窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

日本実務能力開発協会交流会(第17回)に参加しました

2019年11月24日 | 日本実務能力開発協会


  11月23日、札幌にて日本実務能力開発協会の交流会に参加させていただきました。年2回の交流会ですが前回5月は参加できず、1年ぶりの参加となりました。この日、僕にとってはこの冬一番の寒さで、初マフラー、初セーター、初手袋だったのですが、札幌の皆さんが口々に「今日は暖かいね、マフラーいらないくらい」とおっしゃるのにびっくりしました。



  講師の上前拓也先生。毎回交流会は勉強会と懇親会の二部構成で行われますが、今回の勉強会テーマは、「交流分析と質問会」でした。「交流分析」は、アメリカの精神科医、エリック・バーンが1950年代後半に提唱した、人格と個人の成長と変化における体系的な心理療法の理論を言います。

  バーンは、人間にはP(親)、A(大人)、C(子供)の3つの自我状態があると仮定しましたが、弟子のジョン・M・デュセイは、これを元にさらにCP(厳しい親)、NP(優しい親)、A(大人)、FC(自由な子供)、AC(従順な子供)の5つに分類し、「エゴグラム」という、これら5つの自我状態が放出する心的エネルギーの高さをグラフ化する方法を考案しました。エゴグラム診断はインターネット上でも手軽に行えますので、ご興味の方はやってみてください。

  さて、勉強会ではこのエゴグラム診断を一人一人行い、まず自分の現在の自我状態の特徴と、その長所・短所、各自我状態の伸ばし方について確認しました。因みに僕は「合理的」と呼ばれるタイプでした(個人的には、後天的に身についた部分が強く表に出ている気がします)。



  そして、それぞれ異なる自我状態の特徴を持つ人が、それぞれの特徴を活かしながら協働作業を行うとどのようなことになるのかを体験するため、ビジネス研修などでよく使われる、「ペーパータワー」というゲームを行いました。これは、道具を使わず、どれだけ高い紙のタワーを作ることができるかを競うゲームです。これを2度行いましたが、1回目よりも2回目の方がよりチームワークが高まった気がします。



  勉強会の後半では、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ受講者が日頃コーチングのスキルをどのように活かしているのか、あるいはどのような課題に突き当たっているのかなどをざっくばらんに話し合う、質問会が行われました。僕自身、頭では分かっていても、現実の行動となるとなかなかうまくいかないという日常を繰り返していますので、これは大変勉強になりました。

  貴重な交流会ですから、必然的に質問は懇親会に移ってからも続きました。個人的には、お話の中で出てきた、観客や参加者が自分の体験したできごとを語り、それをその場ですぐにインプロとして演じる「プレイバック・シアター」と呼ばれる技法は、実際やるのは簡単ではないと思いますけれども、非常に興味深く感じました。

  今回も本当に有意義な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました!

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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日本実務能力開発協会交流会(第15回)に参加しました

2018年11月11日 | 日本実務能力開発協会


  11月10日、札幌にて日本実務能力開発協会の交流会に参加させていただきました。昨年は人気アイドルグループのコンサートと日程が重なったため、ホテル・飛行機が全く予約できず、やむなく不参加となりましたが、今年は開催が1週間繰り上がったために参加することができました。実は前日まで沖縄だったのですが…。

  交流会への参加はこれで3回目ですが、いつも会場の雰囲気に独特なものを感じます。仮に初めてお会いした方であっても、開始前から不思議と会話が盛り上がっているのです。普段は自分から話しかけるのが苦手な僕も、自然と話しかけているのですから本当に不思議です。恐らく、講師の上前先生はじめ札幌の皆さんがそういう雰囲気を作り上げているからなのでしょう。これは参考になります。



  交流会は2時間の勉強会と懇親会の二部構成で行われます。今回のテーマは、「折れない『心』の作り方」。このスキルを身につければ心が折れなくなる、あるいは心が折れてはいけないということではなく、スキルを身に着けることによって誰もが遭遇するであろう「心が折れそうな時」により上手く向き合えるようになるのではないかということです。

  今回学んだそのスキルとは、以下の5つです。

1.自己効力感
2.思い込みの脱却
3.感情コントロール
4.チャレンジ精神
5.楽観視


  初めに、「折れない心チェックリスト」で、上記5つの内、どこに得手不得手があるか、自己評価による診断を行いました。

  一つ目は「自己効力感」。似た言葉に「自己肯定感」というのがありますが、後者が自分の価値や存在を肯定的に認めることであるのに対し、前者は「自分には〇〇をする能力がある」と思える能力を言います。カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱しました。自己効力感は人が行動を起こす源になります。自己効力感の高め方には、次のようなものがあります。

  達成体験:当たり前かもしれませんが、自分が達成できた体験が最も自己効力感を定着させます。一度できたことなら次もできると思えるわけです。達成体験を増やすには、努力すれば手が届きそうだと思える小さな成功体験を積み重ねるのが良いそうです。

  代理経験:他者が達成した様子を観察することで「自分にもできそうだ」と感じることです。スポーツ競技などである記録が破られると、さらにそれを上回る記録が次々と生まれるのは、この代理経験によって自己効力感が高まったためでしょう。

  言語的説得:自分に能力があることを繰り返し他者から説得されたり、自ら自己暗示をかけたりすることです。前回の交流会でペップトーク(試合前のロッカールームでコーチが選手に向かって話しかける激励のスピーチのこと)の専門家とお会いしましたが、それなどは前者にあたるでしょうし、後者もテレビを観ているとよくスポーツ選手が呟いているのを見掛けます。

  生理的情緒的高揚:酒、音楽、本、セミナーなどその他の要因について気分が一時的に高揚すること。先ほどのペップトークは、こちらの要素も大きいと思われます。昔、年の離れた弟がカンフー映画を見終わるたびに僕に飛び掛かってきましたが、あれは生理的情緒的高揚だったのですね。

  逆説的かもしれませんが、心と体はひとつなので、自己効力感を高めるためにはまず行動を起こしてみることだと言えるかもしれません。

  二つ目は「思い込みの脱却」。まだ決まってもいないのに、「どうせダメだ」と思い込む思考から抜け出す能力を言います。第12回交流会のテーマがこの非合理的な思い込み(イラショナル・ビリーフ)からの脱却でしたので、詳しくはそちらのレポートをご覧ください。

  三つめは「感情のコントロール」。これが不得手と認識されている方が、結構いらっしゃいました。「心が折れそうな時」に対処するには、心が折れそうな時であるということをまず認識できなければなりませんが、前述のように心と体はひとつなので、こちらは体から心にアプローチするスキルになります。具体的な方法として、次のようなものが挙げられます。
 
  呼吸を整える:これについては、最近弟に勧められて読んだ本が経験的に感じていたことと合致して興味深かったのでご紹介します。

トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法
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  うつむかない:「目は口程に物を言う」と言います。目は解剖学的には脳の一部なのだそうで、視線を上に向けた状態で悩み続けることは難しいのだそうです。上を向いて歩くのは、涙がこぼれないからばかりではないのですね。これは普段から心掛けられそうです。

  動作を変える:個人的に、姿勢には比較的注意を払っているつもりです。2004年アテネ・パラリンピックの柔道の試合の研究により、姿勢は先天的な動作であることが確かめられています。また、姿勢と感情が結びついていることを示す論文も多数あります。

  運動をする:運動がストレス解消に良いのはよく知られていますし、経験的にもそう思います(悩んでいる時は、身体を動かす気力が湧かないというジレンマはありますが)。10年近く前に読んだ本によれば、とりわけウォーキングがストレス対策に良いようです。

