大阪の中心部を南北に貫く御堂筋は「整然」という言葉がふさわしい光景です。
戦前の法律で建物の高さが100尺(約30m)以下に制限され、沿道のビルの高さが軒並みに制限一杯にそろえたせいで、近代商都のイメージアップにつなげました。
戦後の法改正で容積規制に変わり、100尺制限は撤廃されたのですが、大阪市の行政指導で今まで御堂筋の街並みは守り続けられてきました。
昭和4年の御堂筋 昭和12年の御堂筋
御堂筋が長さ約4Km、巾44mの現在の姿になって今年5月で満70年になります。
しかし、今年の2月から一部地域で高層化が認められて高さ140mのビルが建設されます。
これも関西の地盤低下に伴い、企業の東京進出が相次ぎ、ビジネス街の賑わいを失い、景観より効率が優先されたものなのでしょう。
上方商人は、利ばかりを追っているばかりではなく、競争の一方で「御法を守り、我が身をつつしむべし」とか「三方(売り手、買い手、世間)よし」など社会に奉仕する大切さを説いてきました。
先日の新聞によると関西経済同友会は、そうした先人の教えを学ぼうと呼びかけしているそうです。
出過ぎず、社会に尽くす上方商人の教えが根底になければ、御堂筋の景観は今まで守れなかったのではないでしょうか?
今後の御堂筋が、どう変わっていくのか注目です。