都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「博物館でお花見を」 東京国立博物館
東京国立博物館
「博物館でお花見を」
3/15~4/10

東京国立博物館で開催中の「博物館でお花見を」を見てきました。
桜も満開を迎えた東京の上野。お花見を博物館で楽しもうという企画です。桜をモチーフとした作品が東博本館内の随所に展示されています。

住吉具慶「観桜図屏風」 江戸時代・17世紀
今も昔も花見の様子は変わらないかもしれません。住吉具慶の「観桜図屏風」です。桜の木の下で座っては桜を愛でる公卿たち。背後には雄大な山が連なっています。手に盃を持っては笑みを浮かべる者もいました。胡粉でしょうか。花びらはかなり厚塗りです。何とものんびりした情景が描かれています。

仁阿弥道八「色絵桜樹図透鉢」 江戸時代・19世紀
桜の咲く空間そのものを鉢に落とし込んだのが仁阿弥道八です。名は「色絵桜樹図透鉢」。乾山に倣った作品です。緑の地面から桜の木が伸びては満開の花を咲かせています。透かしも巧み。さも花びらを象るかのようです。

鍋島「色絵桜樹図皿」 江戸時代・18世紀
鍋島にも桜をあしらった皿がありました。白抜きに桜の花々。見込みの全体を覆っています。花びらは一枚一枚、丁寧に染付で骨抜きしているそうです。満開の花。ちょうど木の下から花を見上げたような構図を示しています。

円山応挙「桜花図」 江戸時代・安永5年(1776)
桜に気品があります。応挙です。「桜花図」は44歳の作。ちょうど有名な「藤花図屏風」を手がけた頃です。枝にとまるは鶯。意外なのは制作した季節です。何と署名によれば11月とのこと。想像力を働かせては描いたのでしょうか。飾っては先に春の気分を味わっていたのかもしれません。

長沢芦雪「桜下美人図」 江戸時代・18世紀
応挙門下、芦雪にも優品が出ています。「桜下美人図」です。枝垂桜の下での女性の立ち姿を描いています。よく見ると着物の前にはひらりと一枚の花びらが舞っています。着物や帯の紋様も美しい。画家では珍しい美人画でもあります。

打掛「紅綸子地御簾薬玉桜模様」 江戸時代・18世紀
打掛にも桜は珍しくありません。ベースとなるのは鶴。吉祥模様です。そして桜は乱れ咲き。たくさんの花をつけています。刺繍は豪華です。艶やかでした。

歌川広重「江戸名所之内・上野東叡山」 江戸時代・19世紀
浮世絵がほぼ桜モチーフで占められています。例えば礒田湖龍斎の「桜下の遊女と若衆」に勝川春潮の「美人摘草」。さらにご当地ものです。広重の「江戸名所之内 上野東叡山」は上野の桜を描いたもの。肉筆も数点。やはり同じく桜でした。
ともかく館内は桜祭り。館内を春色に染めています。また桜の作品を探すのには「博物館でお花見を」のチラシが有用です。

「本館桜めぐり」スタンプラリー
中には「本館桜めぐり」と題したスタンプラリーもあります。スタンプ台は全部で5ヶ所。全て巡るとオリジナルミニ缶バッジがプレゼントされます。

船田一琴「瓢形酒入」 江戸時代・天保14年(1843)
特別公開の「国宝土偶 縄文の女神」もほぼ同会期での開催です。「縄文の女神」とは1992年に山形県で出土し、2012年に国宝指定を受けた日本最大の立像土偶です。残欠とともに都内で展示されるのは、国宝指定後、初めてのことになります。(撮影は不可。)こちらもお見逃しなきようご注意ください。
屋外では恒例の「春の庭園開放」も実施中です。通常、クローズしている本館北側の庭園を期間限定(4月17日まで)で散策することが出来ます。

池を中心に5棟の茶室の配する庭園。いわゆる回遊型でしょうか。ぐるりと一周すると様々な桜の木が植えられていることが分かります。全部で10種類ほどあるそうです。

多少の人出があるとはいえ、上野公園内と比べればはるかに落ち着いたもの。穴場と言っても良いお花見スポットです。

ちょうどこの土日が見頃のピークを迎えるのではないでしょうか。

4月10日まで開催されています。
「博物館でお花見を」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:3月15日(火) ~4月10日(日)
休館:3月22日(火)。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
*特別展「黒田清輝」のチケットでも観覧可。
時間:9:30~17:00
*3月25日以降の金曜日は20時まで。3月26日以降の土・日は18時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
「博物館でお花見を」
3/15~4/10

