Allah-Las JAPAN LIVE 2019
OPEN/START18:30 / 19:30
ADV./DOOR¥5,000/ ¥5,500(税込 / スタンディング / ドリンク代別)
ALLAH-LAS(アラーラズ)という奇妙な名前のバンドのことを知ったのはつい1週間前のネットの音楽ニュースだった。⇒今週初来日を控える西海岸サイケロックバンド、アラーラズの超限定日本仕様盤7インチ・レコードが公演会場にて販売決定!
今から30年前の平成元年(1989年)筆者が自称サイケデリックロックバンドFlower TripでTV『イカすバンド天国(イカ天)』に出演した時、審査員の伊藤銀次に「サイケを舐めるな」と怒られたものだが、近年「サイケ」は国内外を問わずロック用語として多用されている。しかし特定の音楽性やスタイルを示すのではなく、イメージや雰囲気を形容する言葉である点に注意したい。なんとなくふわふわした雰囲気があったり、どこか別の世界のイメージがあったりした場合、直接言葉で伝えられない場合便利な言葉が「サイケ」のようである。伊藤銀次が聞いたら卒倒しそうな「舐めた」使用法と言えるだろう。だから「サイケ」と書いてあってもまずは眉に唾をつけて疑ってかかる必要がある。
アラーラズの場合もなにがサイケだ?という疑いから一応YouTubeで試聴してみた。シンプルなコード進行のギターロックにマイナーメロディの歌とコーラス、特に演奏が上手い訳でもなく、サウンドプロデュースに凝っている訳でもない、いわば普通のロックなのだが、どこか懐かしいノスタルジアに魅了された。感触としては13th Floor ElevatorsやChocolate Watch Bandといった60年代ガレージサイケの香りをそのまま現代に継承したローカルバンドといった赴きである。デジタルやバーチャルが主流になった21世紀の現代でも田舎の街には地元のロックシーンがあり、無数のガレージバンドがしのぎを削っているのだろう。テクノロジーが変化しても生身の人間が手と口で奏でるバンドサウンドはロックの基本のキであることに変わりはない。アラーラズを聴いていると、昔好きだった映画『アメリカン・グラフィティ』の高校のダンスパーティのシーンが浮かんで来て甘酸っぱい気分になる。
Allah Las - Tell Me (What's On Your Mind) (Official Video)
そんな気分を生で味わいたくて、アイドルイベントでしか行ったことが無い渋谷WWWXでのアラーラズの初来日単独公演に足を運んだ。日本での知名度は然程高くないと思われるが、耳の早い外国人客を中心に、若い日本人男女の姿も多く、満員とはならなかったが丁度いい感じの入り。開演前にドリンクカンター前でダベってした普通の兄ちゃん達がステージに現れた。ギターx2、ベース、ドラムの基本構成にキーボートとパーカッションを加えた6人組。MCは殆どなく次々曲を披露する。当たり前だがライヴの方が躍動感と臨場感があり、一見普通のロックバンドがなぜ来日するほどの評価を得ているのか分かる気がする。ノーエフェクトのフルアコギターのリバーヴ音、もう一方のギター(リバースファイアーバード)のレトロなトレモロやファズ、予想外に効果を発揮したコンガやブロックパーカッション、曲によって変わるユルいリードヴォーカル。激しい曲は無いが一部の外人客は熱狂的に盛り上がる。パンクやメタルやアイドルの直接的・直情的な盛り上がりとは異なり、肉体のリズムが心に伝わり喚起される自然のビートと言えるかもしれない。まさに老若男女問わず踊らせるダンスパーティの如し。
メンバーはサーファー出身だという。ビーチパーティの楽しさに青春の甘酸っぱさとエコロジー&ヒーリングの種とほんの少しのアシッドの香りを加えて育てた自然派サイケデリック感覚は、国や人種を問わず聴き手を快適なチルアウト体験に導くのである。
Allah-Las - Full Performance (Live on KEXP)
サイケとは
好きな音楽
それでいい
■ALAHH-LAS Short Biographyショート・バイオ
アラーラズはPedrum Siadatian(vocals / lead guitar)、Miles Michaud(vocals / rhythm guitar)、Matthew Correia(vocals / drum)、Spencer Dunham(vocals / bass)から成る4人組バンド。2011年にリリースしたセルフ・タイトルのデビュー・アルバムがA2IM Libera Awardsのインディペンデント・アルバム・オブ・ジ・イヤーにノミネートされ、Pitchforkなど名だたるメディアで取り上げられる。2014年にセカンド・アルバム『Worship The Sun』をリリース。これまでにUS、ヨーロッパ、南アフリカ、ロシア、メキシコ、イスラエルなど世界各地でツアーを行い、Coachellaをはじめとする大型フェスティバルにも出演を果たすなど、着実にその評価と人気を高めてきた。2016年12月にNYの気鋭インディ・レーベル<Mexican Summer>よりサード・アルバム『カリコ・レビュー』をリリースした。