ある演奏会で受け取ったチラシに「藝大~現代音楽の夕べ」があった。演奏曲目の一つに廣瀬量平のチェロ協奏曲「悲(トリステ)」を見つけた。懐かしかった。そういえば最近この作曲家の作品を聴く機会がなかった。これはぜひ聴かなければ――。
指揮は湯浅卓雄。海外での活動が長く、多数のCDを発表している。その何枚かは聴いたことがある。また在京のオーケストラを振るのも聴いたことがある。手腕のたしかさは折り紙つきだ。現在は藝大の演奏藝術センター教授とのこと。
演奏は藝大フィルハーモニア(東京藝術大学管弦楽研究部)。藝大の教官および非常勤講師で構成されている。プロのオーケストラで年2回の定期公演をしている。残念ながら定期を聴いたことはないが、CDでそのレベルの高さは承知している。昔のパリ音楽院管弦楽団に似た組織という説明をどこかで読んだことがある。一度は生で聴いてみたいと思っていたオーケストラだ。
さて、前置きが長くなったが、当日の演奏会の模様を。1曲目の坂田拓也「13人の奏者と弦楽合奏のための音楽」と2曲目の平川加恵「紅射す雨は萌黄色に~ピアノとオーケストラのための~」(ピアノ:中桐望)は、ともに大学院の作曲専攻課程で創作された作品とのこと。
将来ある若者の作品を聴くことは楽しかった。一言だけ感想を記すと、坂田作品は肩に力が入った作品。意欲が先行している感がなきにしもあらず。一方、平川作品は世間とのコミュニケーションをどうとるかを心得ている観がある。二人の個性のちがいだろうが、一般的にいっても、この年代の男女のちがいに通じるものがあるように感じられた。
休憩をはさんで3曲目は鈴木純明(すずきじゅんめい)准教授の「ラ・ロマネスカ2―ペトルッチの遍歴~管弦楽のための~」(注:「2」は正しくはローマ数字大文字だが、このブログでは変換できないので、「2」と表記)。
冒頭に鄙びたルネサンス時代の旋律が引用され、以下、現代的な音響ながらも、明るい音色が続く楽しい作品。いかにも現代的な作品――現代の嗜好を体現した作品――。ひじょうに面白かった。鈴木純明という作曲家は要注目だ。
そして最後に廣瀬量平のチェロ協奏曲「悲(トリステ)」(チェロ:向山佳絵子)。前曲の余韻が残っていたせいか、モノクロームの音色に時代の差を感じた。われながら意外だった。ちょっとショックだ。
(2013.6.7.東京藝術大学奏楽堂)
指揮は湯浅卓雄。海外での活動が長く、多数のCDを発表している。その何枚かは聴いたことがある。また在京のオーケストラを振るのも聴いたことがある。手腕のたしかさは折り紙つきだ。現在は藝大の演奏藝術センター教授とのこと。
演奏は藝大フィルハーモニア(東京藝術大学管弦楽研究部)。藝大の教官および非常勤講師で構成されている。プロのオーケストラで年2回の定期公演をしている。残念ながら定期を聴いたことはないが、CDでそのレベルの高さは承知している。昔のパリ音楽院管弦楽団に似た組織という説明をどこかで読んだことがある。一度は生で聴いてみたいと思っていたオーケストラだ。
さて、前置きが長くなったが、当日の演奏会の模様を。1曲目の坂田拓也「13人の奏者と弦楽合奏のための音楽」と2曲目の平川加恵「紅射す雨は萌黄色に~ピアノとオーケストラのための~」(ピアノ:中桐望)は、ともに大学院の作曲専攻課程で創作された作品とのこと。
将来ある若者の作品を聴くことは楽しかった。一言だけ感想を記すと、坂田作品は肩に力が入った作品。意欲が先行している感がなきにしもあらず。一方、平川作品は世間とのコミュニケーションをどうとるかを心得ている観がある。二人の個性のちがいだろうが、一般的にいっても、この年代の男女のちがいに通じるものがあるように感じられた。
休憩をはさんで3曲目は鈴木純明(すずきじゅんめい)准教授の「ラ・ロマネスカ2―ペトルッチの遍歴~管弦楽のための~」(注:「2」は正しくはローマ数字大文字だが、このブログでは変換できないので、「2」と表記)。
冒頭に鄙びたルネサンス時代の旋律が引用され、以下、現代的な音響ながらも、明るい音色が続く楽しい作品。いかにも現代的な作品――現代の嗜好を体現した作品――。ひじょうに面白かった。鈴木純明という作曲家は要注目だ。
そして最後に廣瀬量平のチェロ協奏曲「悲(トリステ)」(チェロ:向山佳絵子)。前曲の余韻が残っていたせいか、モノクロームの音色に時代の差を感じた。われながら意外だった。ちょっとショックだ。
(2013.6.7.東京藝術大学奏楽堂)