「動きの中の思索―カール・ゲルストナー」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「動きの中の思索―カール・ゲルストナー」 
2019/11/28~2020/1/18



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「動きの中の思索―カール・ゲルストナー」を見てきました。

1930年にスイスのバーゼルに生まれたデザイナー、カール・ゲルストナーは、デザインをシステムとして構築することを提案し、同国のタイポグラフィとグラフィックデザインに大きな影響を与えました。

そのゲルストナーの日本初の個展が「動きの中の思索」で、広告デザイン25点、ポスター9点の他、直筆のスケッチなどが一堂に紹介されていました。



ゲルストナーの作品はもちろん、会場のデザインも魅力的と言えるかもしれません。とするのも、1階展示室ではゲルストナーの広告ポスターを壁一面に引き伸ばし、ダブルイメージのように展開していて、あたかも広告の中へ迷い込んだかのような感覚を作り出しているからでした。



また1階はほぼモノクロームの作品で占められている一方、地下の展示室ではカラーのポスターなどを並べていて、上下階でゲルストナーの作品を色で対比するかのように紹介していました。



左右非対称なレイアウトやグリッドを利用する「スイス・スタイル」がゲルストナーの作品の基本とされていて、体系的な色彩や秩序だったフォルムなど、言わば理知的に見えるのも特徴であるかもしれません。



その一方で、タイポと写真の組み合わせには、時にウィットも垣間見られて、洗練でありながらも、遊び心が感じられるのも面白いところでした。



スイス航空のCI(コーポレート・アイデンティティ)や、シェル石油のロゴデザイン案などはよく知られた作品と言えるのではないでしょうか。若い頃、バーゼルの工芸学校で学んだゲルストナーは、1949年、医薬品メーカーのカイギー社でデザインチームの一員として活動しました。そして後に広告代理店を立ち上げると、1963年にはGGK(ゲルストナー グレディンガー クッター)を設立し、ヨーロッパで有数の成功を収めました。



ゲルストナーは2017年、86歳にて亡くなりましたが、デザインのアーカイブはスイスの国立図書館に納められていて、「タイポグラフィ、コマーシャルアート、コーポレートデザインの最も重要な革新者の一人」として称賛されました。

1965年に松屋銀座で開催されたデザイン展「ペルソナ」にて、ゲスト作家として招待されたゲルストナーは、当時の日本の若いデザイナーにも大きな影響を与えたそうです。以来、約半世紀ぶりにゲルストナーの業績がまとめて紹介された展覧会と言えるのかもしれません。


年末年始のお休みも終わりました。年明けは1月7日よりオープンしています。



1月18日まで開催されています。

「動きの中の思索―カール・ゲルストナー」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
会期:2019年11月28日(木)~2020年1月18日(土)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12/27~1/6)。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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