東京国立博物館で開催中の「博物館でお花見を」を見てきました。
桜も満開を迎えた東京の上野。お花見を博物館で楽しもうという企画です。桜をモチーフとした作品が東博本館内の随所に展示されています。

住吉具慶「観桜図屏風」 江戸時代・17世紀
今も昔も花見の様子は変わらないかもしれません。住吉具慶の「観桜図屏風」です。桜の木の下で座っては桜を愛でる公卿たち。背後には雄大な山が連なっています。手に盃を持っては笑みを浮かべる者もいました。胡粉でしょうか。花びらはかなり厚塗りです。何とものんびりした情景が描かれています。

仁阿弥道八「色絵桜樹図透鉢」 江戸時代・19世紀
桜の咲く空間そのものを鉢に落とし込んだのが仁阿弥道八です。名は「色絵桜樹図透鉢」。乾山に倣った作品です。緑の地面から桜の木が伸びては満開の花を咲かせています。透かしも巧み。さも花びらを象るかのようです。

鍋島「色絵桜樹図皿」 江戸時代・18世紀
鍋島にも桜をあしらった皿がありました。白抜きに桜の花々。見込みの全体を覆っています。花びらは一枚一枚、丁寧に染付で骨抜きしているそうです。満開の花。ちょうど木の下から花を見上げたような構図を示しています。

円山応挙「桜花図」 江戸時代・安永5年(1776)
桜に気品があります。応挙です。「桜花図」は44歳の作。ちょうど有名な「藤花図屏風」を手がけた頃です。枝にとまるは鶯。意外なのは制作した季節です。何と署名によれば11月とのこと。想像力を働かせては描いたのでしょうか。飾っては先に春の気分を味わっていたのかもしれません。

長沢芦雪「桜下美人図」 江戸時代・18世紀
応挙門下、芦雪にも優品が出ています。「桜下美人図」です。枝垂桜の下での女性の立ち姿を描いています。よく見ると着物の前にはひらりと一枚の花びらが舞っています。着物や帯の紋様も美しい。画家では珍しい美人画でもあります。

打掛「紅綸子地御簾薬玉桜模様」 江戸時代・18世紀
打掛にも桜は珍しくありません。ベースとなるのは鶴。吉祥模様です。そして桜は乱れ咲き。たくさんの花をつけています。刺繍は豪華です。艶やかでした。

歌川広重「江戸名所之内・上野東叡山」 江戸時代・19世紀
浮世絵がほぼ桜モチーフで占められています。例えば礒田湖龍斎の「桜下の遊女と若衆」に勝川春潮の「美人摘草」。さらにご当地ものです。広重の「江戸名所之内 上野東叡山」は上野の桜を描いたもの。肉筆も数点。やはり同じく桜でした。
ともかく館内は桜祭り。館内を春色に染めています。また桜の作品を探すのには「博物館でお花見を」のチラシが有用です。

「本館桜めぐり」スタンプラリー
中には「本館桜めぐり」と題したスタンプラリーもあります。スタンプ台は全部で5ヶ所。全て巡るとオリジナルミニ缶バッジがプレゼントされます。

船田一琴「瓢形酒入」 江戸時代・天保14年(1843)
特別公開の「国宝土偶 縄文の女神」もほぼ同会期での開催です。「縄文の女神」とは1992年に山形県で出土し、2012年に国宝指定を受けた日本最大の立像土偶です。残欠とともに都内で展示されるのは、国宝指定後、初めてのことになります。(撮影は不可。)こちらもお見逃しなきようご注意ください。
屋外では恒例の「春の庭園開放」も実施中です。通常、クローズしている本館北側の庭園を期間限定(4月17日まで)で散策することが出来ます。

池を中心に5棟の茶室の配する庭園。いわゆる回遊型でしょうか。ぐるりと一周すると様々な桜の木が植えられていることが分かります。全部で10種類ほどあるそうです。

多少の人出があるとはいえ、上野公園内と比べればはるかに落ち着いたもの。穴場と言っても良いお花見スポットです。

ちょうどこの土日が見頃のピークを迎えるのではないでしょうか。

4月10日まで開催されています。
「博物館でお花見を」 東京国立博物館(@TNM_PR)
会期:3月15日(火) ~4月10日(日)
休館:3月22日(火)。
料金:一般620円(520円)、大学生410円(310円)、高校生以下無料。
* ( )内は20名以上の団体料金。
*特別展「黒田清輝」のチケットでも観覧可。
時間:9:30~17:00
*3月25日以降の金曜日は20時まで。3月26日以降の土・日は18時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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