  休憩をとる:悩んでいる時はそもそも休憩をとるのが難しいということもあるかもしれませんが、経験的に人生のターニングポイントとなるような思考の転換は、環境が大きく変わる時や海外のホテルで一人でいる時など、非日常的な環境の中で起こったような気がします。そういう意味では、たとえそんな気持ちになれなくても環境を変えてみるよう心掛けると良いのかもしれません。

  四つ目は「チャレンジ精神」。成功・失敗に関わらず新しいことに取り組む能力を言います。問題解決がうまくいかないのは、

①今起きている問題は何か(What)
②その問題のどこに原因があるのか(Where)
③その原因はなぜ起きているのか(Why)
④どうしたら解決するか(How)

  これら4つの要素に対する認識が曖昧であったり、どれかが抜け落ちていたりすることが多いためだそうですが、実際にロールプレイをしてみると、WhereとWhyの境界が結構不明確であることに気づきました。ハーバード大学のロバート・キーガンは、問題解決のための変革を起こすには、次の三条件が必要であると述べています。

①変革を起こすためのやる気の源
②思考と感情の両方に働きかける
③思考と行動を同時に変える

  要するに、本人が心から変わりたいと思わなければ変われない、感情も無視してはならない、そして前述のように思考だけでなく行動からもアプローチすることが必要だということです。さらにキーガンは問題行動を起こしている原因(上記のWhyの部分)には、そうした方が実は本人にとって望ましいからだという「裏の目標」があると言います。これを彼は「強力な固定観念」と呼んでおり、単に問題行動と反する行動をとっても上手くいかないことが多いのは、これに気づいていないからだと述べています。例えば、禁煙に踏み切った人の実に85%が失敗するそうですが、これはたとえ頭では喫煙による健康被害が分かっており、心から止めたいと願っていたとしても、例えば喫煙によって本人が「精神の安定を得ている」という裏の目標に気づいていないためなのだそうです。これを「変革を阻む免疫機能」と呼んでいます。

なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践
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英治出版


   最後は「楽観視」。考えてもどうにもならないことに対して、「何とかなる」と考えられる能力を言います。楽観的に考える方法として、①未来志向、②競争しない、③今に集中、④いい加減になる、などが挙げられていましたが、自分の力で努力すれば何とかなる問題と、自分の力ではどうしようもないことを峻別することは大事だと思います。また、先日参加した「第8回筆跡アドバイザーマスターズ研究会」で発表者の方が述べておられたように、不安は過去へのとらわれや未来への恐怖から起こるので、「今」に集中することも大事だと思います。個人的により重要だと思うのは、「なんとかなる」と思えていない自分の感情を否定したり目を背けたりすることなく、受け入れることです。ネガティブな思考や感情を否定したり、克服しようとする無理なポジティブ思考は、かえってネガティブ思考・感情を強化する結果を生みかねません。ポジティブ心理学者のトッド・カシュダンは、「マインドフルネス」に対して、ポジティブ感情とネガティブ感情のバランスをとる「ホールネス」という考えを提唱しています。

ネガティブな感情が成功を呼ぶ
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草思社




  さて、第二部は懇親会。懇親会からの方も加わり、色々な話に花が咲きました。いつも明るく楽しく、上品に飲む会です。今回僕と同じ横浜から初めて参加された方も、「参加して本当に良かった」とおっしゃっていました。様々なバックグラウンドをお持ちの皆さんと、胸襟を開いて意見交換や相談のできる、僕にとっても貴重な機会となっています。札幌の皆さん、今回もありがとうございました!

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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日本実務能力開発協会交流会(第14回)に参加しました

2018年05月21日 | 日本実務能力開発協会


  5月19日、札幌にて日本実務能力開発協会の交流会に参加させていただきました。年2回開かれるこの交流会、残念ながら昨年11月の回はホテルと飛行機の予約が取れず参加できませんでした。結果、1年振りの参加となったのですが、久しぶりという実感がまったくありませんでした。札幌の皆さん、今回も大変お世話になりました!



