都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「小さなデザイン 駒形克己展」 板橋区立美術館
板橋区立美術館
「小さなデザイン 駒形克己展」
2019/11/23~2020/1/13
1953年に生まれ、日本やアメリカでグラフィックデザイナーとして活動してきた駒形克己は、1989年の長女の誕生に際し、絵本の制作に取り組み始めました。
その駒形克己の絵本をはじめ、初期の実験的な作品や音楽やファッションの仕事、それにスケッチなど、約300点もの作品資料が板橋区立美術館へとやって来ました。
はじめは駒形のキャリア初期の作品で、1977年に渡米し、ニューヨークCBS本社やシェクターグループで手掛けたグラフィックデザインなどが紹介されていました。いずれもシンプルなデザインながらも、独特の豊かな手触り感も感じられて、後の絵本に通じる面も見られました。
1983年に帰国した駒形は、オフコースや安全地帯などのレコードジャケットや、コムデギャルソンなどのファッションブランドのタグやズッカのロゴなどを制作しました。
さらに1989年に長女が誕生すると、子どもの成長に向き合うべく、絵本を作り始めました。それらの絵本は紙の質感を活かしつつ、切り抜きや変形ページを多用していて、2010年には「Little Tree」にてボローニャ国際児童図書展のラガッツィ賞にノミネートされました。
駒形本人が展示を行った絵本のインスタレーションも見どころでした。木製の台の上に絵本を多様に展開していて、あたかもそれぞれの絵本が互いに関係しては、1つの大きな物語を紡ぐかのようでした。
さすがに触ることは叶いませんが、やはり紙の温もりのある質感や、まるで自由工作を目にするような遊び心も感じられて、愛おしく思えるほどでした。「小さなことをを大切にしてきた」とする、駒形の子どもへの愛情が反映された作品と言えるかもしれません。(絵本のインスタレーションのみ撮影可)
会場の一角では絵本を自由に手にすることの出来るスペースも設けられていました。そちらでじっくり立体絵本を閲覧するのも楽しいのではないでしょうか。
駒形は板橋区立美術館と関係が深く、2000年には「ボローニャ国際絵本原画展」で絵本を紹介した他、後に同展の審査員に就任してからは、ワークショップやイベントの講師を務めるようになりました。さらに2007年の「ブルーノ・ムナーリ」展では図録とポスターのデザインを行い、2009年には同美術館初のロゴマークも制作しました。
そして2019年には開館40周年を期して、新たなロゴマークも駒形が手掛けました。建物正面のシルエットをモチーフとしていて、二色のシンプルな構成ながらも、どこか回転ならぬ動きを感じられるようなデザインとなっていました。今回の展覧会でも多数のイベントを開いていますが、今後も同美術館と協働を続けていくのかもしれません。
さて2018年5月より大規模改修工事のため休館していた板橋区立美術館ですが、2019年6月、約10ヶ月の工期を経て、全面リニューアルオープンしました。
大きな屋根を特徴とした2階建ての建物の形こそ同じものの、外装、及び内装は完全に一新されていて、前の建物を知らなければ新築と錯覚するほどでした。
1階のラウンジにはペンダントライトが吊るされ、カジュアルな雰囲気を醸し出す一方、展示室は落ち着いた空間となっていて、ケースや照明なども入れ替えられ、実に快適に作品を見ることが出来ました。
既に日本美術の展覧会で定評のある同美術館ですが、今後は国宝や重要文化財も展示可能な仕様となりました。また明るい授乳室も設置され、トイレもバリアフリーに対応しました。
自ら「永遠の穴場」とうたう、板橋区立美術館のこれからの活動にも期待したいと思います。
「小さなデザイン 駒形克己展/板橋区立美術館/ブルーシープ」
「小さなデザイン 駒形克己展」巡回スケジュール
三菱地所アルティアム(福岡):2020年3月14日~5月10日
岩手県立美術館:2020年9月5日~11月3日
足利市立美術館:2020年11月14日~2021年1月10日
気がつけば会期末を迎えていました。1月13日まで開催されています。
「小さなデザイン 駒形克己展」 板橋区立美術館(@itabashi_art_m)
会期:2019年11月23日(土・祝)~2020年1月13日(月・祝)
休館:月曜日。但し1/13は祝日のため開館。年末年始(12月29日~1月3日)。
時間:9:30~17:00 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般650円、高・大生450円、小・中学生200円。
*毎週土曜日は高校生以下無料。
住所:板橋区赤塚5-34-27
交通:都営地下鉄三田線西高島平駅下車徒歩13分。東武東上線・東京メトロ有楽町線成増駅北口2番のりばより増17系統「高島平操車場」行き、「区立美術館」下車。
「小さなデザイン 駒形克己展」
2019/11/23~2020/1/13
1953年に生まれ、日本やアメリカでグラフィックデザイナーとして活動してきた駒形克己は、1989年の長女の誕生に際し、絵本の制作に取り組み始めました。
その駒形克己の絵本をはじめ、初期の実験的な作品や音楽やファッションの仕事、それにスケッチなど、約300点もの作品資料が板橋区立美術館へとやって来ました。
はじめは駒形のキャリア初期の作品で、1977年に渡米し、ニューヨークCBS本社やシェクターグループで手掛けたグラフィックデザインなどが紹介されていました。いずれもシンプルなデザインながらも、独特の豊かな手触り感も感じられて、後の絵本に通じる面も見られました。
1983年に帰国した駒形は、オフコースや安全地帯などのレコードジャケットや、コムデギャルソンなどのファッションブランドのタグやズッカのロゴなどを制作しました。
さらに1989年に長女が誕生すると、子どもの成長に向き合うべく、絵本を作り始めました。それらの絵本は紙の質感を活かしつつ、切り抜きや変形ページを多用していて、2010年には「Little Tree」にてボローニャ国際児童図書展のラガッツィ賞にノミネートされました。
駒形本人が展示を行った絵本のインスタレーションも見どころでした。木製の台の上に絵本を多様に展開していて、あたかもそれぞれの絵本が互いに関係しては、1つの大きな物語を紡ぐかのようでした。
さすがに触ることは叶いませんが、やはり紙の温もりのある質感や、まるで自由工作を目にするような遊び心も感じられて、愛おしく思えるほどでした。「小さなことをを大切にしてきた」とする、駒形の子どもへの愛情が反映された作品と言えるかもしれません。(絵本のインスタレーションのみ撮影可)
会場の一角では絵本を自由に手にすることの出来るスペースも設けられていました。そちらでじっくり立体絵本を閲覧するのも楽しいのではないでしょうか。
駒形は板橋区立美術館と関係が深く、2000年には「ボローニャ国際絵本原画展」で絵本を紹介した他、後に同展の審査員に就任してからは、ワークショップやイベントの講師を務めるようになりました。さらに2007年の「ブルーノ・ムナーリ」展では図録とポスターのデザインを行い、2009年には同美術館初のロゴマークも制作しました。
そして2019年には開館40周年を期して、新たなロゴマークも駒形が手掛けました。建物正面のシルエットをモチーフとしていて、二色のシンプルな構成ながらも、どこか回転ならぬ動きを感じられるようなデザインとなっていました。今回の展覧会でも多数のイベントを開いていますが、今後も同美術館と協働を続けていくのかもしれません。
さて2018年5月より大規模改修工事のため休館していた板橋区立美術館ですが、2019年6月、約10ヶ月の工期を経て、全面リニューアルオープンしました。
大きな屋根を特徴とした2階建ての建物の形こそ同じものの、外装、及び内装は完全に一新されていて、前の建物を知らなければ新築と錯覚するほどでした。
1階のラウンジにはペンダントライトが吊るされ、カジュアルな雰囲気を醸し出す一方、展示室は落ち着いた空間となっていて、ケースや照明なども入れ替えられ、実に快適に作品を見ることが出来ました。
既に日本美術の展覧会で定評のある同美術館ですが、今後は国宝や重要文化財も展示可能な仕様となりました。また明るい授乳室も設置され、トイレもバリアフリーに対応しました。
自ら「永遠の穴場」とうたう、板橋区立美術館のこれからの活動にも期待したいと思います。
「小さなデザイン 駒形克己展/板橋区立美術館/ブルーシープ」
「小さなデザイン 駒形克己展」巡回スケジュール
三菱地所アルティアム(福岡):2020年3月14日~5月10日
岩手県立美術館:2020年9月5日~11月3日
足利市立美術館:2020年11月14日~2021年1月10日
現在開催中の「小さなデザイン 駒形克己展」会場内では特設のミュージアムショップがオープン!大人気につき品切れが続いていた『空が青いと海も青い。』と『ふしぎな穴』が再入荷しました!その他、なかなか手に入らない貴重な絵本やグッズを取り揃えてお待ちしております!https://t.co/laP4rTuSIw pic.twitter.com/iPWaoFTRuS
— 板橋区立美術館 (@itabashi_art_m) January 4, 2020
気がつけば会期末を迎えていました。1月13日まで開催されています。
「小さなデザイン 駒形克己展」 板橋区立美術館(@itabashi_art_m)
会期:2019年11月23日(土・祝)~2020年1月13日(月・祝)
休館:月曜日。但し1/13は祝日のため開館。年末年始(12月29日~1月3日)。
時間:9:30~17:00 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般650円、高・大生450円、小・中学生200円。
*毎週土曜日は高校生以下無料。
住所:板橋区赤塚5-34-27
交通:都営地下鉄三田線西高島平駅下車徒歩13分。東武東上線・東京メトロ有楽町線成増駅北口2番のりばより増17系統「高島平操車場」行き、「区立美術館」下車。
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