4月11日、
mass×mass関内フューチャーセンターにて、第94回YMS(
ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催いたしました。講師は
第58回YMSで好評だった、おなじみの刑事塾・森透匡先生です。
テーマは「元刑事が教えるウソ〔人間心理〕の見抜き方〜実践編 人狼ゲームで見抜く〜」。数年前に流行したカードゲーム「人狼」(いわゆるドイツゲーム)を使い、遊びながら人間観察力、伝達力、交渉力、説得力、(演技力?)などを磨こうという内容です。
初めに、森先生より長年の刑事としての経験から養った「嘘のサイン」について簡単な説明があり、その後は「習うより慣れよ」ということで、早速練習ラウンドが始まりました。
まず人狼というゲームについて簡単にご説明します。ある村で、村人を装った人狼が紛れ込んでは、夜な夜な村人を襲撃していました。村人たちは人狼を排除しようとしますが、誰が人狼か分かりません。困り果てた村人たちは日中に集会を行い、人狼と疑わしいものを多数決で決め、毎日一人ずつ処刑していくことにしました。しかし、夜になると生き残っている人狼が村人を襲撃します。こうして、村では人がひとり、またひとりと減っていきます。最終的に、全ての人狼を処刑できれば村人の勝ち、生き残った人狼と同じ数だけ村人を減らすことができれば人狼の勝ちとなります。その際、処刑されたものも含め、村人・人狼のいずれかが勝者となります。
プレイ人数は最低8名。10名から18名ぐらいが最適で、プレイヤー10名の内人狼3名ぐらいが良いようです。もちろん、人狼の割合を増減させても構いません(緊張感が増します)。
人狼ゲームには様々なバリエーションがあるようですが、今回行ったオーソドックスなものについて言えば、村人の中には以下の特殊能力を持つ者がいます。
①預言者…毎回夜のターンに指名した者(1名)が村人か人狼かを知ることができます。
②ボディガード…毎回夜のターンに指名した者(1名)を人狼の襲撃から救うことができます。
さて、ゲームの進行です。まず、ゲームの進行を司るゲームマスター(以下、GM)を決め、それ以外の人はプレイヤーとして車座になって座ります。隣の人の気配を感じにくくするため、若干間隔をあけて座った方が良いかもしれません。
GMは村人または人狼のカードを伏せて配ります。プレイヤーは他のプレイヤーに分からないよう、自分が人狼か村人かを確認します。
1.夜のターン
GMは、プレイヤーに目を閉じて頭を下げるよう指示します。次に、人狼役のみに目を開けさせ、黙ったまま誰を襲撃するかを決定させます(つまり、人狼チームは誰が人狼かを知っているということになります)。決めたら人狼に再び目を閉じ、頭を下げさせます。
GMは預言者に目を開けさせ、黙ったまま誰の正体を占うのかを決めさせます。指名された者の正体について、GMはあらかじめ決められた方法(手振りなど)で預言者に伝えます。伝えたら、預言者に再び目を閉じ、頭を下げさせます。
GMはボディガードに目を開けさせ、黙ったまま誰を守るのかを決めさせます。決まったら、ボディガードに目を閉じ、頭を下げさせます。
2.昼のターン
GMは全員に頭を上げ、目を開くよう指示します。そして、人狼に襲撃されたプレイヤーを宣言します。宣言されたプレイヤーは死亡となり、ゲームから外されます。もし、ボディガードによって守られた場合は、犠牲者なしを宣言します。
その後、数分間の集会が行われ生き残った村人(当然、人狼も紛れています)で、自由な討論が行われます。プレイヤーは自分の身分を明かしても構いませんが、嘘をつくことも許されるので、それが本当かどうかは分かりません。ただし、GMや死亡したプレイヤーと会話することはできません。死亡したプレイヤーは誰が人狼かを示唆するような一切の行為を行ってはなりません。また、プレイヤーはカードを公開してはいけません。
一定時間が経過した後、GMは村人に誰を処刑するのか多数決で決めさせます。同数の場合は決選投票を行います。指名されたプレイヤーは死亡となり、ゲームから外れます。
上記の夜と昼のターンをゲームが終了するまで繰り返します。
今回参加した20名の内、人狼ゲーム経験者は2名だったこともあり、練習ラウンドではなかなか会話が出てこないというようなことがありました。
しかし、本番ラウンドを繰り返し、ゲームに習熟するにつれ、議論や演技も白熱し、また様々な作戦も巧妙になっていきました。一見シンプルなゲームですが、嘘が許されるということによってゲームは複雑化し、プレイヤーは言語・非言語のあらゆる情報を駆使しなければなりません。また、どれだけ自分が人知を尽くそうとも、他のプレイヤーに処刑されては終わりですから、各プレイヤーは自分が処刑対象とならないよう他のプレイヤーを誘導または説得できなくてはなりません。少なくとも疑いの目を向けさせないようにすることが必要です。シンプルであるがゆえに、コミュニケーションのあらゆる要素が試される、実に奥の深いゲーム、なるほど流行ったわけだと思いました。
残念ながら1時間半という短い時間では、まだまだこのゲームを味わい尽くすには至りませんでした。しかし、これは個人のコミュニケーション能力を磨くばかりでなく、チームビルディングにも有効なゲームだと感じました。
そんなモヤモヤ感の残るときに役立つのが、セミナー終了後の懇親会です。「あの時ああすればよかった」、「こんな方法もあったのではないか?」と議論を重ねることにより、セミナーでの収穫がさらに大きなものとなります。
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繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした