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父親が反政府運動をしていたせいで命の危険に晒された、バングラデシュの少年ファヒムは、父親と共に難民としてパリに移住する。
チェスの才能に恵まれたファヒムは、フランス屈指のチェスのコーチであるシルヴァン(ジェラール・ドパルデュー)に鍛えられ、その頑固な性格と衝突しながらも、才能をどんどん開花させていく。
フランス語も習得して周囲に馴染んでいくが、政治難民の申請を却下された父親は、息子を置いて姿を消してしまう。
フランスであった実話を基にした物語。
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8歳の少年は母親と別れるときには泣き叫んでいたのに、移民保護センターですぐに友達を作り、みるみる言葉を習得していきます。
祖国では消防団長として活躍していたのに、言葉もできず異文化にも馴染めず、孤立するばかりの父親の情けなさとは、実に対照的です。
いつになっても手掴みで食事をする父親は、ナイフとフォークを使いこなす息子を見つめるばかり。
住む家もなく、コーチの家、友人の家などを転々としながら、ファヒムはチェスの全国大会を目指すのです。
この映画は難民問題を訴えるだけでなく、少年の成長物語でもあります。
奇をてらうことなくストレートな脚本、メッセージも実に分かりやすい。
フランスの名優ジェラール・ドパルデュー、久しぶりに見たと思ったら、もう71歳なのですね。
大きな曲がった鼻と大きな体躯で、変わり者のチェスのコーチを熱演していました。
少年ファヒム役のアサド・マーメッドが、実に素晴らしい。
彼自身、出演の3か月前にバングラデシュから政治亡命者の息子としてパリに来たばかりで、最初はフランス語もまったく話せず、撮影しながら言葉を習得したのだそうです。
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全国大会で優勝したとしても、市民権がなければそれを認められない。
案に窮したチェス教室のオーナーのマチルドは、ラジオの「大統領に直談判する」コーナーに電話する。
その時の台詞が奮っています。
「フランスには人権があるのですか?
それともあるふりをしているだけなのですか?」
日本人のオバさんには中々言えない台詞、フランス人だなあ、と思わせられた場面でした。
「ファヒム パリが見た奇跡」
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