かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

白熱電球の歴史がついに幕を閉じるのだそうです。でも、うちの中はまだまだ白熱球多いんですけど。

2010-03-17 21:35:41 | Weblog
 このところ、読書が思うように進みません。原因は、お風呂で半身浴している最中に、ほぼ確実に寝てしまうこと。大体入浴後15分位で眠気が生じ、20分経つと、気がつけば意識を失っていることもあり、ほぼ確実に寝てしまいます。半身浴の最中は私に取っては貴重な読書タイムなので、眠らず意識を保つよう心がけてはいるのですが、気がついたら5分10分あっという間に過ぎてしまうため、対処しようがないのです。以前から、少々難しい本を読んでいると眠くなることがありましたが、今はライトノベルでも意識を保つのが難しくなっています。これも、世間からようやく冬らしさがなくなってきて、身体が春眠暁を覚えないためなのか、はたまた花粉症の一症状なのか、このところ気になる疲労蓄積なのか、いまひとつ測りかねているのですが、なんにせよ本を読む時間が削られてしまうのは少し残念です。
 
 さて、そんな眠い目をこすりつつネットニュースを散策していますと、東芝が白熱電球の製造を打ち切った、と言う話を見つけました。何でも経済産業省が省エネや炭酸ガス排出量削減を目的として、家電メーカー各社に2012年を目処に生産を自粛するよう求めていたのに応え、前倒しで作るのを止めるのだとか。120年余に渡って夜の闇を照らしてきた電球がもうすぐ無くなってしまうなんてまさに驚きなのですが、これも時代の趨勢と言うものなのでしょう。気がつけば信号なんかも大抵LEDに置き換わっているみたいですし、メーカーも今後はLED電球に注力するそうですから、そう遠くないうちに我が家の人工光源もあらかたLEDに置き換わっているのかもしれません。
 ただ、白熱球の温かみのある光は好きなので、今でも手元を照らすスタンドは白熱球仕様なのですが、蛍光灯では中々あの感じは出ないので、完全に無くなってしまうとちょっと困るかもしれません。インテリアにはそんな光の質をデザインの一要因として取り入れている物も有るでしょうから、その手のものも、白熱電球が無くなってしまったら困るでしょうね。LEDであの光が出せればいいのですが、幾つかの異なる光波長を発する素子を組み合わせたりしたら、再現できたりするのでしょうか。
 それにしても、白熱電球はこれで寿命を迎えるのでしょうが、蛍光灯はどうなるのでしょうね。オフィスとか街灯とか、白熱電球よりもよほど普及していると思うのですが、これらもいずれLEDに置き換わったりするんでしょうか?

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疲労蓄積? で今ひとつな一日でしたので、表紙でも変えて気分転換です。

2010-03-16 22:40:44 | Weblog
 今日は関東で真夏日になったそうですね。関西は暑いと言うほどには成りませんでしたが、昨夜いつも通り布団と毛布をかぶって寝ておりましたら、途中暑くて目が覚めてしまいました。その後もまんじりともしないまま時々面倒な夢を見て、朝を迎えました。
 面倒な夢、と言うのは、目が覚めてみるともう遅刻寸前、という夢です。布団から這い出して時計を見ると時間がギリギリで、大慌てで着替えて飛び出そうとする、という夢を、1回ならまだしも、午前2時以降、記憶する限り、3回も見てしまいました。それぞれが、見る時計が違っていたり、時間がずれていたりなどで少しずつシチュエーションを変える芸の細かさで、その度に慌てふためくのですから、夢とはいえなんとも疲れる話です。
 寝坊する夢、というのは、疲れが溜まっている状態のとき、見るのだそうです。現実に戻りたくない、もっと寝ていたい、と言うような状況だそうですが、それで慌てふためくと言うのは、ストレスがたまっているからでしょうか。そう言えば今日は何故かやたらとイライラが募っていまして、午後、車で出張した際も、前をノロノロと走る車に閉口し、その車が赤信号になりかけの交差点をノロノロと通過して行って自分のほうが信号に引っかかって停止した時は、思わず怒り心頭に達してハンドルを殴りつけてしまいました。しばらく、交差点の前で無理矢理でも抜いてやればよかった、とプンプンしていたのですが、その直後、自分が何故そこまでイライラしているのか、実に不思議に思い、色々と考えあぐねてしまいました。原因が疲労の蓄積にあるのだとしたら、昨夜の睡眠不足もありますから、とにかく寝るのが一番なのでしょう。

 そんなこんなであんまり今日は快適とは言い難い1日でしたが、気分を一新すべく、ブログのテンプレートを春仕様に変えてみました。さすがにもう凍えるような寒さはないでしょうし。私に取っては、サボテンの植替えをして初めて春を迎える気になるのですが、そのための土も新たに買ってきましたので、近日中に春の出迎え行事を遂行しようと思います。

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大陸からの招かれざる客を敬して遠ざける策はないものでしょうか。

2010-03-15 22:16:15 | Weblog
 このところ、雨が降ると少しほっとするのですが、以前書いた通り、近畿圏のスギ花粉はかなり少なめで推移しており、多分マスクもさほど神経質にならなくても良いのではないか、と思うくらいです。ただ、それでも盛大にくしゃみをしたり目が痒かったりと言う症状は断続的にありますので、少ない花粉だからと油断するわけにも参りません。ただ、最近、実はこの症状は花粉じゃなくて、黄砂の影響なんじゃなかろうか、と思ったりもしております。2月の中頃、目眩やらだるいやら散々だった一時期がありました。花粉のせいだと思い込んでいた頃でしたが、その時期黄砂もそれなりにやってきていたようですし、花粉症を黄砂が悪化させる、と言う話も聞きますから、何か影響が有ったのかも、と思うのも無理からぬ処ではなかろうか、と考えます。まあ、だからといってデータも何も有りませんから、断言できるわけではありません。
 ただ、黄砂へ付着している汚染物質の量が増えてきて、日本海側の農産物などには既に実害が顕在化しているそうですし、なるべくなら接触を避けられるものなら避けた方が良さそうなのも確かなのでしょう。少なくともマスクは必須でしょうし、外出時は帽子もしっかりかぶって、部屋に入るときには外でキッチりはたいてからにするとか、持ち込まないように気を使う点は、花粉も同様でしょう。
 それにしても、黄砂を根本的に何とかする方法は工夫できないものでしょうか。雨以外に頼りにならない、というのも、なんとも心細い限りなのですが、発生源がはるか遠くの砂漠地帯、とあっては、手をこまねいているよりないのでしょうか? 経済性度外視すればなんとかならないものかと思いつつ、「子ども手当」やらなんやらで浪費するお金を黄砂対策研究に集中的に投入するなどして行けば、いずれ想像もしなかったブレイクスルーが実現する芽が出てくるんじゃないか、と思ったりもします。


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自分で自分の脳の状態を計ることができる機械が、近々発売されるのだそうです。

2010-03-14 21:52:01 | Weblog
 昨日は実家に行っており、ブログの更新は連載小説のアップだけにしておきました。この連載、当初から無事続けられるかずっと不安を抱えつつ毎週土曜日を迎えているのですが、ここまでの序盤はまずまずなんとかパスがつながっています。そのおかげか、話の筋立ても朧気ながら見えてきました。ただ、思いついたのはあくまで流れを作る骨格だけで、中盤を構成する血肉というべき各種エピソードはまだまだこれからですので、なるべく盛り上がりをつけられるよう、バラエティー豊かなエピソード作りを心がけないとなりません。それに、どうやって劣勢を跳ね返し、ラストの大逆転に持っていくか。その中身をしっかり考えて、必要な伏線をぼちぼち埋めていかねばならない頃合でもあります。まあ一朝一夕でできるようなものでもありませんので、日々是精進でとにかく考え続けたいと思っています。
 
 とはいえ、そんなに集中力がある方でもないですし、すぐにぐうたら怠ける方が好きな私としては生半なことでは連載完結まではたどり着かないだろうとも思っているのですが、なんと、そんな私のために誂えられたのか、と思ってしまうような装置が、近々市販されるのだそうです。メーカーは東芝。モノは、集中力の高さやリラックスの度合いを脳波から手軽に測定できる装置。発売は5月で価格は2万円前後となる予定だとか。ヘッドホンのような装置を頭に総着すると装置が脳波を読み取り、そのデータをPCに送って専用ソフトで解析し、画面上に表示する、とのことです。脳波の測定と解析が、こんな低価格で一般家庭でもできるようになる、と言うだけで既に画期的な話だと思うのですが、うまく利用の従来から知られている集中力アップやリラックスを促す様々な方法について、自分にとってもっとも適したモノを選んだり組み合わせたり、自分自身の手で色々コーディネート出来そうなのが面白いと思います。そういう自分専用の「やる気促進因子」を幾つか見つけておいて、やらなくちゃいけないのだけれど、どうしてもぐうたらしてやる気がでない時などに使う、というような事も出来たりするんじゃないでしょうか。それくらい別に測定装置を使わなくても、と言う意見もあろうかと思いますが、そういうあやふやな気分の問題が、具体的な数値になって現れることが重要だと私には思えます。なんとなれば、自分には微妙で差が感知出来ないような気分の変化が判別出来たりすれば、なんとなくでも良くなったような気がしてくるでしょうし、そんな錯覚が更に意識の集中を促し、それがまた数値に現れ、と言うようなサイクルが生じて、結果的に短時間で集中力を高めたり、リラックスしたりと言うような事もあるのではないか、と期待するのです。まあ、私としては、そんな実際的なことはさて置いて、自分の脳の状態を自分の手で計ることができる、と言うだけでわくわくしてきます。
 5月の発売が楽しみです。

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02.悪夢の後継者 その2

2010-03-13 11:02:44 | 麗夢小説『夢の匣』
「後継者って……、弥生さんのいもうとぉっ!」
 麗夢は、不審な箱のことも忘れて思わず大声を上げた。
 目の前の少女は、背の高さは麗夢よりも頭ひとつ低い。荒神谷弥生と遜色なく伸びた髪をツインテールで左右に広げ、その中に、小さな顔が収まっている。やや丸い顔のライン、いたずらっぽく閃くメガネ無しの大きな瞳、にこやかな笑みを浮かべる唇、どれも弥生とは似ても似つかないように思える。なのになんとなく全体から既視感を覚えるのは、多分姉よりも明るい豊かな表情が、遺伝的な形質よりも表立って見えるからだろう。その表情の変化を取り去ってみれば、目元や鼻筋に、確かに弥生を彷彿させるものが観察される。
 皐月と名乗った少女は、南麻布女学園の緑の制服を縮小コピーしたような半袖・ミニスカートの衣装でささやかな胸を自信満々に張り出し、そこから健やかに伸びた、子供っぽさの残る細い手足で仁王立ちして言った。
「そうよ。そして彼女たちも」
 皐月は左右に振り返ると、自己紹介して、と促した。すると、纏向静香の役を演じていた少女が、控えめに半歩足を前に出して、麗夢に軽く頭を下げた。
「纏向静香の妹、琴音」
 琴音は、一言小さくつぶやいただけで、後はガラス細工のような透き通った瞳で瞬きもせず見つめてきた。顔立ちは静香そっくりなのに、その無機的な視線には、静香からは決して感じなかった一種異様な冷気をはらむ威圧感を覚える。その冷気がふっと途切れたのは、可愛らしい日本人形のような少女がずいと前に乗り出してきたからだった。
「ボクは、眞脇紫(むらさき)。由香里お姉ちゃんのおとう……」
「いもうと、でしょ!」
「ち、違う! ボクは男なんだから」
「だって女子の制服着てるし」
「ってこれは! 皐月が着ろ着ろってうるさいからでしょ!」
 眞脇由香里をおしとやかにして髪をセミロングに伸ばしたら、こんな感じになるのだろうか。気品すら感じさせるきめ細かい白い肌に整った顔立ちが麗夢にはまぶしい。声も変声期前のせいか、ボーイソプラノよりもまだ一段甲高い様子で、全く男の子の声には聞こえない。その少女、いや少年は、アニメの声優のような声を張り上げ、恥ずかしさに首まで真赤に染めて後ろの皐月に食ってかかった。だが、多分いつものことなのだろう。皐月はニヤニヤしながら適当にあしらっているばかりで、少年の抗議は一向に功を奏していないようだ。
「もういい! だから着るの嫌だったんだ! もう着替えるからね!」
 紫は、麗夢が目の前にいるのも忘れ、憤懣やるかたないという様子で部屋から出て行こうとした。
「もう今更遅いのよ、紫ちゃんはすっかりオンナノコなんだから」
「何をバカ言ってんだ。ボクは女の子じゃない」
「おかしいな、改造は済ませて置いたハズなんだが」
 出入口で反射的に振り返った紫少年の耳に、ぼそっと子供らしからぬ落ち着いた声が届いた。紫はビクっと身をすくませると、その声の主、最後尾で控えていた少女に振り向いた。
「って? ど、どういうコト? ま、まさかボクが寝てる間に……?」
「そう、そのまさかだ。皐月がどうしてもって言うんでな、ちょちょいと」
 少女は、制服の上からラフに白衣を羽織り、顔の前に立てた右手人差し指を軽く左右に振って、紫にウインクした。紫はみるみる顔を青ざめさせると、恐る恐るスカートの腰の部分、へその辺りに手を入れて隙間を作り、慎重にのぞき込んだ。
「そ、そんなバカな……! あ、ぁあーっ! 無い! 無い無い無い! ど、どこにやったんだよ!」
「チャーンと保存液につけて液体窒素に沈めてあるから、心配はいらん」
「ひっ! な、なんてことを! 今すぐ戻して! こんなのやだよぅ!」
「だと、皐月どうするぅ?」
「もう、紫ちゃんはわがままなんだから」
「誰がわがままだァっ!」
「しょーがない。後で直してあげて。その代わりに……」
「……ん? うむ。了解した。早速準備しよう」
 皐月が白衣の少女に耳打ちすると、少女も親指を立てて同意を示す。
「ちょ、ちょっと、他に何やるの? ねえ、ねえってば、教えてよ!」
「心配いらん。全て私に任せておけば大丈夫」
「そうそう、天才生物学者の腕に間違いなんてないの」
 口々に言い募る白衣の少女と皐月に、琴音も静かに2回、コクコクと頷いた。
「そんなの信用出来ないよ!」
「まあそんなことより、お客様を待たせたら悪いわ。自己紹介済ませちゃいましょ」
「おお、そうだったな、紫がつまらぬことでゴネるから、いらぬ時間を取ってしまった」
「つまらないことって……」
 紫少年(暫定的に少女)は、がっくりとうなだれてその場にへたりこんだ。少年が観念したところで、麗夢そっちのけで繰り広げられた寸劇はようやく一幕終えたらしい。白衣の少女が、ちょいとごめんよ、と手刀を切りながら、皐月の前に歩み出た。
「済まない済まない。私だけ自己紹介が遅れて。さて、私の名は斑鳩星夜。日登美ねえの妹だ。よろしく!」
「星夜ちゃんは、生物学の天才なんだよ」
「趣味は改造人間、尊敬する人は死○博士だ。もちろん、死夢羅博士のことではないぞ」
 趣味云々で麗夢は我慢の限界が来たのを自覚したが、後に続いた単語ヘの驚きが、その全てを吹き飛ばした。
「し、死夢羅を知っているの?!」
 少女らへの不審感もさることながら、彼女が死夢羅=ルシフェルを知っていると言うことが麗夢には衝撃であった。一方の皐月は、実に軽い口調で麗夢に答えた。
「とーぜんでしょ! 私たちは原日本人の4人の巫女の後継者。麗夢ちゃんの正体も、夢守の民の末裔のことも、みーんな、知ってるよ」
 絶句する麗夢の様子にひとしきり満足したのか、皐月はまだへたりこんでいる紫を立たせると、改めて麗夢に向き直って胸を張った。
「どう? 麗夢ちゃん。私たちのこと、理解できた?」
 アニメか何かなら、きっとドーンとかバーンとか、花火でも上がって、効果音の一つも鳴り響いた事だろう。麗夢は確かにそんな幻聴を聞いたような気がして、頭が痛くなった。あの姉にしてこの妹達あり、と言うことなのか。死夢羅や自分の正体をも知っている原日本人の後継者が現れたと言うのに、そんな衝撃的な出来事への驚きよりも、今は異様な疲れの方が自覚される。
「……で、その制服は何?」
 とりあえず難しいことを考えるのはやめよう、と、麗夢は頭を抱えつつ、さっきから気になっていたことをまず口にした。とにかく頭を冷やし、状況を整理しないと、とてもついていけない。
 すると皐月は、軽く口を尖らせて麗夢に言った。
「あれ? 随分キホンから聞くのね? まあいいわ。それは私たちが、南麻布学園初等部6年生の生徒だからよ」
「初等部ですって?」
 そんなモノがこの学校に有っただろうか? 
 いや、他にも何か引っかかったような気が……。
 麗夢はもう一度4人を順番に見て、後ろでしょげている少年、いや、今は少女? に視線を止めた。そうだ、彼女は今、南麻布『学園』と言った。ここは『女』学園だ。彼がいるのはそもそもおかしいじゃない。
「……それじゃあもう一つ聞くけど、どうしてそこに彼がいるの? ここは女の子の学校よ。それとも、初等部と言うのだけは共学なの?」
「麗夢ちゃん、紫はオンナノコだってば」
「だから違うって」
 すかさず否定する紫に、ハイハイと手を振ると、皐月は麗夢に問いかけた。
「まあいいわ。それより麗夢ちゃん、いつからここが女の子の学校になったの?」
「え? いつからって、ずっとここは女学園なんじゃ……?」
 言いかけた麗夢の頭が、軽くズキッと痛んだ。何か、無理やり感覚をねじ曲げられたような不快感が、一瞬だけ鋭く走り抜ける。その直後、麗夢は愕然として自分の記憶を疑った。確かにここは高等部だけの「女学園」だったはずだ。それなのに、今、自分の記憶は、ここを共学の小中高一貫教育校として認知している。
 二つの相容れない記憶が麗夢の混乱を一層増した。
 思わず頭をふった麗夢は、今もまだ皐月が大事そうに抱えている綺麗な小箱に気がついた。そうだ。きっとあの箱、あの箱から出ていた煙に、何か秘密があるに違いない。調べないと!
「皐月ちゃん、って言ったわね。ちょっとその箱を見せてもらえるかしら?」
 人数が多くても、そして彼女たちがあのアッパレ4人組の後継者だったとしても、所詮は小学生。体格も小さければ、力も弱いに違いない。麗夢もまたあまり体格に恵まれた方ではないが、聖美神女学園でもやったように、不良女子高生たちとやりあうくらいの体さばきはできる。それからしたら、女子小学生など恐れるに足りない。
 麗夢は無造作に手を伸ばして、皐月の箱を取り上げようとした。すると皐月は、さっと箱を頭上に持ち上げて身を翻すと、仲間の少女たちに呼びかけた。
「それっ! 逃げろ!」
「あぁっ! 待って! 待ってたら! もう! この、待ちなさい!」
「きゃあーっ!」
 蜘蛛の子を散らすように、とはまさにこのことを言うのだろう。少女たちは一斉に部屋から飛び出すと、思い思いの方角に走って逃げた。だが麗夢の狙いはただ一つ、あの箱を持つ荒神谷弥生の妹だけだ。麗夢は大急ぎで部屋から出ると、そのツインテールが跳ね逃げるところを目ざとく見つけ、追跡を開始した。いまここで何が起きているのか、彼女たちは何をしようとしているのか、それを今すぐ確かめないと! 
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時間は異様に早く過ぎて行くような気がするのですが、花粉シーズンはまだ終わらないのでしょうか?

2010-03-12 23:26:51 | Weblog
 なんだかアワアワしている間に3月も1/3が過ぎてしまった、というような感じがします。なんだか、異様に時間の経つのが早い。早すぎる。体内時計か何かがおかしくなっているんじゃないか、と思うほどに、感覚的な時間経過と実際の時の流れが著しい齟齬をきたしているような気がしてなりません。こんな調子だとあっという間に春も夏も秋も越えてまた冬になって一年が通過してしまいそうです。もう少しのんびりと行きたいのですが、もはやそういう感覚は、それこそ無期限でリゾート地にでも行って休暇を満喫でもしない限り手に入らないのでしょうか? まあそんなことをした日には、すぐに飽きてしまうか、ずっとやって二度と日常に復帰できなくなるかのどちらかだとは思うのですが。

 ところで、春の悩みのスギ花粉、なぜか関西だけ異様に少ない様子です。観測結果を見る限り、もうひょっとしてピークを過ぎて終息に向かっているのではないか、というような数字がここ数日並んでいます。寒かった時ならともかく、昨日今日と昼間はかなり温暖だったのに、ほとんど花粉が飛んでいません。それでは、と九州や四国など、こちらより春の訪れが早いはずの地域はどうかと言うと、全く減っておらず、九州など、まさにピークはこれから、と言わぬばかりな数値が並んでいます。中部、関東も少ないとは言えない様子ですし、観測値だけ眺めていると、まるでドーナツのように関西だけ抜けているみたいです。
 とはいえ、僅かな量でも接触すればたちまち発症するのが長年アレルギーを患っている者の宿命というもので、外出にはマスク無しでは到底不可能ですし、目が痒くなるのは相変わらずですし、とにかく早く花粉シーズンは終わって欲しいです。来週の3連休は仕事で神奈川に行かねばならないですし、関東の方も終息してくれたらありがたいのですが、中々そうはいかないものなのでしょうね。


 
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科学技術予算を増やすそうですが、果たして出来るのかどうか、期待しつつ見守りたいです。

2010-03-11 21:40:58 | Weblog
 今日はもう少し天気が良くなって暖かくなるか、と思ったのですが、案外日差しも薄く、上天気、とまでは行きませんでした。そのおかげか花粉もほとんど飛んでないようで過ごしやすいので助かります。ただそれとは別に、そろそろサボテンの植替えを考えないといけないので、これからは天気と気温の移り変わりを今まで以上にしっかり把握していかねばなりません。来週また寒の戻りがある、という週間予報ですが、その冷えもそれほど大したことないのなら、梅も終わり、もう少しで桜もほころぼうかという頃合ですので、早めに植え替えた方がいいですし、ガン! と真冬並みに冷え込むようなら、少し控えなければなりませんし、悩ましい限りです。

 さて、菅直人副総理・財務相が参議院の予算委員会で「科学技術関連は極めて重要な分野と認識している。まさに未来への先行投資として取り組まないといけない。今後の財政出動の重点の一つ」と述べ、2011年度以降、積極的に予算配分していく考えを示したのだそうです。あんなに派手に科学予算をぶった切った末に良く言えるものだ、とか、あんなにバラマキやっててどこにそんなお金が残っているの? とか、色々いいたいことはナキにしもあらずですが、そういうお金が増えてくれるのなら、こちらの仕事としては色々やりやすくなるので、正直助かります。今年など、事業仕分けでバッサリやられたせいで果たして仕事をしていけるのか戦々恐々としておりますし、そんな心配を少しでもしなくていいならありがたい話なのです。
 一方で、事業仕分け第2弾で今公益法人が槍玉に上がっています。非効率で無駄の多いところは改めて頂く必要があると私も思いますが、何でもかんでもスリム化すれば効率的になるというわけでもないでしょうし、それこそちゃんと「仕分け」して、整理して欲しいものだと思います。例えば今回、独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センターというところが仕分け対象になっています。北海道、つくば、和歌山、種子島の4箇所に拠点があり、漢方などの原料になる薬用植物の遺伝資源の収集・保存や、増殖・栽培・育種技術、化学的・生物学的評価技術などを研究・開発する機関です。長年続いた組織である以上、錆び付いたり贅肉のついている部分もあるかもしれませんが、140年近くに渡って蓄積してきた、かけがえのない知識や研究資産、収集してきた様々な薬用植物の遺伝資源を、今、そして未来の世代に伝承し、そこから更に新しい発見と発明を生み出し、わが国民の健康と安寧に寄与するためには、「バッサリ」やっていい機関とは到底思えません。今、我が国の漢方薬も大半は中国からの輸入品ですが、大陸では国内での需要が増大し、我が国への供給が不安定になりつつあるようで、今後、我が国の需要を安定してまかなうためにも、この機関の有する役割は、重大さを増すことはあっても、その逆はありえない話です。
 他にも同じような組織はあることでしょう。官僚の天下りがとりざたされていますが、天下りの問題とその組織の仕事の意義は別問題のはずです。安易に天下り先つぶしや短期的な経済的効率だけを指標に判断してしまって、未来から、「この大馬鹿野郎」と罵られることの無いよう、現政権には慎重かつ想像力と理性をふるって、判断願いたいものです。

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アポロが持ち帰った石にも月の水が存在したそうです。

2010-03-10 22:51:22 | Weblog
 今日は朝のうちはちょっと冷え込み、午前中は比較的暖かで、この分なら過ごしやすい一日になるか、と思っておりましたら、午後になってにわかに天気が急変し、強い北西の風と横殴りのミゾレ混じりの雨が降り、更に雷までガンガン鳴るおまけ付きです。更に、ついさっきまで黒々とした山塊を見せていた葛城・金剛山系の山並みが見る間に暗いグレーの雲に覆われたかと思うと、雲が去った後は真冬でもそう見なかったほどに真っ白に変じるなど、異様に冷たい大荒れの天気になりました。中々本格的な春にはなりませんが、いくらなんでももう少し穏やかに季節の移り変わりがあればいいのに、こう乱高下されては本当に大変です。

 さて、月に水がありそうだ、という問題は既にかなり確度の高い話になってきていますが、40年前、アポロ宇宙船が月から持ち帰った岩石に、実は水が含まれていたことが最近分かったのだそうです。ナショナルジオグラフィックのニュースですが、当時はまだ解析出来なかったものが、最近の分析技術の進歩で、分かるようになったのだそうです。その量は多くて岩石の数千ppmとのこと。月の石は、アポロ計画で大体382kg地球に持ち帰っていますので、仮に水分量が5000ppmだとしたら、ざっと1.9リットルの水が月から地球に持ち帰られたことになります。
 はじめ、この記事を読んでいて、地球に持って帰ってきてから湿気たんではないのか? と疑問を抱いたりもしたのですが、その疑問は、2008年当時の最新技術による解析で月の石から微量の水が検出された時、既に考えられていたのだそうで、今回は更に精度良くその水が地球のものなのか、月の物なのか、を解析できる方法で分析した人のことです。
 まあ残念ながら月基地計画は大幅に後退していつ実現するか判らなくなったので、月に水があるかどうかは個人的にはそれほど重要ではなくなったのですが、わずかでも確かに水があり、その水が利用できる可能性があるなら、そのうち、いつかきっとその水を使って月面基地が営まれ、人類が移住するような時代が訪れるかもしれません。そんな夢を見つつ、せめて更なる研究の深化がもたらされますように、と祈るばかりです。

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健康食品と言われる昆布でも、とりすぎはやっぱりダメみたいです。

2010-03-09 22:09:39 | Weblog
 寒い日が続いてますが、先週の予報よりは随分低温具合も緩和されて、覚悟していたよりは過ごしやすい寒さです。日本海側ではかなりの大雪になっているそうですが、山で囲まれた本県には届かず、ずっと雨が降り続いています。この寒さをしのげば、ようやく本格的な春の訪れとなるのでしょうか。天気次第ではありますが、この週末はサボテンの植替えの好機かもしれません。

 さて、日本食は健康のために良い、とアメリカなどでは結構もてはやされています。私の恩師の教授によると、教授が若い頃アメリカに留学して、そのステイ先のヒトに日本から持参した味噌汁をご馳走したところ、旨いと言って食べていたのに、材料が大豆と聞いた途端そんなモノを食わせるなんて、と怒りだしたそうです。何でも、大豆は家畜の餌で人間の食べるものではない、という話だったとか。そんな半世紀前の状況からは考えられないほど、味噌とか醤油などの和食文化は結構浸透しているみたいです。そんな和食を代表する材料にわかめとか昆布があり、健康食品として認知もされていますが、食べ過ぎると良くない、という話がニュースになっていました。これら海藻類に含まれる微量ミネラルのヨウ素が、過剰摂取になるという話です。今まで、これ以上食べ過ぎると危ないよ、という「耐容上限量」が、成人1日当たり「3000マイクログラム」から「2200マイクログラム」に引き下げられたそうです。昆布1gには千~3000マイクログラム含まれているそうですから、例えばとろろ昆布などをほんのひとつまみ食べると、場合によっては上限を越えます。日本人は平均してヨウ素を1500マイクログラム摂取しておりますが、中には大量摂取しているヒトもいるようで、長期にわたって過剰摂取していると、甲状腺の機能が以上をきたすこともあるのだとか。たまに5000マイクログラム超の摂取は大丈夫だが、その時は数日明けてヨウ素を身体から抜くように、とか、大豆がヨウ素中毒を阻害するので一緒に食べると良い、というような専門家の話もあります。
 まあ普通にみそ汁の具にしたりする分には大丈夫、という話なのでしょう。
 それにしても、どうしてマスコミってこう数字を大きく書きたがるのでしょうね。3000マイクログラムなんて書かなくても、3ミリグラムでいいじゃないですか。文字数も減りますし、わかりやすいと思うのですが。

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「彷徨える艦隊」、とりあえず1-4巻を読みました。

2010-03-08 20:39:32 | アニメ特撮
 さ、寒い……。
 気温自体は、ついこの間のことを思えばさ程下がっているわけではないのですが、ここ数日の高温に身体がすっかり慣れてしまったようで、僅かな気温低下が真冬の厳寒期のようにこたえます。明日以降更に気温が低下、雨風も増して体感気温は更に急降下する予定だそうですから、本当に風邪などひかぬように注意しなければなりません。と言いつつ、既に昨日から喉の調子がおかしく、いがらっぽくて難儀しているのですが。もうすぐ春がやってくるというのに、ここまで来て寝込んだりしては情けない限りです。なんとしても持ち直してつつがなく春を迎えないと!
 こんな寒い日は、暖かい布団にもぐりこんで、本でも読んでいるのが幸せというものです。この間衝動買いした本のうち、1冊、というか1シリーズの感想を書いておきましょう。
本は、ハヤカワSF文庫「彷徨える艦隊」シリーズです。全6巻の予定で、現在5巻まで発刊されており、うち4巻を読み終えました。お話は、かなり未来の話。銀河を二分する2つの国家が、100年かけて宇宙戦争に明け暮れる日々、その戦争勃発当時、相手の奇襲攻撃を犠牲的精神で単身食い止めた1軍人が、脱出時の救命ポッドの故障で冷凍睡眠から目覚めること無く宇宙を漂い、たまたま通りかかった味方艦隊に回収・覚醒させられたところから話が始まります。軍人の名は、ジョン・ギアリー。100年前の英雄的行為から、ブラックジャック・ギアリーの令名をもつ伝説的偉人として、敵地深く侵攻した末窮地に陥った味方艦隊を救うため、獅子奮迅の活躍をする、というお話です。銀英伝とスタートレックを混ぜたようなお話、と私には感じましたが、色々と細かい設定が妙にリアルに作りこまれて、他の作品とは一線を画しています。たとえば、宇宙戦艦などの船は、光速の20%程度が最高速度で、通信や観測は光速を超える事がありません。敵が2光時離れていると、今、見えている敵の陣容や動きは2時間前の出来事で、現時点で敵が何をしているかは、2時間後でないと分からない、という話になっています。また、2光時離れていると、互いに全速力で接近したとして、会敵は5時間後になる、という具合です。通信も光速が限度なので、艦隊が広がってしまうと端の船に連絡をとるのに数分かかるタイムラグが生じたりします。では、どうやって銀河を渡っていくのかと言うと二つの方法があり、一つは、昔ながらの星系間を超空間移動するジャンプ航法、もうひとつは新しい技術ハイパーゲートを使う超長距離移動です。ハイパーゲートはワープよろしくかなり短時間に遠大な距離を移動出来ますが、ジャンプ航法は光よりは早いものの、星系間移動は数日がかりになる、という違いがあります。
 まあそんなこんなで、英雄視されるのを嫌いつつも、艦隊を遥かかなたの味方の元まで無事帰りつかせるべく、100年前の今は失われた戦闘術で敵を翻弄しながら艦隊決戦を戦い抜く、というお話には、中々血沸き肉踊るモノがあります。
 銀英伝との違いは、艦隊規模が2桁ほど小さいことと、戦闘艦の艦長にやたら女性が多いこと。また、戦闘機に該当する小型のものは存在せず、あくまで駆逐艦以上の艦艇で戦うところでしょうか。他にも色々あると思いますが、女性士官や旗艦に同乗する女性政治家との恋の鞘当てなどはいかにもアメリカドラマ的な要素に満ちておりますし、敵側が、特に前半はあまり詳細に描かれておらず、とにかく残虐で単純で稚拙な戦術で好敵手と言えるような者が出てこない事など、銀英伝の宇宙戦闘に慣れきっていると、ちょっと味気なさを覚えないでもないです。それに結構重要人物が簡単に戦死しますし、船も次々沈んでいきます。
 まあ、後2冊、いよいよ本拠地が近づきクライマックスを迎えようというところです。ここでひとひねり、ふたひねりあれば屈指の宇宙戦争小説になりそうな気がするので、大いに期待しているところです。


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ランキングって面白いですが、大分メディアに毒されて偏向しているようにも感じます。

2010-03-07 21:54:12 | Weblog
 昨日は所要があって更新できるかどうか判らなかったため、昼の間に連載小説だけアップしておきました。案の定更新出来なかったので、ほっと胸を撫でおろしています。
 小説の方も、3回目で今回の敵が名乗りを上げ、序盤のクライマックスを迎えつつあります。とはいえ、今のところこの後どう続けたものか、迷っているところや考えついていないところばかりで、正直次週の更新が上手く行くか不安で一杯です。多分、お話作りが軌道に乗るのは4月以降、ひょっとしたらGW頃になるかもしれないです。それまでは、アップアップしながらともかくも1行でも一文字でも先に進められるよう、日々研鑽努力を積み重ねるより無いようです。