  懇親会時の写真しかなく申し訳ございませんが、昨年同様交流会は2時間の勉強会と懇親会の二部構成で行われました。今回のテーマは、「質問力を鍛える」。

  質問。相手の思考を促したり、そこから新たな気付きを得たりするための、あるいは人間関係をより円滑にするための効果的な「声かけ」と言い換えてもいいかもしれません。誰もがやっている日常的行為でありながら、僕も日々その難しさを実感しているテーマです。上手な質問をすれば、先に述べたような様々な効果が期待できる反面、下手な質問をすると全く逆の、意図せざる結果を招いてしまうことにもなりかねないのが「質問」だからです。



  人は他者に対してばかりでなく、自分自身に対しても様々な質問を投げかけています。「カラーバス効果」として知られていますが、人には疑問を持つことによって関連する情報をより知覚しやすくなる、または自分の内面の関連情報を検索するようになる心理効果があると考えられています。一口に質問と言っても様々な種類がありますが、今回は特に「特定質問」と「拡大質問」に絞って勉強しました。

  「特定質問」とは、簡単に言うと「Yes/No」で答えられる質問を言います。答えやすく素早い情報処理に適している反面、会話が広がらないので、気づきを得たり考えさせたりする質問としては不向きという短所があります。「拡大質問」は「特定質問」の逆で、「Yes/No」では答えられないような質問の仕方を言います。その名の通り、会話がどんどん広がっていくので、人間関係を円滑にし、会話から様々な学びや気づきが得られる効果が期待できます。ただし、「Yes/No」では答えられなくても、答えが限定されているような質問(例えば「誕生日は?」など)も限定質問に含まれるので、拡大質問のつもりだったのが実は限定質問だったというようなことが現実には起こりがちだということです。

  最初にウォーミングアップ。向かいの席の方とペアになり、限定質問と拡大質問のワークを行いました。僕の相手は初めてお会いする方だったのですが、あっという間にお互いウィスキーが好きだという共通項が見つかりました。するとなるほど、そこから会話がどんどん盛り上がっていきました。たった3分で旧知の友達だったかのようになってしまうのですから、「質問」は侮れません。

  拡大質問のコツは、俗にいう「5W1H」を意識して質問を組み立てることだそうです。ただし、5Wの内のWHYだけは、論理的に答えを突き詰めていきたい時には適しているものの、論理性を求められる分受け手の心理的負担が大きく、自尊感情が低下の危機にさらされる恐れがあるので注意が必要です。このコツも話だけ聞けばいかにも簡単なことのようなのですが、実際に特定質問から拡大質問への変換を行う二番目のワークを行ってみると、「言うは易し行うは難し」であることを痛感させられます。特に気づいたのは、相談してきた相手の言葉そのものにとらわれ、効果的な質問を組み立てるための発想が狭くなってしまうということです。相談してきた意図を汲み取り、柔軟に質問の仕方を考えることが必要だと思いました。易しいことではありませんが、これをスムースに行うことができるようになれば、日々の人間関係がもっと素晴らしいものになるだろうと思います。

  さて、先ほど自分では拡大質問をしているつもりが、特定質問になってしまっているということについて触れました。三番目のワークは、そのような拡大質問を行うにあたって陥りがちな罠について学習しました。

例1.質問が漠然とし過ぎて、答えが見つけられない
例2.質問を装って、自分の要求を押し付けている
例3.自分の答えに誘導している
例4.矢継ぎ早に質問し、考える間を与えない
例5.立場を利用した質問をする


  これらの罠を回避するには、

対策1.幾つかの切り口に分解した質問をする
対策2.Iメッセージで伝える
対策3.主観を捨てて、相手の中の答えを引き出す
対策4.一つ一つの答えに共感を示す
対策5.対等な気持ちと支援する姿勢


が大切だそうです。日々膨大な情報を手早く処理することが求められる職場という環境の中で、こうした姿勢を身に着けていくには、質問の送り手に相当な自制心と日々の訓練が求められそうです。だからこそ「陥りがちな罠」ということになるのでしょう。しかし見方を変えれば、忙殺の中に自制心と訓練の場が日々提供されているとも言えます。

  当たり前なようでできていない、簡単なようで奥の深い「質問」。身近にいる質問の上手な人を参考にしてみるのも良いかもしれないと思いました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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日本実務能力開発協会交流会に参加しました

2017年05月22日 | 日本実務能力開発協会


  5月19日、札幌にて日本実務能力開発協会の交流会に初めて参加させていただきました。普段横浜にいる僕はもちろん初めてお会いしたのですが、皆さん気さくな方ばかりで、最後の方には僕も前からいたかのような顔をしていました。札幌の皆さん、ありがとうございました!



  懇親会時の写真になってしまいますが、協会理事長の上前拓也先生。交流会は1時間45分ほどの勉強会と懇親会の二部構成で行われました。勉強会のテーマは、イラショナルビリーフ(非合理的な思い込み)について。これはアルバート・エリスが1955年に提唱した『論理療法』の理論で使われる用語の一つです。我々は合理的(論理的)思考により、より心理的負担の少ない形で社会に適応することができますが、中には経験、教育、環境などの要因によって形成された非合理的(非論理的)思考もあり、それが社会に対する不適応を生む原因になることがあります。これがイラショナルビリーフと呼ばれるものですが、論理療法ではこのイラショナルビリーフをラショナル(合理的)ビリーフに変換することによって、不適応を弱めることを目指します。

  イラショナルビリーフには、「私は~でなければならない」(囚われ思考)、「どうせ私には~ない」(どうせ思考)、「~なので、もう…できない」(結び付け思考)、「~すべきでなかった」(後悔思考)などのパターンがあります。この「ならない」、「できない」、「ない」、「すべきでない」の部分がイラショナルビリーフで、これをラショナルビリーフへと変換します。

  イラショナルビリーフの特徴は、①事実に基づいていない、②論理的でない、③幸せな結果をもたらさないことです。つまり、その対極であるラショナルビリーフの特徴は、①事実に基づいている、②論理的である、③幸せな結果をもたらすということになります。従って、楽観やポジティブ思考も事実に基づいていなかったり、非論理的であればラショナルビリーフではないということになります。むしろ、それはポジティブの皮を被った、形を変えたイラショナルビリーフの類と言えるでしょう。

  この、イラショナルビリーフからラショナルビリーフへの変換を説明するものが「ABC理論」です(ABCD理論と呼ぶこともあるようです)。このABC(+DE)とは、以下の頭文字をとったものです。ポジティブ心理学の提唱者、マーティン・セリグマンはAをAdversity(困った状況)、EをEnergization(元気づけ)とし、ABCDE理論と呼んでいますが、内容はほぼ同じです。

A:Activating event(出来事)
B:Belief(信念)
C:Consequence(結果)
D:Dispute(反論)
E:Effect(効果)



  即ち、心理的反応は出来事(A)があって結果(C)が起こるのではなく、必ずそこに信念(B)が介在します。この信念が非合理的であるために、不適応な結果が生まれると考えます。

 

  そこで、非合理的な信念に論理的な反論(D)を加えることで、それまでの信念が非合理的であったことを理解し、より幸せな結果へと結び付けていきます(E)。

  さて、問題は適切な反論をどのように行うかですが、幾つかの例題で実際にこのABCDEのプロセスを体験してみました。同じ問題に対しても、それに対する反論として過度の一般化に注目する人、省略部分を具体的に掘り下げていくアプローチをとる人など、参加者によってそれぞれ視点が異なっていたのが興味深い点でした。この理論は自分の思考パターンを検証する上でも非常に有効なのではないかと思いました。



  第ニ部は会場を移しての懇親会。懇親会からという方も加わり、大いに話が盛り上がりました。冒頭で書いたように、まるで以前から知り合いだったかのような錯覚に陥る、気軽な集まりでした。皆さんのお人柄のおかげで非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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