都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「松江泰治 マキエタ CC」 東京都写真美術館
東京都写真美術館
「松江泰治 マキエタ CC」
2020/11/9~2022/1/23

東京都写真美術館で開催中の「松江泰治 マキエタCC」を見てきました。
1963年に生まれた写真家の松江泰治は、世界各地の都市を正面から順光にて撮影した作品で知られ、近年は映像表現にも取り組むなど多様に活動してきました。
その松江の東日本の公立美術館での初個展が「マキエタ CC」で、初公開作品を含む近作の写真50点と映像4点が公開されていました。

まず暗がりの会場にて目に飛び込んでくるのが、松江の代名詞ともいえる都市を順光で撮影した作品で、密に連なる無数の建物群が影を作ることなく、それこそオールオーヴァーの絵画のように広がっていました。

こうした一連の写真は「CC」と呼ばれていて、順光であることや画面に地平線を含まない正面性の高い構図など、独自のルールに基づいて撮影された作品でした。

「CC」とはシティーコード(City Code)の略称を意味していて、各作品のタイトルには撮影地の都市コードが記されてました。しかしながらそれ以外の情報はないため、都市コードを知らなければ、一体どの都市を写しているのか分からない写真も少なくありませんでした。
ともかく画面の大半にピントがあっているからか、すべてが極めて克明に写し撮られていて、1つ1つの建物が浮かび上がってくるかのようでした。

こうした「CC」と並んで新たに出品されたのが、ポーランド語で模型を意味する「makieta(マキエタ)」と呼ばれるシリーズでした。ここでは都市や地形の模型を被写体としていて、すべて「CC」のシリーズと同じような手法で撮影されました。またタイトルも「CC」と同様、都市コードのみが付されていました。

それゆえに高い正面性や排除された奥行きなどの構図感は類似していて、精巧な東京の都市模型を写した作品などは、まるで実際の都市の風景を捉えていると見間違うほどでした。

とはいえ、模型の完成度や制作された年代、また使われている素材は千差万別で、中には明らかに模型だと分かる作品もありました。

この「CC」と「マキエタ」の作品が明確に区別されず、いわば入り混じるように展示されていたのも面白かったのではないでしょうか。写真を目にすればするほど、その光景がリアルか模型、言い換えば現実か虚構であるのかが分からなくなるのも不思議でなりませんでした。

写真と同じルールで撮影された映像も興味深いかもしれません。映像はいずれも床に置かれていて、遠目では写真同様に静止しているように見えるものの、実際には人などが少しづつ動いていました。リアルながらも、街と人が別の次元といった分離した空間にいるように思えるのも面白く感じました。
会場内の撮影が可能でした。2022年1月23日まで開催されています。*写真はいずれも「松江泰治 マキエタ CC」展示作品
「松江泰治 マキエタ CC」 東京都写真美術館(@topmuseum)
会期:2021年11月9日(火)~2022年1月23日(日)
休館:月曜日。(月曜日が祝休日の場合開館、翌平日休館)、年末年始(12/28-1/4、ただし1/2、1/3は臨時開館)。
時間:10:00~18:00
*木曜・金曜は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般700円、大学生560円、中学・高校生・65歳以上350円。
*1/2(日)1/3(月)は無料。開館記念日のため1/21(金)は無料。
場所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口より徒歩約7分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分。
「松江泰治 マキエタ CC」
2020/11/9~2022/1/23

東京都写真美術館で開催中の「松江泰治 マキエタCC」を見てきました。
1963年に生まれた写真家の松江泰治は、世界各地の都市を正面から順光にて撮影した作品で知られ、近年は映像表現にも取り組むなど多様に活動してきました。
その松江の東日本の公立美術館での初個展が「マキエタ CC」で、初公開作品を含む近作の写真50点と映像4点が公開されていました。

まず暗がりの会場にて目に飛び込んでくるのが、松江の代名詞ともいえる都市を順光で撮影した作品で、密に連なる無数の建物群が影を作ることなく、それこそオールオーヴァーの絵画のように広がっていました。

こうした一連の写真は「CC」と呼ばれていて、順光であることや画面に地平線を含まない正面性の高い構図など、独自のルールに基づいて撮影された作品でした。

「CC」とはシティーコード(City Code)の略称を意味していて、各作品のタイトルには撮影地の都市コードが記されてました。しかしながらそれ以外の情報はないため、都市コードを知らなければ、一体どの都市を写しているのか分からない写真も少なくありませんでした。
ともかく画面の大半にピントがあっているからか、すべてが極めて克明に写し撮られていて、1つ1つの建物が浮かび上がってくるかのようでした。

こうした「CC」と並んで新たに出品されたのが、ポーランド語で模型を意味する「makieta(マキエタ)」と呼ばれるシリーズでした。ここでは都市や地形の模型を被写体としていて、すべて「CC」のシリーズと同じような手法で撮影されました。またタイトルも「CC」と同様、都市コードのみが付されていました。

それゆえに高い正面性や排除された奥行きなどの構図感は類似していて、精巧な東京の都市模型を写した作品などは、まるで実際の都市の風景を捉えていると見間違うほどでした。

とはいえ、模型の完成度や制作された年代、また使われている素材は千差万別で、中には明らかに模型だと分かる作品もありました。

この「CC」と「マキエタ」の作品が明確に区別されず、いわば入り混じるように展示されていたのも面白かったのではないでしょうか。写真を目にすればするほど、その光景がリアルか模型、言い換えば現実か虚構であるのかが分からなくなるのも不思議でなりませんでした。

写真と同じルールで撮影された映像も興味深いかもしれません。映像はいずれも床に置かれていて、遠目では写真同様に静止しているように見えるものの、実際には人などが少しづつ動いていました。リアルながらも、街と人が別の次元といった分離した空間にいるように思えるのも面白く感じました。
【新着】あなたが見ている光景はリアル? 東京都写真美術館で開催中の『松江泰治 マキエタ CC』展が面白い! https://t.co/6MwdsXnVDR
— Pen Magazine (@Pen_magazine) November 20, 2021
会場内の撮影が可能でした。2022年1月23日まで開催されています。*写真はいずれも「松江泰治 マキエタ CC」展示作品
「松江泰治 マキエタ CC」 東京都写真美術館(@topmuseum)
会期:2021年11月9日(火)~2022年1月23日(日)
休館:月曜日。(月曜日が祝休日の場合開館、翌平日休館)、年末年始(12/28-1/4、ただし1/2、1/3は臨時開館)。
時間:10:00~18:00
*木曜・金曜は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般700円、大学生560円、中学・高校生・65歳以上350円。
*1/2(日)1/3(月)は無料。開館記念日のため1/21(金)は無料。
場所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口より徒歩約7分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分。
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