窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

重厚感のあるカウンターで京都の夜をーBAR K6(京都)

2023年04月13日 | BAR&WHISKY etc.


 4月4日の夜も更けて。この日出会ったどなたの口からも出てきたバーが、こちらのK6。開店して今年で29年、地元では知る人ぞ知るお店のようです。

 冒頭からいきなり変わったエチケットのボトルを挙げましたが、こちらは小学館との共同で生まれた、漫画のキャラクターをテーマにしたウィスキーです。



 時間もだいぶ遅かったのと、既に相当飲んでいたのでウィスキーを軽く。まずは、グレンアラヒー(GLENALLACHIE、ゲール語で「岩の谷」)200Sシングルカスク。アルコール度数56.9%、珍しい栗の樽を使っているそうです。クリームのようなまろやかさとワインを思わせる甘みがあります。



 一転してピーティーなアートセッション・アンリミテッド シークレットアイラ14年へ。絵画のようなエチケットが美しい。アルコール度数は53.3%。モルト由来の甘みとカリラらしいピート香。樽のチャー由来なのか若干の焦げ臭さを感じます。空気を含ませるにつれて落ち着きが出、甘味と塩味のバランスが良くなります。



 注目の厚岸蒸留所から、厚岸-啓蟄。厚岸はウィスキーとしてリリースされる前のニュースピリッツしか飲んだことがなく、この度初になります。飲んだ順番が悪かったのかもしれませんが、「日本で本格的なアイラモルトを」ということで始まったにしては、肝心のピート香や塩味が大人しかったように思います。むしろ、時間が経つにつれてどんどん甘みが強くなっていったような。アルコール度数55%、バランスの良いジャパニーズウィスキーという印象。尤も相当飲んでいたので、舌がバカになっていた可能性も否めません。

 最後はフローズン・アレクサンダーで締めたのですが、写真を撮り忘れてしまいました。京都でゆったりとした時間を過ごすことができました。

BAR K6

京都府京都市中京区東生洲町481 ヴァルズビル2階



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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屋久島の大自然に育まれる伝統的製法の焼酎-屋久島伝承蔵(本坊酒造)

2023年04月05日 | BAR&WHISKY etc.


 昨年11月13日、屋久島にある本坊酒造さんの屋久島伝承蔵へ行きました。焼酎の蒸留所はこれで霧島町蒸留所、霧島蒸留所につづき3軒目です。

 開所は1960年、まだ屋久島で林業が盛んにおこなわれていた頃ですね。明治20年からあるという古甕を含む、手造り甕仕込みという伝統的な製法で、屋久島産の芋と屋久島の超軟水を使った、まさに「屋久島の焼酎」を製造しています。



 硬度120mg/ℓ未満であれば軟水と呼ばれる中、屋久島の水の硬度は驚きの10mg/ℓ。飲めばその違いが誰でもすぐに分かるほどです。



 宿ではその軟水で炊いたご飯が出てきたのですが、本当に驚くほど美味しいのです。



 さて、話を戻して焼酎造りを工程順にみていきましょう。まずは原料の薩摩芋(黄金千貫)。最近は薩摩芋が腐る病気、「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」が全国で流行しており大変なのだとか。



 芋は機械で水洗いし、一つ一つ人の手によって皮をむきます。皮ごと蒸している蒸留所も多い中、ここでは皮をむいています。



 酒蔵の軒下に黒っぽいものが見えます。これが酒蔵に棲みついている酵母です。日本酒もそうですが、酒蔵ごとに棲みついている酵母がその酒蔵で作られるお酒の個性を生みます。



 仕込み。この蔵の手作り麹を和甕に移し仕込みを行います。全部で56個の和甕がありますが、現在和甕を作る業者はもういないそうです。この和甕を地中に埋めることで、温度管理を一定に保ちます。和甕による仕込みで、ステンレスタンクでは出せない独特の風味が出るそうです。



 蒸留器。米麹とふかした薩摩芋を混ぜ、発酵してできたモロミを蒸留させれば焼酎の原液(ハツダレ)ができます。加水してアルコール度数を調整すれば焼酎の出来上がりです。



 ここには焼酎の他、ウィスキーを熟成させる蔵もあります。本坊酒造さんのマルスウィスキーは、「駒ヶ岳」や「薩摩」など僕も大好きな美味しいウィスキーを作っていらっしゃいますが、ここでは長野県の信州蒸留所と鹿児島県の津貫蒸溜所で蒸留した原酒を熟成させています。屋久島の気候を活かし熟成されたウィスキーは、「シングルモルト駒ヶ岳 屋久島エイジング」など、数量限定で販売されています。



 熟成庫はオーク樽とモルトの香りで本当に癒されます。

屋久島伝承蔵 本坊酒造



鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2384



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駆け足訪問-横浜ジン蒸留所(日ノ出町)

2022年03月28日 | BAR&WHISKY etc.


 クラフトビール、「ベイブルーイング・ヨコハマ」の鈴木さんが日ノ出町にクラフトジンのお店を出されて以来、ずっと気になっていたのですが、日ノ出町方面に行く機会がなかなかありませんでした。昨年の11月ですが、たまたま17時から18時に隙間時間ができたので、そのタイミングを利用しようやくお邪魔することができました。



 カウンターからはボットスチル(蒸留釜)が見えます。初めてなので、何を飲もうか考えるまでの間、まずはビールを一杯。



 趣旨からすればジンなのですが、その前に実は気になっていたことが一つありました。それは鈴木さんがアメリカで入手された、こちらのウィスキー。ワシントン州エディソンにあるTerramar Brewstilleryというビール醸造所兼ウィスキー蒸留所のシングルモルトウィスキー(52.75%)です。単純にこの電球型をした珍しいボトルに惹かれただけなのですが、これはこの町の名前がトーマス A.エディソンに由来していることによります。トウモロコシ由来のアメリカンウィスキーと違い、モルトウィスキーなのでパンチが少なく、優しい味わいです。



 そしてジンですが、ジン初心者にして時間もないのでどれを選ぼうか迷いました。分からないなりに大袈裟なものが良いかなと思い選んだのが、「横浜ジン001」。お店の説明によれば、蒸留所開設後最初のジンだそうです。コリアンダー、ジュニパーベリー、青山椒、ラベンダーなどのボタニカルをやみくもに投入した結果、極めて刺激の強いボタニカルジンに仕上がった(?)という、しかもオイリーで強烈な個性を持つジンです。そのため、最初の一杯目には本来向いていないのでしょうが、今回はまず経験ということで。

 確かに強烈、薬草酒といった感じで身体に良さそうな感じがします。これはお酒単体で楽しんだ方が良さそうです。

 次回はじっくり、様々なジンを試してみたいと思います。

横浜ジン蒸留所



神奈川県横浜市中区日ノ出町1-103-1



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美味しい焼き鳥があるバー、楽しい時間-酒場 陽炎(上大岡)

2020年11月16日 | BAR&WHISKY etc.


 急に入っていた予定がキャンセルとなり、どうしたものかと思案しているうち、ふと「そうだ、『陽炎』へ行こう!」と思い立ち、普段は通り過ぎてばかりの上大岡で下車し、「酒場 陽炎」へお邪魔してきました。

 以前は関内のバー「アクアリウム」にいらして、今は祖父様がされていた焼き鳥屋さんを引き継ぎ、本格的な焼き鳥が食べられるオーセンティックバーへと形を変えて出発された臼田徹さんのお店。ちょうど今週15日に3周年を迎えられました。

 これまで「陽炎」には何度かお邪魔したことがあるのですが、いずれも二軒目以降でした。そのため、折角の焼き鳥や名物のローストビーフ丼を食べる機会がなかったのです。「そうだ、陽炎へ!」と思い立ったのには、そうした経緯がありました。



 まずは、さっぱりとデュワーズ・ハイボールから。これからの食事を見据えての選択です。そして、たまたま立ち寄ったというのに、驚くべきことがありました。隣で飲んでいらした男性が、何と7年前にアクアリウムで行われた「葉巻とお酒のマリアージュを楽しむ会」でご一緒した方だったのです。さらに驚いたのは、当時の会の話題になったから一緒に参加していたことが分かったのではなく、その男性が僕のことを覚えていてくださったことです。それもその時の具体的なエピソードを添えて。そんな目立つ人間ではないと思うのですが、心から驚くと共に、それだけで何だか今日がとても良い日になった気がしました。

 ちびちびとハイボールをやっている間に、名物「ローストビーフ丼」が出てきました(冒頭写真)。噂に違わず、凄いボリュームです。これはおなかの空いている時に伺わないと食べられないですね。とてもお得な一品です。



