窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

ぬちまーす観光製塩ファクトリー/果報バンタ(うるま市)

2024年07月19日 | その他


 2月19日、海中道路で宮城島へ渡り、「命の塩」という意味の、ぬちまーす観光製塩ファクトリーへ行ってきました。



 ここでは、冒頭の写真にあるような、美しい宮城島の東側の海から海水をくみ上げ、「常温瞬間空中結晶製塩法」という独特の製塩法で塩を作っています。



 霧状に噴射した海水に熱風を当て、水分を飛ばします。こうすることで、カルシウムやマグネシウムなどミネラルを豊富に含んだ塩の結晶が積もっていきます。相対的にナトリウムが少なめですので、しょっぱさが抑えられていると思われます。この塩であら汁を作ったら、最高でしょうね。



 集めた塩を乾燥後、人の手と目視で検品します。



 建物を出たすぐのところに、「龍神風道」と書かれた碑が立っています。ここは良い気が通るパワースポットと言われています。木々の間から見えているのは、琉球開闢の祖女神アマミキヨと男神シルミキヨを祀る、浜比嘉島。さらにその先には、アマミキヨが天界から降り立ったとされる神の島、久高島がほぼ一直線に並びます。そのために、良い気が通っているのかもしれません。



 ファクトリーは宮城島の高台にあり、珊瑚岩でできた複雑な地形を散策し、透き通るようなコバルトブルーの海を楽しむことができます。



 果報(かふう)バンタ。幸せ岬という意味。冒頭の写真もここからの眺めですが、素晴らしく美しい海。下の白い砂浜には、ウミガメが産卵に訪れるそうです。



 三天御座(みてぃんうざ)。ガジュマルに守られた形の鍾乳洞には天・地・海の神様が集まるとされ、ここもまた神聖な場所であり、パワースポットです。



 良いエネルギーと塩ソフトをいただきました。

ぬちまーす観光製塩ファクトリー

沖縄県うるま市与那城宮城2768



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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屋形船から大岡川お花見

2024年04月09日 | その他


 4月7日、屋形船で大岡川を遡上しながらのお花見に行ってきました。今年は昨年と比べ、桜の開花が遅かった上、雨が多く満開まで時間がかかったため、絶好のお花見日和に恵まれました。この日は本当に少し暑いくらいで、横浜も桜を愛でる大勢の人たちで一杯でした。



 屋形船自体はこれまで何度か乗ったことがあるのですが、もっぱら横浜港周遊するコースで、川のぼりは初めてです。

屋形船 うみかぜ
屋形船うみかぜ②



 大岡川の河口から、弊社所在地の近く、道慶橋の辺りまで上って行ったかと思います。決して大きくない川から両岸にこぼれんばかりの桜並木を見上げるのは、また格別なものがありました。



 居酒屋で呑むのとさして変わらない値段で、桜を愛でながら舟で食事を楽しめることを考えると、屋形船は結構お得なのではないかと思います。



 普段は出不精な性格で、お花見のために外に出ることなどないのですが、お誘いいただいたおかけでいつもと違う風流な体験をすることができました。たまには日常のスタイルを変えてみるのもいいものですね。ありがとうございました!

屋形船 野毛丸 ずーみん

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大室山のパワーを浴びて-静岡県伊東市

2023年10月11日 | その他


 伊東に向かう途中、阿蘇の内輪山や霧島連山の御鉢を思わせるような、きれいな緑色の草に覆われた山が見えました。それが滞在先近くの大室山であるということが分かったので、昇ってみることにしました。

 行けば、小学校の卒業旅行で行った「伊豆シャボテン動物公園」のすぐ近く。ということは、38年前にここへ来たことがあるということになります。



 大室山は標高580mのスコリア丘で、山自体が国の天然記念物です。スコリア丘は、噴火活動によって地表にスコリア(岩滓)が放出され、それが火口の周りに堆積することで形成されたすり鉢状の丘を言います。上の写真はまさに御鉢の縁から火口を見下ろした景色になります。山全体が木ではなく草に覆われているのは、毎年春に山焼きが行われるためだそうです。この山焼きの伝統は700年くらい続いているのだとか。大室山ができたのは推定5,000年前で、最後の噴火は約4,000年前と言われています。山頂へはリフトで登り、現在徒歩での登山は認められていません。



