映画「旅立ちの島唄~十五の春~」を観た。南大東島の話。正直いって、南大東島といわれても、台風情報のときに登場する島、というくらいの認識しかなかった。申し訳ない話だが。
南大東島は沖縄本島から東に360㎞ほど離れている。360㎞というと、東京から名古屋までの距離に相当する。JRの場合は線路の延長だが、南大東島は直線距離だ。どれくらい離れているか、想像がつくというものだ。
南大東島には高校がない。島の子供たちは中学を卒業すると、島を出る。多くの場合は沖縄本島に行くようだ。この映画はそんな子供たちの一人、優奈の物語。優奈は中学3年生。卒業までの一年間、多感な日々を過ごす。初恋もする。両親の離婚も経験する。大人たちの世界を垣間見る。そして迎える卒業の日、優奈は確実に成長している。
卒業式を終えた優奈は、所属する島唄グループ「ボロジノ娘」のコンサートに出る。島民たちが集まってくる。毎年恒例の行事だ。優奈は別れの唄「アバヨーイ」(さよなら)を歌う。師匠の教えのとおり、泣かずに歌う。「ボロジノ娘」は後輩に引き継がれる。
「ボロジノ娘」は実在のグループだそうだ。新垣則夫という方が指導している。島唄を教え、三線(さんしん)を教える。映画に出てくる師匠は、新垣氏ご本人だろう。
島唄――。島唄には想い出がある。何年か前に奄美大島を旅したとき、夜、居酒屋へ行った。島唄を聴かせてくれる店だった。ご主人が興に任せて歌ってくれた。店の一角には何種類もの焼酎(奄美群島特産の黒糖焼酎)が用意されていた。我々お客は各自好きな焼酎を飲みながら、島唄に耳を傾けた。
ご主人は奄美の島唄と琉球民謡のちがいを教えてくれた。たしかにちがっていた。今それを言葉で説明することはできないが。それと同時に、琉球王国に支配され、またあるときは薩摩藩に支配されて、苦難の歴史をたどった奄美群島の歩みを語ってくれた。
大東諸島の歴史はまたちがう。大東諸島は無人島だった。1900年、最初の開拓団が入った。八丈島から来た23人だった。大東諸島の歴史はそこから始まる。そんな大東諸島の島唄と、奄美や琉球の唄・民謡とは、どんな影響関係にあるのだろう。
映画で優奈を演じたのは三吉彩花。1996年生まれ。まだ10代だが、美しく、しかも存在感がある。将来、大輪の花を咲かせてほしいものだ。
(2013.6.12.シネスイッチ銀座)
南大東島は沖縄本島から東に360㎞ほど離れている。360㎞というと、東京から名古屋までの距離に相当する。JRの場合は線路の延長だが、南大東島は直線距離だ。どれくらい離れているか、想像がつくというものだ。
南大東島には高校がない。島の子供たちは中学を卒業すると、島を出る。多くの場合は沖縄本島に行くようだ。この映画はそんな子供たちの一人、優奈の物語。優奈は中学3年生。卒業までの一年間、多感な日々を過ごす。初恋もする。両親の離婚も経験する。大人たちの世界を垣間見る。そして迎える卒業の日、優奈は確実に成長している。
卒業式を終えた優奈は、所属する島唄グループ「ボロジノ娘」のコンサートに出る。島民たちが集まってくる。毎年恒例の行事だ。優奈は別れの唄「アバヨーイ」(さよなら)を歌う。師匠の教えのとおり、泣かずに歌う。「ボロジノ娘」は後輩に引き継がれる。
「ボロジノ娘」は実在のグループだそうだ。新垣則夫という方が指導している。島唄を教え、三線(さんしん)を教える。映画に出てくる師匠は、新垣氏ご本人だろう。
島唄――。島唄には想い出がある。何年か前に奄美大島を旅したとき、夜、居酒屋へ行った。島唄を聴かせてくれる店だった。ご主人が興に任せて歌ってくれた。店の一角には何種類もの焼酎(奄美群島特産の黒糖焼酎)が用意されていた。我々お客は各自好きな焼酎を飲みながら、島唄に耳を傾けた。
ご主人は奄美の島唄と琉球民謡のちがいを教えてくれた。たしかにちがっていた。今それを言葉で説明することはできないが。それと同時に、琉球王国に支配され、またあるときは薩摩藩に支配されて、苦難の歴史をたどった奄美群島の歩みを語ってくれた。
大東諸島の歴史はまたちがう。大東諸島は無人島だった。1900年、最初の開拓団が入った。八丈島から来た23人だった。大東諸島の歴史はそこから始まる。そんな大東諸島の島唄と、奄美や琉球の唄・民謡とは、どんな影響関係にあるのだろう。
映画で優奈を演じたのは三吉彩花。1996年生まれ。まだ10代だが、美しく、しかも存在感がある。将来、大輪の花を咲かせてほしいものだ。
(2013.6.12.シネスイッチ銀座)