師走だよ!フーシャーショーvol.1
出演:扇愛奈とFoo-Shah-Zoo / コロボックルズ
10月の筋肉少女帯のライヴで配布されたチラシの中にコロボックルズの名前を発見してオオッと思った。今年の3月に初めてライヴを観て2013年最初の大衝撃!と感動した割には、それ以降情報チェックを怠っており、秋口にいきなり新曲のMVがアップされたことに気づき驚いた。しかし新作のリリースがまだ先だったので、次第に忘れかけていたのが正直なところ。その日健在ぶりを見せつけた筋少の本城聡章と内田雄一郎がバックを勤める扇愛奈については余り知らず、コロボックルズとの関係も不明だが、4~5バンド出演のイベントではなく2マンでたっぷりこの小人トリオのステージを観れる機会を逃す訳にはいかない。
久々の三件茶屋の変貌ぶりに感嘆しながらヘヴンズドアに辿り着くと、女性ファンが列を作っている。扇か筋少か判らないが、いずれにせよコロボックルズ目当ではなさそう。女性軍に紛れて入場し、申し訳程度に設置されたテーブル席に居を定める。ステージ前は女子に占拠されている。BGMは懐かしのグループサウンズ。Foo-Shah-Zooの選曲だろうが、いい趣味をしている。物販で新作CDを売っているかと思ったが、発売日は3日後とのこと。トンガリ頭のベースのイシモックルこと石本幸景がウロウロしているが、ヴォーカルの寺田恵子はいたとしても小人なので判らない。
●コロボックルズ
テーマ曲「森の小人」のSEで客席から3人が登場。ヘヴンズドアの楽屋はホール後方にあるので出演者は客を掻き分けてステージに向かうのだ。ステージが高いので背が低いケイコもよく見える。一曲目「初恋」から容赦ないカミソリビートと真っ直ぐな歌が耳に突き刺さる。間もなく発売の3rdミニ・アルバム『かざくるまセレナーデ』の新曲も明快な歌とキャッチーなメロディで覚え易く即座にスタンダードとなる。何より印象的なのは、"その先に辿り着くため同じことばかり繰り返す"「ろくでなしに咲いた花」、"とにかく今夜は踊りましょう"「ダ・カーポ」、"ロックンロールは鳴り止まない どんな時も"「満月ロックンロール」といった直球過ぎる歌詞だろう。衒いのない確信に満ちた言葉は、価値観が多様化してカオス化する世界に生きる僕らを眩しい光で導いてくれる。「響いているなら」で歌われる通りに"安っぽいメロディに自分を重ねながら"踊っていると、知らず知らずのうちに目頭が熱くなってくる。この三人はロックンロールの神さまの使者に違いない。
<Set List>
1 初恋
2 てんじんさん
3 TwinkleRollers
4 ディスコティックジャパン
5 響いているなら
6 かざぐるま
7 ろくでなしに咲いた花
8 赤いスカートとワルツ
9 ディスコード
10 ダ・カーポ
11 花ごころ
12 満月ロックンロール
13 チカリ
14 向日葵
●扇愛奈とFoo-Shah-Zoo
2005年デビューの扇愛奈は、頭脳警察やプリンセス・プリンセスをカヴァーしたり、杉本恭一(La-ppisch)、水戸華之介(アンジー)、大槻ケンヂ(筋肉少女帯)などと共演するなど、ベテランと親交が深い。2010年からガールズバンド「ジ・アジナーズ」で活動したが、今年春に解散。筋少の本城(g)と内田(b)、NESSの河塚篤史(ds)とともにFoo-Shah-Zoo(フーシャーズー)を結成。60/70/80年代生まれの三世代からなるモンスターバンドとして話題になり、今回が3度目のライヴとのこと。バンド活動と平行して「弾き叫び」ソロライヴを行う扇のパフォーマンスは老獪なベテラン3人に引けを取らない堂々としたもの。コロボックルズの飾り気の無さとは真逆の作り込まれたサウンドには強烈なインパクトがある。物怖じしない情念的な世界が女性に人気が高いのが理解出来る。
<Set List>
1.三日月ゲシュタルト
2.Foo-Shah-Zooのテーマ
3.メガネロック
4.魔王
5.ペーソスメーカー(新曲)
6.ひねくれて藤沢
7.どこか平たいトコで
8.かくれんぼ
9.再起動スイッチ
10.エレベータアガール
en1.ピープルパープル
en2.ココロジュース
今回のイベントは、一度だけ対バンしてコロボックルズを気に入った扇からの直々のリクエストとのこと。同じ女性メインのバンドながら対極にあるスタイルと、それにも関わらずお互い心が通じ合う不思議なシンパシー作用が面白い。人と人の縁から生まれる新たな出会いこそ、ヴァーチャル世界では有り得ない、生のコミュニケーションの醍醐味であろう。どちらも独自の世界観を追求しているのも素晴らしい。
個人的には間もなく手に入るコロボックルズの新作に期待すると共に、彼らの魅力に当分痺れっぱなしでいたい。
コロコロと
転がる石で
ありたい