋はるみ知事は6月29日、北海道議会で「安易に唐突な廃止はするべきできはない」と答弁している。
■全体の75%は国鉄再建法の存廃基準値下回る
国鉄の経営悪化を受けて1980年に制定された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)は、1日1km平均の通過人員(旅客輸送密度)が4000人未満の路線を「特定地方交通線」と位置づけ、鉄道を廃止してバスに転換するか、第三セクターなど国鉄以外の事業者に引き継がせるものとしていた。
JR北海道が公表している区間別輸送密度(2014年度)によると、同社営業距離の75%にあたる区間が4000人を下回っており、同社の経営を圧迫する要因の一つになっている。
とくに少ない500人未満の区間は、札沼線の北海道医療大学~新十津川間(旅客輸送密度81人)、石勝線夕張支線の新夕張~夕張間(同117人)、留萌本線の深川~増毛間(同142人)、根室本線の滝川~新得間(同277人)と釧路~根室間(同436人)、日高本線の苫小牧~様似間(同298人)、宗谷本線の名寄~稚内間(同405人)、釧網本線東釧路~網走間(同466人)で、全体の36%を占めている。
これらの路線の多くは、国鉄再建法の制定当時から4000人を下回っていたが、同法ではラッシュ時の輸送量が多い路線や、並行道路が未整備の路線、並行道路が積雪で長期間不通になる路線など、バスへの転換が困難な場合は廃止対象から除外すると定めていた。
このため、4000人未満の路線の一部は除外規定を適用する形で存続し、1987年の国鉄分割民営化でも、そのままJR北海道に引き継がれた。
しかし、除外規定によって存続した路線の大半は、沿線の過疎化や道路整備などにより、利用者の減少に歯止めがかかっていない。
留萌本線の場合、1977~1979年度の輸送密度が1618人だったのに対し、2014年度は10分の1以下の142人まで落ち込んでいる。佐藤正樹(キハユニ工房)<了>
この内容を踏まえ、これらの路線には、そう遠くない時期に廃線される可能性が生じてきた。
過疎などの理由で乗客が少なく、採算性も見込めないのだから、廃線(の判断)もやむを得ないと思う。
ただし、代替の方法(バス転換など)を、地域住民や自治体を交えて話し合う必要がある。
少なくても一方的に見捨てるようなことがあってはならない。
加えて、何らかの方法に移行しても、採算性の確保のために、それぞれにおいて何ができるのかを真摯に考え、推進していくことも求められる。
数年前、札幌市内でも、郊外のバス路線の廃止問題があったが、本質的にはほとんど同じである。
やはり、収益性(採算性)なくしては継続していくことはできない。
JR北海道も民間企業(公益企業)なのだから、赤字を延々と垂れ流すことは厳しい。
誰かに責任を転嫁するのではなく、みんなでどうするのかを建設的に話し合い、妥協点を見出すべきだと考える。
鉄道路線を含めて、公共交通は文字通り「公共財」なのだから…。