A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【盤魔殿アマルガム Vol.38】NNCK/モグモグ/COPASS GRINDERZ/Caterina Barbieri/田畑満/福田理恵/ライフェンシュタール/風まち月の魂ふり

2022年05月31日 00時43分07秒 | 素晴らしき変態音楽


●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


NO-NECK BLUES BAND / Clomeim (Locust) 2008
またノー・ネック(以下NNCK)かよ!って声もあるでしょうがメチャ探してたアルバムが入手できたので空気読まずに紹介(ビバ自分軸)。NNCKには日本人メンバーでタカハシミチコって人が在籍してるのだが彼女の日本語ボイスをフューチャーした”Make Love”を収録した本作。コレずーっとネットで探してたけどどこにも無くて「これは海外から取り寄せかな」と思ってた矢先に偶然元の職場で超格安にて発見。大丈夫かよ元職場・・・・・とは思ったがまあいいや。でこの”Make Love”まあセルジュ・ゲーンズブールの”ジュテーム”的な内容をゲーンズブールのネチっこさとは対極の渇ききったスローセックスで展開(それも日本語で)。音のほうもミニマル・インプロが朽ち果てて最後塵となって消える感じで超泣かせるからみんな聴いて欲しい。そういえば「NNCKイイ話」として僕がグっときたのが「何にも音が鳴ってない空間でひたすらメンバーがレイヴ会場にいるかのごとくガン踊りしていた」ってエピソードで、アーティストとして大切なのはそういうトコだぞって思った。


●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武


MOGRE MOGRU / DIVE ACTION BOX 1(2022 / Les Disques Du Daemonium)
環境音楽、アンビエント、ヒーリング、ニューエイジ、ドローン、バレアリックなど多種多様な胡散臭いラベルが付され、凡庸と波間に漂う曖昧模糊とした気分にさせこそすれ、音が終わったら心に何の傷跡も残らない、消耗品にも劣らぬ不用品のような音楽ジャンルに、筆者は五十余年間交わるなく音楽生活を送ってきた。おそらく2020年12月に今は亡き四谷茶会記で開催された《哲学者の薔薇園》+盤魔殿イベントで、Tanaoと黒い瞳に出会わなければ、今でもアンビエントなどと口にすることなど有りえなかっただろう。然して三人は出会い、2021年7月に開催された「盤魔殿SPIRITUAL LOUNGE vol.2」にて名も無きアンビエント・ユニットとして初舞台を迎え、10月にはモグレモグルというイカレた名前を授かった。管楽器を手にするとアルバート・アイラーか阿部薫の霊が宿り、耳障りなフリークトーンを巻き散らす筆者の悪癖は、Tanaoのスペースギターと瞳のエキゾエスノ楽器の祈りのフレーズに鎮静され、空想の森の木陰で愛を育むラヴバードの囀りの如く、己の心の枷を解き放ち宙に射精する。それ以来2022年5月5日に至るまでの10ヵ月間8回の発情の記録を一点一点愛情込めた手作り限定メタルボックスに奉納した。アルバム・タイトルはご存じWHITEHOUSE『LIVE ACTION』へのオマージュです。


●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規


COPASS GRINDERZ / 録音鬼第三部 LIVE AKTION DOCUMENT 11.26 (2CD+DVD)
2016年11月26日土曜日、新代田FEVERにて行われた 「拷問音響機構」((TORTURE SOUND SYSTEM WALL))。フロアにマーシャル三段を20スタック並べ全て鳴らすという前代未聞の愚行・音で人を殺す計画(未遂)の顛末を全て収録した2枚組CD、DVD、ブックレット付。ディスク盤面にはMiguel Ángel Martín氏(WhitehouseやEsplendor Geométricoのジャケを担当した事も有り)のイラストを使用、48ページ フルカラーブックレットには同氏の描き下ろし漫画「SNUFF MUFF」を掲載した超超豪華版。実は筆者もリアルタイムでこの「耳栓無き者は入場不可」という狂った企画に参戦し、あの轟音&音圧に殺されかけた1人なのです。次に同様のライブをやる時は耳栓禁止でアンペグを20台追加して40台で鳴らすことを真剣に考えていると笑顔で話していたZEROさんだったのですが...せめて名越さんや酒井さん、大地さんの力で未完のサード・アルバム『3rd KILL』のリリースを!と切に願うCOPASS ARMY DJ VABYなのです。 
   