 これがスコリアです。



 御鉢の縁はぐるりと一周できますが、とても素晴らしい眺望で気持ちがいいです。とても良い気、パワーをもらった気がしました。ちょうどからりとした青空、秋の夕方だったのも良かったのかもしれません。



 伊豆七島のうち、大島、利島、新島、神津島などが見えました。



 初冠雪が報じられたばかりの富士山も見えました。大勢いた外国人観光客の皆さんも喜んだと思います。改めて写真を見ても清々しい気分になりますね。

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実践型パーパス経営ラボ第9回勉強会に参加しましたー静岡県伊東市

2023年10月10日 | その他


 今年の1月から参加させていただいている、本業を通して社会の持続可能性を高めながら稼ぐ力を高める経営を探求する、「実践型パーパス経営ラボ」の第9回勉強会が、静岡県伊東市の古民家で行われました。



 正確に言うと、現代的な住宅の内装に囲炉裏や和室など古民家の資材を移築した施設で、「未来を作る人たちが集う場所として使って欲しい」という家主さんのご厚意で、今回開催の運びとなったそうです。木々に囲まれた静かな場所で、お風呂からは遠く海も臨めます。



 さて、勉強会は株式会社オーザック代表取締役西山基次さんによる自社のパーパス(社会における存在意義)およびコア・バリュー(核となる価値観)設定と、その社内共有した際の事例発表。連結金具や産業用吊り具等、金属加工、ステンレス加工を得意とする、広島県福山市にある創業70年の会社です。今回の会場の近くでは、静岡県三島市にある日本最長の吊り橋、「三島スカイウォーク」のワイヤーソケットにもオーザックの製品が使われているそうです。

 株式会社オーザックは西山さんの奥様の家系の会社で、三代目にあたるそうです。昨年6月に代表に就任し、パーパスとコアバリューを設定したのが今年の8月になります。従来も会社に「社是」・「経営理念」というものはありましたが、それらを改めて「パーパス」・「コアバリュー」として再定義した形です。

●社是
未来の可能性にチャレンジする
●経営理念
地域社会への貢献と使命
顧客第一主義の姿勢と顧客創造
全社員の幸せと自己規範の育成

●パーパス
人の力で、支えるを創造し、社会を調和させる
●コア・バリュー
全体視点で行動する
多様性を尊重する
変化とチャレンジを楽しむ
あたり前以上を提供する

 従来との違いは、より社会的存在意義が分かりやすく打ち出されたことですが、お話を伺っていて印象的だったのは、「支える」という事業ドメインが明確にされたこと、コア・バリューは、核心的価値観という名の通り、自社が辿ってきた70年の足跡を具に振り返り、そこに非明示的ながらも一貫して流れていた価値観を整理し、明示しているという点です。つまり、それらは代が変わっていきなり現れた価値観ではなく、既に会社の中で脈々と受け継がれ、事業を通じて表現されてきたものなのです。



 その上で、西山さんはご自身の人生も振り返り、自分が何を大切に生きてきた人間で、それがどのようにパーパスやコア・バリューと結びついているのかも整理して伝えられています。同じ価値観を共有していても、それを表現していくかには、少なからず歴代経営者の個性や時代感覚が反映されるでしょう。それを明確に社員に伝えることで、新たに設定されたパーパスやコア・バリューが、経営者本人とはかけ離れた単なるお題目でないことが明らかになるでしょう。何のために、どうして、そしてどこへ向かうのか?



