かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

10年経てばヒトは本当になかなか死ねなくなるのかも?

2011-08-24 21:52:16 | Weblog
 10年後にはひょっとしたら強毒型インフルエンザもエイズもC型肝炎も怖い病気ではなくなっているかも知れません。そんな研究がアメリカから発表されました。詳しくは例えばナショナルジオグラフィックニュースを見てもらいたいですが、これまでの抗ウイルス剤が、特定のウイルスの特定のタンパク質などを標的にして作用するような、いわば直接攻撃を手段としていたのに対し、今度の抗ウイルス剤は、直接ウイルスを攻撃するのではなく、ウイルスに感染した細胞を見分ける機能と、その細胞ごと殺してしまうことで、ウイルスの増殖を妨害する、という2段構えの構造になっている特徴があります。しかも細胞を殺すのは細胞自身の持つ自殺回路。もともと細胞ががん化した時などに自殺を促すことでガンの拡大を阻止する役割を持つ遺伝的なメカニズムですが、これを動かすことでウイルスに感染した細胞を自殺させ、結果的にウイルスごと滅ぼそう、という作戦です。ウイルスを直接攻撃するタイプは、ウイルスが生き残るために進化してその特徴を変化させてしまうとたちまち効果を失いますが、新しい薬は、ウイルスの探知だけに特化した部分とやっつける部分が別立てになっているために、ウイルスがそれを克服できるように進化するのは大変難しいと考えられます。
 現在のところ、ヒトなどの動物の培養細胞を使ってウイルスを感染させる実験と、マウスによる動物実験でそれぞれ非常に高い効果を上げており、ついでより大型の動物で実験、最終的にはヒトで試して、効果があり、かつ重篤な副作用が出なければ、所定の手続きを経て新しい抗ウイルス薬として認可される事になりそうです。様々な状況を想定した実験や安全性試験などをひと通りこなすのに10年かかるというわけで、まだそんなにかかるのか、と思う反面、10年経てばひょっとしてインフルエンザとかも恐ろしくなくなる世界になるかもしれない、と期待もできます。その恩恵はヒトの病気だけではありません。例えば鳥インフルエンザとか家畜が感染して何十万羽、何十万匹と殺して地面に埋めないといけないウイルス病がありますが、それらにも使えるのならば、あんな無茶苦茶な処理をしなくても済むようになるのです。いろいろな病気が克服された末、最後に人類に立ちはだかるのはウイルスではないか、なんて思っていましたが、この研究が完成したらそれも杞憂に終わるのですね。もう10年後が楽しみです。
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