A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【地下アイドルへの招待】2021年5月 変容するアイドルたちのニュー・リリース~でんぱ組inc/キスエク/MANACLE/えいたそ☆成瀬瑛美

2021年05月19日 01時02分36秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


2021年5月、昨年4月の緊急事態宣言発出から13か月過ぎた今、コロナ禍で変貌した我々の生活は依然として先行き不明だが、アイドルたちはそれぞれ新しい活動へと進化を続けている。コール(声出し)やモッシュ、リフトといったアイドルライブの重要な要素の多くが禁止された現場でも、最高のパフォーマンスを見せようとする努力と意志に溢れた姿は、自粛続きで意気消沈している我々に希望の光と癒しをもたらしてくれる救いの女神に違いない。自粛の1年間に大きく変容した3組の推しアイドルが揃って新作をリリースした2021年5月は、筆者のポジティブストーリーのはじまりの月と呼べるかもしれない。

●でんぱ組.inc


2021年2月にえいたそこと成瀬瑛美が卒業し、残った古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪に、愛川こずえ、小鳩りあ、天沢璃人、高咲陽菜、空野青空という5名の新メンバーを加え10人組になった新体制でんぱ組の初のCDシングル『プリンセスでんぱパワー! シャインオン!/千秋万歳!電波一座!』。えいたそ卒業ライブのアンコールで披露された「プリンセスでんぱパワー! シャインオン!」はミュージカル仕立ての豪華絢爛なナンバー。新メンバーを先輩メンバーが叱咤激励するストーリーが新たな門出に相応しい。そして3月下旬に開催された「でんぱ組.inc 公開ダンスリハーサル」で振り入れ過程を公開した「千秋万歳!電波一座!」は猛スピードで展開する電波ソング。でんぱ組の新たなスタイルを予感させる秀逸な2曲で、5月22日開催のONE-MAN LIVE『Dear☆Stageへようこそ2021』が楽しみでならない。

【字幕】でんぱ組.inc「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」Music Video/Dempagumi.inc " Princess Dempa Power ! Shine On ! " MV



●XOXO EXTREME


2019年9月にオリジナルメンバーの楠芽瑠が卒業して以降、一色萌、小嶋りん、浅水るりの3人組で活動していたプログレッシブアイドル、キスエクことXOXO EXTREME(キスアンドハグ・エクストリーム)は、2020年8月に現役東大生・真城奈央子が、11月に現役女子高生・星野瞳々(研修生)が加入して5人組になった。其の5人でレコーディングした2ndアルバム『Le carnaval des animux-動物学的大幻想曲- 』をリリース。全曲動物の名前がタイトルになっていて、3分強の英語詞ロックナンバー「Altair(孤高の荒鷲)」、10分超えのミュージカル風組曲「ねずみは沈む船を見捨てるか」、3人組時代に発表された「フェニキスの涙」など、バラエティに富んだ曲が満載。変拍子や複雑な展開の多い楽曲はプログレと呼ぶしかないが、それを見事に歌って踊る5人のパフォーマンスは、他のどんなプログレバンドにも真似できまい。個人的にはフルートをフィーチャーした「十影」と「Hibernation(冬の眠り)」のライブ・パフォーマンスを観るのが楽しみである。

Ride a Tiger / XOXO EXTREME



●MANACLE


2020年3月にネクロ魔ことNECRONOMIDOLを電撃脱退した柿崎李咲と今泉怜に、元ネクロ魔の高辻ひなと元AIBECKの茉音が加わり9月にデビューしたニュー・グループ。「手錠に繋がれた日常からの解放」がコンセプト。ダークなゴシックロック、アップテンポのエレポップ、激しいダンスナンバーといった多彩な音楽性と、キュートな振付と切れ味鋭いダンスは、地下アイドル・シーンで頭一つ抜けたクオリティを誇る。実は筆者はデビュー・アルバム『Liberation』をまだ入手していないが、全曲披露された3月の初ワンマンLIVE『〜始まりの晩餐〜』の感動は未だに心の中で輝いている。5月23日『ボクらの復活祭〜MANACLE 1st ALBUM Liberation リリースイベント〜』が待ちきれない。

MANACLE / Look at me!


5月病
それは推しへの
恋煩い

●えいたそ☆成瀬瑛美(でんぱ組.inc)


2021年2月16日チームスマイル・豊洲PIT『でんぱ組inc/ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜』映像DVD/BL+特典CD。卒業してもえいたそ愛は変わりません!

でんぱ組.inc「ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜」Trailer Movie


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【私のB級サイケ蒐集癖】第33夜:女子サイケの楽園三角形~フェミニン・コンプレックス/エース・オブ・カップス/フィメール・スペシーズ

2021年05月14日 00時51分54秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


この年にして女子地下アイドルにハマっている筆者だが、ロックを聴き始めた中坊の頃から女子ミュージシャンや女子バンドが好きだった。というか男子の禊として幼時から女子への興味は大いに芽生えていた(幼稚園の学級会で同級の女子から「○○君からキスされた」と名指しで糾弾された想い出あり)ので、好きな音楽に好きな女子を求めるのは当然の成り行きだろう。だから1980年代に60年代サイケに目覚めた筆者がサイケ女子に憧れたのも自然だった。しかし、ジャニス・ジョプリンやグレース・スリック(ジェファーソン・エアプレイン)をはじめとして女性ヴォーカリストは多数いるが、全員女子のサイケバンドはほとんど見つからない。コンピレーションLP『Girls In The Garage』が出て、やっとオールガールのガレージ/サイケバンドが存在することを確認したが、各バンド1曲2曲では物足りなかった。パンク/ニューウェイヴ以降オールガールバンドは珍しくなくなったが、60年代の男性上位社会の中では女子がロックバンドをやることなど、非常識なことと思われていたに違いない。そんな時代に女子だけでロックバンドを続けることはイバラの道だったかもしれない。そんな時代を生き抜いた不屈のサイケ女子バンドは尊い。

●フェミニン・コンプレックス The Feminine Complex


メンバー:Mindy Dalton (g,vo), Judi Griffith (tambourine, vo), Lana Napier (ds), Pame Stephens (key), Jean Williams (b)
ナッシュビル州テネシーのメイプルウッド・ハイスクールの女子高生が結成。1966年秋にガールズバンドを結成しようとNapierとWilliamsがDaltonとGriffithを誘って結成。4人とも高校の女子バスケットボールチーム部員でもあり、チーム名と同じThe Povitsをバンド名にした。1967年にStephensが加入しバンド名をFeminine Complexに変え、ナッシュビルのパーティやクラブでライヴ活動を行う。男性グループばかりのローカル・シーンで全員女子のバンドは人気を集め67~68年にかけてテネシー州内をツアーするニューヨークでNBCテレビショーに出演し、1910フルーツガム・カンパニーと共演したこともあった。ナッシュビルのベテランA&R、Dee Kilpatrickが設立した新レーベルAthena Records第1弾アーティストとして契約しアルバム『Livin’ Love』を制作。デモテープはバンドで演奏したが、アルバムはセッション・ミュージシャンによる演奏だった。しかし68年秋に新学期が始まると、大学に進学したStephensが脱退、NapierとWilliamsもバスケット部に復帰するために脱退。DaltonとGriffithはデュオでバンドを続けようとするが間もなく解散した。
1996年にTeenbeatレーベルが『Livin’ Love』とデモテープ集を再発し、広く世に知られるようになった。

Feminine Complex - Hide & Seek



●エース・オブ・カップス The Ace Of Cups


メンバー:Mary Gannon (b), Marla Hunt (org, p), Denise Kaufman (g, hca), Mary Ellen Simpson (g), Diane Vitalich (ds)
1967年にサンフランシスコで結成。バンド名はタロットカードの「カップのエース」から取られた。1967年春にデビュー、同年6月ジミ・ヘンドリックスのゴールデン・ゲート・パークでのフリー・コンサートのオープニングを務める。気に入ったジミはメロディ・メイカーのインタビューで名前を出して推薦した。サンフランシスコのマトリックスやアヴァロン・ボールルーム、フィルモアの常連バンドとしてジェファーソン・エアプレイン、グレイトフル・デッド、クイックシルヴァー・メッセンジャー・サービス、ザ・バンドなどと共演し注目を集める。レコード契約の話もあったが、条件的にマネージャーが同意せず決まらなかった。また70年代になるとメンバーの結婚・出産などで活動に支障をきたし、72年に活動を停止した。2003年にACEレコードがデモやライヴ音源の編集盤『It's Bad for You But Buy It!』をリリース。それぞれ別の道に進んだバンド・メンバーは折に触れて共演してきたが、2011年にフェスに出演したことをきっかけに再結成の話が進み、2018年に正式な1stアルバム『Ace of Cups』、2020年に2nd『Sing Your Dreams』をリリースした。70歳超えのロックバンドである。

"Stones" by the Ace of Cups band — Footage from Revolution, 1968



●フィメール・スペシーズ The Female Species


メンバー(60年代):Vicki Gossett (vo,g), Ronni Gossett (vo,b), Linda Peters (g), Dawna Uyeno Snow (key,vo), Michelle Molner (ds)
1966年カリフォルニア州ウィッターでヴィッキーとロニーのゴセット姉妹がビートルズに憧れて結成、ビーハイブヘアとミニスカートのガールズバンドになった。60’sヒット曲のカヴァーに他にゴセット姉妹のオリジナルナンバーも手掛けた。1966年にアセテート10インチレコードを制作。しかし正式なレコード契約を得ることなく初期メンバーは脱退し、70年代、ゴセット姉妹はメンバーを変えながらラスベガス、ロサンゼルス、ナッシュビルへと活動拠点を移しながら活動し、80~90年代はソングライターとしてナッシュビルの音楽出版社と契約して作曲活動を続けた。彼女たちの活動をまとめた編集アルバム『Tale Of My Lost Love』が2021年にリリースされた。前半は60年代ガレージロック/サイケデリック時代の録音、後半はポップス/フォーク/カントリーに移行した70年代の録音を収録。ガレージサイケ期のメランコリックなナンバーはレアサイケの傑作。70年代のカーペンターズに通じるポップセンスも悪くない。Spotifyの同アルバムにはCD2としてカバー曲を含むガレージナンバーが追加されていて、とてもいい。

Stop And Think It Over


オール女子
ガレージサイケに
萌えている

Ace of Cups – Feel Good [Official Video]
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【えいたそ妄想論全データ】『えいたそ文化論』『えいたそ進化論』『えいたそ改革論』『えいたそ野性時代』『えいたそモダニズム(未完)』『えいたそ人形劇場』 #えいたそ #成瀬瑛美 #でんぱ組

2021年02月17日 02時33分29秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


7年前の2014年4月にスタートし現在まで連載している<えいたそ妄想論>は、アイドルグループでんぱ組.incの推しメンであるえいたそこと成瀬瑛美さんのキャラクターや行動や発言を基にキーワードを選び、関連する楽曲やアーティストを探して来て勝手に分析して、えいたその魅力を解明しようというものである。好きなアイドルと好きな音楽を結びつける妄想力は、2014年2月に出版された『でんぱ組.incの妄想大百科』に影響されたもの。徐々に特典会などで接触した際にえいたそ本人からお題(キーワード)を出してもらうという、ヲタク冥利に尽きる関係を築くことができた。それにしても7年間に70話近い妄想記事を書き続けることができたことは、えいたそが持つ尽きることのない才能のおかげに違いない。2021年2月16日にでんぱ組.incを卒業したえいたそが、これからも筆者の妄想力を刺激するような個性的なソロ活動をしてくれることに大いに期待したい。


えいたそ文化論 Cultural Stuides of EITASO
【えいたそ文化論】その壱『太陽』~フロイド/デッド/クリムゾン/クロマニヨンズ/TMGE/AKB/EWF/他 2014年04月12日
【えいたそ文化論】その弐『マキシマム』~R&B/ジョイ/サーカス/ホルモン/パーク/プリースト 2014年04月21日
【えいたそ文化論】その参『イエロー』前編~YMO/イエモン/マシンガン/バルーン/ページ/愛なき世界 2014年04月30日
【えいたそ文化論】その参『イエロー』後編~ビートルズ/初音ミク/ドノヴァン/桜田淳子/ザッパetc. 2014年05月01日
【えいたそ文化論】最終章『えいたそ☆成瀬瑛美とは?』 2014年05月22日


えいたそ進化論 EITASO Evolution Theory
【えいたそ進化論】試論~でんぱ組.incに学ぶ『マキシマリズム(最大主義)』<現代キーワード解説> 2014年11月17日
【えいたそ進化論】第一章『逆光論』ストーンズ/クイーン/TMGE/浅川マキ/エコバニ/ひめキュン他 2014年11月26日
【えいたそ進化論】第二章「エターナリズム」松田聖子/GLAY/水樹奈々/森口博子/バングルズ 2014年12月06日
【えいたそ進化論】第三章「永遠説」サン・ラ/ドンチェ/フロイド/あがた/AKB/ピチカ/ブルハ/クロマ 2014年12月10日
【えいたそ進化論】第四章「不滅学」エンケン/巻上公一/B'z/KAT-TUN/ラノベ/ビタミンR 2014年12月17日
【えいたそ進化論】第五章「不死身考」ハイロウズ/タイマーズ/スピッツ/ゴーバンズetc 2014年12月27日
【えいたそ進化論】遂に完結!最終章「有限性理論」灰野敬二/テレヴィジョン/ピンク・フロイド 2015年01月18日


えいたそ改革論 Teoria della riforma di EITASO
【えいたそ改革論】Chapter 1『パイナップル』浅井健一/松田聖子/ブルーハーツ/時東ぁみetc. 2015年06月25日
【えいたそ改革論】Chapter2『バカソング』でんぱ組/外道/乃木坂46/Theピーズ/山口百恵/細川たかし 2015年07月07日
【えいたそ改革論】Chapter3『パイナップルII』プログレ/ガレージ/アイドル/エキゾ/ジャズ/ラップ 2015年07月17日
【えいたそ改革論】Chapter4『ひまわり♀』伊藤咲子/SPEED/AKB48/FLOWER/東京女子流etc. 2015年07月23日
【えいたそ改革論】Chapter5『ひまわり♂和』福山雅治/ユニコーン/オザケン/坂田明 2015年07月31日
【えいたそ改革論】Chapter6『ひまわり♂洋』ウェラー/デッド/ビーチ・ボーイズ/ファッグスetc 2015年08月05日
【えいたそ改革論】Chapter7『トロピカル#1』でんぱ組/エレキシ/BEGIN/THE ポッシボーetc. 2015年08月10日
【えいたそ改革論】Chapter8『トロピカル#2』Theピーズ/J.ホワイト/ベック/カエターノ/クレイドル 2015年08月17日
【えいたそ改革論】Chapter9『極楽鳥』オレンジペコー/鏡音リン/C.パーカー/S.ホワイトetc. 2015年08月31日
【えいたそ改革論】Chapter10『パラダイス』ホフ/こじまゆ/アリプロ/エレカシ/イエモンetc. 2015年09月01日
【えいたそ改革論】Finale『自転車』アイマス/ジュディマリ/クイーン/乃木坂/アジカン/フロイド+【結論】『えいたそ改革』とは一体何だったのか? 2015年09月07日
【賛美と啓示と改革からのゾンビーナ】ヘンリー・カウ/クリムゾン/ELP/でんぱ組 2015年10月18日


えいたそ野性時代 EITASO WILD AGE
でんぱ組.inc@中野サンプラザ 2016.2.9(tue)+【えいたそ野性時代】一の巻『おキツネ様』 2016年02月11日
【えいたそ野性時代】二の巻『本能の導き』+でんぱ組.inc@本庄市民会館/さいたま市文化センター 2016年03月18日
【えいたそ野性時代】三の巻『日曜日の幻想』VU/ハイロウズ/スピッツ/PUFFY/阿部薫 2016年06月12日
【えいたそ野性時代】四の巻『妄想のススメ』でんぱ組/魚返一真/NMB48/妄キャリ/まねきケチャ/筋少 2016年06月23日
【えいたそ野性時代】伍の巻『時代をドライブ』ビートルズ/松田聖子/サニーデイ/ピンク・フロイド他 2016年06月28日
でんぱ組×SPYAIR@ZEPP TOKYO 2016.7.6(wed)+【えいたそ野性時代】六の巻『キラメク伝説』 2016年07月10日
【えいたそ野性時代】七の巻『キラメク伝説再び』百恵/高中/ヘンリー・カウ/MSG/PIL/ベビメタ 2016年07月31日
でんぱ組×Vegas@ZEPP TOKYO 2016.8.25(thu)+【えいたそ野性時代】八の巻『輝きの彼方』 2016年08月27日
でんぱ組×Wienners@渋谷O-east 2016.9.8(thu)+【えいたそ野性時代】九の巻『未来のロマン』 2016年09月11日
でんぱ組@大宮ソニックシティ2016.10.9(sun)+【えいたそ野性時代】十の巻『発光の魔術師』 2016年10月13日


