5月20日にミニアルバム『Story』、さらに収録楽曲「Against The Drain」「スリルジャンキー」「miracle story」の7インチシングルを3か月連続リリース。元偶想Dropの”若”が加入し新体制になり、9月30日渋谷WWWワンマンライブ『爆裂大乱闘-バーストコロシアム-』へ向けて爆走中。
そういった環境的違い以上に、オンラインでしかできない仕掛け・企画・効果を盛り込んだオンライン・ライヴも登場してきた。その先駆者のひとつが秋葉原発、“萌えキュンソングを世界にお届け”でんぱ組.incである。SNSのみを使った楽曲制作「なんと!世界公認 引きこもり!」に続いて、5月16日にはテクノロジーと融合した次世代VJ オンラインライブ『THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE』を配信。画面からはみ出すほどの色彩の乱舞や、メンバーの顔を塗りつぶしデフォルメする掟破りのVJ演出など、演奏するだけの味気ない配信ライブとは一線を画すエンタメ感溢れる内容となり、世界を驚愕させた。電脳深海に溢れる透明な泡の向こうでほほ笑むえいたそこと成瀬瑛美の姿は、生のステージを観るときには感じられない、夢の世界に舞い降りた天使の如き神秘性を帯びていた。
ボビー・ジェントリー Bobbie Gentry (本名Roberta Lee Streeter)は1942年7月27日ミシシッピー州チカソー・カウンティ生まれのシンガーソングライター。自分の曲を作曲しプロデュースした最初の女性アーティストと言われる。1967年に自作の南部ゴシック・ソング「Ode To Billie Joe ビリー・ジョーの唄」が全米No.1ヒットになり、翌年のグラミー賞の新人賞と女性ポップヴォーカル賞を受賞。11曲のビルボード100ヒットと7枚のアルバムをリリースしたが、1981年に芸能界を引退した後は、一切表舞台には登場せず隠遁生活を送っている。
1967 / US: Capitol Records – ST-2830 / 1994.11.30 Los Angeles Aron's Records $0.99
大ヒット曲「Ode To Billie Joe」を収録した1stアルバム。67年7月にリリース。A-1. Mississippi Deltaでスワンプロックに乗せて“M I double S I double S I double P I”つまりMISSISSIPPIと繰り返す老婆のようなダミ声はまさしくヴ―ドゥ―・サイケ。素朴なギターの弾き語りでも、美声というより妙に色っぽい艶声で歌われると不思議な浮遊感がある。もしボビーがBig Brother & The Holding Companyのようなサイケバンドと出会っていたらジャニスのライバルになっていたかもしれない。
Bobbie Gentry - Ode To Billie Joe
●Bobbie Gentry / The Delta Sweete
1968 / UK: Capitol Records – ST 2842 / 1996.1.16 London Reckless Records Berwick St. £8.99
●Bobbie Gentry / Way Down South
1971 / UK reissue: Music For Pleasure – MFP 50006 / 1995.11.12 London Music & Video Exchange £2
68年2月リリースの2ndアルバム。ボビー自身がギター、ピアノ、バンジョー、ベース、ヴァイブなど様々な楽器を演奏し、ストリングやホーンを使った実験的なアレンジを施したデルタカントリー版アビー・ロード(サージェントペパーズではなく)と呼べるアルバム。ガレージロックのスタンダード「Tobacco Road」「Parchman Farm」のスワンプ・カヴァーも聴きどころ。下の『Way Down South』は廉価再発盤。なんと7月31日にDeluxe VersionがCD/LP各2枚組でリリースされる。
Bing Crosby and Bobbie Gentry - Okolona River Bottom Band
