A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

Multiple Tap:非常階段/ドラびでお/伊東篤宏/PAINJERK etc.@神宮前 Galaxy 銀河系 2013.11.30(sat)

2013年12月02日 02時16分11秒 | 素晴らしき変態音楽

(写真・動画の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

MultipleTap at Galaxy - Gingakei

出演:非常階段(JOJO広重、JUNKO、T.美川 )/ドラびでお/田中悠美子/中村としまる/秋山徹次/伊東篤宏/石川高/若林美保/PAINJERK/大城真/川口貴大/毛利桂/康勝栄



2014年2月22日(土)、23日(日) ロンドンCafe OTOで開催される日本カオス・カルチャーの祭典<Multiple Tap>のプレミアムイベントが原宿のGalaxy 銀河系で開催された。渋谷・原宿駅から歩いて10分のアパレルショップの並ぶストリートにひっそり存在するこのギャラリーは、これまでも先鋭的なアート展とともにライヴ/DJ/サブカル系のイベントを企画しており、記憶に新しいところでは五海ゆうじの阿部薫写真展に合わせて今井和雄のライヴが開催された。用途が限定された会場ではなく、企画に合わせてレイアウト変更できる自由空間なので、今回のような出演者が多岐に亘るマルチイベントには最適である。

●毛利桂(turntable)+康勝栄(g)


開演に10分程遅れて会場に着くと、何やら地響きのような音が漏れてくる。ギャラリーの奥に大道芸を見るような人だかりが出来ていて、強烈な重低音が会場を満たしている。人の頭越しに眺めると、フルアコを抱えた若いギタリストが座っている。彼がこの轟音を出しているのか、と思ったがどうも様子が違う。さらに奥に後ろを向いた女性が何かを抱えて身をくねらしている。最初短波ラジオか、と思ったらポータブル・レコードプレイヤーだった。男性はギタリストでこのイベントの企画者の康勝栄、女性は毛利桂。本イベントは組み合わせを変えてコラボ・パフォーマンスするスタイルである。




●田中悠美子(義太夫三味線)+石川高(笙)


続いて雅楽デュオ。田中は何度か観た時は白い和服姿だったので、洋装が意外だった。三味線や大正琴を擦ったり叩いたりの変則奏法、ハチャメチャな義太夫節、急転直下の問わず語り、と目紛しくも強烈なパフォーマンスに笑いも起る。対する石川はそれに動じない落ち着いた演奏で侘び寂びを体現する。雅楽のスタイルを借りたジャンルレスの即興パフォーマンスは、特に西欧人には興味深いだろう。




●大城真+川口貴大


ギャラリーの真ん中に大きな脚立が設置される。取り囲む観客が見守る中、ふたりのパフォーマーが様々な物体(オブジェ)を準備する。川口はアルミホイルを客席に貼り巡らせ、電流を流すと言って脅す。大城はがたがた震動する小箱やスピーカーを針金で脚立に繋ぐ。ストロボが点滅する中、淡々と作業が進み、川口が小型扇風機でアルミホイルを切り裂き、脚立をひっくり返す。さて何が起るのかと期待していると、突然終了を告げる声。大掛かりなセットを用意して結局殆ど何も起らずじまい。川口のバイオにある通りの無意味の集積物であった。




●PAINJERK


PAINJERKこと五味浩平はソロでラップトップノイズ演奏。90年代ジャパノイズの代表格として活躍した頃と変わらぬ容赦のない大音量のノイズ放射がギャラリー全体に共鳴し震撼させる。日本のノイズが海外で大きな反響を呼んだ一因は際限のない大音量だった。よく考えれば、欧米に比べ住宅事情の悪い日本でなぜこんな大音量演奏が許されるのか、不思議な気がする。原宿のど真ん中に激烈な轟音ノイズが鳴り響くのは、まさに大都会のカタストロフィである。




●中村としまる(electronics)+秋山徹次(g)


インディジョーンズ風のハットを被った銀髪長身の秋山とハンチング帽の秋山は、何度も共演している気心知れた組み合わせ。派手さは無いが、高い演奏力と豊かな発想に裏打ちされた確信に満ちた即興演奏は、現在日本の最高レベルかもしれない。どちらも大ベテランでありながら、常に最大限の自由を追求する姿勢には感服するしかない。




●ドラびでお(DORAnome)+伊東篤宏(optron)+若林美保(dance)


ヴィジュアル的に最大の見せ場となるトリオ。ドラマーからヴィジュアル・コンピューター・アーティストに転向したドラびでおこと一楽儀光は音、映像を同時にコントロール出来る新世代楽器「DORAnome」を操り、パネルからカラフルな光を発する。伊東の蛍光灯を使ったノイズ発生器オプトロンも強烈な光を点滅させる。ふたりのライティング系演奏家に加え、ストリッパーの若林がロープを使ったSMエロチック・ショーを見せる。あらゆる権威を罵倒するセンセーショナルな映像もプラスされるので、見所だらけの盛り沢山なスーパー・ヴィジュアル・テロリスト・パフォーマンスである。若林の艶かしい裸体だけでも充分過ぎる程刺激的なのに、強烈なノイズと明滅する光の放射で頭がクラクラする。ロンドンでは、16年前のポケモンショックのように失神者が続出するかもしれないので、事前に注意を呼びかけた方がよかろう。「Multiple Tapを見るときは部屋を明るくして離れて見てください」




●非常階段(JOJO広重、JUNKO、T.美川、白波多カミン )


満員の観客の中で、この場に似合わぬ美少女が隣で観ていて、原宿ガールがノイズを聴きに来るとは時代も変わったな~、と感慨にふけっていたら、その娘がギターを抱えて出てきたので驚いた。この日は初音階段の出演は無かったが、白波多カミンが非常階段に参加。そもそも昨年、大阪でJOJO広重と共演したのがカミンのノイズ初体験だった。その時の感想をカミンは「とてもセクシーな気分」と記している。以降初音階段に留まらぬ共演を重ねるのは、セクシーな気分が今も続いているからだろう。自分の両親と同世代のベテランと対等に渡り合うカミンの成長(逸脱?)ぶりは著しい。広重、JUNKO、美川の三人にとっても、若い感性から刺激を受けることは間違いない。それを証明するかのように、最近ではピカイチのストロング・スタイルのステージだった。ロンドンで暴動が起るとすればHIJOKAIDANが原因に違いない。Cafe OTOにフーリガンと私服刑事が潜入しないよう警戒が必要だろう。




当初の予想を超えるバラエティとユニークさに溢れたイベントだった。「世界でも類を見ない日本の音楽シーンの混沌さと過剰さを世界に発信する」コンテンツとしては申し分は無い。願わくばこれを第一回として定期的に開催できるようにしたい。そのためにも来年2月のロンドン公演を成功させなければならない。

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