東京都美術館にて『THE GREATS 美の巨匠たち』が開催されています

スコットランドの政治と文化の中心、エディンバラに位置するスコットランド国立美術館。1859年の開館から、西洋絵画のオールドマスターをはじめ、スコットランドやイングランドの画家の作品がコレクションされ、多くの人々の目を楽しませてきました。



そのスコットランド美術館のコレクションを紹介する『スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち』について、見どころをイロハニアートへ寄稿しました。

スコットランドが誇る名画が日本へ。東京都美術館で開催中の『THE GREATS』レポート | イロハニアート

まず『THE GREATS 美の巨匠たち』の大きな特徴は、ルネサンスからバロック、それに18世紀から印象派への時代へと至る西洋絵画史を93点のコレクションでたどれることで、とりわけベラスケスやブーシェ、またモネにゴーガンなどに魅惑的な作品も少なくありませんでした。

そのうちのベラスケス『卵を料理する老婆』は、実に画家の10代の時の絵画で、文字通り卵を手にした老婆が料理するすがたを表していました。ここでは少年の肌や衣服の質感はもとより、卵の白身が固まりつつある光景などを見事に描き分けていて、若きベラスケスの高い画力を伺い知ることができました。



こうしたマスターピースとともに見逃せないのは、ゲインズバラ、レノルズ、ブレイク、コンスタブルといったイングランド出身と、レイバーン、ラムジー、ウィルキーなどスコットランド出身の画家の絵画でした。

中でも見応えがあるのが、18世紀のイギリスを代表する肖像画家として活躍したジョシュア・レノルズの『ウィルドグレイヴ家の貴婦人たち』で、絹レースに取り込む若い3姉妹を繊細なタッチにて描いていました。三美神を思わせるような優雅な世界が画面全体に広がっていて、展覧会のハイライトと呼んでも過言ではありませんでした。

水彩を国民的芸術へと引き上げたイギリスだけに、水彩にも見ておきたい作品が少なくありませんでした。ジョン・ロバート・カズンズの『カマルドリへの道』は、ナポリ周辺の雄大な風景を鳥瞰して描いた水彩で、瑞々しく淡い色彩はもちろん、ロマンティックな夢のような雰囲気も魅力的でした。



ラストを飾るフレデリック・エドウィン・チャーチの「『アメリカ側から見たナイアガラの滝』も迫力十分ではないでしょうか。アメリカの風景画家、チャーチがナイアガラの滝を大きく描いた絵画で、アメリカで財を成したスコットランド人が、国立美術館へと寄贈し、同館のコレクションとして収められました。

入場はオンラインでの日時指定予約制です。ただし予約枠に余裕がある場合は、当日券も美術館の窓口にて販売されます。混雑状況などは展覧会のTwitterアカウント(@greats2022)をご参照ください。


ゴールデンウィーク期間中のお休みに改めて出向いてきましたが、はじめの方の展示室を中心に館内はなかなか盛況でした。ひょっとすると会期後半にかけて混み合うかもしれません。



7月3日まで開催されています。なお同展は東京での会期を終えると、以下のスケジュールで神戸、北九州へと巡回します。

兵庫:神戸市立博物館 2022年7月16日(土)~9月25日(日)
福岡:北九州市立美術館 2022年10月4日(火)~11月20日(日)

*一番上のパネル写真は内覧会時に許可を得て撮影。

『スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち』@greats2022) 東京都美術館@tobikan_jp
会期:2022年4月22日(金)~7月3日(日)
時間:9:30~17:30
 *毎週金曜日は20時まで開館
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。
料金:一般1900円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1400円、高校生以下無料。
 ※オンラインでの日時指定予約制。
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
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