窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

意外と取り上げていなかった中華街-上海料理・状元楼

2017年08月29日 | 食べ歩きデータベース


  ブログを開設して10年、240件を超える食べ歩き関係の記事を掲載していながら、意外なことにこれまで一件も投稿したことがなかったのが横浜中華街。



  ブログにリンクしている「ぐるめまっぷ」の横浜エリアを切り取ってみても、どういう訳か横浜中華街は空白地帯になっています(上の画像をクリックすると拡大します。地図中、赤枠で囲った所が横浜中華街)。理由は分かりません、横浜で生まれ育ち、逆にあまりにも馴染み深かったからかもしれません。

  ということで、横浜中華街にあるお店としてはこのブログ初登場、1955年創業、上海料理の老舗「状元楼」さんです。上海の租界をイメージしたという高級感のある店内、昔から「ふかひれ」が有名でした。今回、遠方よりお客さんが来濱されたので、横浜を楽しんでいただこうと状元楼さんのふかひれコースでという運びとなりました。実は今、弊社の社名入りの紹興酒の甕を作っていただいているのですが、残念ながらこの日には間に合いませんでした。

  まずは状元オリジナル前菜盛り合わせ(冒頭の写真)から。中華料理というと、以前は大皿に盛りめいめいで取り分けるスタイルが主流だったと思います(中華料理の回転テーブルは、料理を取り分け易いようにという工夫で目黒の雅叙園で誕生したと言われています)。しかし、最近はフランス料理のように個別のお皿であらかじめ分けられて出されるスタイルが多くなりました。僕の知る限り、その傾向は中国や東南アジアでも同じです。



  こちらが名物、フカヒレ姿土鍋煮。



  状元オリジナル北京ダック。



  大海老と季節野菜のあっさり炒め。



  ホタテと野菜の辛味炒め。



  地元神奈川県産、骨付きやまゆりポーク無錫煮。上海の西に位置する無錫の代表料理。大ぶりで食べごたえ十分です。



  高菜と筍のあっさりスープ麺。いろいろ食べた後にほっとする、しっかりとした鶏スープの中華そば。高菜と筍が少し和を感じさせるところもお腹を落ち着かせます。



  デザートはアップルシナモンプリンとフル-ツ盛り合わせ。

  ところで、状元楼さんのもう一つ気になる話題としては、先月野毛にオープンされた「china bistro 八寸 」があります。こちらは中洋の一品料理が楽しめるビストロ。店名の「八寸」は、中華懐石が八寸四方の器に入れられることに由来するのだと教えていただきました。近いうち、こちらにも伺いたいと思っています。

状元楼

神奈川県横浜市中区山下町191



china bistro 八寸

神奈川県横浜市中区野毛町1-9-1 T&FビルⅠ 1F



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いろいろ食べてみた-つるとんたん・羽田空港店

2017年08月28日 | 食べ歩きデータベース


  日本の玄関口として、全国各地の有名店舗が軒を連ねる羽田空港国際旅客ターミナルのレストラン街。来日した外国人のみならず、出かける前、あるいは海外で和食が恋しくなった日本人も多く訪れるのではないでしょうか。

  その中のひとつ、うどんの「つるとんたん」はいつも多くの日本人や外国人で混雑している印象があります。生来、並ぶのが好きではないので今まで見送っていたのですが、この度ついに意を決し、出国時と帰国時の二回にわたって「つるとんたん」をまとめて食べてきました。

  良く知られた話かもしれませんが、店の名前の由来は、麺の喉越しの「つる」、麺を打つ時の「とん」、麺を切る時の「たん」。関西風のあっさりとした優しい出しに、麺は3玉まで同じ料金というのも嬉しいです(だからこんなに器が大きいのでしょうか?)。うどんは太麺と細麺を選択することができます。コシは強すぎず、といったところです。



  さて、さっぱりとしたものが好きな僕は、出国時は冷たい「すだちのおうどん」、帰国時は温かい「梅干しのおうどん」(冒頭の写真)にしました。南高梅を使用した梅干しは酸っぱいというよりむしろ甘いくらいでした。すだち、蒸し暑い8月にはいいですね。



  以降は一緒にいた家族が頼んだものになりますが、一通り味見させてもらいました。まずは「釜あげのおうどん」。つけ汁が非常に甘かったのが印象的です。



  「カレーのおうどん」。よく蕎麦屋のカレーは旨いと言いますが、その通り出汁の利いたまろやかなカレーうどんです。



  「鴨のおうどん」。期待を裏切らない、鴨の甘みと旨みがしっかりと出たうどん。



  「明太子餡かけ玉子とじのおうどん」。さっぱり系のうどんとは対極的な、明太子、玉子、さらに餡かけといった濃いうどん。真夏ではありますが、長時間飛行機に乗っていると空調の影響で意外と身体は冷えているもの。あったまるうどんもお勧めです。

  いろいろ試すのでなければ、次回は3玉でいきたいと思います。

つるとんたん 羽田空港店



東京都大田区羽田空港2-6-5
東京国際空港線旅客ターミナル4F



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

焼肉 京城苑ー長者町

2017年08月27日 | 食べ歩きデータベース


  8月20日、誕生日を一日前倒しし、久しぶりに京城苑へ行ってきました。京城苑という名前は、インドカレーの「マハラジャ」と同じくらい焼肉屋にありふれたものなので、この界隈にも同じ名前の焼肉屋さんがあります。今回お邪魔したのは伊勢佐木町大通りの近く、長者町8丁目の京城苑です。以前、このブログでご紹介した「闇市肉酒場」もすぐ近くですが、この辺りは美味しい焼肉屋さんがひしめく焼肉天国と言えます。



  創業50年、仕入にこだわった鮮度の良いお肉が食べられるお店。店内にはその日の和牛の個体番号を記した黒板が掲げられています。17時の開店と同時に入ったのですが、ものの1時間もしないうちに、1階は他のお客さんで一杯になりました。

  まずは「焼肉四天王」から。タンサキ、カルビ、ロース、ハラミの四種を少量ずつ一度に楽しめます。少量とはいっても、上の写真が一人前です。



  そしてそこからさらに食べたいものを単品でチョイス。箸で切れてしまうほどの柔らかいカルビも魅力的なのですが、我が家はどちらかといえばロース派。ということで、さっぱりとしたモモロースを追加しました。



  豚の三枚肉。見た目は凄い脂ですが、焼けば驚くほどさっぱりいただけます。



  豚カシラ。こめかみの部分の肉です。生の時はコリコリとした触感でしたが、焼くと非常に柔らかくジューシーになります。因みに、豚も国産豚です。



  今回、麺はやめようと思っていたのですが、メニューがあまりにも魅力的でした。迷った挙句選択したのが「牛骨カルビうどん」。見た目ほどの辛さはなく、むしろ澄んだ牛骨スープのうまみが前面に出ています。具はニラに大きくカットした大根とカルビ。うどんも細麺でスープがよく絡み美味しかったです。

  食べ物のブログは、書くと腹が減ります...

京城苑



神奈川県横浜市中区長者町8丁目136



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初めてのジョージアワイン

2017年08月26日 | ワイン・日本酒・ビール


Facebookで知人の投稿に触発され、初めてジョージア・ワインを買ってみました。ジョージア、以前はグルジアと呼ばれていましたが、2015年に日本での呼称がジョージアに変更されています。

  日本人にとってあまり馴染みのない国かも知れませんが、日本で知られたジョージア出身者としては、旧ソ連のスターリン、シュワルナゼ外相、そして最近では大相撲の黒海、臥牙丸、栃ノ心などが挙げられるでしょうか。以前、当ブログの「GALA-モンゴル料理専門店」で少し触れましたが、ジョージアも13世紀に長くモンゴルの支配を受けたため、郷土料理に「ヒンカリ」と呼ばれる小籠包があります。

  西は黒海、東はカスピ海に挟まれたジョージアは、古代から地中海地域とペルシャ地域を結ぶ交通の要衝として栄えました。ギリシャ神話にはイオールコス王のアイソーンがジョージア人の先祖であるコルキス人の王アイエーテースの所有する秘宝金羊毛を奪いに行く物語が登場しますが、これは古代のジョージアがいかに豊かであったかを象徴的に物語っています。

  そんな悠久の歴史をもつジョージアですが、実は世界最古のワイン生産地であり、8000年も前からワインが作られているそうです。また、ブドウそのものの発祥の地とも言われているそうです。今でもジョージアにはサペラヴィ種、ムツヴァネ種、ルカツィテリ種など多くの固有品種が栽培されています。

  また、ジョージアワインの大きな特徴は、「クヴェヴリ」と呼ばれる古代からの製法を受け継いでいることです。クヴェヴリは、「アンフォラ」と呼ばれる蜜蝋でコーティングされた陶の壺を地中に埋め、その中でブドウを丸ごと搾って発酵させる醸造法です。この醸造法がジョージアワインの味と香りを特徴づけており、クヴェヴリは2013年、和食と共に世界無形文化遺産に登録されています。

  さて、そんな気になるジョージアワインの中から選んだのが、「ベシーニ クヴェヴリ スペシャル・リザーブ 2015年」。固有品種のルカツィテリ(白ブドウ)を使用していますが、前述のようにブドウの皮も果実も種も丸ごと搾って発酵させるために、普通の白ワインよりはるかに色の濃い、オレンジがかったワインとなります。そのために、赤・白・ロゼと区別してオレンジワインと呼ぶこともあるようです。

  外観は新鮮なリンゴジュースのような淡いオレンジ色。冷やし過ぎたためか香りが開かず、わずかにシトラス系の香りがしました。しっかりとしたコクがありますが、非常にドライで辛口、白ワインとは思えないほど強いタンニンを感じます。アルコール度数は13%。10分ほどおくとかすかな果実味と甘みが出てきますが、このやや古ぼけた感じの熟成感は単体で飲むよりも軽くソテーした肉や魚料理に合わせたいところです。まだ全部飲んではないので、少し時間をおいた味の変化もみてみたいと思います。

  初めて触れたジョージアワインの世界。これからも機会があれば少しずつ覚えていきたいところです。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日グランド・オープン!-ROTISSERIE★BLUE (恵比寿)

2017年08月25日 | 食べ歩きデータベース


  東京・恵比寿ガーデンプレイスタワー、38階・39階のダイニングフロア”Top of Ebisu”が明日(8月26日)リニューアルオープンします。それと同時に、小学校時代の同級生であり、誕生日も一日違いという東山君のお店「ロティサリーブルー」が39階にオープンします。昨日は、そのプレオープンにお邪魔してきました。



  恵比寿ガーデンプレイスタワーの最上階。窓側は全面ガラス張りで、東京から横浜に至る夜景が一望できます。日中は天気が良ければ富士山も見えるとか。この眺望だけでも一見の価値ありですね。



  モダンで落ち着いた雰囲気の店内。テーブル席で40名前後ぐらいでしょうか。



  さて、お店の名前にもある「ロティサリー」は、以前もこのブログでご紹介したとおり、丸鶏を串に刺し、回転させながらあぶり焼きにしたもの(つまり、ロースト・チキン)。お店に入るとすぐ、大きな回転グリルが目に留まります。

  そして焼き上げたロティサリーチキン。ローズマリーを漬けこんだ塩水に丸鶏を一晩浸けることで、肉の中にローズマリーの香りと塩味を均一に染み込ませ、じっくり焼き上げるのだそうです。冒頭の写真がそれですが、まるまるふっくらとして、実に美味しそう…。

 焼き上げたチキンは小豆島のハーブ塩、ブドウのマスタード、そして普通のマスタードの三種を調味料としていただくのですが、初めは何もつけずに頂きました。なるほど、しっかりとしたローズマリーの香りが口の中で広がります。そして薄らと塩味がするので、皮の香ばしさ、さっぱりとした肉質と合わせれば、そのままでも良いのではないかとさえ思います。しかし、ハーブ塩もおすすめ。



  チキンばかりでなく、様々なメニューの細部にもこだわりが感じられました。例えば、このモッツァレラブッファラとフルーツトマトの冷製(写真左)。「ブッファラ」はモッツァレラの中でも水牛の乳から作られたものですが、モチモチの弾力にしっかりとしたコクと旨みがありました。写真右はシーザーサラダ。



  エビチリのグラタン。東山君のお店はもともと餃子や点心など中華から始まっています(「南国食堂 首里」でご紹介しています)。その中華のエッセンスが融合した一品。意外にもエビチリの酸味と辛味がホワイトソースのコクと実に相性が良いのです。ああ、ワインが欲しい…。プレオープンのためご紹介できませんでしたが、ワインもこだわりのものを揃えているそうなので、次回は必ず。



  チーズの盛り合わせ。左端のブルーチーズはツンとした刺激が抑えられ、クリーミーで食べやすかったです。刺激の強いのも好きですが。



  最後はフレンチトースト、バニラアイスを添えて。溶いた卵と牛乳にパンを10時間も浸したというフレンチトースト。表面は黒砂糖で焼き色をつけ、見た目と風味を増しています。