えいたそモダニズム EITASO Modernism
【えいたそモダニズム】Episode 1『バタフライの掟』ソニックス/BUMP/カエラ/お奈々/マライア/エビ中/チャットモetc. 2016年11月11日
【えいたそモダニズム】Episode 2『ボールの奇跡』でんぱ組/ジャニス/XTC/ゲス乙/dCprG/ハイロウズ/ザ・フーetc. 2016年12月09日
【えいたそモダニズム】Episode 3『おもちの気持ち』バンプ/ゲス/坊屋三郎/あすぱ恋/Negicco/高橋優/ベリーズetc. 2017年01月03日
【えいたそモダニズム】Episode 4『ときめきバースデイ』ビートルズ/ブルハ/ユッコ/バースデイ/ノベンバ/ニック・ケイヴ etc. 2017年02月17日
【えいたそモダニズム】Episode 5『カラフル世界』クリーム/レッポコ/9nine/チーパレ/まどマギ/さえかの/グドモ/橋本孝之etc. 2017年02月20日
【えいたそモダニズム】Episode 6『サインはピース』有頂天/レノン/モー娘。/アプガ/ホフ/いきものがかり/EXTREMEetc. 2017年03月06日
【えいたそモダニズム】Episode 7『ゴーゴー成瀬』スターリン/けいおん/SPEED/ワム!/スパイダース/CKB/ストーンズetc. 2017年05月29日
【えいたそモダニズム】Episode 8『ゴーゴー瑛美』N813(エイミ)/GOGO7188/ゴーゴーズ/ゴーバニ/フラゴー/スパゴー/ベルゴー/ゴーペン 2017年06月05日
【えいたそモダニズム】Episode 9『セクシー813(エイミ)』TG/ロッド/ノーランズ/Wink/モー娘。/大森靖子/クウチュウ戦/OKAMOTO'S/テツコ 2017年07月02日
【えいたそモダニズム】Episode 10『縄(ロープ)の罠』蜉蝣/The Clash/クロマニヨンズ/山崎ハコ/AKB48/ラルクetc. 2017年07月13日
【えいたそモダニズム】Episode 11『秋葉の絆』レンジ/ルリアン/エレカシ/アンカフェ/バロック/リザード/デザイア etc. 2017年08月17日
【えいたそモダニズム】Episode 12『幸せスーパーマーケット!』クラッシュ/レインコーツ/ミスチル/コズミック・ジョーカーズ/エド・シーランetc. 2017年10月26日
【えいたそモダニズム】Episode 13『レッツ文化』TMGE/バニラズ/アーバン/NEW ORDER/おとぎ話/波動拳/カルチャー・クラブetc. 2017年11月06日
【えいたそモダニズム】Episode 14『幸運の7(セヴン)』でんぱ組.inc/AKB48/森高千里/Dr.フィールグッド/クリス・スクワイア/ボブ・ジェームス/ラヴetc. 2018年01月06日
【えいたそモダニズム】Episode 15『自慢のノド』The Birthday/The SALOVERS/エアロスミス/BiS/KITTIE/デス・イン・ヴェガス/ナンテンマンetc. 2018年02月23日
【えいたそモダニズム】Episode 16『神のお守り』ビーチ・ボーイズ/テンプターズ/ピストルズ/KISS/ゆら帝/ハナエ/偶ドロ/ハイライズetc. 2018年03月10日
【えいたそモダニズム】Episode 17『報復の轍』ホルモン/ザッパ/WANIMA/マイヘア/ユーミン/9mm/溺愛etc. 2018年03月25日
【えいたそモダニズム】Episode 18『成層圏からこんにちは』タンジェリン・ドリーム/ポラリス/NOBODY/ストラトヴァリウス/宇宙大怪獣ドゴラetc. 2018年04月30日
【えいたそモダニズム】Episode 19『王道チャイルド』ビートルズ/ストーンズ/ジミヘン/パープル/クリムゾン/クラプトン/エアロ/ガンズetc. 2018年05月13日
【えいたそモダニズム】Episode 20『最高のサイコ』〜ソニックス/ラモーンズ/T.ヘッズ/ジザメリ/ジョン・ライドン/BOØWY/ネクロ魔/でんぱ組 2018年05月20日
【えいたそモダニズム】Episode 21『コスモな大宇宙』〜でんぱ組/冨田勲/F.E.F.B./エンケン/レイジー/バクチク/フィッシュマンズ/ザッパ/サン・ラ 2018年08月30日
【えいたそモダニズム】Episode22『学園トゥインクル』〜でんぱ組/フィンガー5/福山雅治/ラモーンズ/シンディ・ローパー/横浜銀蝿/アリス・クーパーetc. 2019年01月06日
【えいたそモダニズム】Episode23『夢のパッション』〜フリクション/ブルハ/INU/ねむきゅん/ハミシス/ブクガ/でんぱ組 2019年01月26日
【えいたそモダニズム】Episode 24『きらヤバ☆生誕!』〜エアロ/頭警/バニーズ/チャットモ/マイルス/ジャレット/宮下富実夫 2019年02月18日
【えいたそモダニズム】Episode 25『こぶしをあげぽよ』〜でんぱ/こぶし/ハコ/モ!/民生/氣志團/モーターヘッド/スタクラ/AKBetc. 2019年03月05日
【えいたそモダニズム】Episode 26『サザンクロスの力』ヒデキ/柳ジョージ/バンプ/ゴーイング/ペニシリン/制服向上委員会/CS&N/サバス/ソニックetc. 2019年04月26日
【えいたそモダニズム】Episode 27『いのちのかたち』乃木坂46/瀬川瑛子/BiSH/エレカシ/泉まくら/竹内まりや/9mm/クロマニヨンズ/ヒカシュー/でんぱ組 2019年07月08日
【えいたそモダニズム】Episode 28『飾りの秘密』明菜/タイガース/スジバン/ポール・モーリア/ブランキー/こじまゆ/平沢進/チバユウスケ/でんぱ組 etc. 2019年07月14日
【えいたそモダニズム】Episode 29『テンの声』Ten Years After/10-FEET/天鼓/TEN/テンテンコ/きどりっこ/松永天馬/Dotstokyo/でんぱ組etc. 2019年08月05日
【えいたそモダニズム】Episode 30『アヒル・デ・フェスタ』レジデンツ/グリムス/M.マクラーレン/ステレオラブ/NWW/D.ジョンストン/K.チーフス/でんぱ組etc. 2019年09月11日
【えいたそモダニズム】Episode 31『レコード・ジャンボリー』〜ハイロウズ/三上寛/エアロ/フジファブリック/安藤裕子/TH eROKERS/森尾由美/マジカルパワーマコetc. 2019年12月07日
【えいたそモダニズム】Episode Extra(番外編)『引きこもり時代に効果あり!元気が出るえいたそ配信スクショ集』~成瀬瑛美/でんぱ組.inc 2020年04月10日
【えいたそモダニズム】Episode 32『救いのインターネット』~でんぱ組/アーバンギャルド/かもめ合唱団/SABOTEN/ハバナイ/笹口/ダフ・マッケイガン/水玉オンラインetc. 2020年04月12日
【えいたそモダニズム】Episode 33『シャツの細道』~Shirts/ヤバT/明菜/愛理/キリンジ/サニーデイ/TMGE/AKB/NSP/ヘアカット100/ドクロズ/J.ジャクソンetc. 2020年05月18日
【えいたそモダニズム】Episode 34『限りなく透明に近いでんぱ』~長谷川きよし/キャプテン・ビーフハート/ピンクレディー/乃木坂46/BiSH/でんぱ組 etc. 2020年08月05日
【えいたそモダニズム】Episode 35『でんぱチルドレン』~T.レックス/ブラック・サバス/浅井健一/ブクガ/ネクロ魔/ハイロウズ/スティーヴ・ミラー・バンド/サリアンジー 2020年11月16日
【えいたそモダニズム】Episode 36『ポジティブ女子ストーリー』~でんぱ組/爆裂女子/ももクロ/BiSH/SCANDAL/PUFFY/GLIM SPANKY/EMPiRE/TPD etc. 2021年02月08日

【第47回】でんぱ組.incえいたそ成瀬瑛美に「卒業」について聞いてみた


推しメンの
隠れた謎を
探りたい


えいたそ人形劇場 EITSO Puppet Theater
新連載スタート!【えいたそ人形劇場】第一話『えいたそちゃんがやってきた』の巻 2015年09月09日
【えいたそ人形劇場】第二話『オヘンロさんはマイヒーロー!』の巻 2015年09月16日
【えいたそ人形劇場】第三話「えいたそちゃん、でんぱ組のライヴに参戦」の巻 2015年09月27日
【えいたそ人形劇場】第四話「えいりやんと黄色いジャケット記念撮影会」の巻 2015年10月09日
【えいたそ人形劇場】第五話「えいたそちゃん、でんぱ組の忘年会に行く」の巻 2015年12月14日
【えいたそ人形劇場】番外編:聖なる夜のハードコアパンク祭り 2015年12月26日
【えいたそ人形劇場】でんぱ組観戦記~GOGO DEMPA TOUR@NHKホール 2016.3.3(thu) 2016年03月05日
【えいたそ人形劇場】でんぱ組「最Ψ最好調!」2ショット撮影会@パシフィコ横浜 2016.11.6(sun) 2016年11月07日
【えいたそ人形劇場】でんぱ組.inc「軽井沢っほい?忘年会.inc〜最Ψ最高 超楽しい!〜」2016.12.10(sat)-11(sun) 2016年12月12日
【えいたそ人形劇場】でんぱ組.inc『WWDBEST〜でんぱ良好!〜』リリース記念イベント 2016.12.25 (sun) 2016年12月29日
【えいたそ人形劇場】でんぱ組.inc 成瀬瑛美卒業マンガ企画『明日はえいたその卒業式』2021.2.14(sun) #えいたそ卒マンガ 2021年02月14日


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【えいたそ人形劇場】でんぱ組.inc 成瀬瑛美卒業マンガ企画『明日はえいたその卒業式』2021.2.14(sun) #えいたそ卒マンガ

2021年02月14日 01時44分31秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


えいたそ☆成瀬瑛美さんのでんぱ組.inc卒業コンサート『ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜』を前にして、Twitterで「成瀬瑛美卒業マンガ企画」が開催された。成瀬瑛美が卒業ライブに向けて描いたマンガの下書きを仕上げて「#えいたそ卒マンガ」でTwitterに投稿する企画だった。募集期間は1/25(月)12:00〜1/31(日)23:59。筆者は小学生の頃漫画家になるのが夢だったが、物心ついてからは音楽に夢中になり絵やイラストのセンスはゼロに近い。でも企画には参加したいと、締切ギリギリまで悩んだ結果、漫画ではなく人形劇で参加することにした。締切までには1ページしか出来なかったが、途中で投げ出すのはヲタクの恥、最後まで完成させるべく夜な夜な作業に励み、卒業コンサート2日前の先ほど全4ページが完成した。えいたそ妄想論の箸休めとして何度か連載した「えいたそ人形劇場」の最終回でもあります。
(*前半と後半でキャストが変わりますのでご了承ください。)



瑛美さん
人形劇で
ありがとう

えいたその下書きはこちら


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『ルース・ワイス / 我らは宇宙の火花であり、我ら自身の炎となる』~伝説のビート詩人とウェストコースト・アンダーグラウンド・ジャズの邂逅。

2021年02月11日 01時37分49秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ruth weiss / we are sparks in the universe to our own fire

Text by 剛田武 Takeshi Goda
DL/CD : Edgetone EDT4217

Set 1
ruth weiss – poetry
doug lynner – serge synthesizer (the mystery serge)
hal davis – wooden log

Set 2
ruth weiss – poetry
rent romus – alto, soprano saxophones, flutes
doug o’connor – double bass
hal davis – wooden log

1. 90 – set one
2. BYPASS LINZ – set one
3. silly city – set one
4. 18th DAY – set one
5. re: ELECTION — fact or fiction – set one
6. 2018 THE CIRCUS IS IN TOWN – set one
7. looming above its neighbors – set one
8. FORTY – FIRST DAY THE RETURN – set one
9. CHI CHI CHI – set one
10. 90 – set two
11. BYPASS LINZ – set two
12. silly city – set two
13. 18th DAY – set two
14. re: ELECTION — fact or fiction – set two
15. 2018 THE CIRCUS IS IN TOWN – set two
16. looming above its neighbors – set two
17. FORTY – FIRST DAY THE RETURN – set two
18. CHI CHI CHI – set two

executive producer rent romus;
all poems by ruth weiss, music tracks 1-9 by doug lynner, 10-18 by rent romus, doug o’conner, hall davis
recorded by michael zelner november 18, 2018 at simm series outsound presents outsound.org musicians union hall local 6 san francisco
mixed/mastered by john finkbeiner at new, improved recording

‘ruth weiss the beat goddess’ www.ruthweissfilm.com

Bandcamp
Edgetone Records Official Site

ビート・ジェネレーションの女神と辺境インプロヴァイザーの出会いが生んだ自由なジャズ・ポエトリー

ジャズとポエトリー・リーディングの組み合わせによるコンサートやレコーディングは現在でもしばしば行われている。両者のコラボレーションがポピュラーになったのは50年代半ばのアメリカのビート・ジェネレーションの影響だと言われる。そんなオリジネーターの一人が1928年6月24日生まれのビート詩人、ルース・ワイス(小文字でruth weissと綴る)である。1949年にシカゴのアーティスト・コミュニティ・ハウスに住んで詩作に励んでいたワイスは、ある日友人の誘いで階下で行われていたジャズ・セッションに参加することになり、実験的にポエトリーとジャズのコラボレーションを始めた。1952年にサンフランシスコへ移り、ストリート・ミュージシャンと共演したり、毎週水曜日にザ・セラーというクラブでジャズとポエトリーのジャム・セッションを開催するなどして、ジャック・ケルアックやニール・キャサディ等と共にサンフランシスコのビート・カルチャーの中心的存在となる。それ以来21世紀に至るまで、詩作だけでなく脚本家、パフォーマー、アーティストとしてウェストコーストのアート・シーンで活動を続けてきた。トレードマークの鮮やかな髪は1948年の反戦映画『緑色の髪の少年 (The Boy with Green Hair)』へのトリビュートだという。彼女のユニークな生涯は2020年にドキュメンタリー映画『ruth weiss, the beat goddess』として公開されている。

ruth weiss, the beat goddess Documentary Official Trailer


レント・ロムスは2013年に開催されたアーサー・ブライス・ベネフィット・コンサートでジョージ・ラッセルの紹介で初めてルース・ワイスに会った。彼女がビート・ジェネレーションの創始者の一人であり、アンダーグラウンド・カルチャーのイノベーターであることを知り、2014年にサンフランシスコでワイスとエレクトロニクス奏者ダグ・リナーの共演コンサートを企画した。2015年にワイスの誘いでロムスも彼女のレギュラー・カルテットに参加して、2020年3月までステージを共にすることになった。即興音楽の現在進行形を追求するだけでなく、自分のルーツであるフィンランドの血や、アメリカ各地の地下・辺境文化の歴史に敬意を払うレント・ロムスと、アメリカのアンダーグラウンド社会で生きる非遵法者の若者たちを総称するビート世代のオリジネーター、ルース・ワイスの出会いは必然だったと言えるだろう。

本作は2018年11月18日にサンフランシスコでロムスが企画したOutsound presents SIMMシリーズにおけるライヴ・レコーディングである。英語が母国語ではない日本人にとっては、英語のポエトリー・リーディングはハードルが高いと思われるかもしれないが、音楽が伴うと表情が格段に豊かになり、例えばラップと同様にひとつの音楽表現として自然に楽しめる。また、ワイスのポエトリーは中学生でもわかりそうな平易な単語・表現が多く、明朗で訛りのない語り口のおかげもあって、英語の歌に馴染んだリスナーなら多少は聞きとれると思う。だから詩全体の意味が分からなくてもイメージを広げることができる。CDのカバーカードにワイスがお気に入りのタイプライター(ジャケット写真参照)で綴った詩の原文が掲載されているので、読みながら聴くのもいいかもしれない。ワイスの詩には、既存の価値に異を唱えるビート精神が息づいている。拙い訳ではあるが、例えばこんな感じである:

re: ELECTION — fact or fiction
dump trump
his platform rotting wood
his band plays on
while the timbers crash

選挙について—事実か虚構か
捨て台詞*を吐く
朽木の演壇で
彼のバンドが演奏する
倒木の随(まにま)に

*trump:”切り札”と前大統領名をかけている

ワイスの提案で、コンサートは、同じ詩をふたつの異なる編成で披露する2部構成のプログラムとなった。“シンセサイザーマン”の異名を取るダグ・リナーのエレクトロニクスと、ハル・デイヴィスのくり抜いた丸太のパーカッションが荒涼とした音風景を描く前半(set one)は、時代を一人で生き抜いてきたワイスの心の中の孤独を強く感じさせる。レント・ロムスのサックス、ダグ・オコーナーのウッド・ベース、そしてハル・デイヴィスのパーカッションがレトロな味わいの即興ジャズを奏でる後半(set two)は、50年代にサンフランシスコのコーヒーショップで繰り広げられたビート詩人とジャズメンのジャム・セッションを彷彿とさせ、仲間と共に自由な表現を追求しながら90年の人生を歩んできたワイスの歓びに満ちている。1938年のヨーロッパ旅行の話から2018年アメリカ合衆国中間選挙まで、伝説のビート詩人ルース・ワイスの遍歴と思想を綴ったポエトリーが、ロムスたちのインプロヴィゼーションと見事に絡み合い、二つの異なる視点からアメリカのカウンターカルチャーの歴史を俯瞰する壮大なオーラル・ストーリーが描かれている。

ワイスは2019年に脳卒中を患ったが、2020年3月、コロナ禍でカリフォルニアがロックダウンされる直前に開催されたシネクエスト映画祭授賞式に出演できるまで回復した。しかし92歳の誕生日の1か月後の2020年7月末に再度脳卒中の発作に襲われて帰らぬ人となってしまった。このアルバムのタイトルは、ワイスが91歳の誕生日に書いた最後の詩の最後の行から取ったという。ワイスが本作の完成を見るまで生きられなかったことは残念だが、彼女のスピリットは燃える炎となって音楽の中に生き続けている。(2021年2月4日記)
初出:JazzTokyo #274

ビート世代
辺境ジャズの
生みの親

ruth weiss, Doug Lynner and Hal Davis at the 13th Annual Outsound New Music Summit
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【えいたそモダニズム】Episode 36『ポジティブ女子ストーリー』~でんぱ組/爆裂女子/ももクロ/BiSH/SCANDAL/PUFFY/GLIM SPANKY/EMPiRE/TPD etc. 

2021年02月08日 01時02分55秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


2020年11月16日(月)に配信されたでんぱ組.inc『THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE FINAL!!〜ねぇ聞いて?宇宙を救うのはきっと……〜』でえいたそこと成瀬瑛美がグループから卒業することが発表された。筆者はその前日にブログで<えいたそモダニズムEpisode35『でんぱチルドレン』>を公開したが、それは、えいたそ本人や他のメンバーが「絶対見てね」と強調していたので「配信ライヴで何かが起こりそう」という胸騒ぎがしたためでもあった。だからといって覚悟が出来ていた訳でもなく、アンコールで「えいたそからお知らせがあります」と言ってファンに向けて手紙を読み始めた時には茫然自失、というより夢を見ているような非現実的な感覚に思考停止に陥った。引退ではなくソロでアニソンシンガーや声優を目指すとのことで、涙どころか満面の笑顔でハキハキと手紙を読む瑛美の健気さは、2014年2月7日の生誕カラオケイベントで初めて間近で見て「なんて前向きで明るい子なんだろう」と感動した印象そのままだった。アイドルを生きるという決意は、装いでも飾りでもなく、瑛美の生き方の本質に違いない。そのことは2021年2月2日深夜に放映されたTV番組『フリースタイル・ティーチャー』の優勝決定戦で見せたラップバトルのライムにそのまま刻まれている。えいたそ優勝おめでとう!



瑛美の勢いは2021年2月15・16日に開催される卒業ライヴ『ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜』が近づくにつれますます加速している。10日前の2月6日に生配信された『福袋発売記念!でんぱ組.inc成瀬瑛美LINE LIVE』では約3時間に亘り休みなく墨汁と筆で色紙を書き続けるという前代未聞のロングパフォーマンスを披露。汲めども尽きぬ格言の奔流は彼女の内なるポジティブ精神のマグマ噴火だった。おそらくローマ時代のポンペイを滅ぼした「プリニー式噴火」をしのぐ最大規模の「ウルトラプリニー式噴火」別名「破局噴火」と同じ種類だと思われるが、燃える火山灰と溶岩で街や人々を全滅させるのではなく、萌えるトキメキパワーで世界に幸せもたらす瑛美の場合は「ウルトラプリティー式噴火」「卒業噴火」と呼ぶべきであろう。えいたそ愛で火傷しそうな恋心。



お惚気(のろけ)はこれくらいにして、卒業に際して瑛美が作詞を担当したでんぱ組.incの新曲『ポジティブ☆ストーリー』について考えてみよう。

●でんぱ組.inc『ポジティブ☆ストーリー』


2020年11月16日でんぱ組.inc配信ライヴで披露された新曲。作詞は成瀬瑛美とヒャダインこと前山田健一の共作。作曲は「バリ3共和国」「最Ψ最好調!」「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」「なんと!世界公認 引きこもり!」などを手掛ける浅野尚志。2020年11月17日に配信リリースされた。

アイドルの成長は一つのストーリーに例えられる。秋葉原のメイドカフェ&バーに集まったヲタクや引きこもりの少女たちが、武道館やアリーナばかりでなく、日本国外にもファンを獲得する人気アイドルに成長したでんぱ組.incのストーリーは最高のアイドル・ストーリーだが、でんぱ組の物語から独立し、別のストーリーを歩み始めるえいたそ☆成瀬瑛美のポジティブ精神がそのまま描かれたこの曲は、アイドルばかりでなく世の中に存在するすべて“卒業ソング”の中でも一二を争う“歓喜の歌”である。瑛美の行く手には様々な困難や苦労があるに違いないが、彼女は決して後ろを振り返ることはないだろう。そんなポジティブな姿勢を見せてヲタクを安心させる心遣いはまさにスーパーアイドル。えいたそ☆ありがとう!

でんぱ組.inc「ポジティブ☆ストーリー」Live Movie from「THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE FINAL!! 〜ねぇ聞いて?宇宙を救うのはきっと……〜」



【えいたそモダニズム】Episode 36『ポジティブ女子ストーリー』
地下アイドルに限らずこの世の中にストーリーを歌った曲は数多い。特に多感な年代の女子が歌うストーリーには悲喜こもごもの感情が込められている。えいたそ卒業に加えて、瑛美と並んで、いやディスタンスで測ればそれ以上に近くから心を寄せていた推しメンのグループ脱退事件が重なった2020年末は、筆者にとってアイドル卒業の危機でもあった。ヲタク人生最大の危機を何とか乗り越えて、今後もアイドル推しごとを続ける決心をした筆者にとってもポジティブ女子のストーリーに学ぶことは大きな支えになるに違いない。

●爆裂女子『miracle story』


最強で最狂のパンクロックアイドル"爆裂女子"のミニアルバム『Story』(2020/5/20)。楽曲提供に後藤まりこ、THE STARBEMSの日高央、そしてKING BROTHERS、N'夙川BOYS、リンダ&マーヤのマーヤの楽曲に編曲でおやすみホログラムのオガワコウイチが参加!今までのイメージからさらにロックンロールへ突き抜けた作品!

11月16日のえいたその卒業発表は10年近い活動歴を考えれば何とか納得できる事案であったが、その約1か月後の2020年12月18日夜に突然発表された爆裂女子からの都子解雇(脱退)のお知らせは青天の霹靂・不意打ちのトラジディであった。前身グループの偶想Dropで出会った2017年2月以来3年10か月間推し続けてきた都子ちゃんが、新メンバー若が加入してパワーアップした爆裂女子から卒業イベントすら無しに即解雇(脱退)という無情の仕打ちに圧し潰されるような無力感に襲われた。【爆裂女子に関する大切なお知らせ】
しかしながら半年前にリリースした新曲『miracle story』を聴くと、メンバーであろうとなかろうと奇跡を求めて前へ進もうという彼女の決意が強く感じられる。勇気をもって爆裂女子とは別のストーリーを歩もうとしている都子ちゃんに不安はない。これからの人生に寄り添えることを楽しみにしている。

爆裂女子-BURST GIRL-/ miracle story【OFFICIAL MUSIC VIDEO】



●ももいろクローバーZ『Re:Story』


10周年を経たももいろクローバーZ初のセルフタイトルの5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』(2019年5月17日リリース)に収録。5ヶ月連続配信SINGLE第1弾として2018年8月に先行配信された。

でんぱ組の先輩格ももクロが11年目に発表したストーリーソング。7分越えのドラマ仕立てのミュージックビデオにはメンバーはほとんど登場せず、4人の少年たちの夏休みの冒険譚が描かれる。最後にももクロのライヴ会場に辿り着く展開は、ももクロ本人ではなく、もののふと呼ばれるヲタクの物語と言えるかもしれない。ヲタクにもストーリーが必要だ。

【ももクロMV】ももいろクローバーZ「Re:Story」Music Video



●東京パフォーマンスドール『BRAND NEW STORY』


2013年6月に結成、8月からの舞台公演を中心に活動してきた新生TPDのデビューシングル(2014/6/11)。今まさに始まろうとしている新しい物語の予感を感じさせる歌詞。十代のメンバーそのものを表現したような、フレッシュで勢いのある前向きなメロディ。そして彼女たちの最大の魅力のひとつでもあるダンスが映える激しい4つ打ちにロックなギターが絡む、アグレッシブなアレンジ。すべての要素が絡み合い、デビューにふさわしい、エネルギーに満ち溢れた力強い楽曲に仕上がった。

90年代前半に活躍したアイドルグループが20年後に復活し、新しい物語をスタートするメッセージを込めたストーリーソング。筆者は当時TIFか何かで観てリリイベに参加した記憶があるが、大手プロダクションらしい洗練されたダンスと歌が完璧すぎてフォローするには至らなかった。界隈は異なるが現在もストーリーが続いていることを知ってちょっと嬉しかった。

東京パフォーマンスドール(TPD) 2014.6.11デビューSg「BRAND NEW STORY」 -Music Video- (short ver.)



●BiSH『STORY OF DUTY』


BiSHが出演するTVCMも放送中の、世界的人気FPSゲーム「Call of Duty:Mobile」のタイアップソングで、アイナ・ジ・エンドが作詞を担当。2020年10月28日にデジタル・リリースされた。ミュージックビデオは世界文化遺産長崎県軍艦島にて撮影された。

でんぱ組と同期のアイドルBiSの後継グループとして2015年にデビューしたBiSHはあれよあれよという間に人気アイドルに成長した。所属事務所WACKのシャッフル戦略には巻き込まれずに固定メンバーで活動しているが「楽器を持たないパンクバンド」というキャッチフレーズ通り戦って未来を切り開こうという挑戦心に満ちたストーリーを歌っている。

BiSH / STORY OF DUTY [OFFiCiAL ViDEO]



●EMPiRE『SUCCESS STORY』


1stシングル「ピアス」がオリコン週間初登場5位、全国ツアーは全公演ソールドアウトと勢いに乗るEMPiREが、新メンバーを加え新たな6人体制で、2019年7月17日にリリースした2ndシングル。

BiSHと同じ事務所WACKとレコード会社avexの共同プロジェクトとしてデビューした6人組。サクセス・ストーリーを目ざして奇々怪々魑魅魍魎と戦って未来を勝ち取るとする武闘派女子の讃歌である。

EMPiRE / SUCCESS STORY [OFFiCiAL ViDEO]



●NEO JAPONISM『rewind the story』


NEO SOUND,NEO CULTURE を掲げ、誰が "聴いても觀ても踊っても楽しめる"パフォーマンスを目指すアイドルグループNEO JAPONISM。2020年4月10日リリースの配信ミニアルバム『NON CALL-NOW』に収録。

でんぱ組に同じ名前の曲があるが、関係あるかは不明の5人組アイドルグループ。2018年にワンマンライブを観たが、2019年にメンバーが完全に入れ替わって再始動。「ストーリーを巻き戻せ(rewind the story)」と歌うこの曲のコンセプトは“闘う”。2021年のストーリー女子のテーマは戦闘なのであろうか。

NEO JAPONISM / rewind the story [Live Video]



●SCANDAL『太陽と君が描くSTORY』


今やJ-Rock代表するガールズバンドとなったSCANDALの6thシングル。2010年6月2日リリース。ワクワクする夏に向かってメロディアスに疾走するHARUNA(Vo&Gt)とTOMOMI(Ba&Vo)のツインボーカルが止まらないラブストーリーを無邪気に彩る究極のサマーチューン。オリコン週間10位。.

筆者が(地下)アイドルに嵌る前に嵌っていた女子バンドの最右翼SCANDAL。10年前二十歳前後の頃に描いていた悩みや病みのなさそうな健全なストーリーは今も同じ目標へに続いているのだろうか?おそらく女子としての夢は、バンドの成功はとは違うストーリーなのかもしれない。

SCANDAL 「太陽と君が描くSTORY」/ Taiyo to kimi ga egaku STORY ‐Music Video



●FUN RUMOR STORY『Colorful Story』


ファッション誌「KERA」から誕生したガールズバンド、FUN RUMOR STORYのファーストミニアルバム。2018年5月16日発売。リード曲の「Colorful Story」は、チアフル感MAXな青春応援ソング。疾走感あふれるメロディーと、見知らぬ未来へ進む不安と夢と希望に彩られた青春感満開の爽やかなナンバー。

デビューしたばかりの希望に溢れた女子バンドの未来はカラフルな色に溢れていた。めざせSCANDAL!めざせSilent Siren!と意気揚々と登場したこのバンドは2020年9月21日に解散してしまったらしい。しかしめげることはない。元メンバーそれぞれの未来にはもっとカラフルなストーリーが待っているに違いない。

【 FUN RUMOR STORY 】1st Mini Album「Colorful Story」MV



●GLIM SPANKY『ストーリーの先に』


男女2人組ロックユニットGLIM SPAMKYの5thシングル。2019年11月20日リリース。朝日放送テレビ系列ドラマ『Re:フォロワー』主題歌。幻想的な異国世界へ導かれるような、世代を超えた全ての人へ強烈な印象を残す楽曲に仕上がっている。

自分が生きてきたストーリーが嘘だったらどうする?という不安は誰もが一度は感じるものだろう。松尾レミはハスキーな声で“今生きているストーリーには後悔しない”と宣言する。失敗しても過去の自分のせいにしてはいけない。ストーリーの先を目ざして進むしかない。瑛美と都子もがんばれ!

GLIM SPANKY - 「ストーリーの先に」



●PUFFY『マイストーリー』


2008年8月6日に発売されたPUFFYの26枚目のシングル。カネボウ化粧品「Lavshuca」CMソング。スウェーデンのバンド、The Merrymakersがboom boom beat/お江戸流れ星IV以来の作曲をしている。2009年リリースの10thアルバム『Bring It!』に収録。

アイドル不遇の時代と言われる90年代後半に異なるフィールドでセンセーションを起こした女子二人組。2015年11月18日のシングル『パフィピポ山』は、サウンドプロデュースをもふくちゃん、作詞を前山田健一、作曲をPandaBoY、編曲を浅野尚志、ミュージックビデオを「スミネム(スミス・夢眠ねむ)」というでんぱ組ファミリーが手掛け対バンライヴも開催された。その後特にでんぱとの交流はないのが残念。「これが私の生きる道」(1996年)と歌ってから12年後のパフィーのストーリーソングには今後の瑛美や都子の生きる道に役立つヒントがあるかもしれない。

PUFFY 『マイストーリー』


卒業は
悲しみよりも
喜びを

【大切なお知らせ】
2016年11月11日から4年3か月にわたって連載してきたえいたそ妄想論第5弾『えいたそモダニズム』は成瀬瑛美さんのでんぱ組.inc卒業に伴い、次回(Episode 37)で完結する予定です。お題に関しては2月15・16日に開催されるえいたそ卒業公演を観たうえで熟考します。"でんぱ組のえいたそ”の最後の姿をしかと見届けたいと思います。長い間ご愛読ありがとうございました。

▼都子(元爆裂女子)
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【りんりんとジャケットアート】Part 2 アート&ポートレート:ヘンリー・カウ/VU/PHEW/ピエール・アンリ/ジャックス/アレア/ふきのとう/エヴァン・パーカー/ワイヤー他*MIX音源付

2021年02月01日 01時07分25秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


2021年1月31日(日) 東京・下北沢シェルター
キスエク主催「内容未定なこの物語 SPツーマン vol.2」

<出演>
SAKA-SAMA
XOXO EXTREME

研修生・星野 瞳々(16)が加わり5人組になったキスエク主催ツーマンライヴ、vol.1が開催されたのが2019年3月16日の浅水るりお披露目ライヴだという。対バンのSAKA-SAMAは2年前は7人組だったのが現在は2人。地下アイドル界の浮き沈みは激しい。そんな荒波を乗り越えてコロナ禍の中精力的に活動している両グループの対バンはソーシャルディスタンスを保ち密を防ぎながらも、心と心のエアコンタクトを十二分に楽しめる現場だった。赤ひげ危機一髪で後攻となったキスエクは初っ端から新曲2曲、1曲目は英語詞、2曲目はミュージカル仕立てと攻めるセトリ。りんりんこと小嶋りんは頭のブーケが顔にかかり表情が隠れながらもエレガントな歌と踊りで筆者の恋心を満たしてくれた。出来上がったばかりの写真集とCDRを運営経由でプレゼントしたので、喜んでくれることを願っている。

Set List
1. Altair(完成版オケ初披露)
2. ねずみは沈む船を見捨てるか?
3. えれFunと"女子"TALK〜笑う夜にはゾウ来たる(5人版初披露)
4. フェニキスの涙
5. Hungry like the wolf
6. Ride a Tiger
7. 鬱。



昨日に続いて小嶋りん個別撮影会の後半を紹介しよう。

●アートジャケット編

Henry Cow『In Praise Of Learning』(1975)
英国ケンブリッジ出身のプログレバンドの75年作。商業主義を拒み硬派な前衛音楽を追求するRock in Opposition(反対派ロック)の代表格。


Mike Oldfield『Tubular Bells』(1973)
英ギタリスト、マイク・オールドフィールドが全楽器を演奏し多重録音で制作した1st。映画『エクソシスト』でも使われたプログレの名盤。


Zoltán Jeney『Om』(1986)
ハンガリーの現代音楽家ゾルタン・イェネイによる究極のミニマルミュージック。同じフレーズが50分繰り返される地獄のような快感。


The Velvet Underground & Nico『The Velvet Underground & Nico』(1966)
アンディ・ウォーホールのバナナのジャケで有名なヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1st。全世界のアングラロックの象徴的名盤。


Wire『Pink Flag』(1977)
英ポストパンクバンド、ワイヤーの1st。オルタナロックの元祖。有名な「ロックじゃなければ何でもいい」という発言は都市伝説。


Third Ear Band『Alchemy』(1969)
弦楽器やオーボエを取り入れた英国実験ロックバンドの1st。中世音楽の影響を受けたサウンドは魔術的な響き。小悪魔りんりんにお似合い。


Pierre Henry『Mise En Musique Du Corticalart De Roger Lafosse』(1971) 
仏電子音楽家ピエール・アンリのライヴ録音。脳波を電気信号に変調したストレンジなミュージック・コンクレート。脳が痺れます。


Faust『Faust』(1971)
ドイツの実験音楽グループ、ファウスト(拳骨)の1st。透明ジャケのコンセプチュアルアート。ノイズミュージックの先駆者と呼ばれる。


Area『1978 Gli Dei Se Ne Vanno, Gli Arrabbiati Restano!』(1978)
イタリアの前衛ロックバンド、アレアの6th。地中海音楽の影響を受けたテクニカルなジャズロックとヨーデル風ヴォイスが凄い。


マジカル・パワー・マコ『マジカル・パワー』(1974)
当時18歳で天才音楽少年と呼ばれたマルチ音楽家の1st。武満徹に認められた奇想天外で実験的な音楽性は、日本が世界に誇る前衛ロック。



●ポートレートジャケット編

Slapp Happy『Slapp Happy』(1974)
ドイツ出身アヴァンポップトリオの2nd。ノスタルジックでちょっと毒のあるサウンドは、後にヘンリー・カウと合体し前衛ロック化する。


Phew『Phew』(1981)
ポストパンクの歌姫フューの1st。ドイツ前衛ミュージシャンのエレクトロニクスとクールなヴォイスは日本のNEW WAVE時代の幕開け。


Pink Floyd『The Piper At The Gates Of Dawn』(1967)
ロンドン出身のピンク・フロイドの1st。シド・バレット在籍時の唯一作。後のプログレとは異なるポップなサイケデリック・ロック。


The Fool『The Fool』(1968)
ビートルズの衣装などを手掛けたオランダのデザイン集団ザ・フールの唯一作。妖精が歌い騒ぐようなカラフルなサイケデリック・フォーク。


Fred Frith『Guitar Solos』(1974)
ヘンリー・カウのギタリストの1stソロ。実験的な奏法でギターの可能性を試す即興演奏を展開。前衛音楽へ接近した画期的なアルバム。


Evan Parker『Monoceros』(1978)
英国フリーミュージックを代表するサックス奏者エヴァン・パーカーのソプラノサックス・ソロ。循環呼吸による途切れない音の波に溺れる。


Nick Drake『Bryter Layter』(1971)
74年に26歳で早逝した英国フォークシンガー、ニック・ドレイクの2nd。内省的なヴォーカルと哲学的な歌詞は今でも人気が高い。


ジャックス『ジャックスの世界』(1968)
早川義夫が率いるフォークロックバンドの1st。若者の内面の葛藤を情念的な歌で表現した前衛サウンドは日本のサイケのルーツとされる。


ふきのとう『風来坊』(1977)
北海道出身のフォークデュオ、ふきのとうの5th。ハーモニーを活かしたナチュラルなアコギサウンドで70年代フォークブームを牽引した。


Synanthesia『Synanthesia』(1969)
ロンドン出身のフォークトリオ、シナンテジアの唯一作。バイブやサックスを含むドリーミーな音世界はアシッドフォークの隠れた至宝。


XOXO EXTREME『WORKS VINYL EDITION』(2019)&『フェニキスの涙』(2020)
小嶋りんちゃん所属のキスエクはCDだけでなくレコードも出してくれるので嬉しい。しかもエンボス加工や透明ヴィニールでマニア心をくすぐる。



“The Art of Rinrin & Record Jackets”
Non-Stop DJ Mix by DJ Necronomicon Jan. 2021

1. Paul Mouriat / My Girl
2. 頭脳警察 / ふざけるんじゃねえよ
3. Brigitte Fontaine / Comme a la Radio
4. 大森靖子 / PINK
5. Nocturnal Emissions /
When Were You Last In Control Of Your Dreams And Aspirations?
6. Tony Conrad with Faust / The Side Of Man And Womankind
7. 山崎ハコ / かざぐるま
8. Klaus Schulze /
Velvet Voyage : Destinationvold
9. King Crimson / 21st Century Schizoid Man
10. Devo / Uncontrollable Urge
11. Yes / Roundabout
12. 佐井好子/ 春
13. 佐々木好 / ストレート
14. さだまさし / 檸檬
15. となりきんじょ / 青い眼の木馬
16. Far East Family Band / 時空間の洪水
17. Gary Panter / Tornader To The Tater
18. Renaldo & The Loaf / Lime Jelly Grass
19. Gong / Radio Gnome Invisible
20. Ptôse / Waiting For My Soul
21. Julverne / Pasticcio
22. Henry Cow / War
23. Mike Oldfield / Tubular Bells
24. Zoltan Jeney / Om
25. The Velvet Underground & Nico /
I’m Waiting For The Man
26. Wire / Reuters
27. Third Ear Band / Mosaic
28. Pierre Henry / Lévitation
29. Faust / Why Don't You Eat Carrots
30. Area / Il Bandito Del Deserto
31. マジカル・パワー・マコ / チャチャ
32. Slapp Happy / Casablanca Moon
33. Phew / Closed
34. Pink Floyd / Astronomy Domine
35. The Fool / Fly
36. Fred Frith / Hello Music
37. Evan Parker / Monoceros 2
38. Nick Drake / Fly
39. ジャックス / からっぽの世界
40. ふきのとう / 水色の木もれ陽
41. Synanthesia / Minerva
42. XOXO EXTREME / フェニキスの涙

レコードに
萌える心は
恋心

Hungry like the Wolf / XOXO EXTREME feat. Silent Of Nose Mischief
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【りんりんとジャケットアート】Part 1 顔&イラスト:ポール・モーリア/頭脳警察/ブリジット・フォンテーヌ/大森靖子/トニー・コンラッド/佐々木好/キング・クリムゾン/さだまさし他*MIX音源付

2021年01月31日 00時50分17秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


昨年12月下旬の筆者の誕生日の翌日にプログレッシブ・アイドル、XOXO EXTREME(通称キスエク)の小嶋りんちゃんの個別撮影会に参加した。たべることと音楽を漁ることが趣味という彼女を喜ばせるにはどうしたらいいかと考えて、レコードジャケットを持参にて一緒に写真撮影をすることにした。音楽のジャンルや内容ではなく、ジャケットの面白さで選んだが、結果的にプログレと前衛とモード音楽とフォークになってしまったことは、筆者の偏った傾向賛美が原因に違いない。当日他の撮影者も一緒で賑やかなスタジオの中で、レコード解説をしながらジャケをとっかえひっかえの撮影は、バタバタで緊張する暇もなかったが、いやな顔ひとつせず天使のような笑顔で応えてくれた彼女に感謝したい。なお、出来上がった写真はあまりに可愛すぎるので出し惜しみさせていただくことをお許しいただきたい。

●顔ジャケット編

ポール・モーリア『R&Bの素晴らしい世界』(1969)
イージーリスニングの王様ポール・モーリアがR&Bとムード音楽のドッキングを狙った話題作。横尾忠則のジャケットがアート。


頭脳警察『3』(1972)
パンタとトシからなる頭脳警察の3rd。過激で文学性豊かなメッセージは元祖日本のパンク。代表曲「ふざけるんじゃねえよ」収録。


Brigitte Fontaine『Comme À La Radio』(1969)
仏シャンソン歌手ブリジット・フォンテーヌがフリージャズを取り入れた幻想的なアルバム。邦題『ラジオのように』。


大森靖子『PINK』(2012)
優しさと孤独と自由を持ち合わせた激情派ガーリーシンガー大森靖子のデビューEP。りんりんもお好きとのことです。


Nocturnal Emissions『Tissue of Lies』(1980)
ロンドンのインダストリアルバンド、ノクターナル・エミッションズの1st。あどけない美少年ジャケと裏腹の過激なノイズ・コラージュ作。


Tony Conrad with Faust『Outside The Dream Syndicate』(1973)
米現代音楽家トニー・コンラッドが独のファウストとコラボしたミニマル・ドローン作品。反復するビートとバイオリンが瞑想の世界へ誘う。


山崎ハコ『飛・び・ま・す』(1975)
70年代日本のフォークを代表する女性歌手のデビュー作。暗い情念と表現力豊かな歌声が素晴らしい。呪われそうなジャケもインパクト大。


Klaus Schulze『Mirage』(1977)
独シンセ奏者クラウス・シュルツェの8作目。蜃気楼というタイトル通り薄明に漂うような電子サウンドはアンビエントの先駆者といえる。


King Crimson『In The Court Of The Crimson King』(1969)
英国プログレを代表するキング・クリムゾンの超名作の1st。頼まなくても顔真似してくれたりんりんに感謝。流石プログレッシブアイドル。


Devo『Q: Are We Not Men? A: We Are Devo!』(1978)
80'sニューウェイヴの人気バンド、ディーヴォの1st。邦題『頽廃的美学論』。近未来的テクノポップは今聴くとチープでレトロな味わい。



●イラストジャケット編

Yes『Fragile』(1971)
クリムゾンと並ぶ英国プログレの雄イエスの4作目。邦題『こわれもの』。ジャケを含め一番好きな作品。りんりんの笑顔も最高です!


佐井好子『密航』(1976)
個性派女性シンガーソングライターの2nd。異国情緒たっぷりのサウンドと文学的な歌詞はジャケット通りの耽美の世界。


佐々木好『にんじん』(1983)
北海道出身の女性フォーク歌手の2nd。ジャケの少女の虚ろな瞳のように寒さを感じさせるシンプルで素朴な歌声は幻にしておくのは惜しい。


さだまさし『私花集-アンソロジー-』(1978)
フォーク歌手さだまさしの3rd。LA録音により日本的な抒情が西海岸の乾いた空気と溶け合った爽やかなサウンドを聴かせる。


となりきんじょ『ロマンティックマシーン』(1976)
宇都宮出身のフォークデュオの唯一作。漫画家佐々木マキによるジャケのようにポップでちょっと捻じれた歌謡フォークを聴かせる。


ファー・イースト・ファミリー・バンド『多次元宇宙への旅』(1976)
シンセ奏者喜多郎が在籍していた70年代日本のプログレバンドの2nd。クラウス・シュルツェ・プロデュースによるコズミックロックを展開。


Gary Panter『Pray For Smurph』(1983)
米漫画家/イラストレーターがレジデンツなどの協力で制作した1st。サブカルコミックの世界を音にした脱力オルタナロックを展開。


Renaldo & The Loaf『Songs For Swinging Larvae』(1981)
英ポーツマス出身の二人組のアメリカデビュー作。サウンドエフェクトや玩具を使った奇天烈なアヴァンポップは中毒性がある。


Gong『Flying Teapot(Radio Gnome Invisible Part1)』(1973)
仏プログレバンドの3rd。ヒッピー幻想の物語ラジオ・グノーム・インヴィジブル三部作のPart1。りんりんもゴングは知ってるそうです。


Ptôse『Ignobles Limaces』(1984)
仏シンセバンドの84年作。プリミティヴなエレクトロサウンドと変調ヴォーカルによるストレンジポップ。笑顔にメロメロです。


Julverne『À Neuf』(1980)
ベルギーのチェンバーロックバンドの2nd。邦題『新品同様』。9人編成の変拍子室内楽ロックはアヴァンギャルドでエレガント。



“The Art of Rinrin & Record Jackets”
Non-Stop DJ Mix by DJ Necronomicon Jan. 2021


推しメンと
推しレコードの
ミクスチャー

羊たちの進撃 〜The assault of the Lambs〜 / XOXO EXTREME feat. Silent Of Nose Mischief
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【えいたそモダニズム】Episode 35『でんぱチルドレン』~T.レックス/ブラック・サバス/浅井健一/ブクガ/ネクロ魔/ハイロウズ/スティーヴ・ミラー・バンド/サリアンジー

2020年11月16日 01時13分41秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


テレワーク環境に慣れて自宅でパソコン相手に一日過ごすのが日常になりつつある。時折、人数制限あり/声出し&移動禁止のライヴイベントや、レコードストアデイ(毎日)のために外出することはあるとはいえ、1年前の自分から見たら現在のリアルライフは「引きこもり生活」なのではなかろうか。そこで頭に浮かぶのは<世界公認引きこもりアイドル>であるでんぱ組.incのことである。7月30日にオンラインライヴ「THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE 〜夏祭り編!!〜」を開催して以降、何度かフェスでオンラインライヴがあったが、主な活動はメンバー個別の配信トークや別プロジェクト「ねもぺろ from でんぱ組.inc」(=鹿目凛、根本凪による「令和のネオあまアイドル」をテーマにしたでんぱ組.incのスピンオフユニット)、「LAVILITH ラビリス」(=でんぱ組.inc「相沢梨紗」とex.妄想キャリブレーション「桜野羽咲」によるツインボーカルユニット)であった。

【でんぱ組.inc】なんと!世界公認 引きこもり【歌ってみた】


筆者の推しメンえいたそこと成瀬瑛美さんもでんぱ組の一員としてオンラインイベントに出演したり、LINE生配信でトークをしたり、プリキュア映画のイベントに出演したり、結構忙しく活動している。筆者は2020年8月8日(土)にオンラインで開催された【でんぱ組.inc】LIVE DVD/BD『THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE』発売記念イベント⚡️@ヴィレッジヴァンガードにて、瑛美さんから「チルドレン」というお題を頂いた。ここ最近のお題は、筆者が接触の際に身に着けた衣服やアクセサリー、さり気なく口にした言葉から連想して瑛美の頭に浮かんだお題をいただく場合が多く、それは他人は知らない二人だけの秘密であった。しかし、コロナ禍でリアル接触が望めない現在、オンラインという公衆の面前でお題のやり取りをしなければならないジレンマに、オレだけでなく瑛美も戸惑っているに違いない。実際に瑛美と一緒にオンラインイベントに参加したねもこと根本凪が、オレの質問にお題で答える瑛美を見て「わあ、面白い文化ですね!」と興味津々の様子だった。オレとの秘密の関係を知られた瑛美は少しはにかんだように一瞬目を伏せたかと思うと、一転してその反動で爆裂する笑顔を見せて、画面の反対側で赤面するオレの心は熱く萌えあがった。



8月13日エイミの日に開催されたオンライン飲み会では独り飲みする瑛美のもっとプライベートでアンニュイな一面を見ることが出来て嬉しかった。しかしながら一対一ではなかったために二人の将来について語り合うことが出来なかったことが悔いが残る。できればチルドレンのお題についてもじっくり話し合いたかったのだが・・・。



さらに11月4日8:13PMからゲリラ的にスタートしたLINELIVE生放送ではピンクヘア+ピンクネイル+ピンクタイツのド派手なルックスでハイテンションなトークが炸裂。チルドレンのお題をオレに託した安心感からだろうか、心配事をすべて忘れたように晴れ晴れした瑛美の顔を見て、オレの体温は37.5℃超の入場禁止レベルまで跳ね上がった。



【えいたそモダニズム】Episode 35『でんぱチルドレン』
ここで問題なのは、瑛美の言う「チルドレン」とは一体何なのか?ということである。子供の複数形であることは間違いない。しかしそれが特定の子供たちを指すのか、それともすべての子供を意味しているのか?瑛美自身の子供なのか、それとも人類の子孫としての子供なのか?そもそも子供とは年齢で規定されるのか、それとも精神的に子供である場合も含むのか?「チルドレン Chilren」と英語で言ったのはなぜか?「子供たち」という日本語ではダメなのか?さらに考慮すべきは、カタカナで「チルドレン」と言うと、特定の人物や現象などの影響を受けた人や追従者の意味にも使われることである。えいたそチルドレン?でんぱチルドレン?ディアステチルドレン?なんでもいいのだろうか?
このように「チルドレン」というお題については様々な視点から考察を重ねる必要があり、あっという間に3か月余りが無駄に過ぎてしまった。そんなある日、元でんぱ組.inc・最上もがの妊娠のニュースが話題になった。以前から瑛美は子供好きを公言していたし、元メンバーの妊娠を羨ましく思っていて、早く自分の子供を授かりたいと願っているかもしれない。焦るな瑛美!そんな貴女のために、今こそオレの妄想力で「でんぱチルドレン」の真実を解明せねばなるまい。

●スティーヴ・ミラー・バンド『未来の子供たち』
Steve Miller Band / Children Of The Future


アメリカ合衆国のブルースロック・バンド、スティーヴ・ミラー・バンドが1968年に発表した初のスタジオ・アルバム。
【未来の子供たち】でんぱチルドレンに未来を託し、瑛美は好きな夢を追い求めればいい。

Children Of The Future



●T.レックス『チルドレン・オブ・ザ・レボルーション』
T. Rex - Children Of The Revolution


グラムロックの代表格マーク・ボラン率いるT.レックスの1972年のシングル。全英2位のヒット曲。
【革命の子供たち】えいたそ革命を起こす原動力はでんぱチルドレンにお任せあれ。

Marc Bolan & T. Rex - Children Of The Revolution (1972)



●ブラック・サバス『チルドレン・オブ・ザ・グレイヴ』
BLACK SABBATH - "Children of the Grave" from The End


イギリスのヘヴィメタルバンド、ブラック・サバスが1971年にリリースした3rdアルバム『マスター・オブ・リアリティ(Master of Reality)』に収録。
【墓場の子供たち】死のイメージと生のイメージのアンマッチがでんぱチルドレンの個性である。

BLACK SABBATH - "Children of the Grave" from The End (Live Video)



●サリアンジー『チルドレン・オブ・ザ・サン』
The Sallyangie- Children Of The Sun


イギリスのプログレ・ギタリスト、マイク・オールドフィールドが15歳の頃姉のサリーと結成したフォークグループ、サリアンジーの68年の唯一のアルバム。
【太陽の子供たち】えいたそは太陽だから、太陽から生まれたでんぱチルドレンは瑛美の遺伝子を受け継いでいる。

The Sallyangie- Children Of The Sun (1968)



●JUDE『世界の子供達』


浅井健一率いるJUDEの4thアルバム『ZHIVAGO』(2004)に収録。
【世界の子供たち】世界中のでんぱチルドレンが手を取り合えば世界平和も難しくない。

JUDE 世界の子供達



●フラッシュ『チルドレン・オブ・ザ・ユニヴァース』
Flash - Children Of The Universe


元イエスのギタリスト、ピーター・バンクスが71年に結成したプログレバンド、フラッシュの1stアルバム『フラッシュ Flash』(72)に収録。
【宇宙の子供たち】宇宙人のでんぱチルドレンは地球人と友達になりに来たんだね。

Flash - Children Of The Universe



●Maison book girl『海と宇宙の子供たち』


ニューエイジポップユニット、ブクガことMaison book girlの4thアルバム(2019)。
【海と宇宙の子供たち】海から来たでんぱチルドレンと宇宙から来たでんぱチルドレンはすぐ仲良くなれる。

Maison book girl / 悲しみの子供たち / MV



●NECRONOMIDOL - CHILDREN OF THE NIGHT


暗黒系アイドルユニット、ネクロ魔ことNECRONOMIDOLのミニアルバム『Scions Of The Blasted Heath』(2019)に収録。初の英語詞。
【夜の子供たち】でんぱチルドレンは夜遊びが得意。瑛美の話し相手になってくれるよ。

NECRONOMIDOL - CHILDREN OF THE NIGHT Music Video



●↑THE HIGH-LOWS↓ いかすぜOK


甲本ヒロトと真島昌利が率いるTHE HIGH-LOWSの18枚目のシングル。2002年発売。アクエリアスのCMソング。
【夏の子供たち】夏はでんぱチルドレンの季節。汗をかいていかすぜOK。

THE HIGH-LOWS 「いかすぜOK」live


チルドレン
でんぱ組.incが
大好きだー!!!



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【私のポストパンク禁断症状#9】Phew『Phew』『VOICE HARDCORE』~眩暈の巫女の禱が世界をノックアウトする。★本日、灰野敬二とコラボレーション!

2020年10月13日 02時17分26秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


Phewと言えば、自分史の中では、1979年高校2年の時、The Clashの2ndアルバム『Give'Em Enough Rope』を買うつもりで訪れた吉祥寺の輸入レコード店ジョージアで、Vanity Recordsから発売されたばかりのアーント・サリーのLPを見つけて、ジャケットのベレー帽の少女に一目惚れして、買おうかどうか迷ったあげく、The Clashを購入した、という思い出がある。あの時、仄かな恋心に身を任せる勇気があったら、あまりに貴重な初期日本のパンクの名盤を同時代に聴くことが出来ただろうに、と後悔の念に駆られたこともある。

実際にPhewの歌声を聴いたのは1980年の坂本龍一プロデュースのシングル『終曲/うらはら』だった。YMOはみんなが聴いていたので好きじゃなかったが、暗黒フォークのテクノ版と言えるこのシングルは好きだった。同じPass Recordsから81年に出たソロ・アルバム『Phew』は、82年大学1年の時にアルバイトを始めたライヴハウス吉祥寺GATTYのカウンターに、灰野敬二『わたしだけ』、阿部薫&吉沢元治『NORD<北>』、ジェファーソン・エアプレイン『シュールリアリスティック・ピロー』等と一緒に飾ってあったのをカセットテープに録音して聴いた。コニー・プランク、ホルガー・チューカイらドイツ人による音楽は、坂本龍一以上にテクノっぽく聴こえて、クールで抑揚のない歌というよりヴォイスを聴かせるPhewはアンドロイドの巫女の禱だった。同時に聴いた灰野の呪術性や阿部の情念性と共に、80年代初頭の地下音楽の香りとして筆者の感性に色濃く刻まれている。

84年にアーント・サリーのLPが再発されてやっと聴けたときには、もっと早く聴くべきだったという後悔と共に、ポストパンクのクールビューティーというイメージの彼女の心の中の熱いロック魂を感じて、戻れない青春時代(笑)に思いを馳せたりもした。しかし80年代後半になるとインディーズやバンドブームが訪れ、自分の興味が肉感的なサイケデリックロックに向いていったために、Phewの活動を追うことが少なくなっていった。しかし心のどこかにPhewの存在は常に引っかかっていた。

1993年2月17日裸のラリーズの川崎クラブチッタ公演のサポートアクトがPhewだったので、初めてライヴが観れると期待していたのだが、開演直前にラリーズ側(水谷孝)とトラブルがあったらしく、土壇場で出演キャンセルになった。Phewが出演予定だった約1時間ずっと無音でストロボが明滅していた。立ちっぱなしで疲れ切った観客に向けて放射された裸のラリーズの演奏は、音圧で会場の入り口の扉が開閉を繰り返していたほどの爆音体験だった。



Phewのライヴを初めて観たのはたぶん2005年2月新宿ロフトで灰野敬二/Reck/PillのバンドHead Rushの対バンで出演したMOSTだったと思う。New Wave/ポストパンクのイメージを払しょくする熱いパンクロックに胸熱だった。
Head Rush & Mostを新宿ロフトで観てきたよ(2005年2月12日記)

次は2009年10月11日新宿ロフトでのDrive To 2010でPhew(vo)、Bikke(g)、石橋英子(key)のBEP。クールなPhewのヴォーカルに仄かな母性を感じた。この日の対バンは灰野敬二とチコヒゲ(フリクション)のデュオだった。
DRIVE TO 2010:灰野敬二×チコヒゲ他@新宿ロフト 09.10.11(sun)

2010年11月7日早稲田大学学園祭でPhew+山本久土。2010年12月18日新代田FeverでMOST。2011年5月28日渋谷WWWでのPhew×高橋悠治は世界の反戦歌や抵抗の歌を歌う孤高のコンサートだった。
ヘアスタ、湯浅湾、Phew@早稲田祭 2010.11.7.(sun)

kuruucrew/MOST/ooioo他@新代田Fever 2010.12.18(sat)
Phew×高橋悠治@渋谷WWW 2011.5.28(sat)

2014年11月24日に六本木スーパーデラックスでPhewとジム・オルークのデュオを観た。対バンは灰野敬二と石橋英子デュオ。エレクトロニクスを駆使した電子音による新たな表現に驚いた。2015年1月10日六本木スーパーデラックスでは映像アーティストRokapenisとのコラボレーションで砂嵐のようなパフォーマンスを聴かせた。対バンはアンラ・コーティス+灰野敬二。2015年10月4日のスーパーデラックスではヴィンテージシンセとヴォイスのソロ演奏。対バンは空間現代×灰野敬二。Phewのエレクトロニクス演奏は会場限定で発売されていたCDRで聴くことが出来る。その時々の実験精神をそのまま録音したような、音の日記のような私家盤である。
灰野敬二+石橋英子/PHEW+ジム・オルーク@六本木SuperDeluxe 2014.11.24(mon)
アンラ・コーティス+灰野敬二/PHEW/ジョン・イラバゴン他@六本木SuperDeluxe 2015.1.10(sat)
空間現代×灰野敬二/PHEW@六本木SuperDeluxe 2015.10.4(sun)

2017年にリリースされたアルバム『VOICE HARDCORE』はタイトル通り声(ヴォイス)に特化した新しい世界を聴かせてくれた。声だけを素材としてミックスされた捻じれたバックサウンドに廃品回収のアナウンスや狂者の呟きのようなポエトリーを乗せた音楽は、かつて感じたアンドロイドの巫女のオーラが深い地底からマグマのように吹き出すSonic Volcano(音響火山)だった。エレクトロニクスとヴォイス、Phewにとってはどちらも同じ自分自身であるに違いない。

2020年9月にリリースされた最新作『Vertogo KO』は2017~2019年に録音された音源をコンパイルしたアルバム。エレクロニクスとヴォイスの関係がバランスよくミックスされた作品群は、タイトル通り「Vertigo(眩暈)」こそがPhewの音楽の核であることを示している。「自分で見聞きする、目に見える世界だけが世界のすべてではない」と語る(MIKIKIインタビューより)Phewが生み出す眩暈は、混迷の世界にとっての救いの光なのかもしれない。

Phew - Vertigo KO


眩暈から
聴こえる声の
美しさ



さて、筆者のPhewライヴ観戦記でもお分かりのように、Phewと灰野敬二との対バンは多々行われている。調べた限りで最初の対バンは1981年8月15日 東京・日比谷野外音楽堂での「天国注射の昼 VOL.3」だと思われる。灰野は不失者、Phewは竹田賢一率いるA-musikとのコラボで出演。他の出演はKEIKO、グンジョーガクレヨン、山崎春美+白石民夫&タコ、PUNGO+近藤達郎、コクシネル、FULLX、VEDDA MUSIC WORKSHOP、原田依幸+片山広明+菊池隆、じゃがたら+和田幸子、BAKUZU、カヌーレ、SHGHING-P ORCHESTRA、坂本龍一、巻上公一、鳥居夷、伊藤はじめ、アウシュヴィッツ、まだ。

40年近く何度も対バンしている二人が初めてデュオとしてコラボレーションする本日の「にじのつきeden vol.2」。入場チケットはソールドアウトだが、アーカイヴなしのライヴ配信チケットは本日20時まで購入可能。”魂を操る司祭”=灰野敬二と”眩暈の巫女”=Phew、それぞれ孤高の道を歩み続ける二者の共演は見逃せない。

10月13日(火) 東京・下北沢440
〈にじのつきeden vol.2〉 Phew 灰野敬二

有観客ライブ(40人限定)+有料ライブ配信(アーカイブなし)

開場 19:30 / 開演 20:00
入場チケット:前売¥3,500(1D別)/ 当日¥500up ※SOLD OUT

配信開始:20:00〜(※アーカイブなし)
配信チケット:¥2,000+投げ銭
ZAIKO:( https://440-fourforty.zaiko.io/_item/330718)
販売期間  9/28 20:00〜 10/13 20:00
配信期間 10/13 20:00〜 10/13 23:00(終演まで)

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