●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


Caterina Barbieri / Vertical
ベルリンを拠点に活動し、シンセサイザーを用いたミニマリズムを追求するイタリア人奇才アーティストCaterina Barbieri。本作は氏が2014年にリリースしたファーストアルバムで2021年秋に再発された。
シンセサイザーの名機buchla 200 systemとヴォーカルの為の作品である。(buchla社のオフィシャルページにもリンクされている。)
動かずして波動を放つ…場は何もない空間に遷移する…ドローンを泳ぐ瞑想的な声は煙のように立ち上がり暗闇に孤を描き、氏とbuchla 200が揺らす芯があって重たい音が意識に都度浸潤し、異次元の膜を破るように突出する…無機的だがこの電子音には確実に主張がある…buchlaは時折り獣のように唸りをあげ後半のオシレーターの騒めきには血液の潮さえ感じてならない…
氏は音々の流れを感じ取り、共振することで新たな地平をひらいては進んでゆく…
buchlaシンセの特徴である聴くものの意識を一気に引き込む強烈なエネルギーをしっかりと引き出した必聴盤である…


●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda


precog 田畑満/福田理恵
https://www.discogs.com/release/12777891-Rie-Fukuda-Mitsuru-Tabata-Precog
2018年5月、オースチンレコードよりリリースされた一枚目のアルバム。福田は朗読に専念し、田畑がギターとアレンジを全て担当している。宅録とスタジオ録音が半々なので、全編聴くと何となくわかってしまうのであるが....
もう既に好い思い出となる。これはテキストありきの作品であり、私の書いた詩を田畑さんが読み込み、そのイメージでギターを弾いた、ざっくり説明するとそんな方法で進めて行った。田畑さんならどんな解釈をするのか、とても楽しみな数ヶ月だった。デュオでのライブを展開していた頃から、絶妙なタイミングで印象的なフレーズを絡めてくるその手腕に満足していたが、録音でもそれは変わらない。因みに、隠し味として私のイジドール(electribe EA-1)の音が作り込まれて練り込んである。これは、キーをテープで止め15分位鳴らしっぱなしにしたもの。タンジェリンドリームか何かのライブでやってた、と田畑さんが提案してくれた。
最後のスタジオ録音は真冬、身を切る様に寒い日だった。
あれから時が経ち、状況が変化し、思い切って手術もしてひとつの大きな悩みを解決した。
出来上がりには大変満足しているが、改めて聴くと"この詩人は大丈夫か、少し外に出て運動でもしたらいいのに"と自分の事ながら心配になる。生々しく真っ赤な血液が流れる作品に仕上がったが、同時に、その時生きていた存在を一枚の盤に閉じ込める事が出来た。そんな作品である。


●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


ライフェンシュタール/秘密兵器あらわる SSZ3077/INK 008CD
新潟に本拠を置くSUEZAN STUDIOはジャーマン・ニューウエーブの隠れた名盤をコンスタントに再発し続けている意欲的なインディーズレーベルだ。今回の再発は80年代初期に活動したREIFENSTAHL。このバンド名はナチスのプロパガンダ映画「オリンピア」(第一部「民族の祭典」、第二部「美の祭典」)の監督として知られるLeni Riefenstahl(レニー・リーフェンシュタール)の名をもじり、「くたびれた鉄」という意味を持たせたもの。本作Die Wunderwaffe(邦題「秘密兵器現る」)は、プログレッシヴ・ロックからバッハ、レゲエ、ファンクまでさまざまなエレメントを混ぜ合わせ、エレクトロニクスとポップにホラーを少々加味したライフェンシュタールのファースト・アルバムだ。発表当時はリーフェンシュタールは存命中(1902年生まれ2003年死亡)であり、裁判でナチス構成員ではなかったとの判決を受けたものの、ナチスとの関連疑惑やプロパガンダに寄与したことで批判にさらされていた。しかも発表当時の1981年は米ソ冷戦の真っただ中であることを考えると、この作品の持つメタファー性もおのずから明らかになろうというものだ。遅れてきたプログレでもなく、ファウストのフォロワーでもなく、当時そして現在の世相と照らし合わせて聞き込むうちに、謎がますます深まる一枚だ。


<―――――――――――――――――――――----EVENT INFORMATION――――――――――――――――――――――――>


2022年6月12日(日)  桜台POOL
【風まち月の魂ふり-密教・ノイズ・シュルレアリスム-】


▪️開場 17:30 ▪️開演 18:00 
▪️料金 一般 3000円 学生2000円
▪️予約方法  専用ウェブサイトhttps://reserva.be/poolにて
▪️出演者 ライブ:混沌の首 Erehwon
座談会:内海信彦 羅入 石川雷太 山田遼(司会・進行) 座談会テーマ「芸術家が考える生と死 -越境のための、狭間にあるものへのオルタナティブなまなざし-」

本イベント「風まち月の魂ふり」では、雑多な日常に埋もれた我々の、生命としての本願を今一度想起すべく、出演者・来場者双方が境界を超えて瞑想し、万物が生じ/滅する拠り所としての霊場を顕現させる儀式を挙行する。
密教系芸術集団「混沌の首」は高野山真言宗僧侶である羅入の真言と、美術家・石川雷太主宰のノイズユニット「Erehwon」が放つ轟音の渦の中で、真の芸術的・啓示的インスピレーションを体得するための根源へ至るべく瞑想を行う。
また、「Erehwon」のソロパフォーマンスでは、鉄板や工業用スプリングなどの金属廃材のリアルタイムな打撃音・摩擦音と、TVニュース映像等をサブリミナルにミックスしたパフォーマンスを行い、痛みを伴うような超現実=シュールレアリズムを現前させる。
出演者による座談会では、ライブ出演者に加え、美術家の内海信彦を招き、それぞれの作品の写真・映像を紹介しながら芸術家としての活動遍歴を振り返り、優れた芸術作品が共通して持っている「人間の生と死へのまなざし」を、芸術家自身が言葉で語り、自身の死生観が、思考と実践の果てに産まれた美術作品にどのような影響を与えているのかを語り合う。

▪️出演者プロフィール
<混沌の首>
2008年始動。宗教家、美術家、音楽家、ダンサー、舞踏家、役者などにて構成される密教系芸術集団。高野山真言宗僧侶羅入の真言と現代美術家石川雷太率いるErehwonのインダストリアルなノイズ・サウンドにて、神林和雄の供養舞い、瞑想者による「動く瞑想」が繰り広げられる。瞑想者が鐘や太鼓を打ち鳴らしながら激しく踊る様は現代の踊り念仏と評される。

<Erehwon>
美術家、石川雷太が主宰するノイズ・パフォーマンス・ユニット。昼間光城(メタルパーカッション、エレクトロニクス担当)とともに1997年より活動。鉄板や工業用スプリングなどの金属廃材の打撃音・摩擦音のライブ・ミックスによる演奏を行う。インダストリアル・エイジの「光」と「影」が映し込まれたそのサウンドは、現代に生きる我々にとって最もリアルで最も基礎的な、潜在的なBGMだといえる。物質主義や自然主義の立場から独自の哲学を表現する。

<内海信彦>
美術家/ハーヴァード大学客員芸術家/早稲田大学日米研究機構招聘研究員 /ペルー国立美術学校名誉教授/ペルー国立教育大学客員教授/早稲田大学「内海先生のドロップアウト塾」主宰/「早稲田・リベラルアーツ・アソシエーション」主宰/1992年よりハーヴァード大学を始めとした世界各国の教育機関で講義・ワークショップ・滞在制作を行う。2000年にはポーランド政府より招待を受け、オシフィエンチム・アウシュヴィッツ強制収容所跡でのホロコースト生存者を招いての鎮魂のライブペインティング、聖スタニスワフ・コストカ教会で聖人パピューシコ神父追悼ライブペインティングを行う。1985年より100回を超える個展を世界各地で開催し、特に「Innnerscape Seriese」と題された作品群では特殊なメディウムを用いて独自の墨流し・インクフローペインティングによる技法を確立。宇宙の創生と生命の彷徨を包摂し、ミクロコスモスからマクロコスモスまでを貫く広大無辺な宇宙最古の光を顕現させる。


コメント
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