12月23日、ボクシング映画の金字塔『ロッキー』のスピンオフ『クリード-チャンプを継ぐ男』が公開されます。
この映画は、ロッキーのかっては宿敵であり親友でもあった元世界チャンピオン、アポロ・クリードの息子、アドニス・ジョンソンの物語。そしてこの日12月14日は、現実の親子の物語、元日本ミドル級チャンピオンのカシアス内藤を父に持つ、日本スーパーフェザー級チャンピオン、内藤律樹選手の防衛戦でした。
ボクシングの観戦は、もう10年以上前になりますか、横浜文化体育館で後輩の四回戦を観戦して以来となります。
会場の後楽園ホールは早い時間からたくさんのお客さんが詰めかけていました。リングサイドには元WBA・WBC世界スーパーウェルター級王者の輪島功一さんや、解説をされていた元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高さん、元WBC世界スーパーフライ級王者の川島郭志さんらの姿が見えました。
挑戦者は日本スーパーフェザー級1位の尾川堅一選手。明治大学日本拳法部の元主将という経歴を持ち、以前に観た尾川選手の動画では身体ごと長く伸びる強力な右ストレートが持ち味のように見えました。
さて試合ですが、1Rから挑戦者の尾川選手が猛然と前に出てプレッシャーをかけます。そして1R終了間際、その強力な右ストレート一閃、チャンピオンの顔面をとらえ、何とダウンを奪います。10カウント前にゴングとなったものの、かなり足に来ていることは明らかでした。
2Rもチャンピオンの苦しい状況は続きます。ガードで耐えながらも尾川選手の右ストレートをもらう場面もあり。試合前、直線的に前に出て来るオーソドックスの尾川選手に対し、サウスポーの内藤選手は足を使って右に回りながら攻めるイメージを持っていたのですが、3Rに入り少し落ち着きを取り戻してはいたものの、総じて尾川選手に正対してしまっていました。
4R終了時点で採点の経過発表があり、3-0で尾川選手のリード。5Rに入るとようやく内藤選手がジャブやステップインしてからの左ボディフックなどで徐々にペースを取り戻しつつあるように見えました。
しかしその矢先、バッティングが相次ぎ、内藤選手は右目の上を深く切ってしまいます。そして2分28秒、ドクターストップにより試合終了。5R時点での偶然のバッティングによる試合続行不能ということで、規定によりその時点までの採点による判定となり、3-0で尾川選手が新チャンピオンとなりました。
地元磯子工業高校出身の内藤選手、残念ながら王座陥落となってしまいましたが、彼の物語はまだスレスホールド(境界)に差し掛かったところなのだと思います。これからも頑張ってほしいと思います。
前後してしまいますが、この日はダブルタイトルマッチということで、セミファイナルではOPBF東洋太平洋タイトルマッチも行われました。チャンピオン伊藤雅雪選手に挑戦するのは同級1位の江藤伸悟選手。試合は2Rから伊藤選手が主導権を握ります。特に9R以降は伊藤選手の強烈な左右のボディフックが決まり始め、コーナーに戻ったチャンピオンにも余裕の笑みが見られました。試合は12R判定となり、3-0で伊藤選手が防衛に成功。狭いリングに立つ勝者と敗者の姿は、見ているこちらも胸に迫るものがありました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした