Zooey's Diary

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「瞳の奥の秘密」

2010年09月02日 | 映画
この映画、朝日新聞の「銀の街から」で沢木耕太郎氏が
激賞していたのです。
「映画らしい映画を見た。」と。
「ここで私が映画らしい映画というとき、素朴に”次はどうなるのだろう”という興味で
先に先にと引っ張っていってくれるもの、という意味が込められている。」のだと。

確かに先が読めない展開に、ハラハラドキドキしっ放し。
アルゼンチン映画って殆ど観たことないように思うのですが
こんな佳作があったなんて…
第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞というのも納得。
監督はファン・ホゼ・カンパネラ。

刑事裁判所を引退した下級官吏のベンハミンは、25年経っても忘れられない
残虐な暴行殺人事件を元に小説を書き始める。
その事件の真相に迫ること、そして
かつて愛しながら別れたイレーネへの気持ちに決着をつけること。
この2つの要素が実に複雑に絡み合い、過去と現在が交錯しながら
話は進んでいきます。
殺人事件の意外な展開にドキドキしながら、
根底に流れるベンハミンの純愛に打たれる…
沢木氏に言わせれば
「ミステリーとラブロマンスがないまぜになることで、
さらにはそのラブロマンスも妻を殺された若い夫の”失われた愛”と
ベンハミンの”報われなかった愛”とが複雑に絡み合うことで、
鮮烈なカタルシスを得ることができるようになっている。」

ベンハミンの部下、酔いどれパウロの友情にも泣けました。
狡猾な上司の判事ロマーノの、(日本でいう)キャリア組のイレーネと
高卒のベンハミンに対するあからさまな差別、
70年代のアルゼンチンの体制の腐敗ぶりには目を見張りました。
Aの文字を打てない壊れたタイプライターが
最後の告白の伏線になるなんて。
“TEMO(怖い)”のEとMの間に“A”を手書きで入れると
“TE AMO”(愛してる)になるって…
お見事!としか言いようがない。

本当に映画らしい映画です。
最後は少々後味が悪いが
B級娯楽大作だと思えば、こんな面白い物はない。
都内でも日比谷シャンテ一館でしかやってないのが残念です。

公式HP
コメント (2)
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