極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

イクラと1Q84×3

2010年04月19日 | 時事書評


ラーメンと 夫婦割引 ワンセット ショートスティに 上野樹里 


Marcel Proust 1900.jpg

001 Longtemps, je me suis couché de bonne heure

Longtemps, je me suis couché de bonne heure. Parfois, à peine
ma bougie éteinte, mes yeux se fermaient si vite que je n'avais
pas le temps de me dire : « Je m'endors. » Et, une demi-heure
après, la pensée qu'il était temps de chercher le sommeil m'éveillait ;
je voulais poser le volume que je croyais avoir encore dans les
mains et souffler ma lumière ; je n'avais pas cessé en dormant de
faire des réflexions sur ce que je venais de lire, mais ces réflexions
avaient pris un tour un peu particulier ; il me semblait que j'étais
moi-
même ce dont parlait l'ouvrage : une église, un quatuor, la rivalité ...


 千夜千冊「失われた時を求めて」


【届くものが明確でない危うさ】

二巻を読み終え、澄み切った蕭々とした思慕だ
けが印象として残ったが、地下鉄サリン事件を
匂わす背景は感じ取っていた。その後、【『1
Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー

が掲載されていたのも知らずにいた。そして、
もうひとつ。この本を読み終えて、「半落ち
状態とはいえ物語は完結したものとも受け取っ
ていた。今回第三巻を購読した感想を掲載する
前に、以下、インタビューの拾い読みの印象を
掲載する。
 

(1)G・オーウェルの未来小説『1984』
 を土台に、近い過去を小説にしたいと以前か
 ら思っていた。
(2)もう一つオウム真理教事件が背景がある。
(3)林泰男死刑囚のことをもっと多く知りた
 いと思った。
(4)オウム事件は現代社会における「倫理」
 とは何かという、大きな問題をわれわれに突
 きつけた。
(5)罪を犯す人と犯さない人とを隔てる壁は
 仮説の中に現実があり、現実の中に仮説があ
 る様に、体制の中に反体制があり、反体制の
 中に体制がある様に薄い。
(6)日本人は1995年にたてつづけに起きた阪
  神大震災とオウム事件で「自分はなぜ、ここ
  にいるんだろう?」という現実からの乖離感
 を世界よりひとあし早く体験した気がする。
(7)9・11以降は、自分の非リアリズム小
 説が、それゆえ新しいリアリズムとして世界
 で受け入れられていると感じる。
(8)同時に、バルザックのような世俗そのも
 のを描いた小説が好きで、時代の世相全体を
 立体的に描き「総合小説」を書きたかった。
(9)僕らの世代はマルキシズムという対抗価
 値が生命力を失う中でカルト宗教やニューエ
 イジ的なものへの関心も高まった。
(10)こんな複雑な状況は、自分の頭で物を考
 えるエネルギーを省き、出来合いの即席言語
 を借り、原理主義に結びつきやすく、自力で
 精神性を高める作業が難しい時代。
(11)作家の役割とは、原理主義やある種の神
 話性に対抗する物語を立ち上げていくことだ。
(12)作品の中に小説家が言葉でくるみ込んで
 いる真実を発見してくれれば本望。大事なの
 は届き方だ。

          2009年6月16日/読売新聞


William of Ockham

 オッカムの剃刀

村上春樹が述懐するように、1995年は大きな分
岐点だった。『デジタル革命』の渦中に巻き込
まれた前職場の経営危機の打開行動を単独で取
ったのが1994年の9月だった。勿論、経営陣に
加わることは即座に出来ないので、労働組合の
中執に入ることで代行した。折しも、その所属
労組の記念講演に、浜野保樹と吉本隆明を呼ぼ
うと企画していたが、オウム事件の最中で、そ
の当時の吉本隆明の発言スタンスが世論(マス
コミ)から真逆にありゲバルトやテロなどの不
測の事態を考え中止することになるが、問題意
識の上では、吉本は言うに及ばず、わたし(た
ち)は、村上春樹より遙か先にて本質を見透し
ていた(因みに、講題は『21世紀の仕事と労
』)。さて、つづきを。

 浜野保樹

(13)バッハの平均律クラビーア曲集のフォー
 マットに則って、長調と短調、青豆と天吾の
 話を交互に書こうと決めた。
(14)今回の作品では、女性の感じ方や考え方
 をより突っ込んで書いてみたかった。
(15)現在を生きて成長しつづけている若い人
  により興味があるが、ケータイ小説やアニメ
 作品はほとんど知らない。けれど、アクチュ
 アルな物語を書くというのはそういうのとは
 あまり関係のないことだと思う。

         2009年6月17日/読売新聞


 「アフリカの日々」

 映画「Out of Africa」
 Isak Dinesen



  Macbeth (1948)

By the pricking of my thumbs,
Something wicked this way comes,
Open,locks,
Whoever knocks.

親指の疼きが教えるところ
よこしまなものがこちらにやってくる
ノックがあれば誰であれ、錠前よ開け

             『マクベス』第四幕第一場


    私はいるべくしてここにいるのだ。
  私はこれまで、自分がこの「1Q84年」
 にやってきたのは他動的な意思に巻き込ま
 れたせいだと考えていた。何らかの意図に
 よって線路のポイントが切り替えられ、そ
 の結果、私の乗った列車は本線から逸れて、
 この新しい奇妙な世界に入り込んでしまっ
 たのだ。そして気がついたときには私はこ
 こにいた。二つの月が空に浮かび、リトル・
 ピープルが出没する世界に。そこには入り
 口はあっても出口はない。リーダーは死ぬ
 前にそのように私に説明してくれた。「列
 車」とはつまり天吾の書いている物語その
 ものであり、私は抜き差しならないほどそ
 の物語に含まれていた。だからこそ私は今
 ここにいるのだと。あくまで受け身の存在
 として。言うなれば、深い霧の中をさまよ
 う混乱した無知な脇役として
 
         『1Q84 BOOK3』/475


たった数時間で読み飛ばす、乱暴なことをして
は著者に申し訳ないが、これが自分流儀で変え
ようがないが、前回の作品と比べ、また端的に
作者の意図に反して「届くものが明確でなかっ
た」という感想に集約される。さて、第四巻が
予定されているとの憶測もあるが、機会があれ
ば再度読み直してみようと考えてはいる。





【いくらは本当に美味いのか】

イノシン酸の構造式

回転寿司でいくらの軍艦巻きを頂くときは、開
店と同時に入り、客だし一番寿司を注文し、口
に放り込むことを旨としている。つまりは、鮮
度がすべてというわけだ。鯛などの刺身は、丁
度24時間前後がイノシン酸濃度がピーク立ちし
美味いといわれるように、間延びは効かない。

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イクラ(ロシア語: икра イクラー;ikra)とは
サケの魚卵。筋子の卵巣膜(卵を包む薄い膜)
を取り除き、産卵前の熟した卵を1粒ずつに分け
た物を特に指して呼ぶ。バラ子とも呼ばれる。
一般的には加熱加工せず、塩漬けや醤油漬けに
して食べる。語源はロシア語で、「魚卵」「小
さくて粒々したもの」という意味である。ロシ
ア語ではキャビアもたらこもすべてイクラであ
るが、日本ではサケ科の卵をばらした物のみを
指す。サケの卵はロシアでは「赤いイクラ」(
красная икра クラースナヤ・イクラー)と呼ば
れる。



一方、「黒いイクラ」(чёрная икра チョールナ
ヤ・イクラー)はキャビアのことである。ロシ
ア式サケの卵の食べ方が日本に伝わったのは大
正時代で、ロシアから伝えられた製法を樺太庁
水産試験場が保存の利く塩蔵品を試験的に製造
したのが始まりであった。現在ではやや甘口の
醤油漬けが主流になり、イクラ丼やイクラの寿
司として使われている。日本においては白鮭の
卵が主流であるが、ロシアで使用されるのは樺
太鱒(ピンクサーモン)の卵であり、これを原
料とした物を日本では特にマスコ、マスイクラ
として区別する場合がある。



コレステロールが高いためか、日本以外ではイ
クラを食用とする地域はあまりない。日本にイ
クラの製法を伝えたとされるロシアでも日本ほ
ど日常食にはしていない。これらの地域では、
収穫された鮭の卵のほとんどが日本への輸出用
に加工される。資源を無駄にしないと言われて
いるイヌイットでもイクラを食用とする習慣が
無く、漁をしたその場でサケの卵は内臓と共に
捨ててしまう。米国、カナダは食用にはならな
いが、砂糖漬けの瓶詰めイクラが釣り餌として
売られている。近年は欧米でも日本食ブームに
より、寿司ネタの一種としてイクラが良く知ら
れるようになって来た。一般的ではないがたま
に高級食材としてスーパーなどにも保存性の良
いイクラのパックが陳列されている。

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