窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

論語営業のすすめ

2021年12月16日 | レビュー(本・映画等)


 一気に読み終えました。『論語』や『孫子』などの古典を現代ビジネスの観点から解釈、解説した本は数多くありますが、ともすると断片的になりがちな印象を持っていました。しかし、本書は著者の価値観と経験に基づき、営業に対する考え方から実践、そして同じ価値観を共有する他の経営者の事例へと、「論語営業」という一つの体系の中に、主として『論語』と『伝習録』からの言葉を織り込んでいます。それが、すらすらと読み通すことのできた要因かもしれません。『伝習録』は、「知行合一」、「事上磨錬」など、孔孟をはじめとする「聖賢」の教えを自分で咀嚼し、実践することを説いた書と言えますから、『論語』を実践的に解釈する上で必然的に伴うものであったでしょう。

 論語営業の基本は「お役立ち」であると言い、他者との相互作用を通じて、学び内省することで自分を成長させ、自他の幸福に貢献する。これは非常に共感できる部分でした。このスパイラルによって、自分の世界までもが広がっていきます。「列伝」として設けられた他の経営者の事例集は、まさに著者が「論語営業」を実践し続けてきた精華なのだろうと思います。また、欄外にイラストで登場するネコや達磨が、様々な役立つツールや推薦図書などを紹介しており、本書自体が「お役立ち」の書として構成されているのも著者の想いが反映された一冊になっていると思います。

 営業とは人間の相互作用そのものですから、古典が読み手によってさまざまな解釈を許容するように、本書は営業職に携わっていない人にも役立つと思います。その意味では、本書は営業という仕事を通じた著者による『論語』と言えるかもしれません。

 個人的に、一度手にした本で繰り返し読むものはそう多くありません。しかし、本書は何度も実践し戻ってきたい思いに駆られます。それは本書を読んで得心するところが多かったばかりでなく、励まされるような感覚を得られたからです。内省するに、励まされた箇所が今の自分の弱い部分なのだろうと思いました。

 知行合一、事上磨錬の一冊です。



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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無事11年目のバトンを繋ぐことができましたー第132回YMS

2021年12月09日 | YMS情報


 12月8日、横浜中華街ローズホテルにて、第132回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 横浜中華街も気がつけば年末の装い。



 ローズホテルは忘年会として開催した第3回YMS、第15回YMS、そして第100回の記念パーティでもお世話になりました。写真左はちょうど10年前の第15回YMS、右は第100回記念パーティです。



 7ヶ月の中断を余儀なくされた昨年と比べ、今年は8月を除き無事開催することができましたが、それでも10月まで懇親会なし研修のみとならざるを得ませんでした。人数を絞っての開催ではありましたが、やはり懇親会あってのYMSだとしみじみ感じました。会場がmass×mass関内フューチャーセンターの1階から2階に移り、本格的にオンライン参加のオプションを導入した年でもありました。

 YMSは「誰もが講師」をモットーに、皆様からのご紹介を繋ぐことで11年開催してきました。これまでお話しをしていただいた講師のべ116名、参加者数はのべ2,413名を数えます。来年も第141回まで予定が決まっておりますが、「こんな面白い人がいる」という方、ぜひお待ちしております。

 みなさま、良い年の瀬をお迎えください。 

過去のセミナーレポートはこちら

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第1回燮読書会に参加しました

2021年12月07日 | 交渉アナリスト関係


 12月7日、第1回燮読書会に参加しました。交渉アナリスト1級会員の勉強会である「第50回燮(やわらぎ)会」での意見交換で、1級会員の波戸岡光太さんより提案があり、2ヶ月足らずのうちに実現の運びとなりました。オンラインでの開催で、東京、千葉、神奈川、石川、長野など各地から参加がありました。

 読書会の名が示す通り、交渉関連の本をあらかじめ読み、ディスカッションを行う会です。記念すべき最初に選ばれた本は、ローレンス・E.サスカインド著、『ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術---信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則』(ダイヤモンド社、2015年)。