 お待ちかね、富士高原鶏の焼き鳥は左からねぎま、レバー、ささみ(梅)、ハツ、砂肝。その場で焼いていただける焼き鳥は熱々で外がパリッとしており、中はジューシー。



 それをスパッと切れる、スモーキーかつスパイシーなタリスカー・ハイボールで流し込みます。



 食後はバーのモードに入ります。最初は、台湾ウィスキー、オマー・シングルモルト・シェリータイプ。2020年、TWSC(東京ウイスキースピリッツコンペティション)で銀賞を受賞しています。台湾のウィスキーと言えば、このブログでも「カバラン」を何度か取り上げました。カバランがその名の通り、台湾北部宜蘭県であるのに対して、オマーは台湾のど真ん中、南投県にあります。標高3,000メートル級の山々が連なる南投県。日本統治時代には日本最高峰であった新高山(現在は玉山)もここにあります。ちょうどカバランと同じ2008年に「南投酒工場」として操業を開始しました。

 オマーとはスコットランド・ゲール語で「琥珀」を意味するそうです。個人的にスコットランド・ローランドのウィスキーに多いと感じている、滑らかでややオイリー、干しブドウのような甘み。好みで言えば、カスクストレングスもぜひ試してみたいです。

 ひとつ気づきました。焼き鳥を食べた後にウィスキーって、合いますね。



 大好きなバーボンの一つ、ウッドフォードリザーブ。特に「ダブルマチュア―ド」は逸品で、自分でも購入しましたが、あっという間に飲み終わってしまいました。



 本当はこの間に横浜ウィスキーの定番、ジャック・ターが入るのですが、写真を撮り忘れてしまいました。最後は、ドライ・マティーニで締め。若い頃は「どこが美味しんだろう?」と思っていましたが、40歳を過ぎてから本当に好きになりました。

 「陽炎」さん、楽しい時間をありがとうございました。3周年おめでとうございます!

酒場 陽炎



神奈川県横浜市港南区上大岡西2-4-5



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ウィスキーを覚えるには好適!-スタンドクラシック 神戸 ハイボール

2019年11月11日 | BAR&WHISKY etc.


 三宮でぶらりと寄った立ち飲みバーです。軽く寄っただけでしたが、非常に面白いところだと思いました。まず、ウィスキーの種類の豊富さ。立ち飲み屋ながら、スコッチ(もちろんハイランド、スペイ、アイラ、ローランド各種)、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ等の定番銘柄がずらりと並んでいます。各ボトルは値段によってシールで色分けされており、安いものは1ショット390円のものもあれば、上は1,000円レベルのものまで。それでもオーセンティックなバーに行けば1,000円はするであろうレベルにあるものが500円前後だった気がします。さらには、台湾のカバランやインドのアムルットなど、世界的に注目されながら日本ではまだまだ置いてないところも多い、僕自身おすすめの銘柄まで揃えてあります。

 「ウィスキー覚えたいけど、バーは敷居が高いし」と感じておられる方、色々飲んで覚えるにはまさに好適ではないでしょうか?

スタンドクラシック 西店



兵庫県神戸市中央区北長狭通2-8-5



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中洲でBar2軒-Gita, Heart Strings

2019年02月04日 | BAR&WHISKY etc.


  1月29日。気がつけば、随分久しぶりにBarに来たと思います。それより2019年は年始から体調不良で、初めてお酒を飲んだのが1月28日という二十数年来記憶にない年となりました。



  ということで初めにお邪魔したのは、春吉橋近くのBar Gita。上記のような理由で優しいブルイックラディ・クラッシックラディ(冒頭写真)を飲んでいたのですが、たまたま2016年に操業を開始した北海道・厚岸蒸留所の話をしていましたら、オーナーバーテンダーの岩永さんが「厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 1」を出してくださいました。

  バーボン樽で熟成してあるとのことですが、2016年からであるため、薄っすらと琥珀色をしているものの、ほぼニュースピリッツに近い状態。アルコール度数は60度あります。厚岸蒸留所のことを初めて聞いたのは、旭川の「カクテルハウス オー・ド・ヴィー」でのこと。厚岸はピーティなモルトを産出するスコットランドのアイラ島に似た気候で、泥炭が採れる(ついでに言えば、牡蠣の産地であるという点でも共通しています)ことから、日本における本格的なピートを強く効かせたウィスキーが期待されています。しかし、残念ながらこちら「NEW BORN FOUNDATIONS 1」はノンピートで作られています。現在、同蒸留所では、もう一つ「厚岸 NEW BORN FOUNDATIONS 2」というラインナップがあり、こちらはピーティなウィスキーに仕上がっているそうです。



