昔、昔、あるところに大きな池があったとさ。
その池のそばには、働き者のおじいさんと、優しいおばあさんが暮らしていたとさ。
十五夜のお月さんの日のことでした。
おじいさんと、おばあさんは、二人で丸い、丸い、大きなお月様を団子を食べながら見ていました。
後ろから見ていた狸さんは、その団子が欲しくて、欲しくてなりませんでした。
そこで、へんし~ん!
旅人になり、近寄っていきました。
旅人になりきった狸さんは言いました。
「何日も何も食べていません。どうかお団子をください」と。
人の良いおじいさんとおばあさんは、「どうぞ、どうぞ」と言って進めてくださいました。
それをいいことに、狸の旅人は「あっと」言うまに全部食べてしまいました。
さらに、家の中にあったお団子も食べてしまいました。
おじいさんとおばあさんは、ニコニコしながら見ていました。
ところが、空模様がおかしくなってきました。
だんだんと風が吹いて雲が出てきたのです。
よく見ると、山の上に何か見えます!
狸の旅人が目をこすって見ています。
龍です!
池の守り神の龍です。
あっという間に近づいて、狸の旅人を、にらみつけています。
龍は、「おじいさんとおばあさんの好意を良いことに、すき放題をして、よく考えろ!改心しないならお前を食ってしまうぞ~!」と目を吊り上げ、怒っています。
びっくりした狸さんは、元の姿に戻ってしまい山に一目散に逃げ帰ったそうです。
後には、おばあさんが作ったお団子がおいてあったとさ。