香川県議会で、18歳以下のインターネットやゲームの使用について使用制限を含む条例を、この2月から3月の定例会での制定に向けて動いていることが話題になっています。
■「ゲームは1日60分」香川県議会が全国初の規制条例制定へ 反発も相次ぐ ~ デジタル毎日より
ゲーム依存という社会課題があることは事実ですし、インターネットと子どもたちとの関係の間に課題もあるとは思います。それらの課題をどう解決するのかという点は、考える部分が多いと思います。ただ、リンク先記事にある「家庭内の問題」や「子供の人権を侵害する」といった意見について、自分ごととして考えることが必要と思いますし、高校生が約600人分の署名を集めて議会事務局に提出したという動きも重要な部分と思います。
今回のブログでは、この条例の是非について考えるわけではありません。ときどき「3ない」議会という言葉が挙がり、その中に「議員提案の政策条例の制定がない」があるのですが、そのことを考えたいと思います。
自分自身では、市民の立場として「鈴鹿市しあわせ環境基本条例」の素案策定の市民委員、議員の立場として鈴鹿市議会での「鈴鹿市地産地消推進条例」と「鈴鹿市議会基本条例」の制定と、条例づくりに関わっています。3期目から続いて、今期は「子ども条例、子どもの権利に関する条例」の制定を念頭に、いろいろな研修や視察を行いながら、あらためて条例制定について考えました。
条例について、制定することによって行政や議会の行動が担保されることは、時の首長や議会の構成に関わらず、まちの政策の方向性を継続的にするために重要だと思います。一方で、本当は条例があるかないかに関わらず、まちの行動規範として住民の方々に共有されていて、自然と行動や選択が行われていることが一番良いわけです。そう考えると、条例を制定して外発的にでも行動につなげるということもあるでしょうが、条例を策定することも含め、関わる人たちの内発的な動機付けを強くする過程が必要だと思います。
そこで考えたことは、議会での条例制定について、これまで以上に丁寧でかつ慎重になるほうが良いということです。
理由の一つとして、議決権の中に条例の制定と改廃があるとはいっても、直接請求権として有権者の50分の1以上の署名で条例の制定と改廃の請求を議会に行えますから、本当に条例が必要なのかどうかは、住民の皆さんの意志を最大限に尊重すべきですし、意志形成と意思決定の過程での住民参画を確保することが、議会提案の条例においては必要だと考えるからです。どこまで住民参画機会と議論を行うのか、応分の覚悟が必要ではないでしょうか。
そこに加えて、憲法や地方自治法でも保障されている請願権については、国籍を問わず未成年者にも請願や陳情を行うことができるとなっていますから、条例の内容によっては、意見を聴く層を広げることが、議事機関としての議会には求められるでしょう。また、条例はそのまちの法律であることを考えると、当事者となる主体は「住民」、「行政」、「議会」の三者ですから、それぞれに権利と責務があると考えるべきで、自分たちの行動を自分たちで規定する場合も含めて、議員も覚悟が必要になると思います。
そのようなことに配慮しなければ、議会の持つ条例の制定と改廃の権利は、誰かを傷つける暴力にもなりかねないことを肝に銘じなければいけないと思います。また、誰かの自己顕示のために制定するものでもないと思います。
議員の賛否を公開せず、修正・否決した首長提案議案も、議員提案の政策条例の制定もない「3ない」議会「ゲームは1日60分」香川県議会が全国初の規制条例制定へ 反発も相次ぐ
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