Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

グエルチーノ展そして……

2015年03月28日 | 美術
 仕事を終えて国立西洋美術館の夜間開館へ行った。上野駅を出ると、いつにない人混みだ。そうか、お花見か――と。

 グエルチーノ展。グエルチーノと聞いても、ピンとこなかったが、常設展にある「ゴリアテの首を持つダヴィデ」(※1)の画家だと分かって、そうか!と思った。

 「ゴリアテ……」を初めて見たのはいつだったろう。そんなに前ではない。常設展を見ていたら、目にとまった。はて、こんな作品があったろうかと思った。天を仰ぐダヴィデの恍惚とした表情に惹かれた。これを描いたのはどういう画家だろうと思った。でも、とくに調べもせずに、それっきりになっていた。昨年、本展のチラシを見て、グエルチーノという画家だったことを知った。

 グエルチーノ(1591‐1666)。バロックの画家。カラヴァッジョ(1571‐1610)やグイド・レーニ(1575‐1642)に続く世代だ。主に宗教画を描いた。いかにもバロックの画家らしい作品だ。本展では大作がいくつも並んでいる。壮観だ。

 本展を見て、グエルチーノの生涯や画風の変遷がつかめた。「ゴリアテの首を持つダヴィデ」も、そういったパースペクティヴの中で、収まるべきところに収まった。理解を深めることができて有難い。

 本展の中で1点だけ挙げると、「キリストから鍵を受け取る聖ペテロ」(※2)に感銘を受けた。12使徒の一人、ペテロは、キリストから天国の鍵を預かった。本作はまさに鍵を預かる瞬間を描いたものだ。ペテロの感動と畏れ。堂々とした、安定した構図だ。縦378㎝、横222㎝。大きい。見上げるほどの大きさだ。

 本展は、時間の許すかぎり、いくらでも見ていたかった。でも、もう一つ目的があったので、名残惜しかったが、常設展に移動した。この3月に展示が始まったばかりのフェルメールに帰属する「聖プラクセディス」(※3)を見るためだ。

 フェルメール!!!真作かどうかは研究者の間で意見が分かれているそうだ。もし真作だとしたら、フェルメールの最初期に属する作品。フィケレッリという画家の作品の模写だそうだ。

 早く見てみたいと、はやる心を抑えて、作品を探した。あれだ!あれがそうだ、と。室内画に転じる前の時期の物語画に通じるものがある。フェルメールかもしれない――。ファンとしてはそう思いたい。そう思って見ているうちに、胸がドキドキしてきた。
(2015.3.27.国立西洋美術館)

(※1)「ゴリアテの首を持つダヴィデ」
http://collection.nmwa.go.jp/P.1998-0001.html

(※2)「キリストから鍵を受け取る聖ペテロ」
http://www.tbs.co.jp/guercino2015/art/index02.html

(※3)「聖プラクセディス」
http://www.nmwa.go.jp/jp/information/whats-new.html#news20150313
コメント (1)
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