 第1回は前半の3章が読書範囲でした。

第1章:「交渉の土俵」に相手を引き込むには?-相手の要求内容や優先順位を変えさせる
第2章:もっとパイを大きくすればいい-付加価値を創造する
第3章:「想定外」を想定せよ-相手よりも多くを手に入れるために、条件提示を行う

 3章全部読む時間のなかった方でも参加できるよう、初めに波戸岡さんから3章分の要約がありました。交渉関連の本、特に海外の翻訳本はとかく読み難いものが多いので、これだけの短期間にサマリーを作成するのも大変だったのではないかと思います。

 これを元に、早速ブレイクアウト・ルームに分かれてディスカッションを行いました。

・先入観を捨てること、結局相手へのやさしさが大事なのではないか?
・相手を知る準備の大切さを感じた。
・(本書中の事例から)金額面では成功と言えずとも、奥さんの気に入った物件を早期購入できたのであれば、それも価値であり、成功と言えるのではないか?
・BATNAを用意することの大切さ。

等々、様々な感想が飛び交いました。



 つづいて、今回の範囲に関連する交渉理論面の補足を行いました。トピックとしては、

・交渉者のジレンマ
・多元的交渉
・連合の理論

など、幾つか含まれると思いますが、中でも前半部の中核をなすと思われる「交渉者のジレンマ」について取り上げました。「交渉者のジレンマ」は、以下の「交渉アナリストニュースレター」でも扱いましたので、よろしければそちらもご覧ください。

2019年3月号
2019年5月号

 最後にもう一度ブレイクアウト・ルームに分かれてディスカッションを行いました。

 手探りで始まった「燮読書会」ですが、第1回の参加者の皆さんからは、以下のような感想が寄せられました。

・視野の狭さに気づいた
・様々な考え方に触れることができた
・まとめが有り難かった
・知的刺激を受けた
・整理ができていないので、体系が欲しい
・十人十色の視点が勉強になった、楽しかった
・今回の範囲を復習して理解を深めたい
・とても楽しかった、都会を離れるので、こういう機会を楽しみにしている

 第2回は2022年2月開催の予定です。今回参加できなかったかもぜひご参加ください。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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2021年11月アクセスランキング

2021年12月01日 | 人気記事ランキング


早いもので2021年もいよいよ最後の月です。11月はまたしてもなかなかブログを更新できませんでしたが、12月はもう少し頑張りたいと思います。

 さて2021年11月にアクセスの多かった記事、トップ10です。

 個別記事で最もアクセスが多かったのは、復活してきた「エコノミーとエコロジーの語源」を抑え、終始「大阪と結んでの利他セミナー-第131回YMS」でした。YMSの記事が3ヶ月連続でトップというのは、恐らく初めてではないかと思います。

 さらに、昨日投稿してわずか1日しかなかったにもかかわらず、「横浜商科大学でお話しさせていただきました③」が7位に入り驚きました。そういう意味では、5位「第17回ネゴシエーション研究フォーラムに参加しました」も5日でした。

常連記事の順位は以下の通りです。

3位:「エコノミーとエコロジーの語源」(55ヶ月連続)
4位:「久村俊英さんの超能力を目撃してきました」(18ヶ月連続)
6位:「Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子」(2ヶ月連続)

 なつかしい8年前の記事、「葉巻とお酒のマリアージュを楽しむ会」が10位でした。

1 トップページ
2 大阪と結んでの利他セミナー-第131回YMS
3 エコノミーとエコロジーの語源
4 久村俊英さんの超能力を目撃してきました
5 第17回ネゴシエーション研究フォーラムに参加しました
6 Yema(イェマ)-フィリピンのお菓子
7 横浜商科大学でお話しさせていただきました③
8 2021年10月アクセスランキング
9 カテゴリー(リサイクル軍手の世界)
10 葉巻とお酒のマリアージュを楽しむ会

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