  東山君に同級生の仲間たちと。正式にオープンしたら、仲間を誘ってまたお邪魔したいと思います。

ROTISSERIE BLUE



東京都渋谷区恵比寿4-20-3
恵比寿ガーデンプレイスタワー39F



繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

交渉学のススメ

2017年08月24日 | レビュー(本・映画等)


  先週末の日曜日は久し振りに時間を空け、NPO法人日本交渉協会からこの度出版された『交渉学のススメ』を読みました。本書は交渉行動における個々のテクニックを扱った本ではなく、あくまで交渉を学問として捉え、その応用までの概要を述べた内容となっています。読了することで、交渉学とは何か、それはどのように進化し現実世界の場で応用されているのかを掴むことができます。交渉学への入口として、また交渉学を学んだ方でも知識の整理として役立つ一冊かと思います。

  第1章は、日本における交渉学の誕生について。日本に交渉学を紹介したのは、国際基督教大学教授の藤田忠先生です。藤田先生はアメリカにおける交渉学の黎明期である1973年にハーバード大学で交渉学を学ばれました。帰国後、後に日本での交渉学の普及を目的として日本交渉協会を設立されています。

  藤田先生、日本交渉協会が目指す交渉のあり方。それを一言で表すとすれば、「燮(やわらぎ)の交渉」という事ができます。藤田先生はこの「燮」という文字を「人と人とが言葉を介して対立を解決する姿」と捉えています。そしてそれは単なる解決ではなく、文字通り「やわらぎ(調和)」の解決です。これを交渉学では、決まった大きさのパイの取り分を奪い合う「分配型交渉」に対比して、「統合型交渉」と呼んでいます。

  また、この「燮の交渉」のロールモデルが、藤田先生がハーバード大学で出会った、エドウィン・O・ライシャワー元駐日大使です。ライシャワー博士は占領時代の色が濃く残る1961年に駐日大使として赴任。「イコール・パートナーシップ(対等な日米関係)」を掲げ、日米関係の改善と強化に尽力されました。1972年の沖縄返還も博士の努力が大きく影響したとされていますが、『ライシャワー自伝』を読んで分かることは、博士が日米間の表面的な諸問題に対処するために、その背後にある当事者の思想、文化、メンタルモデルにまで踏み込んで理解されようとしていたことです。まさに後述する「価値創造型」交渉を実践されていた方と言えるでしょう。

ライシャワー自伝
クリエーター情報なし
文藝春秋


  第2章は、交渉学の系譜。交渉学の源流は1920年代、メアリー・パーカー・フォレットのコンフリクト論に遡るそうです。やがて1930年代以降、労使交渉論が盛んになり、1965年の『労使交渉の行動理論』で共著者のリチャード・E・ウォルトンとロバート・B・マッカーシーは、交渉を「分散交渉」・「統合交渉」・「態度形成」・「内部交渉」の4つの角度から分析しています。1980年代に入ると意思決定論の一部としての交渉学に心理学の知見が加わり、実践的な交渉行動の研究が進みました。有名なロジャー・フィッシャーとウィリアム・ユーリーによる『ハーバード流交渉術』もこの頃に出されました。そして東西冷戦が終わり、グローバル化が進んだ1990年代以降、異文化間交渉研究が盛んとなり、現在に至っています。

ハーバード流交渉術 (知的生きかた文庫)
クリエーター情報なし
三笠書房


  第3章と第4章は、交渉学原論の必要性と交渉学の基礎について。しばしば理論と現実の交渉行動の乖離が指摘され、「理論は役に立たない」という向きもありますが、本書では社会が複雑化する現代こそ交渉行動を個々のテクニックではなく、全体としての知的体系として理解しておく必要があると述べています。この知的体系として交渉学原論があります。第4章はその基礎について紹介していますが、ご興味がおありの方は日本交渉協会が認定する民間資格「交渉アナリスト」の2級講座でより深く学ぶことができます。

  第5章は、交渉の進化モデルについて。交渉学を学ぶ目的は、万能な解を求めることではなく、千差万別な状況に応じて最適解を自ら導き出す力を養うことだと述べています。本章では、交渉を「奪い合い型」・「価値交換型」・「価値創造型」の三段階に区分しています。第一段階の「奪い合い型」は前述の「分配型交渉」のことです。第二段階の「価値交換型」は、双方の価値認識の差を利用し、お互いにとって有益な合意を形成する段階です。スチュアート・ダイアモンド博士が『ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術』で述べている「不等価交換」がこれに当たると思います。

  第三段階の「価値創造型」は双方の共通目的から問題解決に向け、新たな解決策を創造する段階です。この「共通目的」については、後出のコンフリクト・マネジメントを図式化した「文化の島とダイバーの図」(p.247)が非常に分かりやすかったです。真の共通目的はしばしば表面的には見えません。これを明らかにするためには、コミュニケーションを通じた情報交換によって双方の背後にある「世界観(メンタルモデル)」に辿りつき、これを言語化する必要があります。それは文化や価値観の差異を超えた、集合的無意識のレベルで共有された目的です。詰まる所、交渉の進化とはコミュニケーション・レベルの進化(と深化)であると言えるかもしれません。

  ピーター・センゲ博士は、『最強組織の法則』の中で物事をシステムとして捉える「システム思考」を図式化した「氷山モデル」の中で、「出来事」・「時系列パターン」・「構造」の基底にやはり「メンタルモデル」を置いています。共通目的を明らかにし、新たな価値を創造プロセスとしては、オットー・シャーマー博士の「U理論」が参考になります。

ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術
クリエーター情報なし
集英社


最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か
クリエーター情報なし
徳間書店


U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
クリエーター情報なし
英治出版


  ただ注意しなければならいのは、交渉の段階が進化したから「奪い合い型」が無くなるわけでも、「奪い合い型」交渉を否定しているわけでもないという事です。有史以来、今日に至るまで人類文明から分配型交渉が消えたことはありません。これも交渉の一段階として厳として存在(むしろ主流)することを受け入れた上で、その理論を理解しておくことが交渉力を養う上で必要になります。

  さて、その後は各方面の交渉の専門家による交渉学の実践と応用事例が紹介されています。鈴木有香先生による「コンフリクト・マネジメント」、鄭偉先生による「グローバルマインドと異文化コミュニケーション」、昨年「交渉学特別セミナー」でご講演いただいたアラン・ランプルゥ先生とミシェル・ペカー先生による「会議を交渉する」。どれも今こそ「統合型交渉」が求められていることが分かる興味深い内容となっています。

  豊富な参考文献も、交渉学に興味を持たれた方には役立つのではないかと思います。

交渉学ノススメ
クリエーター情報なし
生産性出版


繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

People’s Palace(タイ料理)-フィリピン・マカティ市

2017年08月23日 | 食べ歩きデータベース


  フィリピン、メトロ・マニラのマカティ市にある、People’s Palaceという評判のタイ料理のお店に行ってきました。マカティはマニラの金融街で、高級ホテルや外資系企業の入ったビルが立ち並ぶ地区です。ここに暮らしているのは富裕層で、治安も良好です。

  そのマカティにグリーンベルトと呼ばれるショッピングモールなどが入ったエリアがあり、その中のグリーンベルト3の1階にPeople’s Palaceはあります。もちろんフィリピンとしては高級料理店で、店もエスニックな雰囲気はなく、モダンな造りとなっています。

  行ったのが日曜日ということもありましたが、このエリアでも人気店のようで、初めにランチのつもりで訪れてみると、11時半で既に1時間半待ちという状態でした。そこで昼は諦め、改めて夜に行くこととし、予約を取りました。ここに行かれる際は、事前予約をした方が良さそうです。



  富裕層や外国人をターゲットとしていることもあってか、タイ風サラダが豊富です。今回頼んだのは、一番人気の海老とグレープフルーツとココナッツのサラダ。香草も加わった爽やかなサラダでした。



  続いてパッタイ(焼きビーフン)。こちらもまろやかで上品な味でした。


 
  海老とカボチャのレッドカレー。こちらもカレーとは思えないほど辛さが抑えられていました。タイ料理ということで辛いものを期待していると拍子抜けしてしまうかもしれません。個人的な印象ですが、フィリピンでは韓国料理にせよタイ料理にせよ、総じて辛さが控えめな気がします。辛すぎるものはあまり好まれないのかもしれません。



  強いて言えば、こちらが少しだけピリ辛でした。クライングタイガー(タイ風ステーキ)です。牛肉は和牛の肩甲骨の裏側の希少部位(いわゆるミスジ)を使用しています。店員さんに聞いた、この店のお勧め(後で分かったことですが、一番高いメニューでした)。しかし、高いだけのことはあり非常に美味しかったです。