  お店に商売繁盛の神様、十日恵比須神社の福起こし(だるま)がありました。これは博多商人のお祭り、同神社の正月大祭で当たる縁起物で、起き上がりこぼしのようになっているのだとか。



 二軒目は、夜も遅いので長居できませんでしたが、同じく中洲のBar Heart Stringsへ。土地柄、季節柄、イチゴのフローズンカクテルを頂きました。次回はもう少しゆっくりお邪魔したいと思います。オーナーバーテンダーの橋本さんは、9年に渡り当社のニューイヤー・パーティ名物のカクテルを作って下さっている、Bar Nobleの山田さんもよくご存じでした。そう言えば、NBA(日本バーテンダー協会)九州支部関係で思い出しましたが、8年前に第38回全国バーテンダー技能競技九州決勝大会の見学に行ったことがあります。

Bar Gita

福岡県福岡市博多区中洲4-1-1 あざみビル1F



Bar Heart Strings



福岡県福岡市博多区中洲3-2-12 第3ラインビル 5F



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6年越しの訪問、泡盛の忠孝酒造

2018年11月11日 | BAR&WHISKY etc.


  2012年5月31日に東京・代田橋で「泡盛と沖縄料理の会」に参加し、いずれは訪れたいと思っていた忠孝酒造さんに6年越しで行く機会に恵まれました。

  冒頭の写真は、沖縄三大流派が集った、第1回沖縄国際空手大会の開催記念ボトルです。泡盛の特徴や製造工程については、「泡盛と沖縄料理の会」のページをご覧いただくとして、ここでは見学コースのご紹介をしたいと思います。



  まずは古酒蔵。沖縄では首里城に次いで大きな木造建築物だそうです。



  中には7トン(泡盛2万5千本分)のステンレスタンク数基と甕の棚があります。甕の泡盛は9月4日の「古酒(くーす)の日」に発売するのだそうです。



  忠孝酒造さんでは、甕も自社製造するのだそうです。釉を使わないので、甕由来の風味が生きます。泡盛は瓶内熟成しますが、それが甕だと1.5倍速く熟成するのだそうです。甕の土は南部のジャガール(海のミネラルを豊富に含む硬い土)と北部の赤土を混ぜ、1週間寝かせます。



  それをひとつひとつ、職人が全て手作りします。だいたい5分~6分で1個でき、1日50個~60個作るそうです。



  上の写真のように、粘土から甕になると大きさが45%も収縮し、堅く焼きあがった甕は叩くと高い金属音がします。



  さらに大きい甕はろくろでは作れないため、縄文土器のように手びねり(縄状に伸ばした粘土を成形する手法)で作ります。大甕は二度焼き、その過程で樹液の爆発によって、黒と茶色が入り混じった甕固有の模様がつきます。

  泡盛は20年以上の貯蔵が可能だそうですが、当然年月とともにアルコールが抜けていくため、定期的に少しずつ新しい酒を継ぎ足すことで代々受け継ぐそうです。その際は度数が高いままの泡盛を使います。



  工場の地下の貯蔵庫では、お客さんの泡盛を5年~20年預かることができるそうです。



  製造工程は実際の工場ではなく、泡盛づくり体験ができるスペースを見学しました(泡盛づくり体験は要予約)。



  お土産コーナーでは、新酒から古酒まで様々な忠孝酒造さんの泡盛が試飲できます。6年前の「泡盛と沖縄料理の会」でもいくつかご紹介していますが、今回特に美味しかったのは、2017年度泡盛鑑評会で県知事賞を受賞した12年古酒(40度)です。実にしっかりとした厚みと甘みがあり、芳醇な泡盛らしさを存分に楽しむことができます。

忠孝酒造株式会社



沖縄県豊見城市字伊良波556-2



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久しぶりのヘルムズデール(南青山)

2017年10月25日 | BAR&WHISKY etc.


