Peter Kolovos 来日公演 2019
Peter Kolovos (guitar) + 川島誠 (alto sax) + 内田静男 (b) + 山㟁直人 (perc)+橋本孝之(alto sax, harmonica)
2019年11月7日(木)
東京【千駄木Bar Isshee】 open 19:30 / start 20:00
料金 投げ銭制(別途チャージ500円+ドリンクオーダー)
今回のピーター・コロヴォスの来日の主目的はPSFレコード関係の日本のアーティストや関係者に会って、今後の作品リリースのみならず、音源や素材を整理して保管する手助けを申し出ることだったという。11年前ロサンゼルスのユニバーサルスタジオの火事で多くの歴史的マスターテープが焼失したというニュースが報道された上に、最近発生したロサンゼルスの山火事を目の当たりにしたコロヴォスが、地震や台風被害が多い日本にあるマスターテープや写真素材の保護の使命感に狩られて飛んで来たと考えれば、黒船の来襲ではなく、義援隊の到着と言うべきだろう。一方元々ミュージシャンでもあるコロヴォスにライヴ演奏を見せてほしい気持ちはある、そう伝えたところ、願ってもない話に感謝。もちろんライヴをしてみたいとふたつ返事でOK。共演者選びは9月にコロヴォスの仕切でアメリカ・ツアーを成功させたサックス奏者川島誠の力を借りた。最大の問題はコロヴォスのためのギターを探すことだったが、サックス奏者橋本孝之がギブソンのレスポールを心良く貸してくれた。会場は千駄木Bar Issheeのに決まったがド平日の木曜日。動員が心配だったが蓋を開ければソールドアウトの超満員。知ってるミュージシャンの姿も結構ある。初めて観るコロヴォスの演奏ヘの期待が漂っている。
●橋本孝之SOLO
サックス一本銜えて屹立するダンディズム。真剣のような切れ味をもつハイトーンの一振りが期待の上の上を過ぎ去り際に聴覚シナプスを刺激する覚醒感。
●内田静男SOLO
打って変わって低音弦の弄りから発生する質量の波動が地下倶楽部の空気を浄化して、忘却に似た無我の境地を垣間見せるが、その隙間に弓が放つ嚆矢。
●ピーター・コロヴォスSOLO
レスポールのボディ上部のトグルスイッチを是ほど酷使するインプロヴァイザーはおるまい。シューゲイズしたまま音色と時間と空間を切断する執行人の如し。
●川島誠SOLO
情念の重みをひとり背負っていた曾ての面影は消え軽やかに飛翔するサックス奏者の姿があった。ヘヴィネスをコントロールし音に光を宿す術を産み出した喜び。
●山㟁直人SOLO
ドラムでもパーカッションでもなく皮を張った共鳴体になったスネアを摩擦するオブジェが熱を帯びて発火する前に音ヘ昇華し冷ます技はどんな轆轤職人でも敵うまい。
●セッション
くせ者揃いの5人が一斉に音を出すと、アンプ増幅された音だけが聞こえる現象を恐れたが、いかなる技か見事なバランスで観客の聴覚をやさしく蹂躙した。
コロヴォスは
ギリシャの名前
ソクラテス
再会を願って。