A Challenge To Fate

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【精神を解放する魔法の横笛フルート特集】クラウトロック編~クラフトワーク/タンジェリン・ドリーム/エンブリオ/ブレインチケット/フルート&ヴォイス

2022年05月14日 01時47分37秒 | 素晴らしき変態音楽


現在インプロ・アンビエントユニットMOGRE MOGRUでフルートをメインでプレイしていることもあり、俄然フルートの入った音楽を検索して聴くことが増えた。以前ブログで特集したフルートロックはもちろん、クラシックやジャズ、軽音楽や歌謡曲でもフルートが活躍している曲が多々あり、尽きることはない。
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そんな中で特に筆者の音楽志向に寄り添って豊かなインスピレーションを与えてくれるのがクラウトロック、つまり60年代末~70年代に西ドイツで花ひらいた実験的ロックムーヴメントである。英米のサイケデリックロックやヒッピームーヴメントに影響されて生まれたクラウトロックの特徴は、反復するミニマルミュージックや混沌とした電子ノイズ、集団即興のフリークアウトだった。演奏面では電子楽器やシンセサイザー、ファズ・ギター、ドラムのハンマービート、自由連想法のヴォーカルが目立っているが、実は創世記に重要な役割を担ったのがフルートだという事実に注目すべきである。

●クラフトワーク Kraftwerk / Kraftwerk(1970)


現在公式な再発がされていない初期三作『Kraftwerk』(70)『Kraftwerk 2』(72)『Ralf und Florian』(73)でのフルートをメロディ楽器ではなく、リズムやノイズの発生源として使ったインダストリアルサウンドは、後のテクノポップなんかよりもずっと筆者の心をときめかせる。フローリアン・シュナイダーは理想的なフルーティストとして心から尊敬したい。

Kraftwerk - Köln II - 1971



●タンジェリン・ドリーム Tangerine Dream / Alpha Centauri(1971)


デビュー作『Electronic Meditation』(70)にもフルートが使われているが、この2ndアルバムではUdo Dennebourgというフルート奏者の流麗なソロがフィーチャーされていて、電子音楽版フルート協奏曲と呼んでもいいだろう。その後どんどんシンセ中心に移行していくが、11作目『Cyclone』ではSteve Jolliffeが参加しフルート/ピッコロをプレイ、90年代半ばと2000年代にはキーボード奏者Linda Spaがフルートをプレイしている。瞑想音楽にフルートは良く似合う。

Fly and Collision of Comas Sola



●エンブリオ Embryo / Embryo's Rache(1971)


サイケデリックロックからインプロジャズ、ワールドミュージックまでジャンルを横断し、クラウトロックの中で最も折衷的なバンドと呼ばれるエンブリオは、現在まで続く半世紀に及ぶ活動の折々にフルート奏者を迎えている。特に『胎児の復讐』という邦題のセカンド・アルバムではHansi Fischerが印象的なジャズ・フルートを聴かせる。その後のインドやアラブ音楽などを取り入れた作品にも随所に民俗楽器的なフルートが登場。現時点での最新作『Auf Auf』(2021)ではマルチ・ミュージシャンのWolfi Schlickによる瞑想的なフルート・プレイが楽しめる。

Tausendfüßler



●ブレインチケット Brainticket / Psychonaut(1971)


ベルギー出身のJoel Vandroogenbroeckが結成したブレインチケットはクラウトロックの多国籍軍とも言える。ドイツ、イギリス、スイス、イタリアなどのミュージシャンが出入りし、瞑想的なサイケデリックサウンドを追求してきた。様々な楽器が使われているが、Vandroogenbroeckのスピリチュアルなフルート・プレイがドラッグ感覚を強調している。もっと評価されてもいいバンドだと思う。

Radagacuca



●フルート&ヴォイス Flute & Voice / Imaginations Of Light(1971)


"Flute" ことHans Reffertと "Voice"こと Hans Brandeisからなるデュオ・グループ。シタールとフルート(とはいっても木製の縦笛)の朴訥としたアンサンブルはメディテーションにピッタリ。アルバム全体はギターとヴォーカルがメインなので、名前通りのフルート作品を期待するとちょっと肩透かしではある。特に1973年に録音されたまま90年代まで未発表だった2ndアルバム『Hallo Rabbit』は完全なギター・アルバム。内容は素晴らしい。

FLUTE & VOICE Imaginations Of Light 01 Imaginations Of Light


ドイツ産
フルート喰らうと
トリップする

カールハインツ・シュトックハウゼン作『フルート、ピッコロ、アルトフルートのためのフルーティナ』
演奏:Eftihia Victoria Arkoudis
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