 デザートはこちら。名前を忘れてしまいましたが、上からマンゴー、生クリーム、アイスクリーム、チーズケーキ、焼メレンゲ、そしてメレンゲという強烈なスイーツ。メレンゲ苦手なので、上の層だけいただきました。

People's Palace

Greenbelt 3, Esperanza St, Makati, 1223 Metro Manila, Philippines

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酷暑の中でさっぱり飲めるワインー第86回YMS

2017年08月10日 | YMS情報


  8月9日、第86回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。

  毎年8月は恒例のワインセミナー。馬車道十番館様、株式会社横濱屋様、そして今年は新たにヴィレッジ・セラーズ株式会社様のご厚意の下、今年も一人あたり二本近くの飲めるのではないかと思われるほどの圧倒的にパフォーマンスの良いセミナーを開催することができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

過去のワインセミナーの模様はこちら

2016年:世界が認める勝沼甲州ワインを軸にした日本ワインとフレンチのマリアージュ
2015年:夏に合うワインと料理のマリアージュを楽しむ
2014年:注目のジャパニーズ・ワインを楽しむ
2013年:手ごろなワインと料理のマリアージュを楽しむ

馬車道十番館ワインセミナー




  今年のテーマは「酷暑の中でさっぱり飲めるワイン特集」。東京で最高気温37度を記録したこの日、フランス、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド等からまさにこの暑さにピッタリ、しかも手ごろなワイン、スパークリングが揃いました。



  馬車道十番館のソムリエ片桐様とヴィレッジ・セラーズ株式会社の稲葉様よりワインの解説。気楽なワイン会でも体としては勉強会です。しかし、知識を得ることによりワインの楽しみが一味もふた味も違ってきます。



  ワインに合わせたお料理も勉強の一部です。



  ワインばかりでなく、「なかなか行けない馬車道十番館に来られた」というお声も毎年頂戴しています。人・場・ワインの三拍子を揃えたYMSワイン会、これからもできる限り続けていきたいと思います。

過去のセミナーレポートはこちら。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2017年7月アクセスランキング

2017年08月08日 | 人気記事ランキング


  出張のため更新が遅くなりました。昨日、フィリピンのマニラから戻ってみると、日本は非常に蒸し暑い、8月らしい夏に変わっていました。気温、湿度共にこの時期はむしろ東京の方がマニラよりも暑いです。しかも、出発前すでに日本近海にいた台風5号が未だに列島にとどまり、天気図を見れば付近に高気圧が見当たらないという、記憶にない異常気象です。全国各地の皆様、災害情報にくれぐれもご用心ください。

  さて、2017年7月にアクセスの多かった記事、トップ10です。

  個別記事で最もアクセスの多かったのは、2位の「個性を活かし合う組織へ!!-キックオフミーティング2017」、年に一度行われる弊社全社員研修の模様でした。頭で考えるより先に手を動かすことによって、自らの深いところにある思考や行動の源泉にアクセスするワークを行いました。

  4位は立教大学でお話させていただいた筆跡心理関係の記事。お話させていただいた側である僕にとっても大変学びの多い授業でした。

  5位は残念ながら出席できなかったYMS関連の記事。どんな組織にも身近にあるであろう話題で大変興味深かったのですが、僕も寄せられたレポートから少しでも吸収したいと思います。因みに、次回第86回YMSは明日開催です。

  10位はテレビ神奈川の公式動画として配信されている、弊社商品「特殊紡績手袋 よみがえり」の特集です。期間限定のようですので、どうぞお早めにご覧ください。

1 トップページ
2 個性を活かし合う組織へ!!-キックオフミーティング2017
3 食べ納め、至福のサムギョプサル-真浦屋(川崎)
4 立教大学でお話させていただきました
5 身近にある精神科疾患による影響ー第85回YMS
6 エコノミーとエコロジーの語源
7 2017年6月アクセスランキング
8 あなご丼のカリビアン
9 久村俊英さんの超能力を目撃してきました
10 5連勝、トラの尾が目前に!…-日本プロ野球2017 横浜vs阪神10回戦
10 動画配信のお知らせ

  弊社は8月11日~16日、夏期休業となりますが、今月もどうぞよろしくお願い申し上げます。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする