都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
2019年6月に見たい展覧会【夢のCHITABASHI(ちたばし)美術館/マンモス/メスキータ】
GWはやや不順な天候が続いていましたが、5月は月末に一気に暑くなり、東京では観測史上初めての4日連続の真夏日を記録しました。あまりにもの気候の変動ゆえに、体調を崩されている方も少なくありませんが、いかがお過ごしでしょうか。
5月に見た展覧会の中では、まだ感想をまとめられていませんが、DIC川村記念美術館の「ジョセフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」展が一番印象に残りました。いわゆる箱の作品で知られるコーネルですが、それ以外の平面コラージュや、知られざる映像も公開していて、相互に響きあうコーネルの創作を検証していました。漠然と箱のイメージのあったコーネルでしたが、初めて芸術家の全体像を知ったような気がしました。
6月も興味深い展覧会が少なくありません。いつものようにリストアップしてみました。
展覧会
・「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」 東京ステーションギャラリー(~6/16)
・「江戸の街道をゆく~将軍と姫君の旅路」 江戸東京博物館(~6/16)
・「鎌倉禅林の美 円覚寺の至宝」 三井記念美術館(~6/23)
・「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展 ―夢のCHITABASHI美術館」 千葉市美術館(~6/23)
・「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」 21_21 DESIGN SIGHT(~6/30)
・「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」 Bunkamura ザ・ミュージアム(~6/30)
・「デザインの(居)場所」 東京国立近代美術館工芸館(~6/30)
・「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」 東京都庭園美術館(~7/7)
・「棟方志功展」 府中市美術館(~7/7)
・「はじめての古美術鑑賞 絵画のテーマ」 根津美術館(~7/7)
・「ゆかた 浴衣 YUKATA―すずしさのデザイン、いまむかし」 泉屋博古館分館(~7/7)
・「宮本隆司 いまだ見えざるところ」 東京都写真美術館(~7/15)
・「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」 ちひろ美術館・東京(~7/28)
・「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」 渋谷区立松濤美術館(6/8~7/28)
・「生誕125年記念 速水御舟」 山種美術館(6/8~8/4)
・「遊びの流儀 遊楽図の系譜」 サントリー美術館(6/26~8/18)
・「メスキータ」 東京ステーションギャラリー(6/29~8/18)
・「唐三彩 ―シルクロードの至宝」 出光美術館(6/22~8/25)
・「新収蔵浮世絵コレクション」 國學院大學博物館(6/29~8/25)
・「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」 国立新美術館(6/12~9/2)
・「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」 国立西洋美術館(6/11~9/23)
・「塩田千春展:魂がふるえる」 森美術館(6/20~10/27)
・「マンモス展」 日本科学未来館(6/7~11/4)
ギャラリー
・「大宮エリー Peace within you」 小山登美夫ギャラリー(~6/15)
・「熊谷亜莉沙|Single bed」 ギャラリー小柳(~6/22)
・「JAGDA新人賞展2019 赤沼夏希・岡崎智弘・小林一毅」 クリエイションギャラリーG8(~6/29)
・「大竹伸朗 1975-1989 」 Take Ninagawa(~6/29)
・「赤松音呂展 Meteon」 ミヅマアートギャラリー(~6/29)
・「Ryu Itadani ENJOY the VIEW」ポーラ ミュージアム アネックス(6/7~6/30)
・「STEP IN CHANEL –わたしがシャネルと出会ったら、」 CHANEL NEXUS HALL(6/22~7/4)
・「横尾忠則 B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」 SCAI THE BATHHOUSE(~7/6)
・「Fermentation Tourism Nippon ~発酵から再発見する日本の旅」 渋谷ヒカリエd47 MUSEUM(~7/8)
・「αMプロジェクト2019『東京計画2019』 vol.2 風間サチコ」 ギャラリーαM(~7/13)
・「中山英之展 , and then」 TOTOギャラリー・間(~8/4)
・「台所見聞録-人と暮らしの万華鏡」 LIXILギャラリー東京(6/6~8/24)
・「アルフレド&イザベル・アキリザン展」 アートフロントギャラリー(6/19~8/4)
・「宮島達男 Counting」 Akio Nagasawa Gallery Ginza(〜8/31)
まずは日本美術です。まさに1度限りの夢のコラボ企画となるかもしれません。千葉市美術館で「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展 ―夢のCHITABASHI(ちたばし)美術館」がはじまります。
「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展 ―夢のCHITABASHI(ちたばし)美術館」@千葉市美術館(6/1~6/23)
これは千葉市美術館と、現在、改修工事のために休館中の板橋区立美術館の所蔵品を併せて紹介するもので、江戸の琳派から幕末明治の小原古邨までの計120点の作品が公開されます。もちろんこのような形でコレクションが展示されるのは初めてのことでもあります。
「ちたばし」とは聞き慣れない言葉ではありますが、ともに古美術コレクションで定評のある美術館だけに、優品揃いの展覧会になることは間違いありません。
大胆な先行チラシのビジュアルも目を引きました。日本科学未来館にて「マンモス展」が開催されます。
「マンモス展」@日本科学未来館(6/7~11/4)
面積の40%が北極圏であるロシアのサハ共和国では、近年、永久凍土からマンモスなどの古生物の冷凍標本が次々と発掘されてきました。その成果を披露するのが「マンモス展」で、2005年の「愛・地球博」でも人気を博した「ユカギルマンモス」の頭部をはじめ、世界初公開の「ケナガマンモス」の鼻や「ユカギルバイソン」など数々の冷凍標本が、過去最大級のスケールで出展されます。
また近畿大学生物理工学部の「マンモス復活プロジェクト」の研究も紹介され、最先端の生命科学の在り方について考える内容にもなるそうです。「マンモス」と銘打った大規模展は必ずしも多くないだけに、この夏、恐竜展などと並んで、かなり注目を集めるかもしれません。
日本でも本格的な受容のきっかけとなるかもしれません。19世紀から20世紀にかけてのオランダで活動した、ミュエル・イェスルン・デ・メスキータの国内初の回顧展が、東京ステーションギャラリーにて行われます。
「メスキータ」@東京ステーションギャラリー(6/29~8/18)
1868年にユダヤ系の家庭の生まれたメスキータは、版画家や装飾美術のデザイナーとして活動し、木版画やドローイングを制作しつつ、雑誌の表紙や挿絵、染織のデザインなどを手がけました。また、美術学校の教師やアカデミーの教授も務め、エッシャーらの芸術家にも多様な影響を与えました。
しかし1940年、ナチスがオランダを占領すると、ユダヤ人であることから迫害を受け、ついに1944年、家族とともに拘束され、強制収容所で殺されてしまいます。ただ作品はエッシャーらの友人が保管し続け、近年はヨーロッパでカタログが刊行されるなど、改めて評価する機運が高まってきました。
チラシや画像からしても鮮烈なビジュアルです。「オランダの最も重要なグラフィック・アーティストの1人」とも称されるメスキータの世界を知る絶好の機会となるのではないでしょうか。
このほか、現代美術ファンとしては、大阪から巡回してくる「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」(国立新美術館、6/12~9/2)や、作家の25年の集大成となる「塩田千春展:魂がふるえる」(森美術館、6/20~10/27)も見逃せない展覧会と言えるかもしれません。ともに早々に見に行きたいと思います。
それでは今月も宜しくお願いします。
5月に見た展覧会の中では、まだ感想をまとめられていませんが、DIC川村記念美術館の「ジョセフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」展が一番印象に残りました。いわゆる箱の作品で知られるコーネルですが、それ以外の平面コラージュや、知られざる映像も公開していて、相互に響きあうコーネルの創作を検証していました。漠然と箱のイメージのあったコーネルでしたが、初めて芸術家の全体像を知ったような気がしました。
6月も興味深い展覧会が少なくありません。いつものようにリストアップしてみました。
展覧会
・「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」 東京ステーションギャラリー(~6/16)
・「江戸の街道をゆく~将軍と姫君の旅路」 江戸東京博物館(~6/16)
・「鎌倉禅林の美 円覚寺の至宝」 三井記念美術館(~6/23)
・「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展 ―夢のCHITABASHI美術館」 千葉市美術館(~6/23)
・「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」 21_21 DESIGN SIGHT(~6/30)
・「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」 Bunkamura ザ・ミュージアム(~6/30)
・「デザインの(居)場所」 東京国立近代美術館工芸館(~6/30)
・「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」 東京都庭園美術館(~7/7)
・「棟方志功展」 府中市美術館(~7/7)
・「はじめての古美術鑑賞 絵画のテーマ」 根津美術館(~7/7)
・「ゆかた 浴衣 YUKATA―すずしさのデザイン、いまむかし」 泉屋博古館分館(~7/7)
・「宮本隆司 いまだ見えざるところ」 東京都写真美術館(~7/15)
・「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」 ちひろ美術館・東京(~7/28)
・「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」 渋谷区立松濤美術館(6/8~7/28)
・「生誕125年記念 速水御舟」 山種美術館(6/8~8/4)
・「遊びの流儀 遊楽図の系譜」 サントリー美術館(6/26~8/18)
・「メスキータ」 東京ステーションギャラリー(6/29~8/18)
・「唐三彩 ―シルクロードの至宝」 出光美術館(6/22~8/25)
・「新収蔵浮世絵コレクション」 國學院大學博物館(6/29~8/25)
・「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」 国立新美術館(6/12~9/2)
・「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」 国立西洋美術館(6/11~9/23)
・「塩田千春展:魂がふるえる」 森美術館(6/20~10/27)
・「マンモス展」 日本科学未来館(6/7~11/4)
ギャラリー
・「大宮エリー Peace within you」 小山登美夫ギャラリー(~6/15)
・「熊谷亜莉沙|Single bed」 ギャラリー小柳(~6/22)
・「JAGDA新人賞展2019 赤沼夏希・岡崎智弘・小林一毅」 クリエイションギャラリーG8(~6/29)
・「大竹伸朗 1975-1989 」 Take Ninagawa(~6/29)
・「赤松音呂展 Meteon」 ミヅマアートギャラリー(~6/29)
・「Ryu Itadani ENJOY the VIEW」ポーラ ミュージアム アネックス(6/7~6/30)
・「STEP IN CHANEL –わたしがシャネルと出会ったら、」 CHANEL NEXUS HALL(6/22~7/4)
・「横尾忠則 B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」 SCAI THE BATHHOUSE(~7/6)
・「Fermentation Tourism Nippon ~発酵から再発見する日本の旅」 渋谷ヒカリエd47 MUSEUM(~7/8)
・「αMプロジェクト2019『東京計画2019』 vol.2 風間サチコ」 ギャラリーαM(~7/13)
・「中山英之展 , and then」 TOTOギャラリー・間(~8/4)
・「台所見聞録-人と暮らしの万華鏡」 LIXILギャラリー東京(6/6~8/24)
・「アルフレド&イザベル・アキリザン展」 アートフロントギャラリー(6/19~8/4)
・「宮島達男 Counting」 Akio Nagasawa Gallery Ginza(〜8/31)
まずは日本美術です。まさに1度限りの夢のコラボ企画となるかもしれません。千葉市美術館で「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展 ―夢のCHITABASHI(ちたばし)美術館」がはじまります。
「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展 ―夢のCHITABASHI(ちたばし)美術館」@千葉市美術館(6/1~6/23)
これは千葉市美術館と、現在、改修工事のために休館中の板橋区立美術館の所蔵品を併せて紹介するもので、江戸の琳派から幕末明治の小原古邨までの計120点の作品が公開されます。もちろんこのような形でコレクションが展示されるのは初めてのことでもあります。
6/1〜23に開催する「板橋区美×千葉市美 日本美術コレクション展―夢のCHITABASHI美術館!?」展示作業は順調に進んでいます。ギョッとするほど大きな狩野典信《大黒図》は板橋区美のもの。横にどんな作品が並ぶか待ち構えているようです。たった23日間の展示ですのでご興味のある方はお早めに!#ちたばし pic.twitter.com/O2IR52QLRl
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) 2019年5月30日
「ちたばし」とは聞き慣れない言葉ではありますが、ともに古美術コレクションで定評のある美術館だけに、優品揃いの展覧会になることは間違いありません。
大胆な先行チラシのビジュアルも目を引きました。日本科学未来館にて「マンモス展」が開催されます。
「マンモス展」@日本科学未来館(6/7~11/4)
面積の40%が北極圏であるロシアのサハ共和国では、近年、永久凍土からマンモスなどの古生物の冷凍標本が次々と発掘されてきました。その成果を披露するのが「マンモス展」で、2005年の「愛・地球博」でも人気を博した「ユカギルマンモス」の頭部をはじめ、世界初公開の「ケナガマンモス」の鼻や「ユカギルバイソン」など数々の冷凍標本が、過去最大級のスケールで出展されます。
【ケナガマンモスの皮膚】こちらは、今回冷凍展示する、28,900年前のマンモスの皮膚です。2018年8月に「マンモス展」とロシア北東連邦大学の合同チームが合同で行なった発掘調査で発見されました。この皮膚を見る事で、マンモス特有の進化の過程がわかります。#マンモス展 #日本科学未来館 pic.twitter.com/gXWCXGEJZi
— 【公式】「マンモス展」ーその「生命」は蘇るのかー (@mammothten) 2019年5月26日
また近畿大学生物理工学部の「マンモス復活プロジェクト」の研究も紹介され、最先端の生命科学の在り方について考える内容にもなるそうです。「マンモス」と銘打った大規模展は必ずしも多くないだけに、この夏、恐竜展などと並んで、かなり注目を集めるかもしれません。
日本でも本格的な受容のきっかけとなるかもしれません。19世紀から20世紀にかけてのオランダで活動した、ミュエル・イェスルン・デ・メスキータの国内初の回顧展が、東京ステーションギャラリーにて行われます。
「メスキータ」@東京ステーションギャラリー(6/29~8/18)
1868年にユダヤ系の家庭の生まれたメスキータは、版画家や装飾美術のデザイナーとして活動し、木版画やドローイングを制作しつつ、雑誌の表紙や挿絵、染織のデザインなどを手がけました。また、美術学校の教師やアカデミーの教授も務め、エッシャーらの芸術家にも多様な影響を与えました。
しかし1940年、ナチスがオランダを占領すると、ユダヤ人であることから迫害を受け、ついに1944年、家族とともに拘束され、強制収容所で殺されてしまいます。ただ作品はエッシャーらの友人が保管し続け、近年はヨーロッパでカタログが刊行されるなど、改めて評価する機運が高まってきました。
チラシや画像からしても鮮烈なビジュアルです。「オランダの最も重要なグラフィック・アーティストの1人」とも称されるメスキータの世界を知る絶好の機会となるのではないでしょうか。
【展示替え中】森美術館は展示替えのため休館中です。次回展「塩田千春展:魂がふるえる」は、6月20日(木)より開催します!https://t.co/4VzDyYtJqF #塩田千春展魂がふるえる#塩田千春#森美術館 pic.twitter.com/dyqaJz9NH4
— Mori Art Museum 森美術館 (@mori_art_museum) 2019年5月28日
このほか、現代美術ファンとしては、大阪から巡回してくる「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」(国立新美術館、6/12~9/2)や、作家の25年の集大成となる「塩田千春展:魂がふるえる」(森美術館、6/20~10/27)も見逃せない展覧会と言えるかもしれません。ともに早々に見に行きたいと思います。
それでは今月も宜しくお願いします。
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