坂田明のすみだ奉納 サックス七福神巡り その2
【日時】7月7日(火)19:00-20:00
【会場】多聞寺 本堂(墨田区墨田 5-31-13)
東武スカイツリーライン 鐘ケ淵駅から徒歩約10分、堀切駅から徒歩約8分
【出演】奉納演奏:坂田明(サックス)
前口上:田中悠美子(義太夫三味線)、 福原千鶴(鼓)
【料金】無料
【本イベントに関するお問合せ】tel 090-9118-5171
(アサヒ・アートスクエア内 すみだ川アートプロジェクト実行委員会 事務局)
※多聞寺へのお問合せはご遠慮ください。
【主催】すみだ川アートプロジェクト実行委員会
『お寺でジャズ』と聞いても珍しくはないが、坂田明とお寺とは、何だか妙にしっくり来る組み合わせ。得意の「平家物語」の歌い出しの祇園精舎こそ釈迦が説法を行った天竺のお寺であるからして、坂田のライヴを体験するのにこれ以上理想的なシチュエーションはなかろう。本尊の毘沙門天(多聞天)の収められた本堂の豪奢な祭壇の前に集いしは、筆者を含め信心などとは全く無縁の罰当たりな一群。それでも静謐な如来の導きか、厳粛な雰囲気に圧倒されたか、押し黙って鎮座している。
やがて現れたるは羽織袴の女人二名と住職様の兄上と見紛うばかりのサクソフォニスト。深く一礼し本尊へ向かって朗々と奉納のブルースを奏でる。石造りのキリスト教会なら音が木霊して目が回るところだが、木造の寺社は反響が木目の中に滲み通るので、濾過された本質だけが耳に優しく息を吹きかける。三味線と鼓を右と左に従えたサックス吹きは、「助さん角さん今ですよ」と煽る木曽のご老公宛(さなが)らの貫禄溢れた立ち姿。即興は会話と同じと語る通り、一見楽器を調整するような仕草の中に怒りや歓びや哀しみが表現されている。
40分近く演奏した後に、坂田の説話が始まるが、所々で話の筋道がワープしたりフリーズしたりスキップしたりのハラハラドキドキは、会話にならない独り語りの奉納の儀であった。書き起こしたメモ帳があれば、再度読み解く苦労も厭わないが、音楽とに同様に物語りというのも一度話されると、空気の中に消えてゆき、二度と取り戻すことはできない。エリック・ドルフィーの魂がまだ現世の近くに漂っているとは思えないにもかかわらず、思わず合図するように頷く自分に気づいた堀切駅への道すがら、七夕の夜空を見上げつつ、一筆啓上認(したた)めたてみた。
釈迦如来
細胞分裂
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