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平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

安倍政権は政府保有米国債売却を決断せよ 4月15日、米国財務省が発表した

2015-04-22 22:49:32 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


安倍政権は政府保有米国債売却を決断せよ




4月15日、米国財務省が発表した国際資本収支統計で、2月末の米国債保有高は、日本が1兆2244億ドル(約145兆7000億円)となり、リーマン・ショック直前の2008年8月以来、6年半ぶりにトップになったことが明らかになった。


メディアは、日本の米国債保有が世界一位に「返り咲いた」などと表現して、日本にとっての「吉報」であるかのように伝えているが、論評にも堪えない低質な情報である。


報道は、


「成長鈍化で国内への外貨流入が細り、人民元安の傾向が進む中、以前のような元売り・ドル買いの為替介入がなくなってきていることが要因」


などとするが、これも完全な事実誤認である。


たとえば、人民元円レートを見ると、2011年3月に1人民元=11.7円だったのが、2014年12月には1人民元=19.8円に、人民元が大幅上昇している。


中国人にとってみれば、訪日して消費を行う際の購買力が、わずか4年足らずの間に2倍近くに跳ね上がっている。


この中国人観光客が「爆買い」と呼ばれる消費激増を実行して、消費税増税不況に苦しむ日本の消費業界を救済していることがよく知られている。


政府の外貨準備高で言えば、中国がダントツ一位の約4兆ドル。


日本は3分の1の1.3兆ドルである。


日本は外貨準備の大半を米国国債で保有している。


中国の外貨準備が約4兆ドルも存在するなかで、米国国債の保有は中国全体で1.2兆ドルにとどまっている。


中国は外貨準備の保有構成(ポートフォリオ)を多様化しているのである。

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日本政府が外貨準備で米国国債を保有している経緯は次の通りである。


2012年まで、円ドルレートは、円高・ドル安傾向で推移した。この過程で、日本政府は円高の進行を食い止めるという名目の下で、


ドル買い・円売りの為替介入を続けてきた。


日本政府が日銀からお金を借りて、米ドルを買うのである。


具体的な保有は米国国債である。


政府が日銀からお金を借りて米国国債を購入する。


これが、政府による外為市場でのドル買い=円売り介入である。


2007年6月の時点で日本政府は外貨準備を9136億ドル保有していた。


当時の為替レート1ドル=124円で換算して、113兆円のドル資産を保有していた。












この2007年6月から2012年1月までの4年半の間に、日本政府はさらに米ドル資産を3931億ドル買い増しした。


政府が米ドル資産を追加購入した際の為替レートは、平均すると1ドル=100円程度だった。


つまり、日本政府は約39兆円のお金を注ぎ込んで、3931億ドルの米ドル資産=米国国債を追加購入したのである。



2007年6月時点で日本政府が保有していた米ドル資産=外貨準備高が9136億ドル=113兆円で、ここに39兆円の資金を注ぎ込んで、日本政府の外貨準備高は1兆3067億ドルに膨らんだ。


円資金では113兆円に39兆円を追加投入したから、152兆円の元手がかかっている。


ところが、2012年1月には、大幅に円高・ドル安が進行していた。


1ドル=75円にまで円高・ドル安が進行したのである。


その結果、1兆3067億ドルに達した、日本政府が保有する米ドル資産の円換算金額が、なんと98兆円に目減りしたのである。


152兆円の元手で購入した米ドル資産の時価評価額が、なんと、たったの98兆円に減少してしまったのだ。


日本政府の米国国債投機で、4年半で53兆円の巨大損失を計上したのである。


このような投機損失など前代未聞である。


民間の投資顧問会社であれば、1000億円の損失を出しただけで大騒ぎである。


それに対して、日本政府の投資損失は、わずか4年半で53兆円。


1000億円の投資損失の、なんと530倍の超巨大損失が生まれたのである。

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米国では政府による外国為替介入に対して、厳しい制約と監視がある。


「儲かる介入は良い介入、損する介入は悪い介入」


として、政府の外為介入での損失を議会が許さない。


為替レートが行き過ぎた上昇、下落を示したときに外為介入は行われる。


ドル高が行き過ぎたときにドルを売って日本円を買う。


ドル高の行き過ぎが是正されればドルは下がり、円は上昇する。


この局面で、介入して購入した円を売れば、為替利益を獲得できる。


これが「良い為替介入」である。


日本政府が、値下がりするドルを買い続けて、巨大な為替損失を生み出すことなど、まさに言語道断。


厳罰に処されなければならない、国民に対する背任行為なのだ。


しかし、日本では、53兆円もの外為損失を計上したにもかかわらず、ただの一人も責任を問われていない。


その一方で、米国国債保有が世界一などと持ち上げる、馬鹿馬鹿しい報道が展開されているのである。











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安倍首相は自己利益のために国益を売り渡すのか 日本の国民生活を根底から破壊するTPP

2015-04-22 22:03:55 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


安倍首相は自己利益のために国益を売り渡すのか




日本の国民生活を根底から破壊するTPP(環太平洋経済連携協定)が妥結に向けて動いている。


鍵を握るのは米国の対応だが、民主、共和両党の超党派議員が、大統領に通商交渉の権限を一任する「大統領貿易促進権限(Trade Promotion Authority=TPA)」法案を議会に提出した。


米国では議会が通商に関する強い権限を握っている。


政府が外国と貿易に関するルールなどを決めた場合、米議会は個別の条文ごとに細かい修正を求めることができる。


TPP交渉が妥結しても米国議会が妥結内容を修正する場合、政府は相手国と再交渉しなければならなくなる。


TPP交渉参加国は、米議会がTPAを認めなければ協定案に署名しないと指摘されている。


米政府と交渉してルールを取り決めても米議会にひっくり返される可能性があるからだ。


この意味で、米国議会にTPA法案が提出された意味は大きい。


議会には民主党を中心にTPPに反対する主張が根強く、TPA法案が可決されるかどうかは不透明であるが、TPA法案が可決される場合にはTPPが妥結に向けて大きく動き出す可能性が一気に高まる可能性が高い。


これと表裏一体の関係にあるのが安倍晋三氏の4月末の訪米に際しての米議会上下両院合同会議で演説機会の獲得であるとの指摘がある。


安倍首相は訪米の際に、米議会上下両院合同会議で演説する。


日本の首相が米議会で演説するのは、1961年6月の池田勇人首相以来54年ぶり。


上下両院合同会議での演説は、日本の歴代首相の中では初めてである。


韓国の歴代大統領は過去6回も両院合同会議で演説しているが、日本の首相は演説機会を提供されてこなかった。


池田首相の前には、吉田茂首相、岸信介首相が議会で演説しているが、背景には米ソ冷戦の激化があった。


しかし、池田首相以降は日本の首相に議会演説の機会が与えられていない。


小泉首相は靖国参拝がネックになって機会を得られなかった。


安倍晋三氏が靖国参拝を実行したにもかかわらず議会演説の機会を得たの背景として指摘されているのが、TPP交渉での日本譲歩のシナリオなのである。

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これに呼応するかのように、日米の閣僚会合が4月19、20日に東京で開かれる。


4月23日に参加国全体の首席交渉官会合が開かれることを踏まえて、その前に日米の交渉進展を明示することがTPP早期妥結に必要であるとの判断が働いている。


基本シナリオは安倍首相に議会演説の機会を与えることと引き換えに、日本の大幅譲歩を提示させ、これを材料に議会でのTPA法案を可決に持ち込むというものである。


米国はアジアにおける中国のプレゼンス拡大に対する警戒を強めている。


中国を含まないTPPが米国のアジアへの影響力確保の最重要のツールとして位置付けられている。


日本の譲歩を見せることで、TPPに反対している民主党議員を懐柔する戦術が練られているわけだ。

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こうした図式を見る限り、議会演説機会の獲得と引き換えに、日本がTPP交渉で大幅譲歩することは、安倍氏が自分の利益と引き換えに、国民の利益を売り渡すということになる。


これこそが、「売国の作法」なのだ。


国民の利益を失うくらいなら、議会での演説機会など蹴り飛ばす、


というのが「愛国者作法」である。


安倍氏の行動を見る限り、優先されるのは自分の利益であって、国民の利益ではないということになる。


とはいえ、安倍氏の行動は、これまでの安倍政権の基本からすれば理解しやすいものである。


安倍首相の基本は「対米隷属」である。


日本の主権者の意思を基礎に据えるのではなく、米国の命令が基礎に据えられているのだ。


原発を推進するのも米国の命令である。


自衛隊を米軍の支配下に組み入れて、米国が創作する戦争に自衛隊が駆り出される体制を整えるのも、米国の命令に基くものである。


沖縄県民が2010年以来のすべての名護市議選、名護市長選、沖縄知事選、および2013年の参院選、2014年の衆院選で、辺野古米軍基地建設拒絶の意思を明示しているのに、辺野古米軍基地建設を強行しているのも、ひとえに、これを米国が命令しているからである。


つまり、安倍首相の行動を日本国の首相の行動として理解することは困難である。


しかし、これを米国の植民地日本の総督の行動として理解するなら、すべての疑問は氷解する。


安倍政権は米国が用意したシナリオに沿って、日本の国益を売り渡すTPP参加に向けて、突き進んでいるのだと理解できる。


この安倍政権の暴走に対して、


「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」


http://tpphantai.com/join/


が違憲訴訟を5月14日に提訴する見通しである。


一人でも多くの市民が会に参加して、国民生活を根幹から破壊するTPPへの日本参加を阻止してゆかねばならない。







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