1月24日、
早稲田ビジネスネット横浜稲門会(WBN)の分科会に参加してきました。
今回の講師は、ユーリズムコンサルティング代表、早稲田大学ラグビー部OBで経営コンサルタントの小野有理さんにお越しいただき、「激動の時代に部下を導くリーダーシップコミュニケーション」と題してご講演いただきました。
小野さんは2000年、2001年と同ラグビー部のコーチを務められ、現在は大阪府立生野高校ラグビー部の監督も務めておられます。そうした背景から、ラグビーの話題を中心に、会社役員や経営コンサルタントとしての経験も踏まえつつ、今の時代に求められる「自律」した人財を育成するためのリーダーシップのあり方についてのお話となったのですが、僕なりに内容をまとめてみたいと思います。
まず、「自律」とは何かということ。「自立」と共に最近良く使われる言葉ですが、ひとつは文字通り、「自分で立てた規範に従って行動する」こと。そしてもう一つ、小野さんは「旋律」という意味を加えているそうです。すなわち、個々が自発的に能力を発揮し続けようとする結果、それぞれがバラバラではなく生き生きとした調和を奏でるようになること。これを小野さんは「アンサンブル」と呼んでおられましたが、当社の役職名である「和声」(ハーモニー)と通ずるものがあると思いました。
さて、個々の「自律」を促すためのリーダーシップのあり方についてですが、アメリカの教育者ウィリアム・アーサー・ウォードは、次のような名言を遺しているそうです。
普通の教師は、言わなければならないことを喋る
良い教師は、生徒に分かるように解説する
優れた教師は、自らやってみせる
そして、本当に偉大な教師というのは、生徒の心に火をつける
ここで求められているのは「優れた教師」以上のリーダーですが、特に「自律」を促すには、リーダー自身が「優れた」から「偉大な」へと変化を遂げなければならないということです。
まずは「優れた」リーダーのレベル。これだけでも本当に難しいと思うのですが、小野さん曰く「身体から考える」ことが大切だということです。良く「平常心」と言われますが、心と体は密接につながっており、実際には心をコントロールするより身体をコントロールする方が容易い。それでも余程意識して心掛けていないと難しいのですが、簡単に言えば「人は身を以て知ったことしか、身を以て示すことができない」と心得ることだということです。
次に「偉大な」リーダーのレベル。小野さんは現役時代、大西鉄之助氏、宿沢広明氏、木本健治氏という三人の名将の薫陶を受けたそうですが、彼らに共通していたのは執念ともいうべき異常なまでの情熱だったそうです。その情熱がなぜ「心に火をつける」のかと言えば、やはり根底として「身を以て知ったことを、身を以て示す」ということがあるからではないかと思います。偉大なリーダーは高く明確な目的、目標、要求水準は徹底的に伝えますが、それ以外は個々が自発的に考え行動するのを待つのだそうです。こうした組織の姿を小野さんは2003年大学選手権準決勝における関東学院大学の選手たちのハーフタイムの過ごし方に見たそうです。それは個々の選手が自由に創意工夫をみせつつ、自生的に一つにまとまる姿、個々がやるべきことを理解しており、監督が選手を信じ切っている姿でした。個々が自ら考え行動するようになるまでの我慢、これができるか否かが「優れた」と「偉大な」を分けるのだと思いました。因みに、小野さんのお話も熱気にあふれ、恐らく参加された皆さんは部屋が相当暑く感じられたであろうと思います。
最後に印象に残ったこととして「本当に分かりあうために効率化や合理化はない」という小野さんの言葉がありました。本気で個人の「自律」を促したいのであれば徹底的に話し合わなければならず、そのための時間を惜しんではならないのだということです。結局のところ、リーダー自身がどれだけ本気かということに尽きるのではないかと思いました。
「本当に偉大な教師というのは、生徒の心に火をつける」、当社の部長級の役職名を「中孚」(ちゅうふ)といいますが、これには「誠心」という意味があります。つまり、指示する、教えるのではなく真心で感化する、まだまだ理想の段階ですが、これも相通ずるものを感じました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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