大阪・瓦屋町にある「たこやきバル」です。
ここ瓦屋町は、その名の通り幕府の御用瓦師であった寺島宗左衛門の瓦土取場があったところで、採土された上町台地の西側斜面は起伏にとんだ地形となっています。そのためなのかは分かりませんが、昭和20年(1945年)の大阪大空襲では奇跡的に焼け残り、その結果、この界隈には現在も昭和の古い民家がいくつも残り、独特の雰囲気を創り出しています。たこりきが入っているお店も、だいぶ補修されているとはいえ、建物そのものは古そうです。
「たこやきバル」と言う通り、たこ焼きとイタリアンが折衷されたお店。元はお蕎麦屋さんだったのではないかと思わせる、カウンターのみの細長い店内は、肩の力を抜いて美味しい物を楽しむには格好の設えです。
しかも、大阪を代表する名物であるにもかかわらず、実は大阪でたこ焼きを食べるのは初めてなのです。ここのたこ焼きは僕がこれまで食べてきた(どこにでもある屋台のたこ焼き)ものと比べるとやや小振りで、外はカリッと、中はとろーり。お店で茹でているという、三重県鳥羽市答志島のたこと昆布だしのうま味が効いていて、何もつけずそのままで十分美味しく食べられます。むしろ、何もつけないで食べたい一品。
たこ焼きに合わせたのは、ロゼのスパークリング。ペティアン・ロゼ・ブエナ・オンダ・クアスターナ・ジェレミィ。「BUENA ONDA」というのはスペイン語で「いい感じ」ぐらいの意味だそうですが、産地はフランス・ロワール地方です。ブドウはボジョレーの代表的な品種でもあるガメイ。イチゴのような甘みと爽やかな酸味があり、見た目も美しくお洒落なワインです。
豚のテリーヌ(写真左)と、食べごたえがあり彩りも鮮やかな吉田牧場モッツアレラ・生ハムのサラダ(写真右)。
とっても美味しかったのがこれ。味噌漬け豚ロース肉のカツレツ。味噌と乳製品の相性が良いことは分かっていましたが、肉とバターと味噌のうま味の三重奏、本当に美味しかったです。しかも、井が重くなることもなくスッキリと食べられました。きのこがたっぷり添えてあるのも嬉しかったですね。
次のワインは、カオール・チュ・ヴァン・プル・オー・ソアレ。カベルネ・フラン50%、マルベック50%。いわゆるテーブルワイン、最初は強い酸味があり、アルコールをやや強く感じますが、実際の度数は12度。しばらく空気に触れさせておくと、酸味が落着き、まろやかになってきます。見た目の色の濃さの割にはフレッシュなワインです。エチケットについ釣られますね。
浜名湖生の青のり温泉。明石焼のようにだし汁にたこ焼きが浸かっているのですが、何よりわかめスープではないかと思うほど一面を覆う生の青のりが魅力的。青のりの香りが食欲を倍増させます。以前、「
南国食堂 首里」でもご紹介した通り、青のりは僕の大好物のひとつです。
ピエール・ボワヤ・ヴァン・ド・フランス・ボワ・ド・レーヌ2012年。こちらもガメイ種、フルーティでバランスが良く飲みやすいワインです。
実はまだまだ気になるメニューがいくつかありましたが、それはまた次の機会に。
たこりき
大阪府大阪市中央区瓦屋町1-6-1
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした