灰野敬二 x 石川浩司
一見ミスマッチな組み合わせの二人だが、これが3回目の共演セッションになる。新井薬師スペシャルカラーズで行われた過去2回(2009年5月10日、2010年9月26日)は本イベントの主催者でもある臼井淳一とのトリオだったので、ガチのデュオは初めて。石川は「ふたりきりのデュオは初めて。キンチョー!」とつぶやいていた。Beat Happeningのイベントで何度か来たことのあるLUSHは椅子を並べると小劇場のような雰囲気。確かに今日の出し物は音楽劇といえるかも。石川ファンなのか若い女子が多い。
●灰野敬二ソロ
(写真・動画の撮影・掲載については主催者・出演者の許可を得ています。以下同)
低い電子音が流れスクリーンが上がる。暗いステージの床に座り込んだ灰野が深いリヴァーブをかけた歌を呟く、月と衝突イベントで見た蛇腹ボックス演奏。前回はアンビエントっぽく聴こえたが、今回はむしろ歌に寄り添った伴奏音に聴こえるから不思議。続いてブルガリ~アイリッシュ・ハープという流れも月見ルと同じだが、やはり印象が違う。歌に命を吹き込む魔法のようなステージだった。
●石川浩司ソロ
灰野と入れ替わりに白いランニング姿の石川が登場。「緊張する時間は終わりました!」とひとこと。ウクレレギター(?)一本で強烈に破天荒な歌を連発する。表情や仕草もぶち切れていて灰野とは違った意味で目が釘付けになる。ユーモアたっぷりだがよく聴くとシュールな歌詞と、出鱈目のようで丹念に練り上げられたメロディーで、ステージ上は勿論、客席まで使って展開する不条理劇。デビューした時から30年間育んできた異端の魂は、パンクでプログレでアヴァンギャルドで、何よりもロックだった。
●灰野敬二×石川浩司
15分の休憩後、共演セッション。上手の灰野側は夜の帳が下りた暗黒、下手石川側はスポットライトで照らされた光の国。笑ってしまうほど好対照。灰野は天井まで届く円柱状の笛をブーっと鳴らす。以前ディジリデュとは違うと教えられたが名前は失念した。石川はビニール袋をがさごそ擦る。灰野は次々変わった楽器を繰り出し、俯いて寡黙な演奏。対照的に石川はおもちゃやガラクタを使って観客も巻き込む全身パフォーマンス。チグハグなカオスに見えても絶妙なコントラストとコンビネーションによるコスモスを創出している。時々石川の行き過ぎに対して灰野がボソっと言葉を呟くのがウケる。表情には出さないが、灰野がとても楽しんでいることが伝わる。後半ギターが音量を増しパーカッションの連打を導く相思相愛プレイで終了。「コージケージでした」と挨拶する石川に灰野は苦笑い。ふたりの心は同じ花園に住んでいた。
昼と夜の間に
二匹の蝶が
遊んでた
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