こちら横浜は快晴です。しかし、明日から雨がずっと続くようですので、今日の内に太陽の光を浴びて、体を元気にしたいと思います。
さて、昨日は
メーカーズシャツ鎌倉、貞末良雄会長の講演会に参加してきました。メーカーズシャツ鎌倉さんは子供の学校の近くに本店があるため、馴染みがありますし、奥様である貞末社長にも何度がお会いしたことがあります。
デフレ時代を象徴するかのように、驚くような低価格競争を繰り広げるアパレル業界の中にあって、高品質の男性シャツ(女性物の取り扱いもあります)という分野で創業以来成長を続ける同社の会長のお話に注目が集まったのか、平日の日中にもかかわらず多数の参加者がありました。
ご講演を通じ印象に残った点として、3つの「こだわり」を挙げたいと思います。まず何といっても正統派の男性シャツに対するこだわりです。「良いものに触れた人は、感性が磨かれる」、「服装はその人となりを表す」、本場英国でも崩れつつあるジェントルマンシップをシャツを通じて訴えているように感じました。日本ではクールビズが花盛りですが、欧米ではCasual Fridayによる身だしなみの乱れに対する反省から、今はDress up Fridayと言うのだそうです。
第二に、品質に対するこだわりです。詳しくは同社のHPをご覧いただきたいのですが、「メイド・イン・ジャパンは日本の希望である」という言葉が心に響きました。つい最近も日本の技術力の粋を集めた小惑星探査機「はやぶさ」が注目を集めましたが、同社が最近発売した、世界最高品質と謳われる新彊綿のシャツがあるそうです。この綿糸が何と300番手という超極細の糸(10番手を細いと思っている軍手屋には想像もつかないような細さです!)。これで布を作れば絹よりも滑らかという素晴らしい布が出来上がるのですが、あまりに細すぎて肝心の縫製が中国のどの工場でもできなかったのだそうです。これを同社と提携する日本の工場が見事縫製し、新商品としてリリースされました。この仕事に対するこだわりと技術力こそがメイド・イン・ジャパンであり、われわれの希望なのだとおっしゃっていました。「量の満足は消えてしまうが、質の満足は消せない」、けだし箴言だと思います。
第三は、価格に対するこだわりです。昨今の安値一辺倒のアパレル業界にあって、同社の価格は必ずしも安いとは言えません。しかし、同氏は「安易なセールは(定価で買ってくださった)お客様に対する不誠実である」と言います。会社として取組むべきは、安易な値下げなどではなく、誠実な値段をつけ、それに見合うようなビジネスモデルに知恵を絞ることなのだと。そのためには「社員の一挙手一投足がお客様のためになっていなければならない」、それは総務の仕事であろうと、会議であろうと同様です。
最後に、これら3つの「こだわり」に立脚した信用によって、余計なコストが省かれるだけでなく、不可能が可能になるということです。信用があることで周りが助けてくれる。当たり前のことのようですが、その信用を構築するために、創業時のいかなる苦しい時期でも支払いは必ず現金で行ったと聞けば、到底当たり前のことと軽々しくいう事などできません。
いつもそうですが、強い信念に突き動かされた方のお話は、熱く、魂を揺さぶられるものがあります。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
よろしければクリックおねがいします!
↓