  もう10年以上ぶりぐらいになると思うのですが、ウィスキーを覚えたての頃に足繁く通い、色々と教えていただいたヘルムズデールに行ってきました。店内のレイアウトは変わっていましたが、スコットランドを思わせる木目調の落ち着いた店内と楽しみにしていた定番のマッシュルームフライ(冒頭写真)は健在でした。ほのかなシガーの香りと共に実に懐かしい心地です。

  この日はシェリー系で限られた時間をゆっくりしたい気分だったので、オーナーの村澤さんにその系統でまとめていただきました。



  まずシェリー系と言えば、ドロナック。グレンドロナック1993・23年・ザ・シェリーバット・ウィスキーフープ。オロロソ・シェリー樽による熟成。シェリーについては6年前の記事で少し触れていますので、そちらをご覧ください。

  何と最後の1杯だったのですが、劣化もなく濃厚なビターチョコレートのような味わいは、55.1度という度数を感じさせず、ほとんどデザートのよう。

  因みにウィスキーフープというのは、2014年に結成されたウィスキーの愛好家団体で、村澤さんも幹事を務めていらっしゃいます。



  続いてジ・アラン・プライベートカスク・14年・ウィスキーフープ。今回の中ではイチ押し。程よいシェリー香と樽由来のビターなバランス、そこに潮の香りが加わりまさに塩チョコレート。先ほどのドロナックほど強烈なシェリー香を主張しないものの、このバランスの良さは逸品。「ああ、美味しいなあ」と全身の力が抜け、椅子にもたれかかるよう。



  後半はシェリー樽から切替え。アデルフィ・クライヌリッシュ1996・19年・オールドカスクストレングス。このブログでも何度か登場しているクライヌリッシュは僕の大好きなウィスキーの一つ。こちらはバーボンホグスヘッド樽で熟成させ、新樽でフィニッシュさせています。黄金色、滑らかで蜂蜜のような甘さと柑橘系の香り。リンクウッドと似た系統です。今回を食後のデザートに例えれば、チョコレートブラウニーにレモンピールが加わった感じです。

【過去にクライヌリッシュが登場した記事】
バー・ウーバンギャアー(2017年)
Bar Acuarium(2013年)
BAR KEITH(2007年)



  そして最後はグレンファークラス1977‐2015・38年・ウィスキーフープ。以前、ファークラス105を持っていたことからシェリー系のイメージが強いですが、こちらはプレーンカスク(スコッチ・ウイスキーの熟成に1度使用した再々使用以降の樽)になります。度数は47.1度とこれまでの中では低い方なので、締めるにはちょうど良いです。こちらも滑らかで淡い柑橘系とバニラの香り。蜂蜜のような甘みがあって余韻も長く味わい深いウィスキーでした。

  やはりここは何とも言えず居心地が良いです。

ヘルムズデール



東京都港区南青山7-13-12



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オールドボトルの宝箱-バー・ウーバンギャアー

2017年09月23日 | BAR&WHISKY etc.


  焼き鳥でお腹を満たした後、歩いて清川へ。この辺りには、20年前によく訪れた美味しい焼肉屋「スタミナ亭」があります。

  しかし、今回の目的はバー、ウーバンギャアー。ウーバンギャアーとは「大番外」と書いて、「大雑把」を意味する熊本弁らしいです。なるほど、確かに大雑把かもしれませんが、ウィスキーの品揃えは圧巻。それも今や入手困難な80年代頃を中心としたオールドボトルばかりです。マスターは自らのウィスキー好きが高じてこの店をやられているようで、タレントのタモリさんも好んで訪れるのだとか。



  スタートは甘みの強いシェリー系のクライヌリッシュ 2001 ゴードン&マクファイル・カスクストレングスから(写真左)。今やネット価格で13,000円位するようです。オレンジピール、チョコレート、ややスパイシー。

  写真右はオーヘントッシャン 1991 カーンモア・セレブレーション・オブ・ザ・カスク。こちらもネット価格で2万円位するようです。同じくシェリー系で焦がしたカラメルの味わい。



  クイーンエリザベス・デラックス・特級。80年代頃流通していたブレンディッド・ウィスキーでしたが、フルーティでなかなか美味しいです。先にシェリー系から入ってしまったので、ややインパクトに欠けましたが。



  ジョニーウォーカー・オールデスト。下に”AGED 15 TO 60 YEARS”と年数表記があり、これは初期のボトルの形式なのだそうです。ネット価格にして約4万円。最近、何だかんだ言ってジョニーウォーカーの美味しさを再認識してますが、麦芽由来の甘みとピート香のバランスが良いです。ただ、経年劣化の感は否めませんでした。



  これまた大好きなリンクウッド 15年 ゴードン&マクファイル(オールドボトル)。リンクウッドのレモンのような香り、蜂蜜を思わせる甘み、本当に好きです。



  グレンロセス 1969-1999 サマローリ・ドリームス。軽いカラメルのような味わい。


  
  グレンモーレンジ 10年。現在、グレンモーレンジの年数表記は例えば10年なら”TEN YEARS”と表記しますが、かつては”10 YEARS”と表記していたそうです。ウィスキー初心者も入りやすい、モルトウィスキーを平均値的に楽しめるウィスキーだと思います。



  ブラック&ホワイト・特級。軽いイメージのあるブラック&ホワイトですが、結構しっかりとしています。あまりブレンディッド・ウィスキーをニートで飲むことがないので意外な発見でしたが、古くなったが故か逆にグレーンの甘みがウィスキーのバランスを整えていると思いました。



  バランタイン・ファイネスト・特級。正直言って、今のファイネストは好きではありません。こちらは1980年代に流通していたボトル。今のよりはマシかもしれませんが、やはりつかみどころのないのっぺりとした感じ。



  最早、何が何だか分からなくなっています。最後はブリタニア 8年。ジョンソン・ジャッジ社によって日本向けに作られた銘柄だそうです。しかしローズバンクと同じ1993年に製造終了となりました。

  因みに、これだけ飲んで驚くような値段でした。そしてウィスキーで麻痺した腹は夜の福岡の街にラーメンを求めたのです。


バー・ウーバンギャアー



福岡県福岡市中央区清川1丁目2−8



焼肉 スタミナ亭

福岡県福岡市中央区清川2-8-13



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ご近所に面白いバーが-BAR SILVER ROCK

2017年04月23日 | BAR&WHISKY etc.


  友人に弊社からわずか350mの所にある、ユニークなバーを紹介してもらいました。「BAR SILVER ROCK」さんです。店長の大原さん、「ウィスキーを飲み始めてまだ1年半くらい」とおっしゃっていましたが、その割に棚にはオフィシャルでないボトルが所狭しと並んでいました。それらのボトルもなくなるとまた違った銘柄に入れ替わるそうです。

  ということで、僕も久しぶりに普段飲まない様々なウィスキーにトライしました。初めは冒頭の写真、ビッグベイビー・カリラ7年。いきなり59.7度のカスクストレングス。鮮やかなレモン色ながら、カリラらしい力強いピート香と潮っぽさが効いています。ニートで味わった後、少し加水すると眼前の海辺の景色が広がるような感じがします。



  グレンドロナック・ピーテッド。シェリー香のイメージが強いグレンドロナックですが、原料にピーテッド麦芽を使っています。ただやはりグレンドロナックで、ピート香はあまり感じませんでした。先にカリラから始めてしまったせいもあるかもしれません。



  ノアーズ・ミル。57.15度、バーボンらしい力強さ、濃くて太い味わいは好みのタイプです。バーボンはガツンと飲みたいのでロックで。



  クランデニー・スペイサイド。今回飲んだ中では一番度数が低い40度。マッカラン、グレンロセス、グレングラント、モートラック、ロングモーンといったスペイサイドの有名なシングルモルトをバッテッドしているそうです。スペイサイドらしい、滑らかで飲みやすい、荒々しいものが多かった今回の中では大人しいウィスキーでした。



  ポートアスケイグ・100プルーフ。100プルーフと言っても、ブリティッシュプルーフなので57.1度あります(アメリカンプルーフは1/2が度数になります)。アイラモルトらしい力強いピート香がありながら、華やかで甘い上品さも備えています。こちらもロックにしました。

  

  マクリー・ムーア。スコットランド西部に位置するアラン島の、こちらもピートを効かせたウィスキー。「マクリー・ムーア」とは、アラン島に多く残る新石器時代の立石遺跡のことです。ラベルの犬は、18世紀のスコットランドの作家、ジェイムズ・マクファーソンが発表した長編叙事詩『フィンガル』の主人公である巨人フィンガルの愛犬ブランです。フィンガルの架空の王国モルヴェンは、アイラ島も含まれるスコットランド西海岸とされます。また、スコットランドの西海岸には、メンデルスゾーン作曲『フィンガルの洞窟』で有名になった海食洞があり、フィンガルが愛犬ブランをそこに繋いだという伝説があるそうです。

  なお、アラン島はかつてウィスキー作りが盛んでしたが、19世紀には全ての蒸留所が消滅。1995年にこのマクリー・ムーアを作っているアラン蒸留所が開設され、160年振りにウィスキー作りが復活しました。

銘酒廉価 BAR SILVER ROCK



横浜市南区南吉田町4-37-8



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