1月24日、ラグビートップリーグのプレーオフトーナメント決勝戦、三連覇のかかるパナソニックと六年振りの優勝を狙う東芝との対戦を観戦してきました。
記録的な寒波が日本列島を覆い、快晴ながらも強風の非常に寒い中でしたが、決勝戦とあって秩父宮ラグビー場はゴール裏の席もびっしり埋まり、立ち見のお客さんも多数出るほどの盛況ぶりでした。観衆は公式発表で24,557人、
昨年の決勝戦が16,304人でしたから今シーズンのラグビー人気の程が窺えます。
ところが、この大事な試合にデジカメがあまりの寒さで不調を起こしてしまいました。上着の下で温め、何とか復活したものの、残念ながらそれも前半終了間際でした。
前半の経過を申し上げますと、開始早々わずか3分、パナソニックがモールからの連続攻撃。西原選手がゴール左にトライ。今シーズン未だゴール成功率100%という驚異的な精度を誇るパーカー選手が先週に引き続いて今日もGKを決め、7vs0。
しかし東芝もすぐさま反撃。7分、スクラムからの連続攻撃で最後は日本代表のキャプテンを務めた、リーチ選手がゴール左中間にトライ。GKも決まり、同点とします。
さらに17分、東芝はパナソニック陣ゴール前10m付近でのラインアウトからモール攻撃。最後は山本選手がトライ。GKも決まり、7vs14。
パナソニックは21分、児玉選手がインゴール左端に飛び込みますが、これはTMO判定の結果、ノートライ。リーチ選手がタックルに入った際、児玉選手の足がサイドラインを踏んでいました(トライもダブルモーションに見えましたが)。
24分、パナソニックは東芝陣ゴール前5m付近でのスクラムから連続攻撃。ラックから出たボールを左サイドから斜め右に走り込んできた堀江選手が持ち込んでトライ。GKも決まり、同点に追いつきます。
さらに終了間際の38分、ようやくカメラが復活し上の写真。パーカー選手がこの日3本目、PGを決め、17vs14。これで前半終了となります。
さて後半、最初の得点はパナソニック。パーカー選手が約25mのPGを決め20vs14。
20分、東芝陣10mライン付近でボールを受けた身長166㎝の田中選手が抜け出し、会場を沸かせます。田中選手は倒されたもののボールは堀江選手、そして俊足のピーターセン選手へと渡り、左隅にトライ。強風の中、難しい角度でしたがパーカー選手はものともせず、この試合5本目も決めます。今シーズン、怪我のバーンズ選手に代わって出場したパーカー選手、キックでお客さんを呼べそうな魅力的な選手です。
王者パナソニックが突き放しにかかったかに見えましたが、東芝も28分に反撃。クラスカ選手が抜け出して、ゴール右中間にトライ。GKも決まり、再び6点差に追い上げます。
試合終了間際の39分、このままパナソニックが逃げ切るかに見えました。東芝は自陣インゴールに飛び込んだボールをステイン選手がキャッチ。残り1分ですから直ちにアタックを仕掛けると思ったのですが、何故かドロップアウトを選択。こうなるとドロップキックでゲームを再開しますので、パナソニックにボールが渡ることになります。
万事休すと思われたのですが、ここで予想もつかないようなドラマが。何と東芝は自陣10m付近でターンオーバーに成功。さらに反則があり、マイボールスクラムを獲得したところでホーン、これがラストプレーとなります。
すると東芝はカフィ選手からステイン選手に繋いで大きくゲイン。ゴール前まで迫ると、カフィ-選手がそのまま持ち込むと思われたのですが、これもどういうわけか誰もいないオープンサイドにキック。今度こそ終ったと思いました。ところが、ボールが上手い具合に豊島選手が走りこんだ方面にバウンドし、それをキャッチした豊島選手が持ち込んで、土壇場でのトライに成功します。
信じられない光景でした。これで27vs26の1点差、GKが決まれば東芝の劇的な逆転勝利となります。会場のヴォルテージは最高潮に達しました。
しかし、已んぬる哉。東芝はキッカーの小川選手が既に交替で下がっており、最後のGKはステイン選手に委ねられることに。酷と言えば酷なのですが、ステイン選手のキックは外れ、東芝の六年振り優勝の夢は露と消えました。
とはいえ超満員の観衆の中、両チームの健闘はラグビーの面白さを存分に味わわせてくれました。まさに決勝戦にふさわしい、意地と意地のぶつかり合った死闘。ようやく復活したラグビー人気に、「良いプレーを見せたい」いう選手の皆さんの想いが伝わってくるようでした。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした