『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』 ポーラ ミュージアム アネックス

ポーラ ミュージアム アネックス
『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』
2022/4/22~5/29



ポーラ ミュージアム アネックスで開催中の『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』を見てきました。

1975年生まれの流麻二果は、鮮やかでかつ淡い色彩を用い、透明感のある質感を伴った絵画を手がけ、「色彩の作家」として人気を集めてきました。


「雪はなぜ白い」 2022年

その流の4年ぶりとなる国内での個展が『その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments』で、会場には新作を含めて約13点の作品が展示されていました。


「言外の意味」 2022年

ともかく目に飛び込んでくるのがまるで貴石のようにきらめく色彩の海で、青やピンク、黄色や赤などのさまざまな色がせめぎ合いながら、抽象的とも呼べるイメージを作り出していました。


「言外の意味」(部分) 2022年

色は時に幾重に塗られながらも、あたかもガラスの表面に散った絵具を見るかのような輝きを放っていて、素早い筆触にもよるのか色自体が自律的に広がっているかのようでした。


「曖昧の眼」 2022年

また色の帯や波はさながら雲のようにたなびいていて、広い空を表したような奥行きを感じることもできました。これほど色同士の揺らめきが美しく、独特の広がりをもちながら、開放感を得られるような絵もそう滅多にないかもしれません。

今回の個展で興味深いのは、2020年の練馬区立美術館での「再構築 Re Construction」展で発表した「⼥性作家の⾊の跡」シリーズの新作が展示されていることでした。


色の跡:山下紅畝「けし」 2022年

流は2018年にポーラ美術館アトリウムギャラリーでの個展にて、同館所蔵の印象派絵画を再構成した作品を制作したことをきっかけに、伝統的な絵画を新たに解釈した「色の跡」と呼ばれるシリーズを手がけてきました。そして今回は松林桂月の妻で画家の雪貞や山下紅畝(こうほ)といった、女性の作家を参照した絵画を描きました。


色の跡:松林雪貞「雪貞画譜」 2022年

それらの作品は、元の作品の色をエッセンスを引き出すかのように繊細に色を塗り重ねていて、他のシリーズとはまた違った魅力が感じられました。


淡く、霧のように消えてしまうかのようにはかない色の表情にも心惹かれるかもしれません。



会期中のお休みはありません。5月29日まで開催されています。

『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』 ポーラ ミュージアム アネックス@POLA_ANNEX
会期:2022年4月22日(金)~5月29日(日)
休館:会期中無休。
料金:無料
時間:11:00~19:00 *入場は18:30まで 
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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