 さて、本ブログの元でもあるgooにgooランキングというサービスが有って、ときおり面白いものがあったりするので、時々のぞくようにしています。
 今日は、『一人暮らしの男性の部屋にあると引いてしまうものランキング』、というものがあったので、観てみました。
順番をざっと並べると、

1 萌え系アニメのグッズ、DVD
2 アイドルのポスター
3 猫耳・うさぎ耳
4 レースや花柄のインテリアグッズ
5 ビーズ・編み物セット
6 人形(日本人形・西洋人形)
7 写真立てに飾った自分の写真
8 女性向け雑誌
9 子ども向けアニメのグッズ、DVD
10大きなぬいぐるみ

 なのだそうです。
 まあ私自身は今更一人暮らしでも無いのではありますが、かつて、自分が一人暮らしだった頃に該当したものが何かあるかと思ったのですが、幸か不幸か一つもありませんでした。まあ当時はまだ「萌え系」アニメとか猫耳なんてありませんでしたし、私個人がアイドルには昔も今も興味がなく、人形とか飾る趣味も無いですし、写真は好きでしたがもっぱら撮る方で、自分の写っている写真、というのが極少なかったりします。また、職場で接する若者達には、実際に見たわけではないのですが、余りこういう類のものを部屋に置いているヒトは少ないように感じます。これは、本人がそういう性癖を隠している、というのではなくて、職場においては私の趣味や「お仕事」については公開しているため、もしその種の趣味を持っているヒトがいるならば、私にその話題を振ってこないはずがないのです。
 どうもこのランキングは、マスコミ等で伝えられる虚像が一人歩きしている感があるようです。そりゃ中には部屋中「萌え系アニメのグッズ、DVD」で埋め尽くされているヒトもいるでしょうし、ドルフィーやフィギュアがところ狭しと飾られている部屋もあるのでしょうが、全国の一人暮らしの総数からしたら、非常に限られた少数に過ぎないのではないでしょうか。そしてそういう猛者達は、一般人から引かれようと何ら痛痒を感じることもないでしょう。考えてみれば、この結果を元に『アニメグッズはしまっておくのが無難』などとのたまわれるのは、「大きなお世話」としか言えないような気がします。

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02.悪夢の後継者 その1

2010-03-06 10:50:34 | 麗夢小説『夢の匣』
 『む、無念……。麗夢……ど……の……』
 ガタン! と突然の大音響に、麗夢は飛び上がらんばかりに顔を上げた。
 いつの間にか居眠りをしてしまっていたらしい。
 振り向くと、壁に立てかけていた錫杖が倒れ、床に転がっている。あの、夢の剣でさえ歯が立たなかった斑鳩日登美のパワードプロテクターを一撃で粉砕した、円光渾身の業物である。
 麗夢は椅子から立ち上がり、錫杖を拾い上げて立て直した。
 さっき、円光の声が聞こえたような気がして、改めて耳を済ましてみる。しかし、麗夢の耳に入るのは、遠くの梢でさえずる小鳥の歌のように、初夏の微風に乗って窓越しにささやいてくる、学園のそこここで奏でられる明るい歓声ばかりであった。
 麗夢は、気のせいだったか、と小さく欠伸をしながら、さっきまで座っていた椅子に座り直した。
 ほんの数日前まで、学園でも1,2を争ったに違いないにぎやかさを誇った部室は、ただ空ろな空気に支配されていた。明るい光と明るい声、それに涼やかで暖かな初夏の空気が外からふんだんに流れ込んできているのに、その全てのエネルギーがそのままどこか別の次元に吸い出されているかのようだ。
 麗夢は、軽く汗ばむほどの気温とは裏腹に、むき出しの腕へ鳥肌を立てた。そっと自分をかい抱くように、胸の前で腕を交差する。
 死んだわけではない、とは判っていても、彼女たちの現実世界への帰還は、絶望的なまでにありえない。
 荒神谷弥生、纏向静香、眞脇由香里、斑鳩日登美。
 麗夢の同級生にして原日本人の4人の巫女達は、学園地下の洞窟で、彼女らが信奉する闇の皇帝とともにいずくとも知れぬ異次元へ封じ込められた。
 ついこの間のことだったのに、既に記憶ははるか昔の事だったかのようにさえ感じられる。いや、ひょっとしたら、と麗夢は思い直した。ずっとずっと以前、まだ原日本人が大勢いて、夢守の民も一緒に暮らしていた遥かな古代。その時にも、今回の事件と同じようなことがあったのかもしれない。麗夢の前世と彼女らの前世で、同じような邂逅と別れを経験していたのかもしれない……。
 しかし、結局は判り合い、助け合うことはできなかった。
 いかなる理由があろうとも、麗夢には、原日本人の恨みと願いを断ち切れなかった彼女らの暴走を許す訳にはいかなかったのだ。たとえ今、耐え難いほどの喪失感に苛まれていても、夢守の民の末裔として、麗しき夢を守る使命を帯びた自分には、他に採りうる選択肢は無い。
 頭では理解できるそのことが、理解できるがゆえに虚しく、うそ臭くさえ感じられる。
 こうして人気の無い古代史研究部=古代民族体系保存会=ESP研究会=戦略兵器研究会、の部室に一人たたずんでいると、ひょっとして、間違っていたのは自分の方だったのではないか、という錯覚すら起こしそうで、麗夢は思わず頭を振った。
 いつまでも落ち込んでいてもしょうがない。地下洞窟に何か気になることがある、と言った円光、そしてそれについていった鬼童、榊の一行が戻ってくれば、麗夢もこの学園での潜入捜査を終了する。青山42番地のぼろアパートに戻り、偽りの学生生活から、いつもの探偵稼業へ帰ることになるのだ。アルファ、ベータも待っているし、一刻も早く帰りたいと思う反面、なんとなく名残惜しさも覚えて、結局は部室でまた椅子に座り、頬杖を突く麗夢であった。
 しかし、実のところ、こうして改めて部室をなにげに見回してみても、4人の痕跡は全く残っていない。
 女子高生4人が忽然と消えたりしたらそれこそ大騒ぎになっても不思議ではなかったはずなのに、闇の皇帝を呑み込んだ結界のためか、はたまたあの4人が何らかの手を打っていたのか、学園には、麗夢をのぞいて、4人の存在を知るものは一人も残っていなかった。麗夢自身当ってみたわけではないが、鬼童によると学校の名簿を初めとする公式な記録にも、「あっぱれ4人組」の事は何一つ残っていないというのである。
 そもそも麗夢がいるこの部室自体、麗々しく入り口に掲げられていた古代史研究部=以下略、の看板が無くなっている。部屋は以前から物置場でした、と言われたら疑いも無く頷いてしまいそうなほどに、雑然と埃を被った机と椅子があるだけで、他はがらんとしている。
 麗夢を戦慄させ眞脇由香里を苦しめた「古代民族体型保存ギブス」や、闇の皇帝の脅威を解析し記録していた松尾亨のパソコン、斑鳩日登美が吹き飛ばしたアブナイ実験室のドアまでもが、きれいさっぱり跡形も無く消え、ただの空き室になっていたのだ。まるで、この間の喧騒と恐怖が文字通りの夢であったかのように、その足跡はどこにも残っていない。でも、たとえ覚えているのが自分だけだったとしても、私だけは絶対忘れないでいよう、と麗夢は思った。それは、彼女らの夢と未来を封印した自分の義務であり、今を生きる夢守の民としての責務なのだ。麗夢は軽く目を瞑った。今でもまるですぐ側にいるかのように、明るく元気良い彼女達の声が脳裏に浮かぶ。そう、まるで聞こえているかのように……?
「麗夢ちゃん!」
「どうしたの? こんなところで一人たたずんで」
「ひょっとして、『いいヒト』でも思い出していたのな?」
「ま、なんてふしだらな!」
「あーん、あたしのこと思い浮かべてくれなくちゃいやぁん」
「あ、あなた達、一体どうして……」
 振り返った麗夢が絶句するうちに、南麻布女学園の緑の制服を身にまとった4人の少女達が、入り口にたたずんでいる。
 満面の笑みで手を振る眞脇由香里。
 じっと裏を探るかのように見つめる斑鳩日登美。
 眉をひそめてずれた眼鏡を直す荒神谷弥生。
 そして、いたずらっぽく唇を突き出す纏向静香……。
 背中に冷たい汗が流れ、麗夢は思わず身震いした。
 ありえない。
 彼女達が現世に蘇るなど、どう考えてもありえない。
 鬼童が持参した「思念波砲」で構築したあの結界は、麗夢と円光の二人の死力を振り絞って作り出した白の想念の結晶だ。原日本人の末裔として、現日本人への復讐に燃える黒の想念に囚われた彼女達に破れる代物ではない。もし、万が一にも彼女達がその奇跡を実現して蘇ったのだとしたら、闇の皇帝だって黙って封印されたままではすまないだろう。だが、彼女たち4人は、そんな麗夢の懸念などまるで眼中に無いかのように、朗らかに部屋に入ってきた。
「何がどうして? なの?」
「まるで幽霊でも見たみたいだけど」
「しっかりなさい。麗夢さん」
「寒いんなら暖めてあげちゃおうかな?」
 手を広げて今にも抱きついてきそうな纏向静香に、麗夢は思わず立ち上がった。
「だ、だってあなた達は……?」
 動転していた麗夢の胸に、何か言い知れぬ違和感がよぎった。
 何かおかしい。
 麗夢は、部屋の奥に後ずさりながらその違和感の正体を探り、ようやくその正体に気がついた。
 夢の気配だ。
 衝撃的なその姿に翻弄され、直ちに気づくことができなかったが、落ち着いて意識を集中すれば、肌に慣れた独特の感じが濃厚に当りを支配しているのが判る。
 麗夢は油断無く4人をにらみ据えると、鋭く一言、言い放った。
「あなた達、誰なの?!」
「誰って、麗夢ちゃん大丈夫ぅ?」
「おいおい、ほんのちょっといなかっただけで忘れるなんて、私達ってそんなに印象薄い?」
「しっかりしてよ麗夢ちゃん」
「違うわ!」
 口々に呼びかけてくる4人の少女の口を、麗夢の叫びが縫いとめた。先頭を切って近づこうとした纏向静香が、突然凍りついたかのようにその場に立ち止まり、荒神谷弥生以下の3名も、それぞれ笑顔を凍りつかせて麗夢を凝視する。
「さあ、正体を明かしなさい! こんな無神経ないたずらをするのは誰なの?!」
 すると、固まっていた4人の体がぶるぶると震え出し、やがて、こらえきれぬとばかりにおなかを抱え、背中を丸めて、絞り出すように笑い始めた。
「さ、さすが夢守の民の末裔さんね、初めの驚いた顔はすっごく面白かったけど、やっぱり引っかかんなかったか」
 ひぃひぃ笑い声を引きつらせながら、荒神谷弥生がようやく体を伸ばし、麗夢を見た。それに習うように他の3人も顔を上げた。
「じゃあ、自己紹介しましょう」
 荒神谷弥生が、軽く会釈した。
 いつの間に手にしたのか、裁縫箱のような錦の模様もあでやかな箱を抱えている。どうやら、濃厚な夢の気配はその箱から漏れ出ているようだ。
「何なのその箱は?」
 麗夢がそのことを問いかけようとしたその時だった。荒神谷弥生が箱に手をかけ、ずらすように上ふたを外した。とたんに舞台演出用のドライアイスのように、真っ白な煙がもうもうと箱から流れ出し、4人の姿を覆い隠した。ほのかに梅か桃の花のような甘い香りが鼻を突く。とっさに口元を覆った麗夢は、次の瞬間には、あっと驚いて立ち尽くした。あれほど濃厚に辺りに充満した白い煙が、瞬きする間もなく一瞬で消え去ったからである。そして、荒神谷弥生達が立っていた場所には、見慣れぬ4人の小さな女の子が、ほぼ同じ姿勢のまま立っていた。まるで高校生の4人をそのまま縮小コピーしたようなその姿に、麗夢は唖然として見つめるばかりだった。
「初めまして、麗夢ちゃん。私は、荒神谷皐月。弥生お姉ちゃんの妹にして、原日本人4人の巫女の後継者だよ」
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五輪憲章墨守のネタとしては、ちょっと方向が違うように思います。

2010-03-05 22:46:04 | Weblog
 まことに不思議なことに、今日は、昨夜半の大雨がうるさくてかなり寝不足だったにもかかわらず、この数日間あれほど悩まされていためまいが、ほとんど感じられないまま一日が過ぎて行きました。雨の後の暖かな一日だったのに、花粉がほとんど飛んでいない、という不思議な日でもありましたが、そのためなのでしょうか。あるいは、ぜんぜん違う理由で回復したように見えるだけなのか、訳が判らなくなっています。単に金曜日で明日から休みだから、という理由だったりしたら、また日曜の笑点の時間くらいにはぶり返したりするのかもしれません。もしそうなら原因は心因性のものですね(笑)。

 さて、 バンクーバー五輪女子フィギュア金メダリストキム・ヨナ選手が『五輪憲章』違反でメダル剥奪だ、とする話がネット上で喧しくなってきているそうな。キム選手が競技や表彰式で耳に付けていた王冠型のアクセサリーが、CM出演しているジュエリーブランドの製品であることを、その会社の担当者がテレビで堂々披露していた、ということだそうです。五輪憲章はいかなる広告・宣伝活動も禁止することが明記されていますので、そのまま読めば確かに違反だと言えそうな気がしますが、どうもなんとなく声高に違反を叫ぶのも違和感を覚えないでもありません。少なくとも金メダルを得た演技は、その配点には多々疑問があるにしても、まず文句のつけようの無い出来栄えでしたし、演技中、そのアクセサリーがこの会社の商品であり、それが憲章の禁止する宣伝行為になっている、と気づいたヒトがいたのかは疑問でないでしょうか。誰にも宣伝と気付かれないCMというのも同かと思いますので、個人的にはそう目くじら立てるほどのものでもないだろう、という感じがします。金メダルの後でその企業が商魂たくましく披露していた、というのは、ムードブチ壊しであまり気持ちの良い光景ではありませんが、スポーツウェアなどでメーカーが大会後に宣伝される例もあるんじゃないかと思いますし、選手自体がメダリストとしてCMに起用されたりもするわけですから、演技を見ていて、「あのCMに出てた〇〇」なんて言うような見方をする場合もあるでしょうし、そもそもプロの選手が出てくることもあるわけで、五輪憲章の厳密な適用は、今の商業化された五輪では結構難しい話になるんじゃないかというようにも思われます。
 これを契機に、五輪の商業主義を批判するとか、安易に宣伝に走る企業をたしなめる、というのならまだ理解できるのですが、この件に関しては、せいぜい言ってキム選手や韓国の関係者に厳重注意、位が関の山ではなかろうかと私には思えます。そんなことで金に繰り上げられても、浅田選手も喜ばないと思いますし。

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さて困りました。もしかして、花粉症とは無関係のところで、どっか悪かったりして??

2010-03-04 20:03:09 | Weblog
 今朝、通勤途上で信じられないミスをやらかしました。いつも通る道をいつものように走っていた積りだったのに、気がつくと全然知らない道を走っていたのです。途中、離合の難しい細い道があって、そこまでの記憶は確かにあるのですが、そこから広い道に出た後の記憶が飛んでいるのです。仕方が無いのでしばらく走っておりましたら、数分でよく見知った道に出ました。10ン年前にバイクで通っていた道で、車なら、対向車が来たら10mはバックすることを覚悟しないといけない離合場所の少ない狭苦しい道なのですが、今更逆戻りしたり、はたまたそこから更に迂回して国道筋まで出ていたりしたら到底始業時間に間に合いません。省が無いので意を決してその道に進入し、10分あまりウネウネクネクネと軽自動車でもほとんど余裕がないところをウナギが這うように走って、なんとか無事通り抜けることが出来ました。
 いつもの道は、そのはるか手前の交差点で左に折れないといけません。大体私が通る時刻に、どこかの学校の送迎バスがその道から出てくるので注意しているのですが、記憶を辿ってみると、交差点の手前でバスに注意しないと、と考えていたことは思い出しました。しかし、交差点そのものや信号を見た記憶はどうしても出てきません。多分、差し掛かった交差点の信号がたまたま青で、前走車がブレーキを踏むこと無くそのまますっと直進したので、私も漫然と気ついて行ってしまったんだと思います。ただ、別に考え事をしていたわけでもないので、意識レベルが相当下がっていたのかもしれません。我ながら、運転するのがちょっと怖くなってきました。
 流石にこれはヤバい、と思ったもので、まさか若年性アルツハイマーとかだったりするのではなかろうか? と職場についてからネットを検索して見たのですが、結局心配なら医者に行け、という以上の事は情報としてはありませんでした。まあ考えてみたら無闇に無責任なことも書けないですからそれも当然ではありますが、医者に行く行かないはともかくとして、うちのような田舎に信頼のおけるその筋の専門家が果たしているものなのか、まずはそこから調べてみないとなりません。こちらに越してきてからずっとお世話になっていたかかりつけのお医者が、去年寄る年波には勝てず医院を閉めてしまったので、今、こういう時に気軽に相談できないのが痛いです。

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プロにはプロの業があるんだな、と思う一冊でした。

2010-03-03 21:52:03 | Weblog
 昨日とはうって変わって、穏やかな一日でした。目まいは相変わらずですが、ネットで眩暈を軽減するツボを検索し、頭のてっぺんやら耳の後ろやら手の平の真ん中やらを押したりモンだりしているうちにいくらかマシになってきて、なんとか無事一日過ごすことが出来ました。もっとも、今度は前々から少し気になっていた目のしょぼしょぼ感が一段と強くなってきて、じっと目を開けているのが非常に辛くなり、意識して普段の倍位瞬きするなどしてどうにかこうにか一日やり過ごしました。花粉症の一症状なのか、はたまたドライアイにでもなっているのか、判断に苦しみますが、あんまり続くようなら、日常生活にも支障をきたすので医者に行こうかと思っています。現に今ブログを打ち込んでいるのも目をつむってブラインドタッチであらかた打ち込んでは目を開いて誤変換を修正する、なんて事をしていますし。
 その一方で、連載小説も途切れないように、と、時間を工面して毎日少しずつ書き溜めています。せいぜい四〇〇字書いているかどうか、位なのですが、以前コミケを控え小説を書いていた時も、しょっぱなはそんな調子で慣れてきたところでぐんとスピードアップしましたし、今回も、多分そんな調子になるんじゃなかろうか、と期待しています。ただ、物語の先行きが自分でも全くまだつかめていないので、果たしてこんな調子で書き続けることができるのか、甚だ不安にもなります。
 そんなおり、森博嗣と土屋賢二の対談エッセイ「人間は考えるFになる」を読んでいるのですが、その中に、森博嗣がプロットも余り考えず、ワープロで文章を打ちながら考える、という書き方をしている、と書いてあって、自分には到底出来そうにないな、と思いました。森博嗣は一冊の本を1,2週間で書き上げてしまう健筆家ですが、この本によると一時間に文字だけで六千字打ち込むのだそうです。私ですと、このブログ約千字書くのに、早い時で20分弱、時間のかかる時で30分少しくらいですから、森博嗣は小説で私の2倍から3倍くらい早い訳です。小説でもざっと12万字のやつを一ヶ月で書いたのが一番早かった時ですが、書いている時間は平日と休日を平均したら大体1日2時間くらいになるんじゃないか、と思いますので、時間平均2千字ということになります。まあプロの作家とスピード競争しても何の意味も無いのでこれはこれで良しとして、どうしてそんな私からしたら行き当たりばったりとしか見えない書き方であんなにキッチり文章を書けるのか、それが一番不思議で理解できるものなら理解して自分もできるようになりたい、と思うところです。それについて森博嗣曰く、行き詰まったら場面転換、会話主体でどんどん進める、という事なのだそうです。そう簡単に応用できるものではない、と思いつつも、なんとなく、ああ、なるほどな、と納得する部分もまたありました。今書いているやつがもし行き詰まるような事になりそうだったら、この森博嗣の言葉を思い出し、一度試してみようと思っています。まあ、そんな状況に陥るのが怖いから、プロットを練ってお話しの設計図を描くのに血道を上げているんですけどね。

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