コロナ禍自粛前に最後に行ったライヴイベントは3月22日(日)代々木Zher The ZOOでのナックルチワワ一周年記念ライヴ。それ以来3か月一切生のコンサート現場のない生活を耐え忍んできた。地下アイドルにハマる前から地下音楽・フリージャズ・ガレージロック等のライヴを年間150本近く観続けてきた筆者のライフスタイルの異常事態宣言と言えるだろう。代替え案として配信ライヴやトークショー、チェキ会・サイン会が多数行われるようになったが、やはり生の三密状態でのライヴ現場を求めてやまないこの身体の火照り。それをやっと醒ましてくれるナマ現場を3か月ぶりに体験することが出来た。裏事情は傍から見るより複雑怪奇ではあるが、それはともかくライヴハウスで生のパフォーマンスを観ることが出来る歓びを少しでもお裾分けできれば幸いである。
●NECRONOMIDOL新体制・初観客入りライブ・『dark endless』
6月25日(木) 渋谷 Chelsea Hotel
1部 18:30
2部 21:00
入場料金1500円 +1D
アコースティック盤。ヴォーカル曲の間にインストナンバーがサンドイッチされたコンセプチュアルな構成になっている。アコギやジャンベを使った演奏は確かにアコースティックだが、いわゆるアンプラグドとは全く異なり、ライヴでは再現できない実験やエスニックな冒険に挑戦した"Other Side of atomicfarm"を提示している。音数が少ない分、詩情豊かなもよぽんのヴォーカルが強調され、カネコアヤノや角銅真実を思わせる部分もある。感情の起伏の穏やかさで考えれば、こちらのほうが万人向けかもしれない。ただしサブリミナルな中毒度は高いので要注意。
21世紀東京New Waveシーン(なんてあるのか知らないが)を代表するロックバンド「壊れかけのテープレコーダーズ」の4年ぶりの6thアルバム『End of the Innocent Age』も5月20日(水)リリース。ボーカル、ギターの小森清貴とキーボードの遊佐春菜は10年以上前中央線沿いのライヴハウスで頻繁に遭遇した。筆者の主現場が地下アイドルに移行すると共に、山崎ハコ似の黒髪と透明な歌声で心をときめかせた遊佐と会う機会が減ってしまった。新ドラマーを迎えた新生壊れかけのテープレコーダーズが提示するロック・フリーダムで心と身体を清めると同時に、久々に幼馴染に会えるような歓びに身震する。
2005年結成のロックンロール・アイドル、THE BOHEMIANSの3rdアルバム『THIS IS POP』(2012/4/25)に収録。理屈なしでグッとくるロックンロール・ポップソングの決定盤!約100曲から選ばれた宝石のような曲は全曲キラー・チューン。メロディー・メーカーとしての才能がさらにアップした一枚。
1981年大坂の高校の友人同士のMikaとHikkoがライヴ会場で知り合ったChasen-maruと3ピース・バンドを結成。ピストルズ、クラッシュ、ビートルズのカヴァーを練習したがうまくいかずオリジナル志向に転向。82年にライヴ・デビューし、大阪メインで活動。83年から京都のBeat Crazy主催イベントに出演し、大阪以外の東京・関東のバンドとも共演、スターリンのオープニングを務める。夏に初の関東ツアー。84年8インチEP『OXZ』を自主リリース。85年大阪にオープンしたライヴハウスEggplantに定期的に出演。同年12月12インチEP『Fall In The Night』をNight Galleryよりリリース。87年12インチEP『And Blue And Bleed』をBalconyよりリリース。88年コンピレーション『West Psychedeila 2』(Alchemy)に参加。89年音楽的方向の違いでMikaの脱退表明に伴いOXZは解散。MikaとChasen-maru(すぐに脱退)はPlaymatesを結成、93年まで活動。Chasen-maruは95年パリに移り、本名のEmiko Ota名義で打楽器奏者として世界的に活動中。Mikaは最近Bluedieというバンドをスタートしたという。
Kato David Hopkinsのライナーを読んで初めて知ったのだが、OXZのMikaとHikkoは少年ナイフのメンバーと同じ高校の軽音部に所属していたという。方や天真爛漫なポップロック、方やダークなポストパンク。関西80'sガールズロックを代表する対照的な2バンドが同じ場所から発生したことは興味深い。70年代後半に京都どらっぐすとうあから非常階段やUltra Bideなど関西NO WAVEの重要バンドが出現したことを思わせる。関西は東京/関東に比べシーンの規模が小さい分、音楽の新潮流の感染源、いわばクラスターが発生しやすいのだろう。