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「鈴木基真展 MOD」 LIXILギャラリー

LIXILギャラリー
「クリエイションの未来展 第13回 清水敏男監修 鈴木基真展 MOD」 
10/12~12/24



4名のクリエーターが、各3ヶ月毎に会期を区切り、個別のテーマを設定して展示を行う「クリエイションの未来展」も、第13回を数えるに至りました。

今回の監修を担当したのは、美術評論家の清水敏男氏です。主に木彫を手がける現代美術家、鈴木基真の制作を紹介しています。



まず目に飛び込んできたのは、壁際に並ぶ木彫の作品でした。うち1つは高層のアパートを象っていて、たくさんの窓をはじめ、エアコンの室外機も表現しています。茶色に塗られたアパートは、所々、緻密に彫っているものの、下層階は幾分、荒削りで、何も写実のみを追求しているようには思えません。現実と非現実が交差します。また独特の乾いた、言い換えれば、表面のパサついた感触も面白いのではないでしょうか。



隣の家屋も同様で、家自体は細かに彫りながら、同じ敷地に生える樹木は、さも彫り残すように表現しています、また建物同士の縮尺はまちまちで、一定ではありません。さらに中央の台の上の木彫は、確かに小屋を象っていたものの、より細部の処理は大胆で、建物をリアルに写したというよりも、まるで木製の玩具のようにも見えました。ざっくりとしたノミの跡と思われる面も、はっきりと残されていて、作家の手の動きが伝わるようでした。



かねてより鈴木は、「アメリカ映画に登場する風景をモチーフに、建物や街を独自のスケールに置き換えた」(解説より)作品を制作して来ました。今からおおよそ4年前に、同ギャラリーで行われた個展においても、やはりアメリカ映画に触発された、建物や樹木などの木彫を出品していました。

「鈴木基真展ーCinematic Orchestra」(LIXILギャラリー)
2013年1月8日(火)~1月29日(火)
http://www1.lixil.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_002273.html

私も見に行きましたが、高さ150センチの台の上に、家屋や樹木、それに観覧車などを並べた展示は、さもジオラマを前にしたような趣きがありました。

今回はさらに変化がありました。それが新作のライトボックスです。中には、木彫と同様に、細かなテクスチャーの広がる建物が表現されています。初めは木彫をそのまま捉えたのかと思いましたが、実は木構造と粘土の塑像で制作したものを写真で撮影し、後ろから光を当てるライトボックスに仕上げた作品でした。



その光の効果もあるのか、窓の部分に明かりが灯っているようにも見えます。鈴木の木彫は常に無人で、建物が並べども、人の気配や賑わいはありませんが、ライトボックスの作品からは、どことなく人の存在を感じ取れるかもしれません。



このライトボックスの作品で、作家の鈴木は、本年のVOCA奨励賞を受賞したそうです。木彫とはまた違った展開も知ることが出来ました。



12月24日まで開催されています。

「クリエイションの未来展 第13回 清水敏男監修 鈴木基真展 MOD」 LIXILギャラリー
会期:10月12日(木)~12月24日(日)
休廊:水曜日。11月26日(日)
時間:10:00~18:00
料金:無料
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA1、2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
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