ブルーノートレコード75周年記念
BLUE NOTE plays BLUE NOTE
■山中千尋 トリオ
山中千尋(ピアノ)
須川崇志(ベース)
ジーン・ジャクソン(ドラムス)
■bohemianvoodoo
bashiry(ギター)
木村イオリ(ピアノ、キーボード)
Nassy(ベース)
山本拓矢(ドラムス)
松岡 "matzz" 高廣(パーカッション)
山本玲子(ヴィブラフォン)
西口明宏(テナー・サックス)
日野皓正(スペシャル・ゲスト、トランペット)
ロン・カーター(スペシャル・ゲスト、ベース)
創立75周年を迎える"ブルーノート"を代表する名曲を豪華メンバーがブルーノート東京で演奏するスペシャル・プログラム
1939年、ニューヨークで創立。マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ハービー・ハンコックら巨星による歴史的名盤をリリースすると共に、現在もノラ・ジョーンズ、ロバート・グラスパー、グレゴリー・ポーター等を傘下に収めながら音楽シーンを牽引し続ける“史上最強のジャズ・レーベル”、ブルーノート。その設立75周年を記念したアニヴァーサリー・ライヴが開催される。出演者は山中千尋トリオ、話題の4人組ユニット“bohemianvoodoo”、松岡 "matzz" 高廣(クオシモード)、山本玲子、西口明宏等の精鋭たち。さらにブルーノートにもアルバムを残すトランペッター、日野皓正がスペシャル・ゲストとして登場する。ブルーノート・レーベルゆかりの名曲が、どんなアレンジで蘇るのか。必見必聴の一夜が訪れる。
物心ついた頃からアンチメジャーのヒネクレ者だった。ウルトラシリーズではザザーン、仮面ライダーではキノコモルグ、変身忍者嵐ではゲジゲジ魔が好き。プロ野球では中日・木俣、大相撲では青葉城、プロレスでは稲妻戦士・木村健悟推し。ロックはサイケ/パンク/オルタネイティヴ、プログレはレコメン、クラシックは現代音楽。だからジャズが好きと言っても、持ってるレコードはESP、ECM、BLACK SAINT、Ogun、INCUS、ICP、Metalanguage等のマイナーレーベル中心、メジャーはせいぜいImpulseかAltantic位で、モダンジャズ三大レーベル=Blue Note (1939~)、Riverside (1948~)、Prestige(1949~)はほとんどない。大学時代にジャズ研で退屈な「ナウズ・ザ・タイム」ばかり吹かされてスタンダードにはすぐ飽きた。10年程前にやっぱり頑張ろうと教則本を買ってきて「サテンの夜」「A列車で行こう」「チュニジアの夜」などを練習したが、意外に難しくて断念。オレ的スタンダードは「ロンリー・ウーマン」「ゴースツ」「エピストロフィー」だと嘯いていた。
しかしブルーノートは悪くない。何といってもオーネット・コールマン『ゴールデン・サークル』、エリック・ドルフィー『アウト・トゥ・ランチ』、セシル・テイラー『ジャズ・アドヴァンス』、ドン・チェリー『即興演奏家のためのシンフォニー』と名盤が揃っている。ニューシング(発祥当時フリージャズはこう呼ばれた)に好意的なあっぱれなレーベルである。ジャケットのセンスは「ピンのブルーノート、キリのESP」と呼ばれるほど評価が高いし、録音技術にも定評がある。
サン・ラー生誕100年、スティーヴ・レイシー生誕80年&没後10年、頭脳警察結成45周年、非常階段結成35周年にあたる今年、ブルーノートは創立75周年を迎える。その記念イベントがブルーノート東京(他にどこがある?)にて開催された。出演者は特にブルーノートレコード所属というわけではないが、山中千尋はブルーノート・トリビュート『マイ・フェイヴァリット・ブルーノート』をリリース、松岡“MATZZ"高廣はブルーノート・パーカッション・コンピ『アフロ・キューバン・ブルー」を監修した。ジャズベースの巨人ロン・カーターは勿論ブルーノート作品にも多数参加しているレジェンドである。
ブルーノートの名演・名曲が並んだ正統派(非オレ派)スタンダード・ナンバー満載のセトリ。今風コンボBohemianvoodooは原曲に忠実なラウンジジャズで食事を美味しくする。元々ジャズは高級レストランで演奏される場合も多く、食事客の邪魔にならないことが何より大切だった。食事中に和音の無い薄気味悪い音楽を聴かされたら堪ったもんじゃない、という意見が多数派なのが現実。当時オーネットが忌み嫌われたのはその掟を破ったからに違いない。
しかし山中千尋トリオはひと味変わっていた。確かに聴き覚えのあるメロディだが、徐々に逸脱し、各楽器のソロは気合が籠った奔放プレイ。しかし過剰にならぬよう慎重にコントロールされており、聴き手の心には僅かなさざ波を残すのみ。小柄な体でピアノに覆いかぶさる山中の演奏スタイルはある種畸形的。この日来場していた中原昌也(顔を見たときスーデラと間違えたかと思った)の大ファンでもあるようだし、実はかなりの異能戦士なのかもしれない。同期の桜の上原ひろみの影に隠れて気づかなかったから、改めてCHIHIROチェックが必要だろう。
豪快なプレイの日野皓正は流石日本を代表するトランペッターだけあり、魅せ方をよく心得ている。ロン・カーターは派手なプレイはなかったが、40年以上世界のジャズを支えてきた縁の下の神髄を見せた。
Set List
1 ミッドナイト・ブルー
Bohemianvoodoo / MATZZ (per)
2 クレオパトラの夢
Bohemianvoodoo / MATZZ (per)
3 黒いオルフェ
Bohemianvoodoo / 山本玲子(vib)/ MATZZ(per)
4 ニカの夢
Bohemianvoodoo / MATZZ (per) / 山本玲子(vib)
5 ドント・ノー・ホワイ
山中千尋(p) / 須川崇志(b) / ジーン・ジャクソン(ds)
6 サマータイム
山中千尋(p) / 須川崇志(b) / ジーン・ジャクソン(ds)
日野皓正(tp)
7 クール・ストラッティン
山中千尋/G.ジャクソン/西口明宏(ts)/日野皓正
MATZZ(per)/ロン・カーター(b)
8 チュニジアの夜
山中千尋/G.ジャクソン/西口明宏/日野皓正/MATZZ
ロン・カーター/山本玲子/BASSI(g)/他(per)
長いものに
巻かれてみたら
気持ちいいカモ
21世紀型ブルーノートにも要注目。
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