 そして夜は囲炉裏で炭をおこし、バーベキュー。



 翌朝は手打ちの二八蕎麦、十割蕎麦もいただきました。とてもリラックスできる環境で、価値観を共有できる仲間たちと頭もお腹も満たす、とても贅沢な時間でした。

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SUGIZO TOUR 2023に行ってきました

2023年07月14日 | その他


 7月10日、LUNA SEAやX JAPANのギタリスト、ヴァイオリニストであるSUGIZOさんのツアーにお誘いいただき、お台場のZepp DiverCityに行ってきました。SUGIZOさんは当社も縁の深い秦野のご出身なのですね。



 お台場は展示会のため東京ビッグサイトに行くぐらいで、ほとんど行くことがありません。展示会以外では、今はなきヴィーナスフォートに1回、ホテル・グランパシフィック・メリディアン(現グランドニッコー東京)に1回、それと船の科学館に1回行ったことがあるくらいです。



 このツアーには、ウクライナの人気ポップバンド「カズカ」も参加していました。カズカとは、ウクライナ語で物語という意味だそうで、ウクライナの民俗音楽も取り入れた独特の曲調でした。



 正直、僕は音楽自体に疎く、もちろんライブに行くのも初めてのことです。また、ほとんど興奮することのない性格上、会場と一体となって盛り上がるというより集中して音楽に聴き入ってしまいました。



 素人なのでギターでこんなに幅広い表現ができるというのも新鮮でしたし、激しい曲からヴァイオリンのしっとりと聴かせる曲まで実にヴァラエティーに富んでいて、飽きることがなかったです。3時間以上も立っていたのは50歳の身体には堪えましたが、感覚としてはあっという間でした。それでも、このビートの波動が身体に良かったのか、翌日はとても身体が軽かったです。

 SUGIZOさんのギターとヴァイオリンもさることながら、バックのドラム、パーカッション、シンセサイザー、トランペット、ヴォーカル、どれをとっても一流であることが僕でも分かりました。変な話ですが、トランペットの方は人間の頬がこんなに膨らむんだというくらい膨らんでいて、プロの奏者は違うのだなと本当に驚きました。



 最後は、SUGIZOさんとカズカによるコラボ曲“ONLY LOVE,PEACE & LOVE”で締めました。



 その後はSUGIZOさんと直接お会いできる機会もあったようなのですが、僕は帰りの電車の関係もあったので、残念ながら失礼しました。お誘いいただきありがとうございました。

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初めての屋久島-ヤクスギランド/屋久杉自然館②

2023年04月04日 | その他
<つづき>



 切株更新。今度は人間が伐採した後の切株の上に幼木が育つ、切株更新です。江戸時代、材木として価値のある部分だけを切り出すため、根からかなり上の部分を伐採していました。そのため、このような大きな切株が数多く残っています。



 土埋木。江戸時代、屋久杉の用途は屋根に用いる平木であったため、加工しやすい部分のみを利用し、利用されなかった部分はそのまま放置されました。そうした木を土埋木と言います。屋久杉は非常に脂分を多く含むため、300年経った今でも朽ちることなく木の形をとどめて残っています。こうした土埋木の上にも倒木更新が起こっていますね。



 栂の木。



 杉にヤマグルマという木が着生しています。このヤマグルマ、大きくなると杉を絞め殺すこともあるのだとか。ヤマグルマの樹皮からはトリモチが採れます。



 荒川橋という吊り橋から、真っ二つに割れた巨石が見えます。その手前には井戸のような穴も見えますが、いずれも自然の働きによってできたものです。



 仏陀杉。高さ21.5m、胸高周囲8m。樹齢1,800年と推定されます。幹に無数のコブがあり、幹の左下が菩提樹の下で瞑想する仏陀のように見えます。



 屋久杉とは屋久島の標高500m以上の山地に自生し、樹齢が1,000年以上の杉を言います。上の写真は、屋久杉自然館に展示されていた樹齢1,660年の屋久杉の輪切りです。年輪の一番外側の赤い部分が、明治以降の150年で育った部分です。仏陀杉はさらに古いわけですから驚きです。



 こちらは杉にヒメシャラが着生しています。



 これは道を塞ぐ倒木を切って階段にしたものです。



 最後はくぐり杉。こちらの方がくぐり栂より分かりやすいですね。

ヤクスギランド

鹿児島県熊毛郡屋久島町安房0

屋久杉自然館

鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2739-343



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初めての屋久島-ヤクスギランド/屋久杉自然館①

2023年04月03日 | その他


 これも随分前になってしまいましたが、昨年11月12日、初めて屋久島を訪れました。



 鹿児島空港からカンボジア以来のプロペラ機に乗って屋久島へ。窓から見えるのは隣の種子島です。


※屋久杉自然館の掲示より。

 屋久島は花崗岩が隆起してできた島。その高さは中心部の宮之浦岳で1,936mにもなります。すぐ近くにあるにもかかわらず、砂岩でできた平坦な種子島とは全く地質が異なります。南の島でありながら、2,000mも上に上がれば気温は北海道と同じくらいまで下がります。ヤクスギランドも標高1,100mのところにあるのですが、この日地上の気温は11月にもかかわらず24度。それでつい上着を置いていってしまったのが失敗でした。標高100mにつき気温は0.6度下がると言われていますので、この日のヤクスギランドの気温は単純計算で17.4度。実際には雨が降っていたので体感温度ははるかに低いものでした。



 そしてこの断面で見ればとんがり帽子のような地形が屋久島に独特の複雑な気候を生み出しています。話を聞くほど、奇跡の島、神秘の島です。例えば、上の写真は屋久島の地杉(標高160m)の年輪です(屋久杉自然館の展示より)。年輪の幅は気温が高い程広くなります。



 これを標高1,050m、ヤクスギランドと同じくらいのところにある屋久杉と比べてみましょう(屋久杉自然館の展示より)。年輪の幅が全く異なることが分かると思います。


 
 しかもその緻密さは標高520mの秋田杉にも劣らないほど(屋久杉自然館の展示より)。



 また、島の南を流れる黒潮の影響により漁獲資源が豊富。トビウオや首折れサバなどが有名です。上の写真は宿で出てきたトビウオの押し寿司(左)と首折れサバの刺身(右)です。首折れサバはゴマサバですが、鮮度を保つため、水揚げ直後に首を折り、血抜きをすることから首折れサバと呼ばれています。



 さて、車に乗ってヤクスギランドへと向かいます。途中、南の島にもかかわらず紅葉が見られました。標高が高いためですね。



 痛々しい地滑りの跡は、2019年の豪雨災害によるものです。花崗岩に堆積物が覆いかぶさった島ですので、土砂災害に対しては脆弱だとも言えます。



 ヤクスギランドに到着。屋久杉ばかりでなく、檜、栂(つが)など多くの植物が見られます。例えば、写真の百日紅(サルスベリ)のような木は、ヒメシャラ。尤も、ヒメシャラをサルスベリと呼ぶ地方もあるようです。地盤が花崗岩のため根が浅く広がらざるを得ず、このように倒れてしまったのですね。



 くぐり栂。根の下をくぐって遊歩道が通っていることから「くぐり栂」と呼ばれているらしいです。



 倒木更新。倒木更新とは、倒れた木の上に新たな幼木が育つ現象をいい、ヤクスギランドではこのような倒木更新が数多く見られます。



 林泉橋という吊り橋から見た川の上流と下流の様子。橋を挟み、片や巨石、片や砂地の浅瀬という全く異なる風景が見られます。

<つづく>

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第2回「利他メソッド」無料勉強会でお話しさせていただきました

2021年07月27日 | その他


 7月26日、日頃お世話になっている株式会社MANY ABILITIES、野原秀樹先生の第2回「利他メソッド」無料勉強会(オンライン)でお話しさせていただく機会をいただきました。野原先生はYMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)でも最多登壇いただいている先生です。



 「利他メソッド」とは、野原先生の提唱する、より良い人間関係の構築、他を思いやる心の醸成、仲間と共にやりがいを実感できる、他者のよろこびを自らのよろこびと感じることができる人材を育成し、成長、変革できる組織を開発するメソッド(株式会社MANY ABILITIES、HPより)を言います。先月より、この「利他メソッド」を実践されている株式会社ミヤマエの宮前昭宏社長を中心とする、主に大阪の中小企業経営者の皆様との勉強会が始まりました。

 ハーバード大学、ロバード・ウォールディンガーによる、同大学2年生の学生とボストンの極貧街で育った同年代の少年たち724名を75年にわたり追跡した有名な調査では、人を健康に幸福にするのは、富でも名声でも 無我夢中で働く事でもなく、「良い人間関係」であったということを明らかにしています。他者と健全な関係は他者への貢献から始まりますが、他者への貢献は同時に自尊感情も高めることが脳神経学者リリングらの実験で分かっています。つまり、「利他メソッド」で言うところの「他者のよろこびを自らのよろこびと感じることができる」ということです。

 「他者への貢献」と「自尊感情」は相補的な関係にあります。他者への貢献は自尊感情を高めますが、自尊感情の高いことが他者への貢献を健全な形にもします。何故なら、共依存的な他者への貢献は自尊感情が低いために生じると考えられるからです。つまり、自尊感情と他者への貢献の健全な相互作用が人間関係の質を高め、幸福感の増進に繋がるということです(これを今回参加されたある社長は、経験的に「ハッピー・スパイラル」と呼んでおられました)。



 では、その「自尊感情」を高めるにはどうすればよいのか?アメリカ心理学の父とも言われるウィリアム・ジェームズの時代から、自尊感情(ジェームズは「自己重要感」と呼んでいますが)は人間の根源的欲求とされているはずですが、人間は外部環境の影響を受けて育つので、現実にはこの欲求が必ずしも満たされる環境にいるとは限りません。その結果、人は満たされない自尊感情を補償する様々な行動をとるようになり、それが様々な問題を引き起こします。当然、人間関係にも良くない影響を及ぼすでしょう。

 しかし、我々は環境を選んで産まれてくるわけではありません。したがって、所与の環境の中で健全に自尊感情を高めていくには、無意識に行われる補償行動を回避する、何らかの視座が必要になります。僕は心理学の専門家ではありませんが、経験的に理解している範囲において、この点の最も基本的な部分、「自己受容」についてお話しさせていただきました。普段から野原先生のお考え、また今回のテーマである「利他メソッド」に共通する点が多かったためです。

 距離的にも離れ、全く違った仕事をしていますが、参加された中小企業経営者の皆さんとお話しさせていただいて、経験や表現方法は違っても、ベースのところではみな同じようなことを考えていらっしゃるのだということが分かりました。それだけでもとても心強く感じました。逆にベースは同じでも、その表現方法は千差万別ですので、大変勉強になりました。

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結局、ダメなのはどちらか?

2021年07月19日 | その他


 7月16日、某金融機関の若手経営者の会「滴水会」の勉強会に参加してきました。コロナ禍で活動自体ままならない中、久しぶりの開催です。全てではありませんが、当ブログでも過去の勉強会のレポートをいくつか挙げておりますので、宜しければご覧ください。

【過去の滴水会勉強会レポートはこちら】
5回目のドラマチック・コミュニケーション
何故、遭難事故は起きたのか
ドラッカーと創造的手法
久し振りの「姿勢塾」
久しぶりに「ボーナンザ」をやりました



 さて、今回の講師は、NANASE株式会社の石田七瀬様。自ら現場に入り、伴走しながら中小企業の現場改善、コスト削減、社員の意識行動変容を得意としていらっしゃいます。今回のテーマは、「ダメ社員からの変身!関わり方ひとつで変わる、ウソのようなホントの話」。「〇〇規格」や「△△式」の導入をお手伝いするのではないとおっしゃる石田さんの、現場人間に響く生々しいお話しを伺うことができました。

 一口に「ダメ」と言っても様々だと思いますが、まずは受講者自らが考える、いわゆる「ダメ社員」と呼ばれる人たちを具体的にイメージし、彼らが変容したとすれば何がどう変わると思うかを書き出しました。

 続いて、石田さんが実際に携わった事例をふたつ。

事例1:どこにいっても「使えない!」とたらい回しになったA君の話。
事例2:理不尽な異動にあったBさんの話。

 どちらの事例にも共通していたのは、「その人に対する見方、関わり方」を変えたこと。その結果、ミスが多い、職場からいなくなる、お客さんの前で寝る、モノをなくす、人のせいにする、挨拶ができない、メモを取らない、とったとしても行動に結びつかないといった、いわゆる「問題児」が最終的に現場の整理整頓を自ら行い、棚卸効率を著しく改善する社員にまでA君は変わりました。Bさんの場合も、大手での経験は豊富でしたが、購買という彼から見た「裏仕事」に回されて腐っていたのが、その製造現場で培った「段取り力」に着目し、それを活かすことによって購買部の工数が大幅にダウンするという結果となりました。

 大事なのは、A君、Bさんが変わる以前に、接する側の見方、関わり方が変わった(あるいは、変えた)という点です。つまり、まず変えなければならないのは問題があるとされる当事者ではなく、関わっている側ということになるのではないでしょうか?以下は、関わり方を変える上で前提となるポイント(見方)です。

1.考え方、捉え方は人それぞれ違う
2.まずは相手を知ることから始める
3.知った上で、関わり方を考える
4.自分から変わる
5.得意な事で何をするかを考える
6.褒めてばかりもダメ。ただし叱る時はポジティブなことに挟んで伝える
7.一人で悩まない

 これらに「当事者のココを変える」といったことは一つも出てきません。つまり、ダメだったのは自分の側だったという点に気づく、経営者の意識改革こそが今回のお話しの肝であったように感じました。そして変化を生むには小さなステップから少しずつ影響の輪を広げ、その過程を楽しむことが大切だそうです。別の事例では、3人しか社員がいないのに、その3人がみな仲が悪いという会社が取り上げられました。しかし、そんな彼らも第三者から認めてもらうことによって、何と2回目のセッションで互いに教え合うようになったそうです。今回はいずれも実際に現場で起きた生のお話しでしたが、細かいところでは石田さんの具体的な声掛けの仕方、承認の仕方など、やっぱり上手だなと感心させられました。こちらも少しずつ見習いたいものです。石田先生、ありがとうございました!

 滴水会としては久しぶりのリアル研修となりましたが、参加された皆さんには非常に好評でした。以前のような密に交流できる日が早く来るといいですね。

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やさしいアーユルヴェーダ入門-トリカトゥとギーづくり

2019年09月09日 | その他


  9月8日、Webマガジン“Ho’ailona”さんが主催するワークショップ、「やさしいアーユルヴェーダ入門」に参加してきました。たまたまFacebookでシェアされていた開催告知を何気なく読んでいて、面白そうだなと思ったので、直感の命ずるままに飛び込んだ次第です。アーユルヴェーダについては、名前を聞いたことがあるというレベルで、知識は皆無でした。

  ワークショップは午前と午後の二部制。午前は家庭療法(ホームレメディ)の一つである「トリカトゥ」と呼ばれるスパイスづくり。午後はインドに古くから伝わる、食用でもあり薬でもあるバターオイル「ギー」づくりでした。講師はアーユルヴェーダ料理家のCHIHARUさん。会社員時代にチリのパタゴニア地方を訪れた際、現地の夫婦の自然と繋がった生活の中に、自然-健康-幸福の三位一体を感じ、現在は沖縄県宮古島を拠点に活躍されているそうです。アーユルヴェーダの料理については、ヨガの師より学び、以降毎年インドに渡っては研鑽されているそうです。僕もインドへは仕事で何度か行ったことがありますが、今回参加された女性の中にも度々インドへ行ってヨガなどの勉強をされている方が数人いらっしゃったのには驚きました。僕にはとても真似のできない行動力です。

  さて、この日のワークショップを理解するため、初めにアーユルヴェーダについての説明がありました。アーユルヴェーダとは、インドやスリランカに5000年前から伝わる、中国医学、アラブのユナニ医学と並ぶ世界三大伝統医学の一つ。「アーユス(生命)」と「ヴェーダ(叡智)」で、生命の科学を意味します。アーユルヴェーダでは、生きているものはヴァータ(空・風)、ピッタ(火・水)、カパ(水・土)の三要素、トリ・ドーシャ(三つの病素)を持っていると考え、このバランスが崩れると病気になると言われています。人にはそれぞれ優勢なドーシャがあり、主たるドーシャのバランスを整えることが病気の予防へと繋がります。また、一日の時間帯、季節、人生の年代にもそれぞれ優勢なドーシャがあるそうです。

  トリ・ドーシャは火・空・風・水・土という、万物を構成する五元素の組み合わせです。これは中国の五行(火・水・木・金・土)やギリシャの四元素(火・空気(風)・水・土)と似ていますね。恐らくギリシャ→インド→中国と伝わっていったのではないかと思います。いずれの場合も、これらは物理的な火や水を指しているのではなく、それらが象徴する性質や気質を表しています。

  アーユルヴェーダでは、消化を重視します。これは単に食物を消化することばかりでなく、呼吸を通じて体内に取り込んだ空気であったり、五感を通じて感じた情報といったものも含まれます。これらのインプットが過剰、もしくは優勢なドーシャの性質に合わないものであったりすると、それは未消化物(アーマ)となって体内に蓄積されます。このアーマが心や体の様々な不調の原因とされるのです。このため、アーユルヴェーダでは、アーマをためないようにするための予防と、アーマを取り除くための浄化→投薬やマッサージ→栄養といった治癒の両面からアプローチします。



  さて、アーユルヴェーダの基本をざっと理解したところで、いよいよ午前の部、トリカトゥづくりです。初めに、ピパーチと月桃(げっとう)のお茶が出ました。



  ピパーチ(ヒハツモドキ)は「島胡椒」とも呼ばれ、沖縄では香辛料として使われています。上の写真は、宮古島に自生しているピパーチで、齧ってもそれほど辛くはありませんが、だんだんじわじわと胡椒のような辛みが出てきます。青臭さと相俟った、爽やかさを伴う独特のスパイシーな香りがします。



  月桃はこちらの朝顔の種のようなもの。ショウガ科の植物で、沖縄ではどこでも自生しているそうです。

  この二つで作ったお茶は、初め生姜湯かと思いましたが、飲んだ後で胡椒と唐辛子を合わせたような辛みが後を引きます。このお茶に代表されるように、午前の部はゆるやかに身体を温めるハーブがテーマ。



  さて、本題のトリカトゥづくりです。「トリ(3つ)」と「カトゥ(辛味)」で、三つの辛みを合わせたスパイスということです。因みに、“Tri”はギリシャ語由来の語でも「3」を表す接頭辞ですね。広くインド・ヨーロッパ語系で同じルーツを持つのかもしれません。使用するのは、ピパーチと黒胡椒、沖縄産の粉末生姜です。



  ピパーチは、5分間蒸した後乾燥させます。できれば天日干しが理想。乾燥したピパーチは、ミルにかけて粉末状に。



  三つの粉末を1:1:1で混ぜ合わせれば出来上がり。スパイシーなとても良い香り。トリカトゥは、代謝を上げ、血行を良くし、老廃物(アーマ)を排出するデトックス効果があります。先に挙げたどのドーシャの体質にも合い、手軽に作ることができる上、調味料にもなりますし、健康のため1日朝と夜の二回、スプーン1/2杯ほどをお湯に溶いて飲むという使い方もあります。僕はこの日の夜、鶏肉を焼いたのが出てきたので、早速トリカトゥをまぶして美味しく食べました。



  余ったピパーチを、バニアラアイスにまぶしたり、油と塩で炒めたズッキーニにまぶして食べました。油とピパーチは相性が良いようです。甘いバニラアイスにスパイシーなピパーチの組み合わせは意外なようですが、僕はよくスパイシーな味わいで有名な「タリスカー10年」というスコッチ・ウィスキーをバニラアイスにかけて食べますので、この組み合わせの良さは理解できます。

  なお、アーユルヴェーダの考えでは、食事中の水分の取り過ぎは良くないのだそうです。できれば食前・食後30分も取り過ぎない様にした方が良いとのこと。一方、白湯は全てのドーシャのエネルギーバランスを整え、体内を浄化してくれる、大変優れた飲み物なのだそうです。また、蜂蜜は加熱すると却ってよくないとのことです。



  お昼の休憩は、会場のすぐ近くに「Shuhariの台所」という、民家を改造したカフェで「ピリ辛ぶっかけ豚汁定食」という、身体に良さそうな定食を食べました。午前中にトリカトゥを摂取した効果でしょうか。普段は激辛ラーメンを食べても汗をかかない僕も、身体から汗が吹き出しました。

  隣の写真は、店内で買われているカメ。8年前は500円玉くらいの大きさだったのが、こんなに大きくなってしまったのだそうです。この時はお昼の休憩中でしたが、普段は放し飼い状態なのだとか。

Shuhariの台所



東京都港区南青山4-25-2





  午後の部は、「ギー」づくり。午後も初めにハーブのお茶が出ました。パッティンガムというインドのハーブで、乾燥させた木の幹を煮出すと、このような鮮やかなピンク色になります。ほとんど無味・無香でクールダウン効果があるそうです。午前とは反対に、午後は身体のクールダウンがテーマですね。

  ギー(Ghee)は、インド料理に欠かせないバターオイル。よく行くインド料理店「ガナパティ」で出てくるナンに塗られているオイルもこれだったのかもしれません。ギーは無塩バターを煮詰め、水分や蛋白質などの不純物を取り除いた、より純粋な乳脂肪です。医食同源の考え方はインドでも同じようで、ギーは料理に使われるほか、マッサージオイルとして、また薬として目に入れたりもするそうです。僕も少し肌に刷り込んでみましたが、思いのほかベタベタせず、バター臭いにおいも余りしませんでした。クールダウン効果があることから、蒸し暑くて眠れない夜など、足裏に塗っても良いようです。最近では、コーヒーにギーを入れる「バターコーヒー」も人気なようです。なお、保存は冷蔵庫に入れず常温で。



  さて、作り方はまず無塩バターを中火で溶かします。150gのバターから、130㎖のギーができるそうです。



  バターが完全に溶けたら、弱火にします。通常のガスコンロですと弱火でも火が強すぎるため、鍋とコンロの間に金網を挿入し、さらに火を遠ざけます。この状態で40分ほど煮詰めます。



  次第に蛋白質を含んだ脂が浮いてきはじめ、増えてきます。煮詰めるにつれ、沸騰した泡の粒がだんだんと小さくなっていき、やがてシュワシュワと炭酸飲料のような音を立てるようになります。この音が出来上がりの目安です。



  ザルに不織布を敷き、ゆっくりと濾していきます。



  濾されて澄んだ黄色い油、これがギーです。



  透き通ったとても美しい黄色。神秘的な感じがします。



  最後は、濾した時に取り除いた、蛋白質を含んだ油で炒めたブロッコリにクミン、ターメリック、ガランマサラ、まさにインドカレーに使われるスパイスを加えたものです。これがとても美味しくて、ぜひ家でも作ってみたくなります。

  何も知らずに飛び込みで参加した半日のワークショップでしたが、時間の経つのも忘れるほど楽しく、勉強になりました。新しい世界に触れさせていただいた皆様に感謝申し上げます。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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