映画「新聞記者」がヒットしているそうだ。わたしが観にいった平日午後の上映でも客席はほとんど埋まっていた。
本作は東京新聞の望月衣塑子記者の手記「新聞記者」を原案とするフィクション映画。ストーリーに安倍政権のもとで起きたさまざまな出来事が織り込まれている。プログラムに掲載された「現代社会にリンクする社会派エンタテインメント」というキャッチフレーズが本作の性格を的確に言い表している。
エンタテインメントなので、本作は事実に基づく映画ではなく、観るほうも、それは百も承知なのだが、そこに散りばめられた「現代社会にリンクする」ディテールがリアルでおもしろい。わたしたちは、安倍政権のもとで何が起きたか、ほぼ正確にわかっている。それを打ち消そうと躍起になっている安倍政権をまざまざと見てきた。そんな過去の数年間の一部が本作に投影されている。
ストーリーをざっと紹介すると、「東都新聞」社会部記者の吉岡エリカが、ある日匿名で送られてきた「医療系大学の新設」(獣医学部とはしていない点がミソだ)に関する極秘文書のファックスについて取材を始める。その過程で内閣情報調査室(内閣官房の実在の組織)の杉原拓海と出会う。二人は対立する立場だが、それぞれの人生の重荷を背負いながら、接点を持つに至る。
吉岡エリカを演じるのは「韓国の若手トップ女優」のシム・ウンギョン(スチール写真↑左)。「父は日本人、母は韓国人、育ちはアメリカ」という設定で、どこにでもいそうな、むしろ地味なキャラクター。そんな若手記者がひたむきに真実を追う。
杉原拓海を演じるのは松坂桃李(同↑右)。エリート官僚ではあるが、情報操作(世論誘導といってもいい)に明け暮れる仕事に疑問を持つ。そんな「仕事の顔」と、出産を間近に控えた妻のいる「家庭の顔」と、その相克が痛々しい。
松岡桃李は劇場公開直後の6月29日の舞台挨拶で「『新聞記者』のホームページがきのうパンクしたらしくて、みなさんの感想が多くて。それくらい熱量のある作品なんだなと」(7月6日付の日刊ゲンダイ)と明るく語ったそうだが、実際にはそんな生易しい話ではなかったようだ。配給関係者が言うには、「サーバー業者の説明によると、特定のIPアドレスから集中的なアクセスを受けた可能性が高いと。トップ画面の動画データに対し、同一のIPアドレスから人力ではあり得ない数のアクセスを受けているというんです」(同)。映画を地で行く事象が起きているわけだ。
(2019.7.16.新宿ピカデリー)
本作は東京新聞の望月衣塑子記者の手記「新聞記者」を原案とするフィクション映画。ストーリーに安倍政権のもとで起きたさまざまな出来事が織り込まれている。プログラムに掲載された「現代社会にリンクする社会派エンタテインメント」というキャッチフレーズが本作の性格を的確に言い表している。
エンタテインメントなので、本作は事実に基づく映画ではなく、観るほうも、それは百も承知なのだが、そこに散りばめられた「現代社会にリンクする」ディテールがリアルでおもしろい。わたしたちは、安倍政権のもとで何が起きたか、ほぼ正確にわかっている。それを打ち消そうと躍起になっている安倍政権をまざまざと見てきた。そんな過去の数年間の一部が本作に投影されている。
ストーリーをざっと紹介すると、「東都新聞」社会部記者の吉岡エリカが、ある日匿名で送られてきた「医療系大学の新設」(獣医学部とはしていない点がミソだ)に関する極秘文書のファックスについて取材を始める。その過程で内閣情報調査室(内閣官房の実在の組織)の杉原拓海と出会う。二人は対立する立場だが、それぞれの人生の重荷を背負いながら、接点を持つに至る。
吉岡エリカを演じるのは「韓国の若手トップ女優」のシム・ウンギョン(スチール写真↑左)。「父は日本人、母は韓国人、育ちはアメリカ」という設定で、どこにでもいそうな、むしろ地味なキャラクター。そんな若手記者がひたむきに真実を追う。
杉原拓海を演じるのは松坂桃李(同↑右)。エリート官僚ではあるが、情報操作(世論誘導といってもいい)に明け暮れる仕事に疑問を持つ。そんな「仕事の顔」と、出産を間近に控えた妻のいる「家庭の顔」と、その相克が痛々しい。
松岡桃李は劇場公開直後の6月29日の舞台挨拶で「『新聞記者』のホームページがきのうパンクしたらしくて、みなさんの感想が多くて。それくらい熱量のある作品なんだなと」(7月6日付の日刊ゲンダイ)と明るく語ったそうだが、実際にはそんな生易しい話ではなかったようだ。配給関係者が言うには、「サーバー業者の説明によると、特定のIPアドレスから集中的なアクセスを受けた可能性が高いと。トップ画面の動画データに対し、同一のIPアドレスから人力ではあり得ない数のアクセスを受けているというんです」(同)。映画を地で行く事象が起きているわけだ。
(2019.7.16.新宿ピカデリー)